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逃げ場所+α
しおりを挟む人は誰もが強くなれと言われて親に育てられるけど、やっぱり人によっては強くなれないんだよ。
そこで強くなれなくても認められる場合と認められない場合がある。
私は後者だった。
強くなれと言われたけど、いつまで経っても弱虫の泣き虫。
強くなれず、それは私とは認められなかった。
挙句の果てに、それで周りにいた友人だと思っていた人には意地悪され、親には見放された。
…そんな事ありえないって?
実際にあったんだから、ありえるよ。
そんな周りから見放されて独りぼっちで、でも認めてもらう為に必死に強がって努力して今の立ち位置を手に入れたのにまた失いそう。
私自身のことなんか後回しにして、今まで以上に動いた。
無い頭振り絞って、周りに気を配り、働いて…。
他人に言われて気付いた。
もう私が壊れかけてたことに。
いや、壊れてた。
もう本当の私が何だったのか分からないんだから。
今、優しくしないで。
築いてきた強がりな嘘の私がその優しさで崩れてしまうから。
___________________…
あれから5年…。
あの日、たしかに今まで築いてきた壁は壊れたけど、悲しくなるより本当に清々しい気持ちになった。
壊れたものは何があっても戻ってこないけど、今の私は少しでも私らしくいられてるのかな。
あの日に似た、夕焼け空の元、君と並んであの堤防から海を見る。
私は結局毎週のようにこの堤防に来て、君と一緒にいる。
でも、このままじゃいけないから、今日こそは伝えないと。
「あのさ…。」
ずっと話さず静かだった空間に私の声が響く。
「…ありがとね、ずっと支えてくれて。
すごく嬉しかった。
ずっと認められなかった私に居てもいいっていってくれたから。
弱い私に逃げ場所をくれたから。」
言わなきゃ、ここから先の言葉を言わなきゃ。
「…でも、もうやめるよ。
……ここを逃げる場所にするのは。」
君はゆっくりとこちらを向く。
どこか怒ったような表情なのに、目は悲しげだった。
「また、強がって嘘の仮面被っていくの?」
私はゆっくりと首を横に振って否定する。
「じゃあ、どうするの?」
君は先を急かす。
「弱い私も強がる私も両方を晒して行くよ。
…これが私だってみんなに認めて欲しいから。
その為にも逃げ場所はなくしたかった。
逃げる場所があったら、またそこに逃げちゃうから。」
ゆっくり君の手が伸びてきて私の頭を優しく撫でる。
「そんなに泣いてまで、どうにかしたいの?」
言われて気付いた。
私の頬をポロポロと涙が流れていて、手にも痕がつくほど強く握りしめていたことに。
「…そんなに泣くなら、そんな決断しなくてもいいと思うけど。
それにもうみんなに認められてるって気付いたらどうなの?」
君はゆっくりと指をある方向に向ける。
その方向をゆっくりと見ると、この数年間一緒に頑張ってきた仲間と言うべき人たちがこちらに向かってきていた。
そして遠く離れているのに私に気付き、大きく手を振り私の名を呼ぶ。
驚いて言葉が出ない。
そんな私に満足したのか、君は妖しく、でも優しく笑う。
「これでも、…は独りだと思う?
どう考えても独りには見えないよ。
…逃げる場所は要らなくなっても、…は独りにはさせない。
だから今度は俺の……として俺の隣にいてくれない?」
何度君は泣かせてくれるんだ。
ずっと悩んでたことも君はいとも容易く解決してしまう。
逃げる場所をなくす為に君の側を離れないといけないと分かっていても、離れたくなかった。
どうしてそう思ってたのかにも、もやもやとした感情だったのに君の一言で気付いてしまった。
もう私は君の側から離れられない。
私は黙って頷く。
そして君の手を取って、みんなのもとに一緒に駆け出した。
「…逃げる場所が要らなくなっても、…は独りにはさせない。
だから今度は俺の「彼女」として俺の隣にいてくれない?」
さらっと告白してくれてバカみたい。
でもね、嬉しい。
さよなら、強がるだけの私。
これからは強がりも弱い私も一緒に受け止めて。
そして認めてくれた愛する人に感謝を。
「ありがとう。
そしてこれからもよろしくね、私の彼氏さん。」
〇(珍しく)あとがき〇
今回の「逃げ場所」…最後の方は結構めちゃくちゃなお話になりました…。
さて、+αで「実際にあったんだから、ありえるよ」ですが、皆さんどう受け取っていただけましたかね?
この作中の主人公が実際に受けたことだと思った方、この作品を書いた私、真陽菜が実際の現実で受けたことなのか…。
それは皆様のご想像にお任せします。
これだけ煽っておいて、想像してくださいで済ませてごめんなさい。
文才が全くの皆無な私の作品ですが、たくさんの方々が読んでくれてるようでとても嬉しいです。
ありがとうございます。
感謝しまくりです。
これからもどうぞよろしくお願いします。
真陽菜______…
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