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神の力
5.
しおりを挟む-----時は再び柚杷に戻る。
「…ん。」
柚杷は静かに目を覚ます。何もない部屋の真ん中に天井から垂れた鎖に両手を繋がれていた。
何故こんな状況なのか、いまいち何があったか思い出せずにいたが、冷静になり、慌てず辺りを見渡した。
4畳程の窓のない部屋。天井に繋がれた鎖。その鎖の先に手錠があり、柚杷の両手が通されていた。それ以外には部屋には何もない。肝心の柚杷は鎖に繋がれ、両手が上に上がり、地べたに座っていた。服装は特に変わってなかったが上に着ていたジャケットを着てなく、白のブラウスと紺のプリーツスカートだけになっていた。足の方を見ると祥華にやられた跡だろう、痣がいくつも出来ていた。腕も気にしてはいなかったが目立つ痣がいくつもあった。靴は履いたままであったが、今の状態では煩わしいだけなので両足を上手く使って脱ぎ捨てる。そして気づいた。
左足首に床に繋がった鎖に繋がれていることに。
「ここまで厳重に鎖に繋がらなくてもいいじゃない…。」
柚杷はひとつため息をこぼし、呟く。すると目の前のドアが開き、男が入ってくる。
「…なんなのよ。」
この男も知っていた。金田雅紀(かねだ まさき)。この男も祥華や柚杷と同じ小中学校に通っていた。そして祥華と手を組み、柚杷を人生のどん底に突き落とした。
柚杷は目を逸らし溜息をつくしかない。1日…なのかは定かではないが、連続して会いたくない人に2人も会うのだ。しかも今回も2人は仲間のようだ。
「祥華から聞いた通りだな。ほんと北川のくせに生意気だな…。」
「くせにって何よ。それに私はあなた達に何か指図されるような立ち位置でも何でもないわ。」
怒ったような表情で上から見下ろす金田に対し、下から睨んで言葉を返す。
「そういうところが生意気なんだよ。…まぁいい、祥華がこれからお前を使って実験するってさ。」
そのまま、踵を返して部屋を出ようとする金田。柚杷は自分の手首を見て、金田に視線を戻す。
「そんなこと言われても、ここに繋がれてたらまずこの部屋から出れないわよ。」
歩き始めていた金田はピタッと止まり振り返る。柚杷は金田の顔を見ながら挑発する。
「私が起きてようが寝てようが知ったことじゃないだろうけどね。」
静かに柚杷に向かいに上に着ていたジャケットのポケットから小さい注射器を取り出し柚杷の腕に刺す。
「うぁ…っ」
突然、注射をされ、何かを流し込まれる。力が抜ける。
「なに…を…」
全身の力が抜け、途切れ途切れでものを言うのがやっとだ。そして再び金田は部屋の外へ出て扉を閉める。
「はぁ…はぁ…」
息が荒くなっていく。意識は全然保ったままでいられるが、全身に全く力が入らない。
『まったく…。何を打ってくれたよの…。』
柚杷の荒い息遣いだけが部屋にしばらく響く。
ピリッと小さく電気が走ったようか気がした。
「…?」
その時だった。
鼓動が急に跳ね、全身に電気が走ったように痺れる。
「…あっ…!?」
電流はいまだ続き、柚杷は鎖をじゃらじゃらと大きく鳴らしながら暴れる。その目は痛みに苦しみ、大きく見開かれ、涙が溜まる。
「…ぃやぁ。ぃたい…ゃめて…。」
全身に走る電流は痺れから痛みに変わり、柚杷の体を、精神を苦しめる。
「…ぁぁあ!……ぃたいっ!ぃたいっ!!」
柚杷は動ける限界まで暴れる。叫ぶ。溜まっていた涙も無様に床に落ちていく。
痛みで意識が落ちていきそうになるが、打たれた薬品のせいか、意識をなくすことを許さずすぐさま現実に連れ戻される。それが繰り返される。
実験でも何でもない。
ただの拷問のように思えた。
痛みはずっと柚杷を苦しめる。
「…も……もう…や、めてぇっ!!」
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