【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

明太子

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40.ルナマリアの正体

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こういうことは初めてだから、とても緊張する。
だけど、大丈夫だ。
俺の手には文字通り『切り札』があるんだから。
汗ばむ両手をぎゅっと握りしめ、意を決して対峙する。

「俺、氷雪真白と言います。半年ほど前にトーニャさんと結婚しました」

そう言うと、シューさんは少しだけ驚いたような顔をした。

「ソル、悪いけど戻っててくれる?」

ソルは俺たち2人の顔を心配そうに見つめながらも言いつけ通りに去っていく。
建物の中に入ったのを確認して、シューは続ける。

「…なぜ結婚の話を私にするのでしょうか?」
「あなたにはきちんと知らせなければいけないと思って…。ルナマリア・ミシェルはあなたですよね?」

シューさんは肯定も否定もなく、ただ口を閉ざしている。

きっと彼から『真実』を明かすっもりはない
のだと悟る。
だから勝手だけど、一方的に話すことにした。

「ずっと不思議だったんです、トーニャの瞳。彼の家族の誰とも異なる色をしていますから」

俺の言葉にシューさんはびくりと肩を揺らす。

「本当は…、あなたがトーニャの…」
「……真白?何でここに…?」

そこにはひどく驚いた表情をしたトーニャの姿があった。
まさか俺がいるなんて想像していなかっただろうから、当然の反応だ。

ふと彼の手元を見ると、見覚えのない紙袋を持っている。
見失ってからトーニャの方が先に到着したと思っていたが、ここに来る前に市街地にある店でルナマリアのために手土産を購入して寄り道していたのだと察する。

「昨日、お前がユージーン王太子と話しているのを聞いたんだ。エルシエル孤児院のルナマリアに会いに行くって…。なぁ、俺と一緒にいたいって思ってくれてるなら、本当のことを話してくれないか?ルナマリアがお前のお母さんなんだろ?」
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