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第1回「【緊急】魔王の復活の件について」
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技術の進歩と拡散はすごいもので、今やこの世界でもありとあらゆる場所でスマートフォンを使うことができる。人間の欲望というのは果てしなく、魔王打倒の大目標を失った熱狂が、情報インフラの整備という形で現れたのかもしれない。
今、俺が持っているスマホには一通のメールが届いた。嬉しくない内容だ。俺はすぐ傍にミリーがいることを確かめてから、口を開いた。
「昔さ、俺が転生する前の世界の話だ。その世界でもスマートフォンはここまで普及していなかった。それがどうだ。今やこの世界でスマホを持っていないやつなんていない。二台持ちも含めると100%を超えてるんじゃないかな」
「そうかもしれませんね。何しろ、公的な身分としては奴隷である私ですら持っているくらいですから。それにしても、急に不思議な話をされますね。どうされましたか。ついに性欲が枯れ果ててしまわれましたか」
どうしてそういう話の展開になる。
「ミリー、君が俺のことを『性欲お化け』として扱うのは構わないが……」
「そのようなセンスのかけらもない表現はしておりません。『下半身思考機械』から始まり、
『股間でしか物を考えられない男』『腹から上はハリボテのご主人様』『積極的繁殖行動しか考えていない俗物』と表現方法に苦慮しているのですから」
本当に、彼女といると退屈しない。憂鬱なメールが届いた今の気分が晴れやかになっていく。
「お前のようなメイドを持って幸せだよ。自分の頭が良くなった気がする」
「その通りです。たとえ私の頭が良かったとしても、ご主人様の頭が良くなるわけではありません。むしろ比較されて、自分の尻尾を追いかける子どものドラゴン程度に見られてしまうでしょうね」
「そういう発言をするから、竜人族と相性が悪いんだ」
「こういう発言をするから、私という自己の確定が正常に行われているのです」
とても「忠実」な発言をいただいたところで、俺は現実に向かい合う覚悟ができた。嫌なニュースを真っ向から受け止めるためには、それだけ気力と体力を消耗する必要があるのだ。
そうだ。ミリーと俺とは一心同体だ。この苦しみも共に味わってもらおう。
「こんな話を振ったのは俺の性欲が枯れたわけでもなければ、アルトワの大聖堂がいきなり大人のおもちゃ専門店に変貌したからでもない。ウィルからメールが届いた。ご丁寧に『勇者タイシ殿』と前書きしてある」
「国王陛下からのメッセージならば、いつでも飛んできているではありませんか」
「メッセージは、そうだ。だが、メールは普通使わない。だるいからな。何なら通話機能で済ますことだってできるわけだ。それをわざわざログの残るやり方でやってきた。件名を教えてやろうか。『【緊急】魔王の復活の件について』」
ミリーからの返答が、少し途絶えた。気の利いた返答を考えているのだろう。ウィルのことはミリーもよく知っている。何しろかつて一緒に旅をした仲だ。
「『てめえで何とかしろ』と返信されては。それとも、また魔王討伐の旅に向かわれますか」
「冗談言え。やっと手に入れた悠々自適の生活なんだ。誰が長く苦しい旅に出たいと思うもんか。だから、俺だって思ったさ。バストーニュの森で降伏を迫られた連合国軍の司令官のように、『NUTS』と返してやろうかってな」
「ナッツとは」
「くそ食らえ。俺の世界の歴史だ。後でネットで調べてみるといい」
今や両方の世界の知識がネットで調べられる時代だ。人間の知りたいという欲求の底なしさには感心させられる。
「そうします。で、そうなさらなかった理由は何でしょう」
「復活した魔王……いや、魔王を名乗っているのは、ユナだ」
「ユナ様ならレブレンの女王をしておられるではないですか」
ウィルもユナも、かつての仲間であり、今も良き友人だ。二人とも王族の出だったから、それぞれの国の王となって再建に励んでいるはずだった。
だが、現実ってのはいつも最低のジョークを遠慮なしに選んでくる。片方が新しい魔王を名乗って、もう片方がその魔王を討伐せんとしている。仲間同士の救えないいざこざだ。俺はそれを辺境から眺めていられるほど、人格が練れているわけじゃない。
「ああ、そうだ。だが、自ら魔王を名乗り、他国へ最後通牒を発したらしい。もちろんウィルのやつも仰天してな。俺に親善大使をやってほしいと言ってきた」
「性欲魔人のご主人様にお鉢が回ってくるなんて。ウィル様は戦争をしたいんでしょうか」
「したい時には『起こす』のが戦争で、したくない時にも『起こる』のが戦争だろう。そして、今回は後者だ。レブレン王国は元々マンパワーに恵まれた土地柄ではあるが、これまで魔王との戦いで傷ついた国力の回復に努めてきた。前の戦いではほとんど国がなくなりかけるくらいに壊滅していたからな」
「まだ先の戦が終わって数年。回復するには早すぎますね」
「それでも、ウィルは王として戦争遂行の準備をしなければならない。だから、やつともユナとも戦友であるところの俺に行ってくれないか、と。こういうことだな」
「勇者はいつの時代も使い走りをさせられるのですね。この話、お受けになるのですか」
起きてしまうのが戦争なら、選ばせられるのが決断なのかもしれない。
「嫌だがやるしかないと思っている。まあ、軽く友人として聞く程度だと思ったから、すでにユナにはメッセージを送ってみた。三回もだ。そしたら三回とも既読スルーされた。どうやらマジで何かが起きてる」
「ご主人様のゲスな感情が読み取られた可能性は」
「無い。俺は確かにおっぱいもお尻も大好きだが、あいつだってそのことを熟知している。もし破綻が起きるなら、とっくの昔に……」
「女は耐えるものです」
「男だって耐えるものだとも」
それに、ユナとは長く辛苦をともにしすぎたせいで、どこか女として見ることができない節があった。もしも姉妹がいたら、こんな気分にもなるのだろう。
ミリーは僕の視界の中に入ってきて、また視界の外に出ていった。うろうろと歩き回って、思考をまとめているのだ。ギリシアの哲学者が回廊を歩いたように、ああした適度な刺激は脳を活性化させる。それはこの世界でも変わらない。
「しかし、そうなると困りましたね。直接行くしかないでしょうか」
「気は進まないけどな。少なくとも、異常事態ではある。本当に戦争が起きてしまってからじゃあ遅い。勇者だ英雄だと祭り上げられたところで、俺も結局は使い走りから卒業できないってことだな。もう少しのんびり暮らせると思ったんだが」
「いつかこういう日が来ると思っていたような口ぶりですね」
「もちろんさ」
「どうしてですか」
どうしてだろうね。
俺は心の中で自らに問いかけた。もちろん、答えは用意してあった。だが、口にすると疲れる話というのはあるもので、それを避けたい気持ちも強く刻み込まれていた。残念ながら、現実はそこに横たわっていて、俺はしっかりと見つめなければならない。素敵な表紙の同人誌を買ったと思ったら、中身はまるで違う絵柄だったとしても、じっくり読みこんで元を取りたいと考える気持ちに似ている。
ああ、そうだな。せめて俺の後ろにソフマップの看板でもあれば、ちょっとはおとぼけて見えて、この不快な「今」を中和することができるかもしれないんだ。
「人間は争う生き物だからだ。いや、この世界、俺から見たら異世界であるこの場所だって、俺が元いた世界と何も変わらないんだからな。魔族とかモンスターとか、そういう人種構成や生態系の違いこそあれ、本質的な部分ではどこも変わりゃしない。平和は戦争の準備期間に過ぎないし、戦争はより良い平和を得るための殴り合いだ。そして、より良い平和なんてものがあるとするならば、それはとんでもなく大きな犠牲を払った先にしかないってことは言える」
「まるで哲学者のような物言いですね」
間違ってはいない。古代ローマの軍事学者であるウェゲティウスは、「汝平和を欲さば戦への備えをせよ」と説いた。束の間の平和バーゲンが終わって、これからまた緊張の時代がやってくるわけだ。そういう意味で、今回の動きは放っておいてもいいのかもしれないが、それでも見過ごすわけにはいかない。
「お前のスマホは飾りか。胴体の上にくっついているのはからっぽの記憶装置か。違うだろう。今や馬鹿みたいに増えたお人好しな転生者の努力で、こっちの世界の歴史もあっちの世界の歴史も、まるまる閲覧することが可能な時代だ。知識はクラウドに保管しておいてもいいが、それを利用するためには知恵が必要だぞ」
「知恵だけが先行しても、いずれ暴力に負けることもあります」
「そうだ。その知と力、理と暴のせめぎあいこそが人生であり、世界だ」
残念なことに、俺は暴力を求められて召喚されたし、今また同じく緊急手段で物事を解決しなければいけなくなっている。
まして、昔の仲間をぶん殴らなきゃいけないかもしれないと考えると、実に気が滅入る。
「まずはウィル様のもとへ向かいますか」
「いや、直接ユナのところに行く。ウィルにはもうメールを返した」
スマホ万歳。フリック入力で会話をしながらメールを作るくらい楽勝ってなもんだ。
「私と話をしながら……さすがです」
「褒めてくれてありがとう。ご褒美におっぱいでも揉ませてくれたら最高だね」
「その要求は私の全存在をかけて拒絶します」
「知ってるよ。さあ、行くぞ。俺とウィルとユナ、そしてミリー、お前とで作った平和だ。少しくらいは長持ちさせてやるさ」
あら、とミリーが言った。
「私を入れていただけるとは光栄ですね」
「軍隊で最も重要なのは兵站であり、物資の輸送能力だ。お前が俺たちから押し付けられた荷物の数々を運んでくれたことを、誰よりも誇りに思っているよ」
登山隊が道具を運ぶためにシェルパを雇うように、俺たちには常にミリーがいた。彼女はとてつもない量のアイテムを、その身一つで軽々と運んでくれた。戦闘能力も高いから、足手まといになることなんてなかった。彼女なくして魔王の打倒は有り得なかった。これだけは間違いなく断言できる。
ともあれ、出立の準備は整えた。世界の中でも片田舎に属するこの地から、速やかにユナの待つレブレン王国に移動せねばならない。
俺はそのために、タクシーを呼ぶことにした。専用のスマホアプリで操作すれば、すぐにでも来てくれることだろう。ただ、この世界のタクシーはでかくて強い。ドラゴンのタクシーだ。
今、俺が持っているスマホには一通のメールが届いた。嬉しくない内容だ。俺はすぐ傍にミリーがいることを確かめてから、口を開いた。
「昔さ、俺が転生する前の世界の話だ。その世界でもスマートフォンはここまで普及していなかった。それがどうだ。今やこの世界でスマホを持っていないやつなんていない。二台持ちも含めると100%を超えてるんじゃないかな」
「そうかもしれませんね。何しろ、公的な身分としては奴隷である私ですら持っているくらいですから。それにしても、急に不思議な話をされますね。どうされましたか。ついに性欲が枯れ果ててしまわれましたか」
どうしてそういう話の展開になる。
「ミリー、君が俺のことを『性欲お化け』として扱うのは構わないが……」
「そのようなセンスのかけらもない表現はしておりません。『下半身思考機械』から始まり、
『股間でしか物を考えられない男』『腹から上はハリボテのご主人様』『積極的繁殖行動しか考えていない俗物』と表現方法に苦慮しているのですから」
本当に、彼女といると退屈しない。憂鬱なメールが届いた今の気分が晴れやかになっていく。
「お前のようなメイドを持って幸せだよ。自分の頭が良くなった気がする」
「その通りです。たとえ私の頭が良かったとしても、ご主人様の頭が良くなるわけではありません。むしろ比較されて、自分の尻尾を追いかける子どものドラゴン程度に見られてしまうでしょうね」
「そういう発言をするから、竜人族と相性が悪いんだ」
「こういう発言をするから、私という自己の確定が正常に行われているのです」
とても「忠実」な発言をいただいたところで、俺は現実に向かい合う覚悟ができた。嫌なニュースを真っ向から受け止めるためには、それだけ気力と体力を消耗する必要があるのだ。
そうだ。ミリーと俺とは一心同体だ。この苦しみも共に味わってもらおう。
「こんな話を振ったのは俺の性欲が枯れたわけでもなければ、アルトワの大聖堂がいきなり大人のおもちゃ専門店に変貌したからでもない。ウィルからメールが届いた。ご丁寧に『勇者タイシ殿』と前書きしてある」
「国王陛下からのメッセージならば、いつでも飛んできているではありませんか」
「メッセージは、そうだ。だが、メールは普通使わない。だるいからな。何なら通話機能で済ますことだってできるわけだ。それをわざわざログの残るやり方でやってきた。件名を教えてやろうか。『【緊急】魔王の復活の件について』」
ミリーからの返答が、少し途絶えた。気の利いた返答を考えているのだろう。ウィルのことはミリーもよく知っている。何しろかつて一緒に旅をした仲だ。
「『てめえで何とかしろ』と返信されては。それとも、また魔王討伐の旅に向かわれますか」
「冗談言え。やっと手に入れた悠々自適の生活なんだ。誰が長く苦しい旅に出たいと思うもんか。だから、俺だって思ったさ。バストーニュの森で降伏を迫られた連合国軍の司令官のように、『NUTS』と返してやろうかってな」
「ナッツとは」
「くそ食らえ。俺の世界の歴史だ。後でネットで調べてみるといい」
今や両方の世界の知識がネットで調べられる時代だ。人間の知りたいという欲求の底なしさには感心させられる。
「そうします。で、そうなさらなかった理由は何でしょう」
「復活した魔王……いや、魔王を名乗っているのは、ユナだ」
「ユナ様ならレブレンの女王をしておられるではないですか」
ウィルもユナも、かつての仲間であり、今も良き友人だ。二人とも王族の出だったから、それぞれの国の王となって再建に励んでいるはずだった。
だが、現実ってのはいつも最低のジョークを遠慮なしに選んでくる。片方が新しい魔王を名乗って、もう片方がその魔王を討伐せんとしている。仲間同士の救えないいざこざだ。俺はそれを辺境から眺めていられるほど、人格が練れているわけじゃない。
「ああ、そうだ。だが、自ら魔王を名乗り、他国へ最後通牒を発したらしい。もちろんウィルのやつも仰天してな。俺に親善大使をやってほしいと言ってきた」
「性欲魔人のご主人様にお鉢が回ってくるなんて。ウィル様は戦争をしたいんでしょうか」
「したい時には『起こす』のが戦争で、したくない時にも『起こる』のが戦争だろう。そして、今回は後者だ。レブレン王国は元々マンパワーに恵まれた土地柄ではあるが、これまで魔王との戦いで傷ついた国力の回復に努めてきた。前の戦いではほとんど国がなくなりかけるくらいに壊滅していたからな」
「まだ先の戦が終わって数年。回復するには早すぎますね」
「それでも、ウィルは王として戦争遂行の準備をしなければならない。だから、やつともユナとも戦友であるところの俺に行ってくれないか、と。こういうことだな」
「勇者はいつの時代も使い走りをさせられるのですね。この話、お受けになるのですか」
起きてしまうのが戦争なら、選ばせられるのが決断なのかもしれない。
「嫌だがやるしかないと思っている。まあ、軽く友人として聞く程度だと思ったから、すでにユナにはメッセージを送ってみた。三回もだ。そしたら三回とも既読スルーされた。どうやらマジで何かが起きてる」
「ご主人様のゲスな感情が読み取られた可能性は」
「無い。俺は確かにおっぱいもお尻も大好きだが、あいつだってそのことを熟知している。もし破綻が起きるなら、とっくの昔に……」
「女は耐えるものです」
「男だって耐えるものだとも」
それに、ユナとは長く辛苦をともにしすぎたせいで、どこか女として見ることができない節があった。もしも姉妹がいたら、こんな気分にもなるのだろう。
ミリーは僕の視界の中に入ってきて、また視界の外に出ていった。うろうろと歩き回って、思考をまとめているのだ。ギリシアの哲学者が回廊を歩いたように、ああした適度な刺激は脳を活性化させる。それはこの世界でも変わらない。
「しかし、そうなると困りましたね。直接行くしかないでしょうか」
「気は進まないけどな。少なくとも、異常事態ではある。本当に戦争が起きてしまってからじゃあ遅い。勇者だ英雄だと祭り上げられたところで、俺も結局は使い走りから卒業できないってことだな。もう少しのんびり暮らせると思ったんだが」
「いつかこういう日が来ると思っていたような口ぶりですね」
「もちろんさ」
「どうしてですか」
どうしてだろうね。
俺は心の中で自らに問いかけた。もちろん、答えは用意してあった。だが、口にすると疲れる話というのはあるもので、それを避けたい気持ちも強く刻み込まれていた。残念ながら、現実はそこに横たわっていて、俺はしっかりと見つめなければならない。素敵な表紙の同人誌を買ったと思ったら、中身はまるで違う絵柄だったとしても、じっくり読みこんで元を取りたいと考える気持ちに似ている。
ああ、そうだな。せめて俺の後ろにソフマップの看板でもあれば、ちょっとはおとぼけて見えて、この不快な「今」を中和することができるかもしれないんだ。
「人間は争う生き物だからだ。いや、この世界、俺から見たら異世界であるこの場所だって、俺が元いた世界と何も変わらないんだからな。魔族とかモンスターとか、そういう人種構成や生態系の違いこそあれ、本質的な部分ではどこも変わりゃしない。平和は戦争の準備期間に過ぎないし、戦争はより良い平和を得るための殴り合いだ。そして、より良い平和なんてものがあるとするならば、それはとんでもなく大きな犠牲を払った先にしかないってことは言える」
「まるで哲学者のような物言いですね」
間違ってはいない。古代ローマの軍事学者であるウェゲティウスは、「汝平和を欲さば戦への備えをせよ」と説いた。束の間の平和バーゲンが終わって、これからまた緊張の時代がやってくるわけだ。そういう意味で、今回の動きは放っておいてもいいのかもしれないが、それでも見過ごすわけにはいかない。
「お前のスマホは飾りか。胴体の上にくっついているのはからっぽの記憶装置か。違うだろう。今や馬鹿みたいに増えたお人好しな転生者の努力で、こっちの世界の歴史もあっちの世界の歴史も、まるまる閲覧することが可能な時代だ。知識はクラウドに保管しておいてもいいが、それを利用するためには知恵が必要だぞ」
「知恵だけが先行しても、いずれ暴力に負けることもあります」
「そうだ。その知と力、理と暴のせめぎあいこそが人生であり、世界だ」
残念なことに、俺は暴力を求められて召喚されたし、今また同じく緊急手段で物事を解決しなければいけなくなっている。
まして、昔の仲間をぶん殴らなきゃいけないかもしれないと考えると、実に気が滅入る。
「まずはウィル様のもとへ向かいますか」
「いや、直接ユナのところに行く。ウィルにはもうメールを返した」
スマホ万歳。フリック入力で会話をしながらメールを作るくらい楽勝ってなもんだ。
「私と話をしながら……さすがです」
「褒めてくれてありがとう。ご褒美におっぱいでも揉ませてくれたら最高だね」
「その要求は私の全存在をかけて拒絶します」
「知ってるよ。さあ、行くぞ。俺とウィルとユナ、そしてミリー、お前とで作った平和だ。少しくらいは長持ちさせてやるさ」
あら、とミリーが言った。
「私を入れていただけるとは光栄ですね」
「軍隊で最も重要なのは兵站であり、物資の輸送能力だ。お前が俺たちから押し付けられた荷物の数々を運んでくれたことを、誰よりも誇りに思っているよ」
登山隊が道具を運ぶためにシェルパを雇うように、俺たちには常にミリーがいた。彼女はとてつもない量のアイテムを、その身一つで軽々と運んでくれた。戦闘能力も高いから、足手まといになることなんてなかった。彼女なくして魔王の打倒は有り得なかった。これだけは間違いなく断言できる。
ともあれ、出立の準備は整えた。世界の中でも片田舎に属するこの地から、速やかにユナの待つレブレン王国に移動せねばならない。
俺はそのために、タクシーを呼ぶことにした。専用のスマホアプリで操作すれば、すぐにでも来てくれることだろう。ただ、この世界のタクシーはでかくて強い。ドラゴンのタクシーだ。
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