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第1部 星霊隊結成
第1話(4)俺は悪魔を斬りたいだけだ
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日菜子を置いて声のした場所にたどり着いた幸紀は、暗い緑色の髪をサイドテールにし、赤い眼鏡をかけた、高校の制服姿の女性が、ビルの看板と思わしきものの下敷きになっているのを発見した。
「ここです、助けてください…!!」
制服姿の女性は、腕こそ自由に動かせたが、胸から下は看板やガレキの下に埋まっている。幸紀が冷静に状況を観察していると、遅れてやってきた日菜子は、ガレキの下敷きになっている女性のもとに近づいた。
「大丈夫ですか!?」
「いいえ…上から落ちてきた看板に挟まれて….霊力で少しは身を守れたんですけど、全然抜け出せなくて…!」
日菜子の質問に対し、制服姿の女性は身をよじりながら言う。しかし、すぐに制服姿の女性は呼吸を乱し始めた。
「ごめんなさい…このままじゃ、霊力も長く保ちそうにありません…助けてください…!」
「任せてください!」
日菜子は二つ返事をすると、制服の女性の上にあるガレキを退かそうと、力一杯押していく。しかし、ガレキは少しも動こうとしなかった。
同時に、幸紀たち3人の周りから、悪魔たちの唸り声が聞こえ始めた。3人が見ると、前と後ろから、それぞれ無数の悪魔たちの陰が迫ってきていた。
「す、すごい数…このままじゃ…2人とも、私のことは置いて逃げてください!」
制服姿の女性は、自分たちが置かれた状況を察すると、日菜子と幸紀に向けて言う。しかし、日菜子は首を横に振った。
「嫌です!絶対に助けます!」
「でもそしたらあなたが殺されてしまいます!」
「だとしても!困ってる人が目の前にいるのに!見捨てることなんてできない!あなたのことは、絶対に助ける!」
日菜子はそう言うと、霊力で自分の武器である籠手とスネのプロテクターを装備して、改めてガレキを思い切り押していく。そんな日菜子を横目で見ながら、制服姿の女性は訴えた。
「ダメですよ!今なら私1人が死ぬだけで済むんです!だから私を置いて2人で逃げてください!あなたたちだって家族がいるでしょう!?見ず知らずの人間のために死んでしまったら、家族が悲しみますよ!」
「私が他人を置いて逃げたって聞いた方が、うちの家族は悲しむよ!そりゃあああ!!」
日菜子は口答えをしながらガレキを押し除けようと力を込める。しかし、日菜子がいくら押してもガレキは動く気配を見せない。
悪魔はどんどんと近づいてきている。横並びになり、逃げ道を塞ぎながら。
幸紀が無言で様子を見ていると、制服姿の女性は幸紀に叫んだ。
「そこのお兄さん!あなただけでも逃げてください!このままじゃ、私のせいであなたも…!」
「俺に指図するな」
制服姿の女性の言葉に、幸紀は表情を変えないまま低い声で言い放つ。彼女が驚きで言葉を失うのをよそに、幸紀は霊力で刀を形作ると、背後から迫る悪魔の大群に向き合った。
「なんでですか!?こんな数の悪魔に勝てるわけがないです!私なんか構わず、早く逃げてください!!」
「ナメるな」
幸紀は自分を心配する言葉を無愛想に払いのけると、悠々と、迫ってくる悪魔たちに向けて歩いていく。日菜子はそんな幸紀を見送ると、ガレキを押し続ける。制服姿の女性は俯いた。
「ごめんなさい…私のせいで…こんな…!」
「いいえ、顔を上げて!」
制服姿の女性が弱音を吐いた直後、日菜子が明るく声をかける。制服姿の女性は顔を上げ、赤いメガネをかけ直すと、信じられない光景が繰り広げられているのに気がついた。
「アギャァアア!!」
「…え?」
悪魔の断末魔と共に彼女が理解したのは、幸紀が無数の悪魔たちを相手に、一方的とまで言えるほどの攻撃を繰り広げている光景だった。
幸紀が少し動くたびに悪魔が1体煙に変わり、悪魔が幸紀を攻撃しようとすれば、直後に悪魔の首が飛ぶ。壁のように並んで迫ってきていた悪魔たちは、瞬きする間に消えていき、彼女がもう一度メガネを掛け直した直後に見えたのは、1人だけ。刀を鞘に納める幸紀だけだった。
(嘘…30体はいるように見えた…それが、こんな一瞬で…1体倒すだけで、警官の人は何人も殺されてた…なのに、この人はたったひとりで、こんなに…!)
「よし、動きそう!せーの!」
彼女が驚きを隠せないでいると、日菜子が声を上げてガレキを押す。日菜子がガレキを持ち上げると、制服姿の女性の足も、動けるようになった。
「今!」
「は、はいっ!」
日菜子の合図に従って、制服姿の女性はガレキの下から這い出る。日菜子は、女性が脱出できたのを確認すると、ガレキから手を離した。
女性はすぐに立ち上がると、日菜子に頭を下げた。
「助けていただいて、本当にありがとうございます!」
「無事そうで良かった!幸紀さん!救助できましたよ!って、あれ?」
日菜子は女性の言葉を聞くと、幸紀を呼ぶ。しかし、日菜子が先ほどまで幸紀がいた場所に目をやっても、幸紀の姿はなかった。もしやと思った日菜子が反対側に振り向くと、幸紀は悪魔の群れの中で刀を振るっていた。
「やっぱり。手伝ってきますから、ここにいてください!」
日菜子は制服姿の女性に言うと、幸紀の方に走り出す。制服姿の女性は、日菜子の背中を見ると、首を横に振った。
「そんなことできません!助けてもらった恩、少しでもお返しします!」
制服姿の女性はそう言うと、右手を開き、そこに霊力を込めると、刃渡り90センチほどの剣を形作る。彼女はその剣を持ち、日菜子と共に、幸紀が戦う場所へと駆けつけた。
しかし、時はすでに遅く、彼女と日菜子がたどり着いた頃には、幸紀は最後の1体を真っ二つに両断していた。
「…造作もない」
幸紀は吐き捨てるように言うと、右手に握った刀を鞘に納める。そんな幸紀の横にやってきた日菜子と、制服姿の女性は、文字通り悪魔たちが一掃された周囲を見回し、言葉を失っていた。
「すごい…なんて強さ…」
制服姿の女性は思わず呟く。幸紀はそれを一切気にせず、納刀した刀を光の粒に変えてどこかへと歩き去ろうとする。そんな幸紀を見て、制服姿の女性は幸紀の正面に回り込んだ。
「あの!助けていただきありがとうございました!そちらのお姉さんも、本当に!」
女性は日菜子にも合わせて礼を言う。日菜子が軽く会釈をするのに対し、幸紀は足を止めて短く言葉を返した。
「礼などいらん。助けたつもりはない」
「でも結果として助けてもらいました!助けていただいたからには、しっかり恩返しがしたいです!」
制服姿の女性は、幸紀に堂々と言うと、メガネを掛け直してからそのまま名乗り始めた。
「私は、千条《せんじょう》四葉《よつば》といいます!白鷺《しらさぎ》女子高校の2年生です!そちらのお兄さんと、お姉さんのお名前を教えてください!」
制服姿の女性、四葉はハキハキと言う。それを聞くと、日菜子が幸紀の様子を見ながら名乗り始めた。
「私は桜井日菜子、私も、四葉ちゃんと同じで、そっちのお兄さんに助けてもらいました」
日菜子はそう言って幸紀の方を見る。幸紀は肩をすくめてから無愛想に名乗った。
「東雲幸紀だ。忘れてくれていい」
「東雲さん…ですか。悪魔との戦いにすごく慣れてらっしゃるようですけど、東雲さんは、一体何者なんですか?」
「私も気になってました。私や四葉ちゃんみたいに、霊力を多少なら扱える人間もいるのは知ってたけど、幸紀さんほど強く扱えて、あんなふうに悪魔を倒せる人なんて、絶対ただものじゃないですよね?」
幸紀の無愛想な態度を気にせず、日菜子と四葉は幸紀に尋ねていく。幸紀は表情を変えないまま、無言で考えた。
(面倒な女たちだな…こいつらが納得できるような、適当な回答を出さないと…)
「ここです、助けてください…!!」
制服姿の女性は、腕こそ自由に動かせたが、胸から下は看板やガレキの下に埋まっている。幸紀が冷静に状況を観察していると、遅れてやってきた日菜子は、ガレキの下敷きになっている女性のもとに近づいた。
「大丈夫ですか!?」
「いいえ…上から落ちてきた看板に挟まれて….霊力で少しは身を守れたんですけど、全然抜け出せなくて…!」
日菜子の質問に対し、制服姿の女性は身をよじりながら言う。しかし、すぐに制服姿の女性は呼吸を乱し始めた。
「ごめんなさい…このままじゃ、霊力も長く保ちそうにありません…助けてください…!」
「任せてください!」
日菜子は二つ返事をすると、制服の女性の上にあるガレキを退かそうと、力一杯押していく。しかし、ガレキは少しも動こうとしなかった。
同時に、幸紀たち3人の周りから、悪魔たちの唸り声が聞こえ始めた。3人が見ると、前と後ろから、それぞれ無数の悪魔たちの陰が迫ってきていた。
「す、すごい数…このままじゃ…2人とも、私のことは置いて逃げてください!」
制服姿の女性は、自分たちが置かれた状況を察すると、日菜子と幸紀に向けて言う。しかし、日菜子は首を横に振った。
「嫌です!絶対に助けます!」
「でもそしたらあなたが殺されてしまいます!」
「だとしても!困ってる人が目の前にいるのに!見捨てることなんてできない!あなたのことは、絶対に助ける!」
日菜子はそう言うと、霊力で自分の武器である籠手とスネのプロテクターを装備して、改めてガレキを思い切り押していく。そんな日菜子を横目で見ながら、制服姿の女性は訴えた。
「ダメですよ!今なら私1人が死ぬだけで済むんです!だから私を置いて2人で逃げてください!あなたたちだって家族がいるでしょう!?見ず知らずの人間のために死んでしまったら、家族が悲しみますよ!」
「私が他人を置いて逃げたって聞いた方が、うちの家族は悲しむよ!そりゃあああ!!」
日菜子は口答えをしながらガレキを押し除けようと力を込める。しかし、日菜子がいくら押してもガレキは動く気配を見せない。
悪魔はどんどんと近づいてきている。横並びになり、逃げ道を塞ぎながら。
幸紀が無言で様子を見ていると、制服姿の女性は幸紀に叫んだ。
「そこのお兄さん!あなただけでも逃げてください!このままじゃ、私のせいであなたも…!」
「俺に指図するな」
制服姿の女性の言葉に、幸紀は表情を変えないまま低い声で言い放つ。彼女が驚きで言葉を失うのをよそに、幸紀は霊力で刀を形作ると、背後から迫る悪魔の大群に向き合った。
「なんでですか!?こんな数の悪魔に勝てるわけがないです!私なんか構わず、早く逃げてください!!」
「ナメるな」
幸紀は自分を心配する言葉を無愛想に払いのけると、悠々と、迫ってくる悪魔たちに向けて歩いていく。日菜子はそんな幸紀を見送ると、ガレキを押し続ける。制服姿の女性は俯いた。
「ごめんなさい…私のせいで…こんな…!」
「いいえ、顔を上げて!」
制服姿の女性が弱音を吐いた直後、日菜子が明るく声をかける。制服姿の女性は顔を上げ、赤いメガネをかけ直すと、信じられない光景が繰り広げられているのに気がついた。
「アギャァアア!!」
「…え?」
悪魔の断末魔と共に彼女が理解したのは、幸紀が無数の悪魔たちを相手に、一方的とまで言えるほどの攻撃を繰り広げている光景だった。
幸紀が少し動くたびに悪魔が1体煙に変わり、悪魔が幸紀を攻撃しようとすれば、直後に悪魔の首が飛ぶ。壁のように並んで迫ってきていた悪魔たちは、瞬きする間に消えていき、彼女がもう一度メガネを掛け直した直後に見えたのは、1人だけ。刀を鞘に納める幸紀だけだった。
(嘘…30体はいるように見えた…それが、こんな一瞬で…1体倒すだけで、警官の人は何人も殺されてた…なのに、この人はたったひとりで、こんなに…!)
「よし、動きそう!せーの!」
彼女が驚きを隠せないでいると、日菜子が声を上げてガレキを押す。日菜子がガレキを持ち上げると、制服姿の女性の足も、動けるようになった。
「今!」
「は、はいっ!」
日菜子の合図に従って、制服姿の女性はガレキの下から這い出る。日菜子は、女性が脱出できたのを確認すると、ガレキから手を離した。
女性はすぐに立ち上がると、日菜子に頭を下げた。
「助けていただいて、本当にありがとうございます!」
「無事そうで良かった!幸紀さん!救助できましたよ!って、あれ?」
日菜子は女性の言葉を聞くと、幸紀を呼ぶ。しかし、日菜子が先ほどまで幸紀がいた場所に目をやっても、幸紀の姿はなかった。もしやと思った日菜子が反対側に振り向くと、幸紀は悪魔の群れの中で刀を振るっていた。
「やっぱり。手伝ってきますから、ここにいてください!」
日菜子は制服姿の女性に言うと、幸紀の方に走り出す。制服姿の女性は、日菜子の背中を見ると、首を横に振った。
「そんなことできません!助けてもらった恩、少しでもお返しします!」
制服姿の女性はそう言うと、右手を開き、そこに霊力を込めると、刃渡り90センチほどの剣を形作る。彼女はその剣を持ち、日菜子と共に、幸紀が戦う場所へと駆けつけた。
しかし、時はすでに遅く、彼女と日菜子がたどり着いた頃には、幸紀は最後の1体を真っ二つに両断していた。
「…造作もない」
幸紀は吐き捨てるように言うと、右手に握った刀を鞘に納める。そんな幸紀の横にやってきた日菜子と、制服姿の女性は、文字通り悪魔たちが一掃された周囲を見回し、言葉を失っていた。
「すごい…なんて強さ…」
制服姿の女性は思わず呟く。幸紀はそれを一切気にせず、納刀した刀を光の粒に変えてどこかへと歩き去ろうとする。そんな幸紀を見て、制服姿の女性は幸紀の正面に回り込んだ。
「あの!助けていただきありがとうございました!そちらのお姉さんも、本当に!」
女性は日菜子にも合わせて礼を言う。日菜子が軽く会釈をするのに対し、幸紀は足を止めて短く言葉を返した。
「礼などいらん。助けたつもりはない」
「でも結果として助けてもらいました!助けていただいたからには、しっかり恩返しがしたいです!」
制服姿の女性は、幸紀に堂々と言うと、メガネを掛け直してからそのまま名乗り始めた。
「私は、千条《せんじょう》四葉《よつば》といいます!白鷺《しらさぎ》女子高校の2年生です!そちらのお兄さんと、お姉さんのお名前を教えてください!」
制服姿の女性、四葉はハキハキと言う。それを聞くと、日菜子が幸紀の様子を見ながら名乗り始めた。
「私は桜井日菜子、私も、四葉ちゃんと同じで、そっちのお兄さんに助けてもらいました」
日菜子はそう言って幸紀の方を見る。幸紀は肩をすくめてから無愛想に名乗った。
「東雲幸紀だ。忘れてくれていい」
「東雲さん…ですか。悪魔との戦いにすごく慣れてらっしゃるようですけど、東雲さんは、一体何者なんですか?」
「私も気になってました。私や四葉ちゃんみたいに、霊力を多少なら扱える人間もいるのは知ってたけど、幸紀さんほど強く扱えて、あんなふうに悪魔を倒せる人なんて、絶対ただものじゃないですよね?」
幸紀の無愛想な態度を気にせず、日菜子と四葉は幸紀に尋ねていく。幸紀は表情を変えないまま、無言で考えた。
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