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第1部 星霊隊結成
第1話(2)最強の剣士、追放される
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11時 悪魔の侵攻開始まであと1時間 飛岡県 千年町
幸紀は「千年町駅」にたどり着くと、慣れた手つきで改札を通過する。駅の構内から外に出ると、天気は晴れ渡り、立ち並ぶビルも輝いているように見えた。
(悪くない町だ。これから滅びるにしては)
幸紀がそんなことを考えながら仲間との集合場所へと歩き始めようとした直後だった。
「きゃあああ!!!」
耳に突き刺さるような悲鳴が、幸紀から少し離れたところから聞こえてくる。
幸紀がふと見ると、カザンのような赤褐色の肌をした、角を生やした筋骨隆々の人型生物と、ゴブリンのような緑色の肌をした、ハゲ頭の人型生物が、1人の女性に2体がかりで襲いかかっていた。
(始まったか。少し予定より早いが…)
幸紀はそんな様子を尻目に、辺りを見回す。
平和だった街に、突如としてあらゆる方向から、普通の人間ではありえない赤褐色や、青、緑といった肌の人型の生物、悪魔たちが現れ、平和に生活している人間たちを蹂躙し始めた。
「ケヘヘ!コロセェ!!」
「助けてくれぇ!!」
逃げ惑う人々を、悪魔たちは手に持っている棍棒のような鈍器で殴り伏せ、倒れた人間たちにさらに棍棒を振り下ろしていく。
人間の警官は、持っていた拳銃を悪魔に向けて撃つが、悪魔たちはいくら銃撃を食らっても怯まず、逆に棍棒で警官を叩き伏せた。
老若男女問わず聞こえてくる人間の悲鳴と、殴打音、運転手が殺された車のブザー音。幸紀はそんな中を一切表情も変えずに、堂々と、悠々として歩みを進めていた。
そんな幸紀の前に、1体、赤褐色の肌に角を生やした悪魔が立ち塞がる。幸紀は険しい目つきでその悪魔を睨んだ。
「邪魔だ、退け」
「ニンゲン!コロス!」
「俺を知らんのか、コーキだ。わかったら仕事の邪魔をするな、退け。俺は貴様みたいな低脳でも好きなように暴れられるように…」
「ウッヒャアァァァ!!」
悪魔は幸紀の言葉を聞かずに、片手に握っていた棍棒を、幸紀に振り下ろす。
幸紀は全く怯まず、霊力を左手に集中すると、何もなかったところに黒い鞘の日本刀を形作る。
次の瞬間、棍棒が幸紀の頭に当たる寸前、幸紀は刀を抜き放つと、悪魔の棍棒を握る腕を斬り飛ばした。
「アギャァアア!??」
「敵味方の区別くらい付けろ」
幸紀はそれだけ捨て台詞を残すと、刀を鞘に納めてから刀を光の粒に戻し、目的地まで大股で歩き出した。
「オマエ…テキ…!」
斬られた悪魔がそう言って黒い煙になっていったのを、幸紀は知らなかった。
10分後
悲鳴が飛び交う街の中を通り抜け、幸紀はビルの間を潜り抜け、待ち合わせ場所である路地裏にやってくる。幸紀は薄暗いビルの日陰で、腕時計に目をやった。
(待ち合わせまで時間があるが…)
「コーキ殿~」
幸紀の背後から声が聞こえてくる。幸紀が振り向くと、赤褐色の肌の悪魔が1体、幸紀の方に向けて歩いてきていた。頭には2本の角を生やし、2メートルはある巨体で、その身長ほどの大きさの棍棒を持っていた。
「お前は…カザンの取り巻き…百鬼隊長のドージか」
「そ~です~、コーキ殿~」
「妙だな、待ち合わせにはサリーがくるはずだが」
幸紀が言葉を発しているうちに、幸紀の背後にゾロゾロと無数の悪魔たちが集まってくる。幸紀は一瞬だけ背後を確認すると、正面のドージがニヤニヤと笑っていることに気がついた。
「これが俺の率いる遊撃隊か」
「いいえ~、俺が、率いる部隊ですよ~」
「なに?」
幸紀は背後にいる悪魔たちから殺気を感じ取る。同時に、ドージから笑顔が消えたのを見て、腰を落とした。
「どういうことだ、ドージ」
「まだわかんないんですか~?あなたは悪魔軍から追放されたんですよ~」
「なんだと?」
幸紀は信じられずに聞き返す。ドージが薄ら笑いを浮かべ直すと、幸紀は言葉を続けた。
「なぜ俺が追放されねばならん。今日ここに至るまで有用な情報をもたらしてきたはずだ」
「でも血を流して戦ったのは俺たち実働部隊ですよ~。出世するなら俺たちがするのが道理ですよね~?なのに今の制度じゃ、間違いなくあんたが昇進する。そんなのおかしいですよね~」
「その程度の理由でお前もカザンも俺を裏切るのか?」
幸紀は鋭い眼光のまま尋ねる。それに対し、ドージは微笑みながらアゴをあげて幸紀を見下ろした。
「大事な理由ですよ。あんたみたいな、人間の血が入った奴なんかが上に立ったら、悪魔軍は終わりですから」
「たった4分の1だ」
「どんな綺麗な水でも、ションベンが入った水は汚いでしょう?人間の血も同じ!一滴入っているだけで汚らわしいんですよ!あんたは悪魔の風上にも置けない、生まれついてのクズだ!」
ドージの言葉に、幸紀の背後にいた悪魔たちも声を上げる。幸紀は表情を動かさずに背後の熱狂を確認すると、前に立つドージを見上げ、静かに声を発した。
「わかった。ではこれが最後の質問だ。今の言葉は、悪魔軍全員の総意ということで問題ないな?」
「えぇ。悪魔軍最高司令官、悪魔神王《あくましんおう》の名において、コーキ!貴様は悪魔界から永久追放だ!」
ドージは堂々と言う。幸紀はそれを聞くと、口角だけをあげて何度も頷いた。
「よくわかったよ」
「皆かかれ!!」
ドージが幸紀に言い放とうとしたその瞬間、目にも止まらぬ速さで、幸紀はドージの喉元を刀で突き抜いた。
直後、ドージの体は黒い煙になって消え去り、悪魔たちは動揺する。
幸紀はゆっくりと振り向き、日本刀を握り直した。
「俺の生まれが悪いから追放、さらには死ね、か。つまり、お前らはもう同胞でもなんでもない、俺や俺を育ててくれた全てを侮辱した、ただの敵というわけだ」
幸紀は自分の目の前にいる無数の悪魔たちに尋ねる。一般市民をあれほど一方的に蹂躙し、銃撃すらも無効化する悪魔たちが、幸紀たった1人の気迫に、たじろいでいた。
幸紀はそんな悪魔たちを見て、小さく微笑んだ。
「いいだろう。ならば、お前たちが誰を敵に回したか、思い知らせてやろう」
「シネェエエエヤァ!!!」
20体はいるであろう悪魔たちが、一斉に幸紀に対して武器を構えて突進していく。幸紀はそんな光景に、目を閉じてゆっくりと息を吐くと、刀を両手で握り、小さく呟いた。
「『無尽閃《むじんせん》・九十九《つくも》』」
幸紀の言葉など気にしない悪魔たちは、幸紀のそばに駆け寄ると、武器を振り下ろす。瞬間、幸紀の体は文字通り目にも止まらない速度で正面に走り出すと、一瞬のうちに悪魔たちの間を駆け抜け、悪魔たちの背後にやってきた。
「ナニィ!?」
悪魔たちは慌てて振り向く。幸紀は、ゆっくりとした動作で刀を納刀しており、悪魔たちには隙だらけに見えた。
「バカメ!コロシテヤ…」
「とどめ」
幸紀がひとこと、そう呟きながら刀を納めると、次の瞬間、悪魔たちの体に無数の剣閃が走り、その場にいたはずの全ての悪魔が物も言わずに黒い煙に成り果てた。
幸紀はその場にいた全ての敵を片付けたのを背中で感じると、振り向くこともせずに前へ歩き始めた。
(俺は何度となく悪魔軍のために尽くしてきた。だが、それに対する報いがこれだと言うのなら、俺は全ての悪魔を滅ぼしてやる。正義も悪も、種族も関係ない。俺は俺の血を、俺の誇りを侮辱した全てを許さない。この地上から一匹たりとも残さず悪魔を消滅させてやる。俺や、俺を支えてくれた者たちの誇りのために)
表情をほとんど変えない幸紀の心に、何よりも固い誓いが芽生える。幸紀はその誓いを果たすため、より多くの悪魔がいるであろう、人間の悲鳴が聞こえる方へと歩き出していた。
幸紀は「千年町駅」にたどり着くと、慣れた手つきで改札を通過する。駅の構内から外に出ると、天気は晴れ渡り、立ち並ぶビルも輝いているように見えた。
(悪くない町だ。これから滅びるにしては)
幸紀がそんなことを考えながら仲間との集合場所へと歩き始めようとした直後だった。
「きゃあああ!!!」
耳に突き刺さるような悲鳴が、幸紀から少し離れたところから聞こえてくる。
幸紀がふと見ると、カザンのような赤褐色の肌をした、角を生やした筋骨隆々の人型生物と、ゴブリンのような緑色の肌をした、ハゲ頭の人型生物が、1人の女性に2体がかりで襲いかかっていた。
(始まったか。少し予定より早いが…)
幸紀はそんな様子を尻目に、辺りを見回す。
平和だった街に、突如としてあらゆる方向から、普通の人間ではありえない赤褐色や、青、緑といった肌の人型の生物、悪魔たちが現れ、平和に生活している人間たちを蹂躙し始めた。
「ケヘヘ!コロセェ!!」
「助けてくれぇ!!」
逃げ惑う人々を、悪魔たちは手に持っている棍棒のような鈍器で殴り伏せ、倒れた人間たちにさらに棍棒を振り下ろしていく。
人間の警官は、持っていた拳銃を悪魔に向けて撃つが、悪魔たちはいくら銃撃を食らっても怯まず、逆に棍棒で警官を叩き伏せた。
老若男女問わず聞こえてくる人間の悲鳴と、殴打音、運転手が殺された車のブザー音。幸紀はそんな中を一切表情も変えずに、堂々と、悠々として歩みを進めていた。
そんな幸紀の前に、1体、赤褐色の肌に角を生やした悪魔が立ち塞がる。幸紀は険しい目つきでその悪魔を睨んだ。
「邪魔だ、退け」
「ニンゲン!コロス!」
「俺を知らんのか、コーキだ。わかったら仕事の邪魔をするな、退け。俺は貴様みたいな低脳でも好きなように暴れられるように…」
「ウッヒャアァァァ!!」
悪魔は幸紀の言葉を聞かずに、片手に握っていた棍棒を、幸紀に振り下ろす。
幸紀は全く怯まず、霊力を左手に集中すると、何もなかったところに黒い鞘の日本刀を形作る。
次の瞬間、棍棒が幸紀の頭に当たる寸前、幸紀は刀を抜き放つと、悪魔の棍棒を握る腕を斬り飛ばした。
「アギャァアア!??」
「敵味方の区別くらい付けろ」
幸紀はそれだけ捨て台詞を残すと、刀を鞘に納めてから刀を光の粒に戻し、目的地まで大股で歩き出した。
「オマエ…テキ…!」
斬られた悪魔がそう言って黒い煙になっていったのを、幸紀は知らなかった。
10分後
悲鳴が飛び交う街の中を通り抜け、幸紀はビルの間を潜り抜け、待ち合わせ場所である路地裏にやってくる。幸紀は薄暗いビルの日陰で、腕時計に目をやった。
(待ち合わせまで時間があるが…)
「コーキ殿~」
幸紀の背後から声が聞こえてくる。幸紀が振り向くと、赤褐色の肌の悪魔が1体、幸紀の方に向けて歩いてきていた。頭には2本の角を生やし、2メートルはある巨体で、その身長ほどの大きさの棍棒を持っていた。
「お前は…カザンの取り巻き…百鬼隊長のドージか」
「そ~です~、コーキ殿~」
「妙だな、待ち合わせにはサリーがくるはずだが」
幸紀が言葉を発しているうちに、幸紀の背後にゾロゾロと無数の悪魔たちが集まってくる。幸紀は一瞬だけ背後を確認すると、正面のドージがニヤニヤと笑っていることに気がついた。
「これが俺の率いる遊撃隊か」
「いいえ~、俺が、率いる部隊ですよ~」
「なに?」
幸紀は背後にいる悪魔たちから殺気を感じ取る。同時に、ドージから笑顔が消えたのを見て、腰を落とした。
「どういうことだ、ドージ」
「まだわかんないんですか~?あなたは悪魔軍から追放されたんですよ~」
「なんだと?」
幸紀は信じられずに聞き返す。ドージが薄ら笑いを浮かべ直すと、幸紀は言葉を続けた。
「なぜ俺が追放されねばならん。今日ここに至るまで有用な情報をもたらしてきたはずだ」
「でも血を流して戦ったのは俺たち実働部隊ですよ~。出世するなら俺たちがするのが道理ですよね~?なのに今の制度じゃ、間違いなくあんたが昇進する。そんなのおかしいですよね~」
「その程度の理由でお前もカザンも俺を裏切るのか?」
幸紀は鋭い眼光のまま尋ねる。それに対し、ドージは微笑みながらアゴをあげて幸紀を見下ろした。
「大事な理由ですよ。あんたみたいな、人間の血が入った奴なんかが上に立ったら、悪魔軍は終わりですから」
「たった4分の1だ」
「どんな綺麗な水でも、ションベンが入った水は汚いでしょう?人間の血も同じ!一滴入っているだけで汚らわしいんですよ!あんたは悪魔の風上にも置けない、生まれついてのクズだ!」
ドージの言葉に、幸紀の背後にいた悪魔たちも声を上げる。幸紀は表情を動かさずに背後の熱狂を確認すると、前に立つドージを見上げ、静かに声を発した。
「わかった。ではこれが最後の質問だ。今の言葉は、悪魔軍全員の総意ということで問題ないな?」
「えぇ。悪魔軍最高司令官、悪魔神王《あくましんおう》の名において、コーキ!貴様は悪魔界から永久追放だ!」
ドージは堂々と言う。幸紀はそれを聞くと、口角だけをあげて何度も頷いた。
「よくわかったよ」
「皆かかれ!!」
ドージが幸紀に言い放とうとしたその瞬間、目にも止まらぬ速さで、幸紀はドージの喉元を刀で突き抜いた。
直後、ドージの体は黒い煙になって消え去り、悪魔たちは動揺する。
幸紀はゆっくりと振り向き、日本刀を握り直した。
「俺の生まれが悪いから追放、さらには死ね、か。つまり、お前らはもう同胞でもなんでもない、俺や俺を育ててくれた全てを侮辱した、ただの敵というわけだ」
幸紀は自分の目の前にいる無数の悪魔たちに尋ねる。一般市民をあれほど一方的に蹂躙し、銃撃すらも無効化する悪魔たちが、幸紀たった1人の気迫に、たじろいでいた。
幸紀はそんな悪魔たちを見て、小さく微笑んだ。
「いいだろう。ならば、お前たちが誰を敵に回したか、思い知らせてやろう」
「シネェエエエヤァ!!!」
20体はいるであろう悪魔たちが、一斉に幸紀に対して武器を構えて突進していく。幸紀はそんな光景に、目を閉じてゆっくりと息を吐くと、刀を両手で握り、小さく呟いた。
「『無尽閃《むじんせん》・九十九《つくも》』」
幸紀の言葉など気にしない悪魔たちは、幸紀のそばに駆け寄ると、武器を振り下ろす。瞬間、幸紀の体は文字通り目にも止まらない速度で正面に走り出すと、一瞬のうちに悪魔たちの間を駆け抜け、悪魔たちの背後にやってきた。
「ナニィ!?」
悪魔たちは慌てて振り向く。幸紀は、ゆっくりとした動作で刀を納刀しており、悪魔たちには隙だらけに見えた。
「バカメ!コロシテヤ…」
「とどめ」
幸紀がひとこと、そう呟きながら刀を納めると、次の瞬間、悪魔たちの体に無数の剣閃が走り、その場にいたはずの全ての悪魔が物も言わずに黒い煙に成り果てた。
幸紀はその場にいた全ての敵を片付けたのを背中で感じると、振り向くこともせずに前へ歩き始めた。
(俺は何度となく悪魔軍のために尽くしてきた。だが、それに対する報いがこれだと言うのなら、俺は全ての悪魔を滅ぼしてやる。正義も悪も、種族も関係ない。俺は俺の血を、俺の誇りを侮辱した全てを許さない。この地上から一匹たりとも残さず悪魔を消滅させてやる。俺や、俺を支えてくれた者たちの誇りのために)
表情をほとんど変えない幸紀の心に、何よりも固い誓いが芽生える。幸紀はその誓いを果たすため、より多くの悪魔がいるであろう、人間の悲鳴が聞こえる方へと歩き出していた。
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