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36.仮初めの番
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「ソニアちゃんの番は…」
「えっ?」
「あ、前に言いかけてたからさ。ちょっと気になってて。そういう人がいるのかなぁって薄々思ってたんだけど…」
「『俺しかヒートを止められない』って豪語してたくせに」
「そうだけど…。ソニアちゃんの選択を失くした俺が今更言うことじゃないんだけども…」
「選択肢なんて、最初っからお前以外なかったよ」
「それはどういう…」
「俺、ここに来る前に運命の番にフラれてんだわ」
ソニアの告白にヴォルフは衝撃を隠せない。
自虐めいた言い方はソニア自身でも気付いていないであろう切なさをヴォルフに感じさせた。
「他に女が出来て、そっちに乗り換えられちゃってよ。ヒートが来なかったからか、仕事に夢中で蔑ろににしてたからか、セックスどころかキスもしない俺に嫌気が差したからか。…いや、理由は今言った全部なんだろうな」
「だとしたら、ソニアちゃんは今フリーなの?」
「そうだけど」
「じゃあ…、俺が立候補してもいいのかな」
「何に?」
「番」
「はぁぁぁっ!?」
ヴォルフの予想外の反応に今度はソニアが衝撃を受ける番だった。
開いた口が塞がる気配もないのに、ヴォルフはそのまま話し続けた。
「互いにフェロモンに振り回されている者同士、特定の相手がいた方が楽でしよ。フェロモンのマーキングをすることで他人を寄せつけないようにするのが良いと思うんだ。まずは『仮初めの番』から始めてみませんか?」
「えっ?」
「あ、前に言いかけてたからさ。ちょっと気になってて。そういう人がいるのかなぁって薄々思ってたんだけど…」
「『俺しかヒートを止められない』って豪語してたくせに」
「そうだけど…。ソニアちゃんの選択を失くした俺が今更言うことじゃないんだけども…」
「選択肢なんて、最初っからお前以外なかったよ」
「それはどういう…」
「俺、ここに来る前に運命の番にフラれてんだわ」
ソニアの告白にヴォルフは衝撃を隠せない。
自虐めいた言い方はソニア自身でも気付いていないであろう切なさをヴォルフに感じさせた。
「他に女が出来て、そっちに乗り換えられちゃってよ。ヒートが来なかったからか、仕事に夢中で蔑ろににしてたからか、セックスどころかキスもしない俺に嫌気が差したからか。…いや、理由は今言った全部なんだろうな」
「だとしたら、ソニアちゃんは今フリーなの?」
「そうだけど」
「じゃあ…、俺が立候補してもいいのかな」
「何に?」
「番」
「はぁぁぁっ!?」
ヴォルフの予想外の反応に今度はソニアが衝撃を受ける番だった。
開いた口が塞がる気配もないのに、ヴォルフはそのまま話し続けた。
「互いにフェロモンに振り回されている者同士、特定の相手がいた方が楽でしよ。フェロモンのマーキングをすることで他人を寄せつけないようにするのが良いと思うんだ。まずは『仮初めの番』から始めてみませんか?」
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