運命の番じゃないあなたを愛している

明太子

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35.相手してくれるのなら

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「うぅ…。ヴォルフ…?」

ソニアが目を覚ますとそこは私室であり、傍にヴォルフはいなかった。
だが、体液まみれのはずの裸体は綺麗になっており、おまけにバスローブまで着せられていた。
ソニアが眠っている間にヴォルフが体を拭き、ベッドまで運んでくれたのは明白だった。

起き上がった瞬間、腰が鈍く痛んで、顔を歪ませた。
ちょうどその時、ヴォルフが部屋に入ってきた。
彼はベッドの横にある椅子に座り、ソニアを心配そうな様子で見つめた。

「ソニアちゃん、大丈夫?」
「痛いな…」
「結構無理させちゃったからね…、ごめん…」
「あっ、いや、それは…」

俺が望んだことだ、とソニアは言ってやりたかった。
しかしながら、昨晩の痴態を想起させそうで気恥ずかしかったので、ヴォルフには申し訳ないものの口を噤むことにした。

「…一応さ、近々来るヒートには薬だけで乗り越えられると思う」
「うん」
「でも…、この先のヒートについては…」
「まだ足りないんだろ?何となく分かるよ。これはその場凌ぎってことで、俺のヒートが正常に戻った訳じゃないって」
「あぁ」
「俺はいいよ、お前が相手してくれるのなら」

ソニアの言葉にヴォルフは頬を紅潮させた。
つい先刻まで抱き合っていた仲なのに、そんなことで恥ずかしがるのかとソニアはヴォルフを愛おしく感じた。

だが、その表情もすぐ仄暗いものへと一変する。
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