3 / 3
最終話 盾を手放すとぷんすか怒るヒーラーちゃん
しおりを挟む
「リラさん。俺、剣士になろうと思う」
「…………へっ?」
俺からの突然の提案にリラさんは目を見開きながらキョトンと呆けている。
その驚愕はなぜか怒りの眼光に変わっていった。
「……一応理由を聞いてあげます」
なんでこの人ちょっと怒っているの?
俺の剣士へのクラスチェンジがそんなに気に食わないってこと?
「いや、タンクとヒーラーってさ、どちらもパーティ補助が目的のクラスじゃん? これから俺たち二人だけでクエストをこなしていくんならアタッカーの存在が必要不可欠だと思うんだ」
リラさんは俺以外とパーティを組まないと言っていた。
その真意は恐らく大人数でのパーティに対する恐れがあるのだろう。
追放という形でガイ達と別れたことがリラさんの心に大きな後遺症を残したのだ。
ならば俺はリラさんの選択を尊重してあげたい。
二人だけでパーティを組みたいのならそれに応じたクラスチェンジもまた必要だと思ったのだ。
だけど―ー
「却下です」
「なんで!?」
リラさんなら俺の意を汲んでくれると思っていたのだが、提案はあっさりと却下されてしまった。
「剣士なんて防御力の低いクラス駄目に決まっているじゃないですか! 死にたいんですか!?」
「タンクの次に防御が固いクラスだけど!?」
「だめだめだめ! 防御を下げるなんて駄目! 死んだら終わりなんですよ!?」
確かに防御力が下がるのは痛いけど、それ以上に魅力的な攻撃スキルが手に入る。
それに剣士とヒーラーの組み合わせならば二人だけでもやっていける編成だ。
「で、でも、俺が格好良く剣を奮う姿とか見せてあげたいし」
「誰にですか!? まさか愛人を作ったのではないでしょうね!?」
「リラさんに決まってるよ! どうして急に愛人とかいう話になってきたの!?」
「わ、私に格好良い姿を見せたいという気持ちは嬉しいですが、その必要はありません。バドさんに似合うのは盾です。剣ではありません」
駄目だ。話が平行線だ。
剣士、格好いいと思うけどなぁ。
「ほら。リラさんって剣士好きじゃん? 格好いい剣士と一緒にパーティ組めるんだよ?」
「……もしかして私が過去の失恋を引きずっていると思っているのですか?」
うっ、眼光が怖い。
地雷を踏んでしまったかもしれない。
リラさんは無言で近づいてきて俺の右手に触れてきた。
ギュム~~っ!!
「痛い痛い! どうして抓って来たの!?」
「ヒール」
抓りながら回復を掛けてくるリラさん。
瞬時に痛みが引くが、抓る手がそのままなので再び激痛が押し寄せる。
一番痛みが伴う瞬間というのはダメージを受けた瞬間だ。
その一番の激痛が何回も俺の右手に押し寄せてきていた。
「えぐいえぐいえぐい! 回復と抓りの合わせ技えぐいよ!」
「バドさんがクラスチェンジを諦めてくれるまでこの拷問は続きます。さあどうしますか?」
「わかった! わかったから! 剣士は諦めるから! タンクのままで居続けるから!」
「……ヒール」
ギュムム~~っ!!
「なんで離してくれないの!?」
「過去の失恋を掘り出してきた罰です。私はもう次の恋を始めているんですから」
まじかよ。
女性は恋愛の切り替えが早いと聞くが、いくらなんでも早すぎでしょう。
「リラさん今好きな人いるの?」
「……はい?」
いや、そこでなぜ心底不思議そうに首を傾げてきているの?
なぜ唇を噛みながらプルプル震えているの?
なぜ……今にも殺しそうな眼光で俺を見つめてきているのかな?
「冗談で言っていますよね?」
「えっ? なにが?」
なんか話がかみ合っていない気がする。
リラさんに新たな好きな人が出来たことはめでたいことだ。
祝福してあげたいから殺意を向けてくるのを今すぐ辞めてもらいたいのだけど。
ギュムムムム~!!
「痛い痛い痛い! リラさん! ヒール! ヒール忘れてるよ!」
「痛いのはこっちの心です! この間プロポーズしたばかりばのにどうしてもう忘れているのですか!」
「ぷ、プロポーズ!? いつ!? 誰と!?」
「バドさんとです! 私絶対に言いました! 『私の一生を貴方に捧げます』って!」
うん。確かに言っていた。
言っていたけど、アレは——
「一生俺とパーティ関係を築いてくれるっていう友愛の証じゃ……?」
「一生貴方と添い遂げますっていう愛の告白に決まっているじゃないですか!」
「ええええええええっ!!?」
「なんですか!? 『えええっ!?』って!」
「い、いや、まさかアレがそんな深い意味を持っていたなんて……」
「こっちがまさかです! どう考えても愛の告白だったのに友愛として受け取るとか、どんだけ鈍感野郎なんですか!」
「って、ちょっと待って!? リラさんが好きな人って……俺!?」
ハッ! だからさっき『愛人』がどうのこうの言っていたのか。
えっ? まって。じゃあ俺とリラさん交際しているってことになるの?
「なんで今気づくのですか! 先に『好き』って言ってくれたのバドさんじゃないですか!」
「ヒーラーとしての技術が好きって意味——あ、えと、なんでもないです」
「ですよねー? バドさん私のこと異性として『好き』なんですよねー?」
圧が怖い。
今さらながら俺は後に引けない立場にいるということを理解した。
ええい! ならば乗ってやる! この桃色空気に!
「リラさん。俺はリラさんのこと好きだ。たぶん」
「たぶん!?」
「いや、リラさん普通に可愛いし、最近異常レベルに尽くしてくれるし、パートナーとして申し分ない女性だと思うよ?」
「じゃあいいじゃないですか! 結婚しましょう!」
「待って待って! えっとね? ほら、人生のパートナーってもっと慎重に選ばないといけないと思うんだ」
「バドさん以上の人なんているわけないです。バドさんは私と一生を過ごす運命です」
「いや、その、急な展開過ぎて俺の方が頭が追いついてないというか。正直今までそういう目でキミのことを見ていなかったから戸惑いが先行してしまって……」
今まで『仲間』として見ていた人を急に『異性』と見るのは難しい。
ましては『結婚』ともなるとさすがに待ったをかけずにはいられない。
「……わかりました。つまり、これから私に惚れさせればいいというわけですね?」
「えっ?」
「大丈夫。私達には時間はた~っぷりあるわけですから。これからゆっくり時間を掛けて貴方を私色に染めてみせます」
「そ、染められてしまうのか」
「私の愛の攻撃をしっかりと受け止めてくださいね。貴方はタンクなのですから」
「が、頑張ります」
この日から俺はリラさんの愛を受け続けることになる。
ちょっぴり重めなリラさんからの愛の特殊魔法。
だけどそれは心地良い安らぎを齎すものであり、リラさんのヒールに似ているなと思わず苦笑を漏らしてしまう。
幸せ色の魔法だった。
「…………へっ?」
俺からの突然の提案にリラさんは目を見開きながらキョトンと呆けている。
その驚愕はなぜか怒りの眼光に変わっていった。
「……一応理由を聞いてあげます」
なんでこの人ちょっと怒っているの?
俺の剣士へのクラスチェンジがそんなに気に食わないってこと?
「いや、タンクとヒーラーってさ、どちらもパーティ補助が目的のクラスじゃん? これから俺たち二人だけでクエストをこなしていくんならアタッカーの存在が必要不可欠だと思うんだ」
リラさんは俺以外とパーティを組まないと言っていた。
その真意は恐らく大人数でのパーティに対する恐れがあるのだろう。
追放という形でガイ達と別れたことがリラさんの心に大きな後遺症を残したのだ。
ならば俺はリラさんの選択を尊重してあげたい。
二人だけでパーティを組みたいのならそれに応じたクラスチェンジもまた必要だと思ったのだ。
だけど―ー
「却下です」
「なんで!?」
リラさんなら俺の意を汲んでくれると思っていたのだが、提案はあっさりと却下されてしまった。
「剣士なんて防御力の低いクラス駄目に決まっているじゃないですか! 死にたいんですか!?」
「タンクの次に防御が固いクラスだけど!?」
「だめだめだめ! 防御を下げるなんて駄目! 死んだら終わりなんですよ!?」
確かに防御力が下がるのは痛いけど、それ以上に魅力的な攻撃スキルが手に入る。
それに剣士とヒーラーの組み合わせならば二人だけでもやっていける編成だ。
「で、でも、俺が格好良く剣を奮う姿とか見せてあげたいし」
「誰にですか!? まさか愛人を作ったのではないでしょうね!?」
「リラさんに決まってるよ! どうして急に愛人とかいう話になってきたの!?」
「わ、私に格好良い姿を見せたいという気持ちは嬉しいですが、その必要はありません。バドさんに似合うのは盾です。剣ではありません」
駄目だ。話が平行線だ。
剣士、格好いいと思うけどなぁ。
「ほら。リラさんって剣士好きじゃん? 格好いい剣士と一緒にパーティ組めるんだよ?」
「……もしかして私が過去の失恋を引きずっていると思っているのですか?」
うっ、眼光が怖い。
地雷を踏んでしまったかもしれない。
リラさんは無言で近づいてきて俺の右手に触れてきた。
ギュム~~っ!!
「痛い痛い! どうして抓って来たの!?」
「ヒール」
抓りながら回復を掛けてくるリラさん。
瞬時に痛みが引くが、抓る手がそのままなので再び激痛が押し寄せる。
一番痛みが伴う瞬間というのはダメージを受けた瞬間だ。
その一番の激痛が何回も俺の右手に押し寄せてきていた。
「えぐいえぐいえぐい! 回復と抓りの合わせ技えぐいよ!」
「バドさんがクラスチェンジを諦めてくれるまでこの拷問は続きます。さあどうしますか?」
「わかった! わかったから! 剣士は諦めるから! タンクのままで居続けるから!」
「……ヒール」
ギュムム~~っ!!
「なんで離してくれないの!?」
「過去の失恋を掘り出してきた罰です。私はもう次の恋を始めているんですから」
まじかよ。
女性は恋愛の切り替えが早いと聞くが、いくらなんでも早すぎでしょう。
「リラさん今好きな人いるの?」
「……はい?」
いや、そこでなぜ心底不思議そうに首を傾げてきているの?
なぜ唇を噛みながらプルプル震えているの?
なぜ……今にも殺しそうな眼光で俺を見つめてきているのかな?
「冗談で言っていますよね?」
「えっ? なにが?」
なんか話がかみ合っていない気がする。
リラさんに新たな好きな人が出来たことはめでたいことだ。
祝福してあげたいから殺意を向けてくるのを今すぐ辞めてもらいたいのだけど。
ギュムムムム~!!
「痛い痛い痛い! リラさん! ヒール! ヒール忘れてるよ!」
「痛いのはこっちの心です! この間プロポーズしたばかりばのにどうしてもう忘れているのですか!」
「ぷ、プロポーズ!? いつ!? 誰と!?」
「バドさんとです! 私絶対に言いました! 『私の一生を貴方に捧げます』って!」
うん。確かに言っていた。
言っていたけど、アレは——
「一生俺とパーティ関係を築いてくれるっていう友愛の証じゃ……?」
「一生貴方と添い遂げますっていう愛の告白に決まっているじゃないですか!」
「ええええええええっ!!?」
「なんですか!? 『えええっ!?』って!」
「い、いや、まさかアレがそんな深い意味を持っていたなんて……」
「こっちがまさかです! どう考えても愛の告白だったのに友愛として受け取るとか、どんだけ鈍感野郎なんですか!」
「って、ちょっと待って!? リラさんが好きな人って……俺!?」
ハッ! だからさっき『愛人』がどうのこうの言っていたのか。
えっ? まって。じゃあ俺とリラさん交際しているってことになるの?
「なんで今気づくのですか! 先に『好き』って言ってくれたのバドさんじゃないですか!」
「ヒーラーとしての技術が好きって意味——あ、えと、なんでもないです」
「ですよねー? バドさん私のこと異性として『好き』なんですよねー?」
圧が怖い。
今さらながら俺は後に引けない立場にいるということを理解した。
ええい! ならば乗ってやる! この桃色空気に!
「リラさん。俺はリラさんのこと好きだ。たぶん」
「たぶん!?」
「いや、リラさん普通に可愛いし、最近異常レベルに尽くしてくれるし、パートナーとして申し分ない女性だと思うよ?」
「じゃあいいじゃないですか! 結婚しましょう!」
「待って待って! えっとね? ほら、人生のパートナーってもっと慎重に選ばないといけないと思うんだ」
「バドさん以上の人なんているわけないです。バドさんは私と一生を過ごす運命です」
「いや、その、急な展開過ぎて俺の方が頭が追いついてないというか。正直今までそういう目でキミのことを見ていなかったから戸惑いが先行してしまって……」
今まで『仲間』として見ていた人を急に『異性』と見るのは難しい。
ましては『結婚』ともなるとさすがに待ったをかけずにはいられない。
「……わかりました。つまり、これから私に惚れさせればいいというわけですね?」
「えっ?」
「大丈夫。私達には時間はた~っぷりあるわけですから。これからゆっくり時間を掛けて貴方を私色に染めてみせます」
「そ、染められてしまうのか」
「私の愛の攻撃をしっかりと受け止めてくださいね。貴方はタンクなのですから」
「が、頑張ります」
この日から俺はリラさんの愛を受け続けることになる。
ちょっぴり重めなリラさんからの愛の特殊魔法。
だけどそれは心地良い安らぎを齎すものであり、リラさんのヒールに似ているなと思わず苦笑を漏らしてしまう。
幸せ色の魔法だった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします
ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに
11年後、もう一人 聖女認定された。
王子は同じ聖女なら美人がいいと
元の聖女を偽物として追放した。
後に二人に天罰が降る。
これが この体に入る前の世界で読んだ
Web小説の本編。
だけど、読者からの激しいクレームに遭い
救済続編が書かれた。
その激しいクレームを入れた
読者の一人が私だった。
異世界の追放予定の聖女の中に
入り込んだ私は小説の知識を
活用して対策をした。
大人しく追放なんてさせない!
* 作り話です。
* 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。
* 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。
* 掲載は3日に一度。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる