大賢者居酒屋〜転生した大賢者の居酒屋は、看板娘と共に順調です〜

赤海 梓

文字の大きさ
7 / 7

第1話 開業。最初のお客様と枝豆

しおりを挟む
 ドアの張り紙を営業開始と堂々と書かれた張り紙に変更する。

「クライア!先に注文聞いておいて!」

「了解!」

 クライアはガゼンさんに注文を聞きに行った。その間に俺は厨房の調整をし、料理出来る状況にする。

「じゃあ最初は…やっぱり生だな!生1杯とつまみ適当に持ってきてくれや!」

「承知しました!」

「お待たせしました」

「…!!はやぁ!?」

 俺は既にクライアの後ろに、生とつまみを持って来ていた。

「ガッハッハ!流石はオリスだ!分かっていやがるぜ!」

 ガゼンさんはどうせ最初は生しか飲まないので、すでに準備してあったのだ。

「今日のつまみは無難に枝豆ですよ」

「おう、いいね、いいね!とりあえず生を一飲み…」

 どうせこれだと思って準備しておいた生はキンキンに冷やしてあった。仕事で疲れただろう、こめかみに流れる汗と、ジョッキの結露が連なって落ちる。
 ゴクゴクと美味そうに酒を飲むガゼンさん。

「…あぁ~、うめぇ!!」

「やっぱり幸せそうに酒飲みますね、ガゼンさんは」

「そりゃあ1日の楽しみよ!ここが空いてねえ2週間は結構キツかったぜ…?」

「ははっ、相変わらずの飲んべえなんですから」

「ガハハハ!それじゃあここで枝豆を1口…」

 皮は剥かずに上から塩を振ることで、皮ごと咥えて食べるとちょうどいい塩梅の塩加減になる。

「うん…うめぇな…!」

「オリス、オリス」

「どうした?クライア」

「なんか…気持ちいいね」

「ああ。俺は人が酒を飲むときのこの顔が好きなんだ。一日の疲れを酒で流し、癒し、そこで感じる幸せの顔が、たまらなく好きだ」

「しゃあ!じゃあ今日はオリスの料理とことん楽しむぜぇ!」

「ええ!ドンと来てください!」

 そして店のドアが開く。するとそこには、

「おー、今日から開店なんか!良えな、大賢者居酒屋!」

「私ここの雰囲気好きなのよね」

「わかるー。実家のような安心感というか」

「あっ、皆さんお久しぶりです!こちらの席にどうぞ!」

 常連さんが次々と集まって来てくれていた。

「さてさて、オリスの腕は果たしてどれほどかいな!」

「安心してくださいよ、アクーラさん。俺の作った料理はいつでも最高傑作ですから」

「おっ、言うやないか!しゃあ!今日はこの店の酒全部飲み干したる!」

「飲みすぎ注意ですからね…、ホント、勘弁してくださいよ?」

「わははは!また半年前みたいにゲロンチョしないよう気をつけるわ!と言いつつ飲んじまうんだがな!わはははは!」

「ゲロ処理だけはまじで勘弁」

「ははは…」

 クライアが苦笑いした瞬間、アクーラさんの目がギランと光った。

「なんやオリス!!えらいべっぴんさん連れとんなぁ!こんな可愛い子はべらかすとはお前もやる男やなぁ!」

「違いますよ!彼女はただの店員ですよ!」

「へぇ…?そうなんかぁ…。嬢ちゃん、名前なんて言うんや?」

「えっ、あ、クライアです」

「クライアちゃんか!!そうかそうか!!いい名前や!じゃあクライアちゃんの為に今日はいっぱい酒飲むとするか!」

「酒飲む口実じゃないですか」

「うっせ!はよ酒持ってこいやオリス!」

「俺にだけ対応が雑」

「うーん、やっぱクライアちゃんにお酒持ってきてもらうか~!頼むわ、クライアちゃ…」

「はい生いっちょ」

「くっそオリス!邪魔せんといてやぁ!」

「はいはい、酒飲む前からうちのクライアにダル絡みしないでください」

「ちぇっ。まぁ看板娘に手ェ出されちゃいい気にはならんか」

「看板娘って…」

「じゃあ飲ませてもらうで!」

 ったく、調子のいい人だ。

「はい、枝豆いっちょ」

「うす、ありがとやで、オリス!」

「良い人ばかり集まって来るね、ここは」

「そうだろ。だから俺はここが好きなんだ。初めての自営業で身構えてたが、これなら2人でやっていけそうだな」

「うん、そうだね。とても愉しいよ、この空間は」

「看板娘として頑張ってくれよな、クライア」

「…!うん!!」

 そして俺たちは開店初日を、常連さんたちと過ごしたのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...