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神の力
7.
しおりを挟む急に黙って項垂れていた柚杷に祥華は怒りを覚え、手に力を込める。
「なぁに…急に黙っちゃって…。
ねぇ、何とか言いなさいよ。まだ死ぬには早すぎるわよ、柚杷っ!」
平手打ちを柚杷の顔に1発入れようとする。
その直後だった。
祥華も金田もドアの外にいた監視員も、その場にいた人間全員が恐怖を覚え、身を震わせた。
とんでもない程大きな殺気。
動いたら殺られる。
そう本能で感じ取り、誰も動けなくなった。
クスクス…と小さな不気味な笑い声が小さく響く。
「…ふふっ。人は滑稽だのぉ…。」
俯いていた顔がゆっくりとあげられる。
口は笑みを浮かべ、乱れた髪の間から本来の夜より深い漆黒の色とは異なる紅い瞳がひかり、目の前の祥華たちを射止める。
先程までの生気を失ったような顔とは全く違く、獲物を見定め、妖しい…いや妖艶と言った方がいいのだろう。
突き刺すような殺気を飲み込むような見惚れるような笑みを浮かべていた。
パキンっとその場の雰囲気に合わない涼しい音が鳴り響く。
何かと原因を探るべく柚杷を注意深く見る祥華と金田。
そんな2人の視線を気にせず今まで手足を鎖で拘束されていた柚杷がふらりと立ち上がる。
手足の拘束具は割れて、床に落ちていた。
ゆらりふわりとしているが目を見張るほど優雅に美しく立ち上がり、2人に向かって歩き寄る。
背の低い柚杷が2人の目の前で立ち止まり、下から憐れむように見上げる。
「…ふふっ。
ほんと憐れな人間だのぉ。
人間が妾たち、神を越える…力を得るなど代償無くしては到底無理なことであるのに。
お主ら、人間は何度誤ちを犯せば気が済むのだ…?」
静かに、優雅に微笑んでいるものの、周りの空気は依然として殺伐としている。
ピンと張り詰めた空気の中、しばらく柚杷は祥華と金田を交互に見ていた。
「…まぁよいか。
代償を払い、妾の手を取った人間がいるのだからな。
さて、話を進めるかの。
お主ら、どうする?
こやつは大層お主らの事を憎んでおるぞ?
…殺してしまいたい程にな…。」
目線を外し、周りを歩く。
歩きながら自分の胸を抑え、他人事のように話す。
柚杷であるはずなのに、柚杷ではない。
先程から話す言葉を聞き、最後の言葉で今目の前にいる人間は柚杷ではないと確信した祥華が冷や汗をながしながら、嘲笑うように口を開く。
「…はっ。柚杷が私を憎む?
そんなの許される訳ないじゃない。
殺すなんて以ての外よ…主人を殺すなんてふざけるんじゃないわよ。
…それに、自我を失ったような奴がどうやって殺すのよ。」
柚杷は祥華の発した言葉に対し、冷たく睨む。
まだそんなに罵る気力があるのかと問うかのように。
視線はずっと祥華に向けたまま柚杷は楽しそうに話し出す。
「…面白いことを言うのぉ。
たしかにそうじゃ。
自我を失い、挙句の果てに身体を乗っ取られておるのだからな。
柚杷も阿呆だのぉ。」
だがの、と突然笑うのを止め、祥華を見る紅い目を鋭くし、片手で祥華の首元に触れる。
「散々、住処を荒らされ、神の力を手に入れる為にと扱き使われたからの。
…妾も虫の居所がとても悪いのだ。
発する言葉にはせいぜい気をつけろ、低俗な人間よ。」
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あけましておめでとうございます!
なかなか更新せずすみません…
というかこんなのを読んでくださる方がいるのか…
いや、ほんと読んでくださりありがとうございます!!
今年もゆっくり更新していこうと思います!
では、もう一度…
いつも読んでくださりありがとうございます´`*
今年もよろしくお願いします!
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