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第2章 海を目指して
第14話 聖女セイントスクエア
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黒の杭でワイバーンは一掃した。これで一安心だ。
私は崖の凸している部分に片膝を着く冒険者に急いで近づき、安否を確かめる。
「大丈夫ですか!」
「うっ、ワイバーンの尻尾の毒にやられてしまい……」
冒険者の女性は左腕を右手で抑えているが、そこからは青黒い血のようなものが流れ出ていた。
「ギルドマスター! これ、血汐魔法でなんとかできませんか!」
崖の上のギルドマスターは悔しそうに横に首を振る。
「だめだ、それは血液の他体液や細胞にまで入り込んでいる……。私の血汐魔法では血液の浄化はできても、その他の器官には働かない……。力及ばず申し訳ない……」
「そんな……!」
「うぐっ……!」
「取り敢えず、何か……!」
私は人を殺す事に長けすぎて、人を生かす能力がまるで皆無だ……! こんな、こんな……!
「大丈夫ですよ、安心してください」
「……! あなたはさっきの……!」
「聖女セイントスクエアです。本名は機密ですけどね」
「聖女……!」
「大丈夫です、落ち着いて。深呼吸はせず、浅く、最低限の呼吸をしてください」
「は、はい」
冒険者は聖女の指示に従い、浅い呼吸を繰り返す。
「それではいきます。少し時間が経っている分、解毒も時間がかかるので、あまり動かないでくださいね」
神聖魔法『聖光浄』
淡い光が冒険者を包み込む。
「うっ……」
「大丈夫です、吐いてください」
「おぇぇぇぇっ!!」
冒険者が吐瀉物を出すと、それはどす黒い何かであった。
「少し手荒になってしまい申し訳ありません。これ、よかったら食べてください」
「あ、ありがとうございます……」
すごい! 全身の毒素を胃に集中させて、逆流を意図的に促すことで実質的に解毒した……!
「そうだ、君の仲間ってどこにいるの?」
今はいち早く極赤貴竜の情報が欲しい。解毒したばかりで申し訳ないが、少し問い詰めさせてもらう。
「えっと、私たちは3人で旅をしていたんです。その時この荒野の北の方で、赤くて大きな竜が現れたんです。2人は私に逃げるように促しました。私はそれに甘えて、走ってここまで来たんですけど、ワイバーンの群れに囲まれて……。それで今こんな状態なんです」
「北の方か……!」
話を聞く限り、この冒険者を逃がすよう促した2人のうち1人はギルドに報告に来たのだろう。
「1人で極赤貴竜の相手なんて不可能だわ……。もう手遅れかもしれないけど、行きましょう」
「ギルドマスターはこの子の手当をお願いします」
「……わかったわ。無理しないでね」
「それなら私が同行します」
「聖女さん……! 頼もしい限りです、お願いします」
そうして私たちは急ぎ北に向かう。まだ交戦中なら助けられる。
北へと向かい走る途中、私は耳を研ぎ澄まさせていた。
クソッ、マズイ!
ダイジョウブダ! タエロ!!
生きている。それもまだかなり耐えているようだ。
だがそれ以上に私は違和感を覚えていた。
「……?」
「どうかしましたか?」
「いや、大丈夫です。それより聖女様って一体何者なんですか?」
「……もしかして、私のことをご存知ないのですか?」
「えっと、まぁ」
「確かにそういう人もいるでしょうし、説明いたしましょう。私は聖女セイントスクエア。この国の王女です」
「王女様……! どうしてそんなお偉い方がこんな荒野に?」
「私はとある方と旅をしているのです。目的は秘密ですけどね。私たちの旅は少し秘密の多いものなんです」
「まぁ別に深掘りをするつもりは無いから安心して」
「ええ、ありがたい限りです」
このお国の王女だなんて正直信じられない。でもこんなことを嘘吐いて何にもならないだろうし、恐らく本当のことなのだろう。
「王女と聞いてもあまり動揺なされないのですね」
「まぁ正直なところ全くぴんと来てないんだよね」
「ふふっ、そうですか。面白いお方ですね」
「別にそんなことな――」
聖女様と話をしていると、目の前から大きな火球が襲いかかってきた。
「あっぶな」
私は聖女様の裾を引き、共に火球を避けた。
「なっ、これって……!」
「見つかっちゃったみたいだね」
この遠距離からの狙撃、ただ者じゃない。
「急ごう」
そして私は駆け足を更に速める。
たどり着いた先、荒野の広い平地に、巨大なドラゴンが火炎放射を放ち、弄ぶかのよに冒険者いたぶっていた。いた。盾を持った冒険者と剣を持った冒険者の2人は苦戦を強いられていた。
「あの盾はかなり上物っぽいな。だからこの時間耐えきることができたっぽいな」
「極赤貴竜……! 私は初めて見ました……!」
30m近くあるだろうか。恐ろしく巨大な赤いドラゴン、極赤貴竜。
ギロッ
「おっと、気がつかれちゃった」
私はドラゴンに歩み寄り、刀に手を添える。
「仕留めさせてもらうよ」
「グォォォォォオア!!!」
極赤貴竜は大量に火球を放ってくる。
蝶華心得『焔・朱雀飛斬』
いくつも放ってくる火球を避けながら、私は全速力で極赤貴竜に駆け寄る。
「喰らえ」
ガキィン!!
「……ちっ!」
鱗が硬い!! ダッシュで駆け寄った後にこれを斬るのはあまりにも現実的じゃない!
「グォォォォォ!!」
「思ったより効かないな……!」
スキル『熱魔導獄波』
「ッ!? まずいっ」
この熱、スキルの発動前から漏れ出す溶岩のような熱気……!
この辺り一帯を焼き尽くすつもりか……!?
とにかくここら一体は危険だ……!
「とにかくっ、皆を救助……痛ッ!?」
ワイバーンの毒が足に!? さっき死体の尻尾に触れてたのか……!
だめだ、間に合わない……!
判断するんだ!!
冷静になれ!! 冷静に、冷静に!!
「グォォ、」
しまった、判断が遅れた──
「お前だけが、のうのうと生き残るのか?」
「ふざけるなよ、この悪党」
「調子に乗るな、クズが」
「ふざけるな、殺してやる」
「よくも貴様。殺す」
「絶対に殺してやる」
「殺してやる」
「殺す」
「殺す」
「殺す」
「殺す」
殺す
殺す
殺す殺す
殺す殺す殺す殺す
殺す 殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す
殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す
殺す 殺す 殺す 殺す 殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す 殺す殺す 殺す 殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す 殺す 殺す 殺す殺す殺す殺す殺す 殺す
殺す殺す殺す 殺す 殺す 殺す 殺す殺す 殺す 殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
お願い、もうやめ 殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
やめ 殺す
ねぇ、やめ 殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
やめて……誰か……助けて…………
スキル『栄光の魔断』
私が絶望した刹那、目の前の極赤貴竜は両断されていた。
「……!?」
「やぁ、間に合ったかな」
極赤貴竜が両断された事でできた血で染まった地面を歩いてこちらに来たのは、華奢な男であった。
銀髪の、凛々しい顔をしている。神々しく目が痛いほど眩しい剣を片手に、
「あっ、来てくれたのですね! 勇者様!」
「あっ、あ、ありがとう、ございます」
「駄目じゃないか、戦闘中にボーッとしちゃ」
「あっと、はい」
聖女セイントスクエアに勇者と呼ばれる者に、私は助けられるのであった。
私は崖の凸している部分に片膝を着く冒険者に急いで近づき、安否を確かめる。
「大丈夫ですか!」
「うっ、ワイバーンの尻尾の毒にやられてしまい……」
冒険者の女性は左腕を右手で抑えているが、そこからは青黒い血のようなものが流れ出ていた。
「ギルドマスター! これ、血汐魔法でなんとかできませんか!」
崖の上のギルドマスターは悔しそうに横に首を振る。
「だめだ、それは血液の他体液や細胞にまで入り込んでいる……。私の血汐魔法では血液の浄化はできても、その他の器官には働かない……。力及ばず申し訳ない……」
「そんな……!」
「うぐっ……!」
「取り敢えず、何か……!」
私は人を殺す事に長けすぎて、人を生かす能力がまるで皆無だ……! こんな、こんな……!
「大丈夫ですよ、安心してください」
「……! あなたはさっきの……!」
「聖女セイントスクエアです。本名は機密ですけどね」
「聖女……!」
「大丈夫です、落ち着いて。深呼吸はせず、浅く、最低限の呼吸をしてください」
「は、はい」
冒険者は聖女の指示に従い、浅い呼吸を繰り返す。
「それではいきます。少し時間が経っている分、解毒も時間がかかるので、あまり動かないでくださいね」
神聖魔法『聖光浄』
淡い光が冒険者を包み込む。
「うっ……」
「大丈夫です、吐いてください」
「おぇぇぇぇっ!!」
冒険者が吐瀉物を出すと、それはどす黒い何かであった。
「少し手荒になってしまい申し訳ありません。これ、よかったら食べてください」
「あ、ありがとうございます……」
すごい! 全身の毒素を胃に集中させて、逆流を意図的に促すことで実質的に解毒した……!
「そうだ、君の仲間ってどこにいるの?」
今はいち早く極赤貴竜の情報が欲しい。解毒したばかりで申し訳ないが、少し問い詰めさせてもらう。
「えっと、私たちは3人で旅をしていたんです。その時この荒野の北の方で、赤くて大きな竜が現れたんです。2人は私に逃げるように促しました。私はそれに甘えて、走ってここまで来たんですけど、ワイバーンの群れに囲まれて……。それで今こんな状態なんです」
「北の方か……!」
話を聞く限り、この冒険者を逃がすよう促した2人のうち1人はギルドに報告に来たのだろう。
「1人で極赤貴竜の相手なんて不可能だわ……。もう手遅れかもしれないけど、行きましょう」
「ギルドマスターはこの子の手当をお願いします」
「……わかったわ。無理しないでね」
「それなら私が同行します」
「聖女さん……! 頼もしい限りです、お願いします」
そうして私たちは急ぎ北に向かう。まだ交戦中なら助けられる。
北へと向かい走る途中、私は耳を研ぎ澄まさせていた。
クソッ、マズイ!
ダイジョウブダ! タエロ!!
生きている。それもまだかなり耐えているようだ。
だがそれ以上に私は違和感を覚えていた。
「……?」
「どうかしましたか?」
「いや、大丈夫です。それより聖女様って一体何者なんですか?」
「……もしかして、私のことをご存知ないのですか?」
「えっと、まぁ」
「確かにそういう人もいるでしょうし、説明いたしましょう。私は聖女セイントスクエア。この国の王女です」
「王女様……! どうしてそんなお偉い方がこんな荒野に?」
「私はとある方と旅をしているのです。目的は秘密ですけどね。私たちの旅は少し秘密の多いものなんです」
「まぁ別に深掘りをするつもりは無いから安心して」
「ええ、ありがたい限りです」
このお国の王女だなんて正直信じられない。でもこんなことを嘘吐いて何にもならないだろうし、恐らく本当のことなのだろう。
「王女と聞いてもあまり動揺なされないのですね」
「まぁ正直なところ全くぴんと来てないんだよね」
「ふふっ、そうですか。面白いお方ですね」
「別にそんなことな――」
聖女様と話をしていると、目の前から大きな火球が襲いかかってきた。
「あっぶな」
私は聖女様の裾を引き、共に火球を避けた。
「なっ、これって……!」
「見つかっちゃったみたいだね」
この遠距離からの狙撃、ただ者じゃない。
「急ごう」
そして私は駆け足を更に速める。
たどり着いた先、荒野の広い平地に、巨大なドラゴンが火炎放射を放ち、弄ぶかのよに冒険者いたぶっていた。いた。盾を持った冒険者と剣を持った冒険者の2人は苦戦を強いられていた。
「あの盾はかなり上物っぽいな。だからこの時間耐えきることができたっぽいな」
「極赤貴竜……! 私は初めて見ました……!」
30m近くあるだろうか。恐ろしく巨大な赤いドラゴン、極赤貴竜。
ギロッ
「おっと、気がつかれちゃった」
私はドラゴンに歩み寄り、刀に手を添える。
「仕留めさせてもらうよ」
「グォォォォォオア!!!」
極赤貴竜は大量に火球を放ってくる。
蝶華心得『焔・朱雀飛斬』
いくつも放ってくる火球を避けながら、私は全速力で極赤貴竜に駆け寄る。
「喰らえ」
ガキィン!!
「……ちっ!」
鱗が硬い!! ダッシュで駆け寄った後にこれを斬るのはあまりにも現実的じゃない!
「グォォォォォ!!」
「思ったより効かないな……!」
スキル『熱魔導獄波』
「ッ!? まずいっ」
この熱、スキルの発動前から漏れ出す溶岩のような熱気……!
この辺り一帯を焼き尽くすつもりか……!?
とにかくここら一体は危険だ……!
「とにかくっ、皆を救助……痛ッ!?」
ワイバーンの毒が足に!? さっき死体の尻尾に触れてたのか……!
だめだ、間に合わない……!
判断するんだ!!
冷静になれ!! 冷静に、冷静に!!
「グォォ、」
しまった、判断が遅れた──
「お前だけが、のうのうと生き残るのか?」
「ふざけるなよ、この悪党」
「調子に乗るな、クズが」
「ふざけるな、殺してやる」
「よくも貴様。殺す」
「絶対に殺してやる」
「殺してやる」
「殺す」
「殺す」
「殺す」
「殺す」
殺す
殺す
殺す殺す
殺す殺す殺す殺す
殺す 殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す
殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す
殺す 殺す 殺す 殺す 殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す 殺す殺す 殺す 殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す 殺す 殺す 殺す殺す殺す殺す殺す 殺す
殺す殺す殺す 殺す 殺す 殺す 殺す殺す 殺す 殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
お願い、もうやめ 殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
やめ 殺す
ねぇ、やめ 殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
やめて……誰か……助けて…………
スキル『栄光の魔断』
私が絶望した刹那、目の前の極赤貴竜は両断されていた。
「……!?」
「やぁ、間に合ったかな」
極赤貴竜が両断された事でできた血で染まった地面を歩いてこちらに来たのは、華奢な男であった。
銀髪の、凛々しい顔をしている。神々しく目が痛いほど眩しい剣を片手に、
「あっ、来てくれたのですね! 勇者様!」
「あっ、あ、ありがとう、ございます」
「駄目じゃないか、戦闘中にボーッとしちゃ」
「あっと、はい」
聖女セイントスクエアに勇者と呼ばれる者に、私は助けられるのであった。
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シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
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実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
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2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
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転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
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事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
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うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
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「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
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勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
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『小説家になろう』様でも公開しています。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
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地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
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