とあみ

palo

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 一年はたったかと思います。初冬の寒さを焚き火で温めていた折、天啓を受けたのです。
 此処にあるのか、と。
 なんと残酷な天啓でしょうか。
 私はそこにありました。無論今も私は此処にあります。しかし、此処にあるのかと問われ、即答する者は、よほどの阿呆です。寒さの増してきた山の中で1人私は、ぐうとなったのでした。
 新しさは長くは持ちません。新鮮を補填するものは、日常の積み重ねしかありません。切り開くという試みに守られた私の山の生活は、一年待って丸裸にされてしまったのでした。飽きたとはまた違います。その頃は生活も安定し、自作の鳥籠にメジロやリスなど養い、庭先にはツツジを育て、満ちた暮らしの只中にいたのですから。
 それなのに、天啓は、あまりにも。
   此処にあるのか
   此処にあるのか
 その問いは日々私を捉えるのです。
 山の色合いは、はたと失せました。
 メジロとリスを野に放ち、春を待たずに、山を捨てました。
 都市を、北を、南を、海を避け、彷徨い7年歩き続けています。
 
 いつまでも辿り着かない。
 嗚呼、私は蒙昧の人
 よほど、阿呆が羨ましい。
 されど、死ぬのは恐ろしい。
 やむなく、今日も歩いているのです。

 此処にあるのか
 此処にあるのか

 そう呟きながら。
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