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第1部 星霊隊結成
第2話(4)圧倒的な力
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同じ頃、少し先を進んでいた幸紀は、晴夏が1体の悪魔を倒している間に、立ち塞がった10体の悪魔を片付け、黒い煙の中で刀を納めていた。
(10体程度、造作もない…が、この分だと駅にも多くいそうだな…好都合だ)
「幸紀さん!」
考え事をしていた幸紀の背後から、日菜子の声が聞こえてくる。幸紀が刀を光に変えて振り向くと、日菜子、四葉、晴夏が走ってきていた。
「もう、置いていかないでくださいよ」
四葉が幸紀に言うと、幸紀は理解できずに黙り込む。それを見た晴夏が状況を話し始めた。
「オレら3人はさ、さっき悪魔に出くわしたんすよ。ヤバかったんすよー、日菜子も四葉もやられてるのに、幸紀さんが気づかないから。ま、オレがやっつけてやったんすけどね」
「悪魔?何体いた?」
「1体すよ。でも幸紀さん、オレ、初戦闘で!霊力なんか使ったこともないのに!悪魔をちょちょっとやっつけて、日菜子と四葉を救ったんすよ?オレ、最強じゃないすか?」
(雑魚悪魔1体片付けた程度で調子に乗ってるな…)
鼻の下を伸ばしながら語る晴夏に対して、幸紀は内心快く思わなかった。そんな晴夏を嗜めるように四葉が声を出そうとするが、幸紀はそれを止めた。
「そうだな。お前の言う通りだ」
「ですよね~。ま、今後はオレのこと、頼ってくれてもいいっすよ!」
「そうさせてもらう。行くぞ」
幸紀は晴夏の自慢を軽くあしらうと、再び目的地に歩き出す。晴夏は幸紀の淡白な反応に、少しムッとする。晴夏は、隣を歩く日菜子に愚痴をこぼした。
「なぁ日菜子、幸紀さんっていつもこうなのか?もうちょっと褒めてくれてもいいのによ」
「私も今日会ったばかりだからわからないけど、無口な人らしいから」
「へぇ。んじゃ、今度は幸紀さんが目ん玉丸くするような大活躍してやるぜ!」
「無理しすぎないようにね。敵は強いからさ」
やる気になる晴夏に対し、日菜子は優しく声をかける。晴夏は照れくさそうに目を泳がせた。
「へへへ、ありがと。なんか、日菜子に優しく言われると、なんか、お姉ちゃんができたみたいな気分だな。もしかして弟とかいたりする?」
「ううん、でも妹がいるんだ」
「やっぱ!?ねぇ、写真とかある?」
「うん、ちょっと待ってね」
日菜子はそう言うと、パーカーの内ポケットからスマホを取り出す。日菜子はある程度スマホを操作すると、スマホを晴夏に見せた。
晴夏が覗き込むと、スマホの画面には、日菜子と、もうひとり、へそや脇を露出した、銀髪にピンクメッシュの美少女が、ピースサインをして立っていた。
「え、めっちゃ可愛い!」
「でしょ!菜々子《ななこ》っていうんだ。私の自慢の妹だよ!でも…悪魔に襲われた時にはぐれちゃって…私にとっては、この旅は菜々子を探す旅でもあるんだ」
「そうだったんだ。早く会えるといいな」
「そうだ、幸紀さんと四葉にも聞いてみないと」
日菜子はそう呟くと、前を歩いていた四葉と幸紀の間に歩いて行き、スマホを見せながら四葉と幸紀に話しかける。しかし、幸紀と四葉は首を横に振るのだった。
(日菜子って、めっちゃ妹さん想いなんだな。ちょっと感動しちゃったぜ)
晴夏は、落胆する日菜子の背中を見ながら思う。同時に、晴夏は鼻の下を伸ばした。
(にしても妹の菜々子ちゃん、めっちゃ可愛かったなぁ!これ、日菜子の好感度上げれば、オレも菜々子ちゃんとお近づきになれるかも!?『晴夏くん強い!菜々子を守ってあげて!』的な!?そのあと男に戻る方法を見つければ…うへへへ、オレの人生始まっちゃうぜ!)
「キャァアア!!!」
晴夏が足を止めてくだらないことを考えていると、横から絹を裂くような悲鳴が聞こえてくる。晴夏は、その悲鳴が女性の声であることを確信した。
(菜々子ちゃんかもしれねぇ!それに、ここで活躍すれば、幸紀にも認められるはず!)
晴夏はそう思うと、考えるより先に走り始めた。
「待ってろ!今助ける!!」
晴夏は声を上げながら走り始める。気づいた日菜子と四葉も、振り向いて晴夏の後を追う。
最後に振り向いた幸紀は、状況に気づくと、小さく鼻で笑った。
(くだらん)
幸紀は内心そう思うと、日菜子たちから少し遅れてゆっくりと歩いていくのだった。
数分後、ビルの合間を走り抜け、晴夏は悲鳴の場所へとやってくる。晴夏が到着すると、筋骨隆々で赤褐色の肌をして角を生やした悪魔と、緑色の肌をしたハゲでマッチョの悪魔、そして青い肌で長身痩躯の悪魔たち、全部合わせて5体程度の悪魔が、何かを囲んで蹴りを入れていた。
「イヤァアァァ!!」
「やめろ!!」
晴夏は悪魔たちに対して声を張る。悪魔は晴夏の声に気づくと、晴夏の方に振り向き、蹴りをやめた。
「オメェら、それ以上はオレが許さねぇ!」
晴夏はそう言うと、右手を高く掲げ、霊力を右手に集中させる。雷のような光が晴夏に落ちたかと思うと、晴夏の両手には、武器であるトンファーが握られていた。
晴夏はトンファーを握り、身構える。
直後、悪魔たちは晴夏に背を向けると、走って逃げ出した。
「あ?…ふん!オレにビビって逃げたか!」
晴夏は悪魔の行動にそう納得すると、トンファーを光の粒に変え、その場に倒れている長い白髪で白い服の女性のもとに駆け寄った。
「おい、大丈夫か!」
晴夏はその女性の肩を持って揺する。女性の顔は、長髪のせいで見えなかった。
「…ニンゲン?」
女性は晴夏に尋ねる。晴夏は頷いた。
「あぁそうだ、助けに来た!もう大丈夫だぜ、おねえ…」
「ヒィィハァァァ!!」
その瞬間、助けたはずの女性から、甲高い不気味な男の声が聞こえると、女性は晴夏の首を両手で掴み、締め上げ始めた。
「ぐぅっ…!離せ…っ!」
晴夏はなんとか自分の首を掴むその相手の両手を振りほどくと、バックステップで距離を取り、改めて武器であるトンファーを発現させた。
「この野郎、よくも騙しやがっ…」
「キェエエエ!!」
晴夏が構えようとした瞬間、背後から悪魔が現れ、晴夏を羽交い締めにする。
(いつの間に…!)
羽交い締めにされた晴夏は、自分を拘束する悪魔の太い腕をふりほどこうと、必死に身をよじる。しかし、悪魔は怯みもしない。
「離せ!離しやがれ!!」
「キヒヒ…!」
声を上げる晴夏を悪魔が嘲笑う。晴夏が正面を見ると、いつの間にか先ほどよりも大勢の悪魔に取り囲まれていることに気がついた。
「えっ…!?こ、こんなにたくさん…!?」
悪魔たちは邪悪な笑みを浮かべると、それぞれ手に持つ棍棒を舐め、舌なめずりをしながら晴夏を見ていた。
(やばい、このままじゃ絶対にやばい!)
晴夏は先ほどよりも激しく抵抗する。しかし、悪魔の力は晴夏よりも遥かに強く、晴夏は脱出できなかった。
「ウリャアア!!」
正面にいた悪魔の1体が晴夏に駆け寄ると、棍棒で晴夏を横から殴り抜く。晴夏は咄嗟に腕で自分の顔をかばったが、それでも凄まじい力によってその場に倒れた。
「うぐぁっ!...この野郎…!」
拘束を解かれた晴夏は、怒りに身を任せて立ちあがろうとする。しかし、それよりも早く、悪魔たちに取り囲まれてしまった。
「シネェエエ!」
悪魔たちは、倒れている晴夏に対し、蹴りを入れ、棍棒を振り下ろし始める。晴夏は発現させたトンファーで身を守ることしかできなかった。
「うわぁっ!こ、この、うぐぅっ…うぉっ…や、やめて…!ぐぁっ…!だれか…うぅっ、助けて…!」
容赦なく次から次へと降り注ぐ暴力に、晴夏は悲鳴をあげ、助けを求める。しかし、悪魔は全く手を緩めず、さらに攻撃を激しくしていた。
晴夏の腹に、顔に、脚に、次から次へと痛みが走っていく。鉄の味を感じながら、晴夏は後悔していた。
(最悪だ…こんな…こんな殺され方するなんて…死にたくないよ…)
「ギャハハハ!!」
弱りきった晴夏に、悪魔の1体が笑い声を上げながら棍棒を振り上げる。晴夏は、遠のく意識のなか、棍棒が迫り来るのを見ていた。
(…あぁ…死ぬんだ…オレ…)
晴夏は目を閉じ、全てを諦めた。
瞬間、悲鳴があたりに響く。
それは、悪魔のものだった。
(10体程度、造作もない…が、この分だと駅にも多くいそうだな…好都合だ)
「幸紀さん!」
考え事をしていた幸紀の背後から、日菜子の声が聞こえてくる。幸紀が刀を光に変えて振り向くと、日菜子、四葉、晴夏が走ってきていた。
「もう、置いていかないでくださいよ」
四葉が幸紀に言うと、幸紀は理解できずに黙り込む。それを見た晴夏が状況を話し始めた。
「オレら3人はさ、さっき悪魔に出くわしたんすよ。ヤバかったんすよー、日菜子も四葉もやられてるのに、幸紀さんが気づかないから。ま、オレがやっつけてやったんすけどね」
「悪魔?何体いた?」
「1体すよ。でも幸紀さん、オレ、初戦闘で!霊力なんか使ったこともないのに!悪魔をちょちょっとやっつけて、日菜子と四葉を救ったんすよ?オレ、最強じゃないすか?」
(雑魚悪魔1体片付けた程度で調子に乗ってるな…)
鼻の下を伸ばしながら語る晴夏に対して、幸紀は内心快く思わなかった。そんな晴夏を嗜めるように四葉が声を出そうとするが、幸紀はそれを止めた。
「そうだな。お前の言う通りだ」
「ですよね~。ま、今後はオレのこと、頼ってくれてもいいっすよ!」
「そうさせてもらう。行くぞ」
幸紀は晴夏の自慢を軽くあしらうと、再び目的地に歩き出す。晴夏は幸紀の淡白な反応に、少しムッとする。晴夏は、隣を歩く日菜子に愚痴をこぼした。
「なぁ日菜子、幸紀さんっていつもこうなのか?もうちょっと褒めてくれてもいいのによ」
「私も今日会ったばかりだからわからないけど、無口な人らしいから」
「へぇ。んじゃ、今度は幸紀さんが目ん玉丸くするような大活躍してやるぜ!」
「無理しすぎないようにね。敵は強いからさ」
やる気になる晴夏に対し、日菜子は優しく声をかける。晴夏は照れくさそうに目を泳がせた。
「へへへ、ありがと。なんか、日菜子に優しく言われると、なんか、お姉ちゃんができたみたいな気分だな。もしかして弟とかいたりする?」
「ううん、でも妹がいるんだ」
「やっぱ!?ねぇ、写真とかある?」
「うん、ちょっと待ってね」
日菜子はそう言うと、パーカーの内ポケットからスマホを取り出す。日菜子はある程度スマホを操作すると、スマホを晴夏に見せた。
晴夏が覗き込むと、スマホの画面には、日菜子と、もうひとり、へそや脇を露出した、銀髪にピンクメッシュの美少女が、ピースサインをして立っていた。
「え、めっちゃ可愛い!」
「でしょ!菜々子《ななこ》っていうんだ。私の自慢の妹だよ!でも…悪魔に襲われた時にはぐれちゃって…私にとっては、この旅は菜々子を探す旅でもあるんだ」
「そうだったんだ。早く会えるといいな」
「そうだ、幸紀さんと四葉にも聞いてみないと」
日菜子はそう呟くと、前を歩いていた四葉と幸紀の間に歩いて行き、スマホを見せながら四葉と幸紀に話しかける。しかし、幸紀と四葉は首を横に振るのだった。
(日菜子って、めっちゃ妹さん想いなんだな。ちょっと感動しちゃったぜ)
晴夏は、落胆する日菜子の背中を見ながら思う。同時に、晴夏は鼻の下を伸ばした。
(にしても妹の菜々子ちゃん、めっちゃ可愛かったなぁ!これ、日菜子の好感度上げれば、オレも菜々子ちゃんとお近づきになれるかも!?『晴夏くん強い!菜々子を守ってあげて!』的な!?そのあと男に戻る方法を見つければ…うへへへ、オレの人生始まっちゃうぜ!)
「キャァアア!!!」
晴夏が足を止めてくだらないことを考えていると、横から絹を裂くような悲鳴が聞こえてくる。晴夏は、その悲鳴が女性の声であることを確信した。
(菜々子ちゃんかもしれねぇ!それに、ここで活躍すれば、幸紀にも認められるはず!)
晴夏はそう思うと、考えるより先に走り始めた。
「待ってろ!今助ける!!」
晴夏は声を上げながら走り始める。気づいた日菜子と四葉も、振り向いて晴夏の後を追う。
最後に振り向いた幸紀は、状況に気づくと、小さく鼻で笑った。
(くだらん)
幸紀は内心そう思うと、日菜子たちから少し遅れてゆっくりと歩いていくのだった。
数分後、ビルの合間を走り抜け、晴夏は悲鳴の場所へとやってくる。晴夏が到着すると、筋骨隆々で赤褐色の肌をして角を生やした悪魔と、緑色の肌をしたハゲでマッチョの悪魔、そして青い肌で長身痩躯の悪魔たち、全部合わせて5体程度の悪魔が、何かを囲んで蹴りを入れていた。
「イヤァアァァ!!」
「やめろ!!」
晴夏は悪魔たちに対して声を張る。悪魔は晴夏の声に気づくと、晴夏の方に振り向き、蹴りをやめた。
「オメェら、それ以上はオレが許さねぇ!」
晴夏はそう言うと、右手を高く掲げ、霊力を右手に集中させる。雷のような光が晴夏に落ちたかと思うと、晴夏の両手には、武器であるトンファーが握られていた。
晴夏はトンファーを握り、身構える。
直後、悪魔たちは晴夏に背を向けると、走って逃げ出した。
「あ?…ふん!オレにビビって逃げたか!」
晴夏は悪魔の行動にそう納得すると、トンファーを光の粒に変え、その場に倒れている長い白髪で白い服の女性のもとに駆け寄った。
「おい、大丈夫か!」
晴夏はその女性の肩を持って揺する。女性の顔は、長髪のせいで見えなかった。
「…ニンゲン?」
女性は晴夏に尋ねる。晴夏は頷いた。
「あぁそうだ、助けに来た!もう大丈夫だぜ、おねえ…」
「ヒィィハァァァ!!」
その瞬間、助けたはずの女性から、甲高い不気味な男の声が聞こえると、女性は晴夏の首を両手で掴み、締め上げ始めた。
「ぐぅっ…!離せ…っ!」
晴夏はなんとか自分の首を掴むその相手の両手を振りほどくと、バックステップで距離を取り、改めて武器であるトンファーを発現させた。
「この野郎、よくも騙しやがっ…」
「キェエエエ!!」
晴夏が構えようとした瞬間、背後から悪魔が現れ、晴夏を羽交い締めにする。
(いつの間に…!)
羽交い締めにされた晴夏は、自分を拘束する悪魔の太い腕をふりほどこうと、必死に身をよじる。しかし、悪魔は怯みもしない。
「離せ!離しやがれ!!」
「キヒヒ…!」
声を上げる晴夏を悪魔が嘲笑う。晴夏が正面を見ると、いつの間にか先ほどよりも大勢の悪魔に取り囲まれていることに気がついた。
「えっ…!?こ、こんなにたくさん…!?」
悪魔たちは邪悪な笑みを浮かべると、それぞれ手に持つ棍棒を舐め、舌なめずりをしながら晴夏を見ていた。
(やばい、このままじゃ絶対にやばい!)
晴夏は先ほどよりも激しく抵抗する。しかし、悪魔の力は晴夏よりも遥かに強く、晴夏は脱出できなかった。
「ウリャアア!!」
正面にいた悪魔の1体が晴夏に駆け寄ると、棍棒で晴夏を横から殴り抜く。晴夏は咄嗟に腕で自分の顔をかばったが、それでも凄まじい力によってその場に倒れた。
「うぐぁっ!...この野郎…!」
拘束を解かれた晴夏は、怒りに身を任せて立ちあがろうとする。しかし、それよりも早く、悪魔たちに取り囲まれてしまった。
「シネェエエ!」
悪魔たちは、倒れている晴夏に対し、蹴りを入れ、棍棒を振り下ろし始める。晴夏は発現させたトンファーで身を守ることしかできなかった。
「うわぁっ!こ、この、うぐぅっ…うぉっ…や、やめて…!ぐぁっ…!だれか…うぅっ、助けて…!」
容赦なく次から次へと降り注ぐ暴力に、晴夏は悲鳴をあげ、助けを求める。しかし、悪魔は全く手を緩めず、さらに攻撃を激しくしていた。
晴夏の腹に、顔に、脚に、次から次へと痛みが走っていく。鉄の味を感じながら、晴夏は後悔していた。
(最悪だ…こんな…こんな殺され方するなんて…死にたくないよ…)
「ギャハハハ!!」
弱りきった晴夏に、悪魔の1体が笑い声を上げながら棍棒を振り上げる。晴夏は、遠のく意識のなか、棍棒が迫り来るのを見ていた。
(…あぁ…死ぬんだ…オレ…)
晴夏は目を閉じ、全てを諦めた。
瞬間、悲鳴があたりに響く。
それは、悪魔のものだった。
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