暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜

赤海 梓

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第2章 海を目指して

第13話 竜の荒野

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極赤貴竜グランドレッドドラゴンだって……!?」

 ギルドマスターが動揺している。

「すみません、極赤貴竜グランドレッドドラゴンって一体……?」

「確かに今の子は知らないかもしれない。極赤貴竜グランドレッドドラゴンっていうのは、ただでさえ強力なドラゴンの上位種よ。普通のドラゴンに色が着くと色竜カラードラゴと言って、さらに超、絶、と位を上げて極色竜グランドカラードラゴンとなる。ほとんど最上級の強さを誇るドラゴンよ。そんなのが現れただなんて、本当なの?」

「……はい、仲間が、今……、戦って……」

 その言葉を最後に、連絡に来た冒険者は倒れた。
 息はある。アドレナリンの放出が止まり、気絶しただけのようだ。

 それにしてもあのおっとりとしたギルドマスターが強張るほどの相手だなんて。一体どんな強さを持っているのか……。

「急ぎ討伐隊を組み、ドラゴンの討伐に向かいます。行ける者は武器と取りなさい」

「「はい……!」」

「私も強力するよ」

「ルミツちゃん……!」

 私はドラゴンの討伐隊に入ることに決めた。





「これより東の荒野に現れた極赤貴竜グランドレッドドラゴンの討伐に向かう。皆の者、私に続きなさい」

「「はい!!」」

 約10分後。集められた精鋭部隊を結成し、ドラゴンのもとへ向かう。連絡に来た冒険者の仲間の救出も目的としているため、一刻も早くたどり着く必要がある。そのため私たちは走って移動する。



 村の近くにあった森を抜けると、その先には荒野が広がっていた。

「具体的な位置まではわからない……。私はルミツとさらに東へと向かう! 残りは2班に分かれ、発見次第報告しろ! くれぐれも1班で対処しようとするな!」

「「はい!!」」

 そして私たちは3手に分かれる。

「ルミツ、極赤貴竜グランドレッドドラゴンの特徴を教えておく。奴の炎は恐ろしい。金属をも容易く溶かす炎を自在に操ってくる。一説によれば、あのサラマンダーよりも強い個体が存在するとも言われている」

「サラマンダーよりも……!?」

「あぁ。具体的な強さはサラマンダーも極赤貴竜グランドレッドドラゴンも知られていないものの、伝説だけを見るとサラマンダーよりも被害が大きいと記されている」

「へぇ、四大精霊よりも……ねぇ」

 なら、本気を出してみるのも悪くない。

「あっ、あれは……!」

「……いた」

 前方数百メートル先、赤い鱗の影が見えた。体長は5mはあるだろう。

「今増援を呼ぼう」

「大丈夫、必要はありませんよ」

「えっ、ちょっと待ちっ……!」

 私は高速でドラゴンに駆け寄る。

「……!」

「気づいたか」

「グォァァア!!!」

「うるさい」

 私は脇差しを抜き、脚に力を込める。


 蝶華心得『かん龍飛りゅうひ


 私は脳天目掛け、突き技を放つ。

「グガァッ!!」

「あれ?」

 ドラゴンは絶命した。
 意外と素っ気ない結果に、私は呆然とする。

「この程度……」

「はぁ、はぁ、速すぎる……。……!? ルミツちゃん、これって!?」

「まぁ一応、今倒した極赤貴竜グランドレッドドラゴンなんだけど……」

「これは、極赤貴竜グランドレッドドラゴンじゃないわ」

「ほんとに……!?」

 流石に弱すぎるとは思っていたが、なら極赤貴竜グランドレッドドラゴンはどこに……?

 私は耳を研ぎ澄まさせる。




 タス……テ、ダレ、……
 誰か……助けて……!




 ──助けを求める声!

「ギルドマスター、誰かが助けを求めている!」

「本当か! すぐに向かおう!」

「はい!」

 私たちは全速力で助けに行く。

「どうしてこちらだと?」

「助けてって声が聞こえたんです。あと1km程度離れているとは思いますが」

「そんな遠くの声まで……?」

「この荒野は静かですから、なんとか聞こえてよかった」

「……そうね、今は貴方の聴力に感心している場合では無いわ」

 そうだ。この荒野のどこにドラゴンがいるか分からない以上、最大限まで気をつけるしかない。

「…けて……! 誰か……!!」

「かなり近くなった……!」

「私にも聞こえたわ。急ぎましょう……!」

 さらに進むと近くには渓谷が見えた。それと同時に、

 ギャアギャア!!

 と、不快な声が大量に響いていた。
 渓谷の下を覗くと、そこには大量の飛んでいる小型のドラゴンが何かに群がっていた。

飛竜ワイバーンの群れですって!? こんな大事な時に限ってこんな……!」


 血汐魔法『呪血硬変アンヘルスブラッド


「グギャッ……!」

 飛んでいる飛竜ワイバーンの内の一体が、力尽きるように谷底へと落下していった。

「流石に全員は無理だわ……」

「ギャイ!!」

「ギィャア!!」

「気づかれたっ……!」

「私に任せて」


 蝶華心得『破砕はさい怒髪玄武どはつげんぶ


 振り下ろし一撃の剣技!

「グキャイィッ!!」

 私は谷に飛び降り、一体の飛竜ワイバーンの脳天をかち割る。
 落ちていく飛竜ワイバーンの背中を蹴り飛ばし、空へ身体を運ぶ。

「ギィ! ギャィ!」

「やっぱり数が多いな」


 闇魔法『尋問殺杭イグザミネイト


 それぞれのワイバーンの頭上に黒色の杭が現れる。

「喰ら……」

 !!
 あそこにいるのは冒険者!! あの冒険者にも私の杭が浮かんでいる! このままじゃ魔法で巻き込んでしまう……!

「まずい、止められない……!」

 判断を誤った……!
 まずい、あの冒険者は死──


 神聖魔法しんせいまほう正方聖光盾セイントスクエアシールド


「!!」

 冒険者に対する私の魔法が防がれた……! あれは……?

「危なかったですね」

「……!」

 少し離れの位置。
 大きな杖を持つ少し背の高い金髪の女性が、魔法を発動していた。
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