追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-

晴本吉陽

文字の大きさ
9 / 98
第1部 星霊隊結成

第2話(3)雷の霊力

しおりを挟む
「上!!」

 日菜子が声を上げる。四葉と晴夏も、日菜子に言われた方角に目をやると、赤褐色の肌の悪魔が1体、コンビニの屋上から、晴夏と四葉の頭上へ飛び降りてきていた。

「シネェ!!」

「危ない!!」

 日菜子が叫ぶと、咄嗟に四葉が晴夏を庇って飛び退く。直後、四葉と晴夏がいたところに悪魔と共に棍棒が振り下ろされ、地面のコンクリートが大きくへこんだ。

「こんのぉ!」

 日菜子はすぐさま自分の体に霊力を集中させ、籠手と脛当てを装備すると、霊力をまとわせた拳で悪魔の顔面を殴ろうとする。しかし、悪魔はそれをあっさり回避すると、日菜子を思い切り棍棒で殴りつけた。

「あぁぐっ!!」

「桜井さん!」

 日菜子は霊力で身を守ったものの、横から殴りつけられた衝撃で地面に倒れる。そんな日菜子を見た四葉は、すぐに霊力で自分の武器である剣を発現させると、遠くから悪魔に向けて剣を振るった。

「『真空刃《しんくうじん》』!」

 四葉の振るった剣から、白色の衝撃波が飛んでいく。悪魔はそれに気づくと、棍棒で衝撃波を叩き伏せる。
 棍棒と衝撃波が相殺し合うことで小さな爆発が起こった隙に、悪魔は一気に四葉まで近づいた。

「!」

 悪魔が棍棒を振り下ろす一撃を、四葉はかろうじて剣で受け止める。しかし、悪魔はすぐにもう一撃四葉に棍棒を振り下ろし、剣ごと四葉を頭上から殴りつけた。

「いやぁあっ!!」

「四葉!!」

 晴夏は倒れた四葉に声をかける。悪魔が晴夏を見下ろして睨みつけると、晴夏は息を飲み、後ずさった。

(なんとかしてふたりを助けないと!でも…こんなやつ倒せるのかよ…!?)

「シネェ!!」

 晴夏が考えているのをよそに、悪魔は晴夏に駆け寄って棍棒を振り下ろす。晴夏はなんとかそれを回避すると、悪魔を睨み返した。

「ちくしょう!こうなったらやってやるぜ!日菜子、四葉!オレが助け出す!よくわかんねぇけど、なるようになれ!」

 晴夏はそう言うと、右の拳を高く掲げる。
 次の瞬間、青白い光が彼女の拳に、落雷のように降り注ぐ。悪魔がその強い光と光景に怯んで目を閉じるが、すぐに目を開ける。
 直後、晴夏の手には、その寸前までなかったはずの武器が握られており、彼女の周りには青白い電気が漂っていた。

「お?」

 晴夏は自分の手に握られている武器を見る。晴夏のそれぞれの手には、一本の棒に、長さが非対称になるように短い棒が取り付けられた、二個でひと組の丁字型の武器、トンファーが握られていた。

(トンファーか!おじいちゃんの家で使ったことあるぞ!やれる!)

「キェエエエ!!」

 晴夏が自分の手に握られていた武器を見て確信していると、悪魔が奇声をあげながら晴夏の方に駆けてくる。晴夏の脳天に振り下ろされる棍棒を、晴夏は左手のトンファーで受け止めた。

「チェストォーッ!!」

 悪魔の動きが止まったその一瞬、晴夏は右手のトンファーで悪魔のボディーを殴る。彼女の右手には、青白い電撃が溜まっており、攻撃が直撃すると同時に、悪魔の体に電撃が走った。

「ギャァァァアア!!」

 悪魔が震えながら断末魔をあげると、次の瞬間、悪魔は黒い煙になって消えていた。
 晴夏は突き込んだ右手を自分の体の近くに戻し、構えてから周囲を見回す。そうしていると、ダメージから復帰した四葉と日菜子が、晴夏のもとに駆け寄ってきた。

「晴夏!」

「日菜子!四葉!大丈夫だったか!?」

 晴夏が2人に声をかけると、晴夏の手から武器であるトンファーが光の粒になって消えていく。晴夏は戸惑いながら2人に尋ねた。

「うわ!?トンファーが!どこ行っちまったんだ!?」

「大丈夫だよ。それは、霊力を集中させれば、また出てくるから」

「え、そうなの?」

 戸惑う晴夏に日菜子が言うと、晴夏は確認する。さらに四葉が続けた。

「そうです!霊力を集中させることで、各個人に専用の武器を発現させることができます!いつでもどこでも!」

「へー!なるほど、これでみんな悪魔と戦うんだな!」

 晴夏が納得していると、日菜子が感心した様子で声をかけた。

「にしても、晴夏、すごいね!」

「えぇ?オレ、またなんかやっちゃいましたぁ?」

「うん。霊力で戦うのって初めてなんでしょ?なのに、あんなに上手く霊力を使いこなして、悪魔をやっつけちゃうなんて、本当にすごいよ!」

「いやぁ~それほどでも~?あるかも~?」

 日菜子に褒められた晴夏は、調子に乗って鼻の下を伸ばしながら頭を掻く。そんな晴夏に、四葉も頭を下げた。

「…助けてくれてありがとうございます。でも、年齢間違えたのは許さないんですからね!強いからって勘違いしないでくださいよ!」

「へいへい、わかりましたよ、生徒会長ちゃん。ま、これからもお前らはオレが守ってやるからよ!」

 晴夏はそう言って四葉の頭を軽く撫でる。四葉はムッとしながらその手を払いのけた。

「セクハラです!反省文です!」

「おいおい、女同士だからセーフだろ~?」

「アウトです!原稿用紙6枚!」

 四葉の言葉に、晴夏が肩を落とすと、日菜子は幸紀と大きく距離が離れていることに気がついた。

「幸紀さん!みんな、幸紀さんに置いていかれちゃうよ、行こう!」

「あ、ちょっと待てよ、日菜子!」

 日菜子が走っていく後を、晴夏も走って追いかける。四葉もそんな晴夏を追いかけるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...