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埼玉愛犬家連続殺人事件
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休日の昼下がり近くの公園を散策していた。向こうに人だかりが見え何だろうと思って近づくと、人だかりというか犬だかり。ドックショーが行われていた。彼ら(犬たち)は器用にハードルを飛び越え輪の中をジャンプしトンネルをくぐり華麗にスラロームを切り抜けてゆく。見事なものだ!と歓心していた。自分も犬を飼ったことがあるが、こんな風にはしつけられない。でもすべての犬が思ったとおりにコースを走れるとは限らない。スタート位置では、落ち着いている犬、他に気をとられている犬、やる気まんまんの犬。そしてスタートが切られると人間の予想を裏切り、けっして落ち着いている犬が落ち着いた走りをするとは限らないし、やる気まんまんの犬が猛然とをダッシュするとも限らない。たぶん練習では飼い主の指示通り走れるのだろう。でも本番となるとそうも行かない。他の犬がしきりに気になるのかもうすっちゃかめっちゃかだ。見ていると10匹中半分はコースをロストし戦意喪失。もう半分はロストしながらもふらふら飼い主の声援になんとか従いコースを完走。タイムをカウントし競技として成り立つのは集まった犬たち全体のほんの数パーセントにすぎない。賢い犬は飼い主のGoとともにロケットのごとくコースを駆け抜ける。ほんと見事なものだ!どうやったらこうしつけられるのだろうか?ブリーダーと呼ばれる人はすごいっ!ふと一人の人物を思い出した。関根元。シベリアンハスキーやアラスカンマラミュートを日本で最初に輸入し、チャンピオン犬を続々と排出したブリーダーだ。彼は犬の調教に関しては天才的だった。だがもうひとつ人並みはずれた特技をもっていた。それはやがて世の中を震撼させることになる。
<逮捕>
1995年明け埼玉県北部である男が殺人容疑で逮捕された。埼玉愛犬家連続殺人という見出しが躍り頭のはげた中年男が捜査員に連れられていくシーンがテレビに映った。時を同じく大阪でもブリーダーが容疑者の殺人事件がありこれは大阪愛犬家殺人と呼ばれていた。だが自分の記憶はここまででその全貌を知ることもなくこの事件の記憶はここで途絶える。なぜならその後阪神淡路大震災が起こりまた地下鉄サリン事件を契機に一連のオウム事件へとマスコミ報道が加熱していく。だがもしこの大震災やオウム事件がなければ埼玉愛犬家連続殺人は戦後最大の猟奇殺人事件として取り上げられていったはずだ。
<ボディーは透明>
「うわーきれい!」新緑の芽吹きと雪解けの水音は都会の喧騒を忘れさせる。片品川沿いをドライブしていると山並みと渓流の美しさに誰もが感嘆する。「ほんときれいだね…」だが美しく見える清流も時にはとんでもないものを押し流している。そう、ここには人の肉片が流れていたのだ。
ボディーを透明にする、関根はそういっていた。硝酸ストリキニーネで殺害したあと遺体は一晩でこの地上より跡形もなく消え去る。関根はこれを”ボディーを透明にする”といっていた。ほんとに一晩で遺体がなくなるのだろうか?以下志麻氏を取り調べた刑事とのやりとりで理解できる。
---「生きている人間には形があって、死ねば物になる。」
「でも形がなくなっても白い粉(骨)は残るよ。燃やすのか?燃やせば臭いが出るだろう」
「臭いはない。燃やすのは骨だけだから」
「関根はそこまでバラバラにするのか」
「どれも真っ白だよ。肉はとっくに魚のえさになってるはずだ」
「燃やすってあんなものがそんなに簡単にもえるのか」
「高温で燃やせば灰になる。火葬場と同じだよ」
「うーん…なるほど…」埼玉県警の10年越しの謎が解けた瞬間だった。
---<志麻永幸著/愛犬家連続殺人より>
事実埼玉県警は関根を過去にも一度逮捕しているが証拠不十分で釈放にした。関根は人間を2時間で解体できる。骨、内臓、肉に細分化し肉は2~3センチの細切れにし川に捨て、骨は廃油で灰になるまで焼く。一晩で人間が跡形もなく消失する。これでは警察がいくらマークしても一瞬の隙があれば犯行を行える。
<殺しのオリンピック>
志麻氏によれば関根は35人殺していたようだ。立件できたのは4件。ヤクザでさえ関根のやり方に驚愕する。
---「普通の奴は人を殺したらそれでおしまいだ。あとは死体を沈めるか、埋めるかだろう。だがケンネルのやり方は違う。奴は残忍だ。あいつは死体をバラバラにして肉を削ぎ取る。その後包丁で肉をコマ切れにするんだ。肉と内臓もきっちり分けてな。脳みそも目玉もきれいにえぐりだすんだ。とても人間のやることじゃねえ。あんなことができるのは、この世であいつしかいない・・・」
---<志麻永幸著/愛犬家連続殺人より>
関根の女房、風間博子も尋常じゃない。何せ遺体解体作業をしながら鼻歌を歌ってるぐらいだからとんでもない。中村美津子の「河内おとこ節」をハミングしながら
「あんた、こんなやつの○ン○ン切るのやだから、あんたこれやってよ」
「おうっー」
関根は自画自賛で“殺しのオリンピック”があれば金メダルといっている。大久保清はバカだとか、イギリスの連続殺人犯もコケにしてる。不謹慎だが彼の遺体解体技術はそこまで洗練されていた。
関根はどんな人生を歩んできたのだろうか、彼は秩父で生まれ“ホラ吹きの元”と呼ばれていた。関根に限らず重犯罪者にはおしゃべりな奴というか虚言壁は多いらしい。志麻氏の本でこんなシーンがある。
---殺害された川崎さんが
「俺、日本に帰化してるけど、本当は在日韓国人なんだよ。本当は鄭っていうんだ」
関根「なんて偶然なんだ。実は俺も在日で鄭っていうんだ。なんて偶然なんだ。握手しよう。こいつ(山崎)も在日で本当は王っていうんだ」
王とはどう考えてもも中国人なのだが関根はそんなことおかまいなしだ。
---<志麻永幸著/愛犬家連続殺人より>
もうアホである。とてもコケティシュな面と凍りつくほど恐ろしい面がありおそらくその両方が関根の姿なのだろう。事実ケンネルを訪れる客にはおどろくほど丁寧で電話越しでも90度お辞儀をするくらい商売人としての儀礼にはたけていたようだ。
実際嵐山町に住む自分の友人の父親が関根の店にいっている。犬を買いにアフリカケンネルを訪れたことがあったようだ。その人は柴犬を探していたのだが、関根にほかの犬(おそらくアラスカンマラミュートとか)を薦められたらしく商談は成立しなかったようだが、お茶など勧められて物腰のやわらかいごく普通のペットショプ店主にみえたようだ。でももし利殖の話でもされて深みにはまっていたらどうなったか分からない。関わり合いにならなくてよかった。
後に三木大雲という住職の毒入り缶コーヒーの話があったが、(住職が毒の入ってないものを選んだという話)あれは盛った話だと思う。
何故なら関根はあくまでもトラブルのあった邪魔な人間をヤルので、
近所の諸行中の学生坊主をむやみに殺すことはないだろう。
またおどろくほどきれい好きであったようだ。片品のポッポハウスに身を隠していた頃部屋はちりひとつ落ちていなかったようだし、遺体解体した後の浴槽もピカピカに磨き上げられていた。
その反面女には見境いなく金への執着はものすごかったようだ。その点は重犯罪者のイメージが一致しやすいのだが、こわいのは殺人鬼がある種の社会性を持ち合わせて我々と同じ社会で生業を立てているということだ。見た目区別がつかない。
関根は「世界は一家、人類はみな兄弟」で有名な某政治家ともつながりがあったといっていた。その政治家から頼まれて遺体の始末を行ったとか、おそらくホラ話なのだろうがそういう成り行きはまんざら奇抜に聞えない。裏社会の汚れ仕事を引き受ける人間は必ずいるはずだ。関根も同じ殺し屋があと10人はいるといっている。
平成13年3月一審浦和地裁で死刑。平成17年控訴棄却。現在も最高裁に上告中であるが、逮捕から13年もたった現在アフリカケンネルの敷地は整地されもう違う会社の所有となっている。
(DATE: 2008/03/16 01:07:06 ロプノール通信より掲載)
~その後~
<上告審>
関根元被告(66)と元妻の風間博子被告(51)の上告審が、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)で2009年3月27日に行われることが決まった。最高裁は書面審理が中心だが、2審で死刑を言い渡された事件については検察、弁護側双方の主張を聴く弁論を開くのが通例となっている。
<上告審弁論>
埼玉県で1993年、愛犬家ら4人が相次いで殺害された事件で、殺人罪などに問われ、1、2審で死刑とされた元犬猫繁殖業、関根元被告(67)と元妻風間博子被告(52)の上告審弁論が27日、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)であり、弁護側はそれぞれ死刑回避を求め、検察側は「死刑以外にあり得ない」と反論した。判決期日は後日、指定される。
この日の弁論で、関根被告側は「風間被告が自分の利益のため殺人という方法を選び、かかわらざるを得なくなった」と主張。一方の風間被告側は「関根被告が重要な役割を果たし、利用されたにすぎない」と訴えた。
検察側は「身勝手な動機で酌量の余地はみじんもない」と上告棄却を求めた。
(西日本新聞)
<2被告の死刑確定へ>
6月5日15時17分配信 読売新聞
埼玉県の愛犬家ら4人が1993年に殺害された埼玉愛犬家連続殺人事件で、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われ、1、2審で死刑判決を受けた元ペットショップ経営・関根元被告(67)と元妻風間博子被告(52)の上告審判決が5日、最高裁第2小法廷であった。
古田佑紀裁判長は「猛毒を飲ませて中毒死させた上、死体を切り刻むなどして山や川に捨てるという犯行態様は、冷酷で悪質極まりない」と述べ、2人の上告を棄却した。2人の死刑が確定する。
関根被告は「犯行を主導したのは風間被告」と主張し、風間被告は「殺人にはかかわってもいない」と主張していたが、判決は「不合理な弁解を繰り返し、反省の態度が認められない」とこれを退けた。
<『仁義の報復』高田燿山著>
元高田組組長の高田燿山氏が書いた回顧録。
舎弟の遠藤さんの失踪に疑問を抱き、関根の犯行を確信し関根を追求する。
「私は座禅と瞑想を続けたおかげで、チャクラが覚醒している。チャクラが覚醒している者のみが見える目で関根の犯行がわかったのだ」
「私は、自分自身にも若い者にも人殺しは禁じて来た。ヤクザ社会とは、純粋な任侠道のもと、組織と一家のために親分、兄弟分、舎弟分の自己犠牲から成り立っている。そして、“弱きを助けて強きをくじく”という任侠道の精神は、ヤクザだけでなく人間の道でもある。人間は人間を殺してはならない。
(中略)
しかし、その私が何が何でも殺さなければならないと思うほど関根は許しがたい存在だった。奴は任侠道も人間の道も通用しない、畜生道に堕ちた存在なのだ。
世のため人のため、絶対に生かしておいてはならなかったのに…」
直前で埼玉県警からストップがかかり関根への報復計画が破綻したそうだ。
<関根元・死刑囚が東京拘置所で死亡>
2017/3/27 12:41 産経新聞
埼玉県で平成5年、愛犬家ら4人が相次いで殺害された事件で、殺人や死体損壊罪などで死刑が確定した元犬猫繁殖業、関根元・死刑囚が27日、収容先の東京拘置所で死亡した。75歳。関係者が明らかにした。
関係者によると、昨年11月、拘置所内で心臓発作を起こし、外部の病院に救急搬送された。その後、拘置所内で治療を受けていた。
関根死刑囚は元妻の風間博子死刑囚(60)と共謀して5年、犬の高額売買をめぐる金銭トラブルから埼玉県行田市の男性会社役員=当時(39)=ら3人に猛毒の硝酸ストリキニーネ入りカプセルを飲ませるなどして殺害し、遺体を切断、焼却して捨てた。関根死刑囚はさらに、行田市の主婦=当時(54)=も同様に毒殺し、遺体を遺棄した。
1、2審ともに死刑判決を受け、最高裁も平成21年6月、「いずれの犯行も計画的で動機に酌量の余地はない」「冷酷無慈悲で悪質極まりない」などと指摘して上告を棄却、死刑が確定した。
関根死刑囚は「犯行は元妻が主導した」、風間死刑囚は「一部の遺体損壊や遺棄に関与しただけで、(元夫に)利用された」と主張していた。
<天寿を全うの愛犬家殺人「関根元」死刑なのに三食DVD鑑賞>
2017年04月07日 デイリー新潮
死刑囚に対する刑の執行は前触れもなくやって来る。朝9時ごろ、刑務官が独房を訪れ、執行を告げると有無を言わさず刑場に連れて行くのだ。そのため死刑囚たちは、午前中が過ぎると胸を撫で下ろし、その後もいつやってくるか分からない「朝」におびえ続ける。だが、愛犬家殺人事件の主犯・関根元(げん)死刑囚は、獄中でも奔放に振る舞い、そして天寿を全うした。
元ペットショップ経営者の関根死刑囚が東京拘置所で息を引き取ったのは、3月27日の朝5時すぎのこと。24年前、男女4人を硝酸ストリキニーネなどで殺害し、遺体を切り刻んで捨てた事件の主犯である。
接見を続けてきた弁護士の村木一郎氏が言う。
「関根さんが胸に強い痛みを訴えて倒れたのが昨年11月初旬のことです。拘置所では対応できないので、外の医療施設に救急搬送され、4日間の治療を受けました。おそらく『心タンポナーデ』という病気で、心臓に水が溜まるというもの。針を刺して心嚢液を抜き取る措置を取ったようです。退院してからは拘置所の病舎に移され、それからずっと治療を受けていました」
村木氏が最後に接見したのは亡くなる5日前だった。
「会いに行くと関根さんは車椅子に点滴を下げてやってきました。死刑囚は面会時間が30分に制限されているのですが、この日はあまりに辛そうなので5分で切り上げたほど。顔色もずいぶん悪かった」
享年75。だが、関根は事件について反省している様子はなかった。
拘置所の関係者が言う。
「関根は“オレは(遺体を)ミンチにしただけ。他にも加担した奴がいる”と言っていたし“他にもバレていない殺人がある”とうそぶいていた。食事の世話や掃除を担当する衛生夫に対しても“何か食べたいものはない? 買ってあげるからさー”と手なずけようとする。それを無視すると“箸でお前の目ん玉くり抜くぞ!”と脅かしてくる。だから、関根は死刑囚が集められたフロアの問題児でした」
通常、死刑囚は5畳ほどの独房で毎日を過ごし、もちろん、三食が支給される。東京拘置所では月4回、映画などのDVD(あるいはビデオ)を鑑賞できる。関根も大好きな車雑誌や甘いものを差し入れてもらっていた。
ところで、彼の死刑が確定したのは2009年。法律では半年以内に執行することになっているが、実際にはそれを過ぎても死刑囚のまま今日に至っているケースが多い。
「死刑囚であっても再審請求を行ったりすると執行しないものです。実際、袴田事件のように再審になっているケースがありますから。現在、死刑囚は130人近くいますが、90人以上が再審請求している。その結果、自分の罪を認め再審請求もしていない者から順番に執行されているのが現状です」(司法記者)
関根は再審請求をしていなかったが、これには理由がある。
「共犯で元妻の風間博子さんが再審請求を続けていたからです。死刑は共犯が再審請求をしている場合も執行されない。彼女に請求の理由が無くなると、今度は関根さんが再審請求を出すはずでした」(村木弁護士)
長寿の「死刑囚」が増えるわけである。
~~~~~
結局、司法もヤクザも関根元に引導を渡せなかった。天寿を全う。
[おわり]
<逮捕>
1995年明け埼玉県北部である男が殺人容疑で逮捕された。埼玉愛犬家連続殺人という見出しが躍り頭のはげた中年男が捜査員に連れられていくシーンがテレビに映った。時を同じく大阪でもブリーダーが容疑者の殺人事件がありこれは大阪愛犬家殺人と呼ばれていた。だが自分の記憶はここまででその全貌を知ることもなくこの事件の記憶はここで途絶える。なぜならその後阪神淡路大震災が起こりまた地下鉄サリン事件を契機に一連のオウム事件へとマスコミ報道が加熱していく。だがもしこの大震災やオウム事件がなければ埼玉愛犬家連続殺人は戦後最大の猟奇殺人事件として取り上げられていったはずだ。
<ボディーは透明>
「うわーきれい!」新緑の芽吹きと雪解けの水音は都会の喧騒を忘れさせる。片品川沿いをドライブしていると山並みと渓流の美しさに誰もが感嘆する。「ほんときれいだね…」だが美しく見える清流も時にはとんでもないものを押し流している。そう、ここには人の肉片が流れていたのだ。
ボディーを透明にする、関根はそういっていた。硝酸ストリキニーネで殺害したあと遺体は一晩でこの地上より跡形もなく消え去る。関根はこれを”ボディーを透明にする”といっていた。ほんとに一晩で遺体がなくなるのだろうか?以下志麻氏を取り調べた刑事とのやりとりで理解できる。
---「生きている人間には形があって、死ねば物になる。」
「でも形がなくなっても白い粉(骨)は残るよ。燃やすのか?燃やせば臭いが出るだろう」
「臭いはない。燃やすのは骨だけだから」
「関根はそこまでバラバラにするのか」
「どれも真っ白だよ。肉はとっくに魚のえさになってるはずだ」
「燃やすってあんなものがそんなに簡単にもえるのか」
「高温で燃やせば灰になる。火葬場と同じだよ」
「うーん…なるほど…」埼玉県警の10年越しの謎が解けた瞬間だった。
---<志麻永幸著/愛犬家連続殺人より>
事実埼玉県警は関根を過去にも一度逮捕しているが証拠不十分で釈放にした。関根は人間を2時間で解体できる。骨、内臓、肉に細分化し肉は2~3センチの細切れにし川に捨て、骨は廃油で灰になるまで焼く。一晩で人間が跡形もなく消失する。これでは警察がいくらマークしても一瞬の隙があれば犯行を行える。
<殺しのオリンピック>
志麻氏によれば関根は35人殺していたようだ。立件できたのは4件。ヤクザでさえ関根のやり方に驚愕する。
---「普通の奴は人を殺したらそれでおしまいだ。あとは死体を沈めるか、埋めるかだろう。だがケンネルのやり方は違う。奴は残忍だ。あいつは死体をバラバラにして肉を削ぎ取る。その後包丁で肉をコマ切れにするんだ。肉と内臓もきっちり分けてな。脳みそも目玉もきれいにえぐりだすんだ。とても人間のやることじゃねえ。あんなことができるのは、この世であいつしかいない・・・」
---<志麻永幸著/愛犬家連続殺人より>
関根の女房、風間博子も尋常じゃない。何せ遺体解体作業をしながら鼻歌を歌ってるぐらいだからとんでもない。中村美津子の「河内おとこ節」をハミングしながら
「あんた、こんなやつの○ン○ン切るのやだから、あんたこれやってよ」
「おうっー」
関根は自画自賛で“殺しのオリンピック”があれば金メダルといっている。大久保清はバカだとか、イギリスの連続殺人犯もコケにしてる。不謹慎だが彼の遺体解体技術はそこまで洗練されていた。
関根はどんな人生を歩んできたのだろうか、彼は秩父で生まれ“ホラ吹きの元”と呼ばれていた。関根に限らず重犯罪者にはおしゃべりな奴というか虚言壁は多いらしい。志麻氏の本でこんなシーンがある。
---殺害された川崎さんが
「俺、日本に帰化してるけど、本当は在日韓国人なんだよ。本当は鄭っていうんだ」
関根「なんて偶然なんだ。実は俺も在日で鄭っていうんだ。なんて偶然なんだ。握手しよう。こいつ(山崎)も在日で本当は王っていうんだ」
王とはどう考えてもも中国人なのだが関根はそんなことおかまいなしだ。
---<志麻永幸著/愛犬家連続殺人より>
もうアホである。とてもコケティシュな面と凍りつくほど恐ろしい面がありおそらくその両方が関根の姿なのだろう。事実ケンネルを訪れる客にはおどろくほど丁寧で電話越しでも90度お辞儀をするくらい商売人としての儀礼にはたけていたようだ。
実際嵐山町に住む自分の友人の父親が関根の店にいっている。犬を買いにアフリカケンネルを訪れたことがあったようだ。その人は柴犬を探していたのだが、関根にほかの犬(おそらくアラスカンマラミュートとか)を薦められたらしく商談は成立しなかったようだが、お茶など勧められて物腰のやわらかいごく普通のペットショプ店主にみえたようだ。でももし利殖の話でもされて深みにはまっていたらどうなったか分からない。関わり合いにならなくてよかった。
後に三木大雲という住職の毒入り缶コーヒーの話があったが、(住職が毒の入ってないものを選んだという話)あれは盛った話だと思う。
何故なら関根はあくまでもトラブルのあった邪魔な人間をヤルので、
近所の諸行中の学生坊主をむやみに殺すことはないだろう。
またおどろくほどきれい好きであったようだ。片品のポッポハウスに身を隠していた頃部屋はちりひとつ落ちていなかったようだし、遺体解体した後の浴槽もピカピカに磨き上げられていた。
その反面女には見境いなく金への執着はものすごかったようだ。その点は重犯罪者のイメージが一致しやすいのだが、こわいのは殺人鬼がある種の社会性を持ち合わせて我々と同じ社会で生業を立てているということだ。見た目区別がつかない。
関根は「世界は一家、人類はみな兄弟」で有名な某政治家ともつながりがあったといっていた。その政治家から頼まれて遺体の始末を行ったとか、おそらくホラ話なのだろうがそういう成り行きはまんざら奇抜に聞えない。裏社会の汚れ仕事を引き受ける人間は必ずいるはずだ。関根も同じ殺し屋があと10人はいるといっている。
平成13年3月一審浦和地裁で死刑。平成17年控訴棄却。現在も最高裁に上告中であるが、逮捕から13年もたった現在アフリカケンネルの敷地は整地されもう違う会社の所有となっている。
(DATE: 2008/03/16 01:07:06 ロプノール通信より掲載)
~その後~
<上告審>
関根元被告(66)と元妻の風間博子被告(51)の上告審が、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)で2009年3月27日に行われることが決まった。最高裁は書面審理が中心だが、2審で死刑を言い渡された事件については検察、弁護側双方の主張を聴く弁論を開くのが通例となっている。
<上告審弁論>
埼玉県で1993年、愛犬家ら4人が相次いで殺害された事件で、殺人罪などに問われ、1、2審で死刑とされた元犬猫繁殖業、関根元被告(67)と元妻風間博子被告(52)の上告審弁論が27日、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)であり、弁護側はそれぞれ死刑回避を求め、検察側は「死刑以外にあり得ない」と反論した。判決期日は後日、指定される。
この日の弁論で、関根被告側は「風間被告が自分の利益のため殺人という方法を選び、かかわらざるを得なくなった」と主張。一方の風間被告側は「関根被告が重要な役割を果たし、利用されたにすぎない」と訴えた。
検察側は「身勝手な動機で酌量の余地はみじんもない」と上告棄却を求めた。
(西日本新聞)
<2被告の死刑確定へ>
6月5日15時17分配信 読売新聞
埼玉県の愛犬家ら4人が1993年に殺害された埼玉愛犬家連続殺人事件で、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われ、1、2審で死刑判決を受けた元ペットショップ経営・関根元被告(67)と元妻風間博子被告(52)の上告審判決が5日、最高裁第2小法廷であった。
古田佑紀裁判長は「猛毒を飲ませて中毒死させた上、死体を切り刻むなどして山や川に捨てるという犯行態様は、冷酷で悪質極まりない」と述べ、2人の上告を棄却した。2人の死刑が確定する。
関根被告は「犯行を主導したのは風間被告」と主張し、風間被告は「殺人にはかかわってもいない」と主張していたが、判決は「不合理な弁解を繰り返し、反省の態度が認められない」とこれを退けた。
<『仁義の報復』高田燿山著>
元高田組組長の高田燿山氏が書いた回顧録。
舎弟の遠藤さんの失踪に疑問を抱き、関根の犯行を確信し関根を追求する。
「私は座禅と瞑想を続けたおかげで、チャクラが覚醒している。チャクラが覚醒している者のみが見える目で関根の犯行がわかったのだ」
「私は、自分自身にも若い者にも人殺しは禁じて来た。ヤクザ社会とは、純粋な任侠道のもと、組織と一家のために親分、兄弟分、舎弟分の自己犠牲から成り立っている。そして、“弱きを助けて強きをくじく”という任侠道の精神は、ヤクザだけでなく人間の道でもある。人間は人間を殺してはならない。
(中略)
しかし、その私が何が何でも殺さなければならないと思うほど関根は許しがたい存在だった。奴は任侠道も人間の道も通用しない、畜生道に堕ちた存在なのだ。
世のため人のため、絶対に生かしておいてはならなかったのに…」
直前で埼玉県警からストップがかかり関根への報復計画が破綻したそうだ。
<関根元・死刑囚が東京拘置所で死亡>
2017/3/27 12:41 産経新聞
埼玉県で平成5年、愛犬家ら4人が相次いで殺害された事件で、殺人や死体損壊罪などで死刑が確定した元犬猫繁殖業、関根元・死刑囚が27日、収容先の東京拘置所で死亡した。75歳。関係者が明らかにした。
関係者によると、昨年11月、拘置所内で心臓発作を起こし、外部の病院に救急搬送された。その後、拘置所内で治療を受けていた。
関根死刑囚は元妻の風間博子死刑囚(60)と共謀して5年、犬の高額売買をめぐる金銭トラブルから埼玉県行田市の男性会社役員=当時(39)=ら3人に猛毒の硝酸ストリキニーネ入りカプセルを飲ませるなどして殺害し、遺体を切断、焼却して捨てた。関根死刑囚はさらに、行田市の主婦=当時(54)=も同様に毒殺し、遺体を遺棄した。
1、2審ともに死刑判決を受け、最高裁も平成21年6月、「いずれの犯行も計画的で動機に酌量の余地はない」「冷酷無慈悲で悪質極まりない」などと指摘して上告を棄却、死刑が確定した。
関根死刑囚は「犯行は元妻が主導した」、風間死刑囚は「一部の遺体損壊や遺棄に関与しただけで、(元夫に)利用された」と主張していた。
<天寿を全うの愛犬家殺人「関根元」死刑なのに三食DVD鑑賞>
2017年04月07日 デイリー新潮
死刑囚に対する刑の執行は前触れもなくやって来る。朝9時ごろ、刑務官が独房を訪れ、執行を告げると有無を言わさず刑場に連れて行くのだ。そのため死刑囚たちは、午前中が過ぎると胸を撫で下ろし、その後もいつやってくるか分からない「朝」におびえ続ける。だが、愛犬家殺人事件の主犯・関根元(げん)死刑囚は、獄中でも奔放に振る舞い、そして天寿を全うした。
元ペットショップ経営者の関根死刑囚が東京拘置所で息を引き取ったのは、3月27日の朝5時すぎのこと。24年前、男女4人を硝酸ストリキニーネなどで殺害し、遺体を切り刻んで捨てた事件の主犯である。
接見を続けてきた弁護士の村木一郎氏が言う。
「関根さんが胸に強い痛みを訴えて倒れたのが昨年11月初旬のことです。拘置所では対応できないので、外の医療施設に救急搬送され、4日間の治療を受けました。おそらく『心タンポナーデ』という病気で、心臓に水が溜まるというもの。針を刺して心嚢液を抜き取る措置を取ったようです。退院してからは拘置所の病舎に移され、それからずっと治療を受けていました」
村木氏が最後に接見したのは亡くなる5日前だった。
「会いに行くと関根さんは車椅子に点滴を下げてやってきました。死刑囚は面会時間が30分に制限されているのですが、この日はあまりに辛そうなので5分で切り上げたほど。顔色もずいぶん悪かった」
享年75。だが、関根は事件について反省している様子はなかった。
拘置所の関係者が言う。
「関根は“オレは(遺体を)ミンチにしただけ。他にも加担した奴がいる”と言っていたし“他にもバレていない殺人がある”とうそぶいていた。食事の世話や掃除を担当する衛生夫に対しても“何か食べたいものはない? 買ってあげるからさー”と手なずけようとする。それを無視すると“箸でお前の目ん玉くり抜くぞ!”と脅かしてくる。だから、関根は死刑囚が集められたフロアの問題児でした」
通常、死刑囚は5畳ほどの独房で毎日を過ごし、もちろん、三食が支給される。東京拘置所では月4回、映画などのDVD(あるいはビデオ)を鑑賞できる。関根も大好きな車雑誌や甘いものを差し入れてもらっていた。
ところで、彼の死刑が確定したのは2009年。法律では半年以内に執行することになっているが、実際にはそれを過ぎても死刑囚のまま今日に至っているケースが多い。
「死刑囚であっても再審請求を行ったりすると執行しないものです。実際、袴田事件のように再審になっているケースがありますから。現在、死刑囚は130人近くいますが、90人以上が再審請求している。その結果、自分の罪を認め再審請求もしていない者から順番に執行されているのが現状です」(司法記者)
関根は再審請求をしていなかったが、これには理由がある。
「共犯で元妻の風間博子さんが再審請求を続けていたからです。死刑は共犯が再審請求をしている場合も執行されない。彼女に請求の理由が無くなると、今度は関根さんが再審請求を出すはずでした」(村木弁護士)
長寿の「死刑囚」が増えるわけである。
~~~~~
結局、司法もヤクザも関根元に引導を渡せなかった。天寿を全う。
[おわり]
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