世界が終わる頃に

mahina

文字の大きさ
2 / 17
事の始まり

1.

しおりを挟む

---2025年8月

 温暖化の影響で年々暑くなってる日本。その都市部の外れに勤務する社会人3年目の北川柚杷(きたがわゆずは)。今年で23になる。乗り換えの為に降りた駅で都市部ならではの人混みの多さに嫌気を差しながら目的地へ足を進める。
 人の気配もほとんどないの市街地から少し離れた場所にある少し古びた建物、藤江研究所。ここが柚杷の仕事場である。研究所とは言っても全員が研究している訳ではなく、ある人は探偵紛いなこと、ある人は小説家紛いなことなど様々である。柚杷はある目的の為、今は研究一本で働いている。古びたドアを開け中に入ると外からでは想像できないくらいに綺麗な部屋である。柚杷は既にいる職員に軽く挨拶をしながら奥の部屋へ行く。ガラス張りのドアを開け部屋に入り電気を付ける。荷物を端に置き、椅子にかけてあった白衣を着て、少し癖のある長い黒髪を後ろでひとつにまとめながらデスクに向かう。
「…長谷部さんは成分調査依頼っと…。山川さんは足跡の写真…?あぁ、足跡から靴を断定しろってことね。」
 研究者というよりは警察の鑑識に仕事内容が近い気がする。実際、たまにではあるが警察から直々に依頼が来ることもある。そんなことを思いながら、早速仕事に取り掛かろうと踵を返した時だった。
『ピロリン♪』
滅多にならない携帯が通知音をあげる。仕事を始める前だったので携帯を手に取る。
『ゆずさん!
元気ー?
仕事は上手くいってるかい?
まぁ、都合がつかなかったらいいんだけど、今月の下旬にOB.OG会をしようかと思って出欠確認の為に連絡したんだけど、まぁ出る出ないどちらにしろ連絡ちょーだい(^-^)』
高校の同級生である朝堀真一(あさぼりしんいち)からのSMSであった。
「あぁ、真から…OB会か。そんな時期になったんだなぁ。」
 返信はすぐにはせず、そのまま電源を消し、仕事に取り掛かる。
 柚杷の仕事スタイルは与えられた仕事を淡々とこなし、依頼に+αの情報をつけて依頼を達成する。精密な検査結果に+αの情報を付け足すことで仕事を依頼するひとは絶えない。また少し柚杷自身も自分の好きなように仕事が出来るので今の仕事環境は気に入っていた。先程まで無表情だった顔に少し笑みを含ませ、実験室に足を踏み入れたのだった。

 そんな仕事始めからしばらく経って他の社員に声掛けられた。
「おーい、北川。お前にお客さんだ。」
 顔にかかった髪を手で流しながら声のした方へ振り向く。声をかけた人物…遠藤は何も言わず自分の後ろを指差す。結っていた髪を解き、手櫛で軽く髪を梳きながら指で差された先…応接室に向かう。途中、遠藤の横を通り過ぎる際に「何か怪しいから気を付けろよ」と言われ、「はい」と短い返事をし、身なりを正しながら部屋の前まで行く。そして部屋の前でひとつ大きく深呼吸をし、しっかり前を向いてドアをノックしてドアを開けた。
「失礼します。お待たせして申し訳ございません。研究員の北川と申しま…す……。」
 部屋に入りながら挨拶をしたら驚きのあまり言葉が止まった。部屋で待っていたのは怪しい人物でもなんでもない。先程LAMYを送った朝堀真一であったからだ。
「やっ、ゆずさん♪」
 唖然とする私に笑顔で手を振る真一…
「…えっ、やっじゃないよ!?なんで真がここにいるの!私の仕事教えてないはずだよ!?」
 未だに整理のついてない考えを必死にまとめながら真一に質問をぶつける。
「まっ、待った!ちゃんと質問には答えるから落ち着いて…」
 どうどうと手を前に慌てた柚杷を落ち着かせ、とりあえずと真一の前の椅子に座るように促した。
「落ち着いたね。じゃあ、話をしていこうか。まぁ、今回ここの研究所に調査依頼をしたくて来たら研究担当員がゆずさんだったんだ。
単なる偶然だよ。」
 俺だって名前を聞いた時は驚いたんだよ?と話して柚杷に微笑みかける真一。嘘か真か分からない話を疑いの目で見るがやがて諦め、柚杷は本題を促した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...