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第1部 星霊隊結成
第4話(2)ハンターガール
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「この罠を仕掛けたのはあなたなんですよね?」
日菜子はその女性に尋ねる。女性はワイヤーを回収しながら、明るい声で日菜子に答えた。
「うん!最近悪魔も増えてきてるって話だから、悪魔対策で作ったんだ!まさか人間がひっかかるとは思ってなかったけどね」
「それにしても少しやりすぎでは…?」
「こっち側の道って険しいから人が来ないんだ。それこそ来るのなんて悪魔くらいだよ!」
結依の問いに、女性は明るく笑顔で答える。女性はワイヤーを回収して斜めがけにしていたバッグの中にしまうと、軽い足取りで幸紀たち一行の前に歩いてくると、笑顔を見せた。
「びっくりさせちゃってごめんね!私は辰馬《たつま》弥生《やよい》!この山で暮らしてて、普段はハイキングに来た人の案内とかをしてるよ!お兄さんたちは…見ない顔だけど、どこの人?」
幸紀たちの前に立つ、色白の肌に、緑白色の長髪と緑色の帽子を被った、弥生と名乗る女性は、幸紀たちを見回して尋ねる。幸紀はメンバーを代表して話し始めた。
「俺は東雲幸紀。清峰侯爵の部下で、霊橋区にある彼女の屋敷を目指してる。この女性たちは、清峰侯爵が結成した悪魔に対抗する部隊、『星霊隊』のメンバーたちだ」
「幸紀くん、だね!まぁ、ちょっと難しいことは全然よくわからないんだけど、とりあえず、この山を越えたいってことで合ってる?」
「そうだ」
「わかった!でも、この時間でこの位置だと、下山するときには夜になっちゃうよ!頂上に山小屋があるから、そこでひと晩休んだら?」
弥生は明るく提案する。しかし、弥生の提案に四葉が尋ねた。
「一応急いでいるので、なんとか素早く山を越えられませんか?夜に下山することになっても構いませんから」
「山を甘く見ちゃいけないよ!山ってとっても危ないんだよ?みんなの装備じゃ頂上に行くのだって時間かかるし、疲れるし、疲れ切った体で夜になってから下山するのなんて、危ないなんてものじゃないよ!やめたほうがいいってば!」
弥生が大きく目を見開きながら言う。持ち前の明るさの中に必死さが混ざっているのが、幸紀たちにもよくわかった。弥生のそんな様子から危険度を察した日菜子は、幸紀に提案した。
「幸紀さん、弥生ちゃんの提案に従ってみていいんじゃないでしょうか。山には詳しいみたいだし、悪い人でもなさそうですよ」
「…いいだろう。弥生、俺たちを案内してくれるか」
日菜子の提案を採用した幸紀は、弥生に頼み込む。弥生は満面の無邪気な笑みを浮かべると、のびのびと手を上げ、一行の前を歩き始めた。
「いいよー!さ、ついてきて!」
弥生は軽い身のこなしで、先ほどまで結依や四葉が苦戦していた石段を登っていく。幸紀、日菜子、晴夏の3人は、そのすぐ後ろに続いたが、四葉と結依は列の最後尾をゆっくりと歩き始め、日菜子と晴夏が二人を手伝いながら登っていくのだった。
6人は歩いていくうち、2列になって進み始める。その列の先頭を行くのは、幸紀と弥生で、弥生は自分の隣を息も切らさずに歩く幸紀を見ると、思い出したように話し始めた。
「あ、そうだ。今、うちの山小屋にもうひとりお客さんが来てるんだけど、いいよね?」
「客?何者だ?」
「私のお友達!ちょうどみんなくらいの歳の女の子で、冥綺《くらき》明宵《あけよ》ちゃんって言うんだ!」
「冥綺…だと…!」
弥生の何気ない言葉に、幸紀は大きく反応する。弥生は短く頷いて話を流したが、結依の心の中にいる悪魔、サリーは、幸紀の心の反応に気がつき、魔力で幸紀の脳内に話しかけてきた。
(ちょっとコーキぃ、なに私以外の女にそう反応してんのさ。どこのどいつよ、その女)
(この国の有名財閥のひとつ、冥綺財閥のひとり娘だ)
(金持ちの娘?コーキぃ、そんな世間知らずのガキより、私の方が何倍もコーキを楽しませてあげられるよ?)
(そんなことはどうでもいい。その娘は、この国における霊力研究の第一人者なんだ。同時に、人間としては規格外の霊力を有する存在としても有名だ)
(そんなすごいの?) (あぁ。俺がなんの問題もなく悪魔軍のままだったら、真っ先にこの女は斬りに行っただろう。それほどまでに強力な女だ。絶対に味方につけ、悪魔を滅ぼす戦力にするぞ)
幸紀はサリーに魔力でそう言い切ると、わずかに口角を上げて微笑む。横で自己紹介をしあう弥生や日菜子たちの雑談を聞き流し、幸紀はひとり脳内で明宵との会話のシミュレーションを繰り広げるのだった。
17:00
1時間半の間、山を登りながら、一行は雑談を交わしつつ弥生に自己紹介をしていく。頂上が近づいてきたころ、日菜子が星霊隊について説明をしていると、弥生は興味深そうに頷いた。
「みんなのことはわかったよ!それにしても、星霊隊って、面白そうだね!明宵ちゃんが聞いたらきっと入りたがると思うよ!明宵ちゃんも霊力すっごく強いし!」
「弥生も、よかったら一緒にどう?弥生も霊力が使えるみたいだし、いてくれたら頼もしいんだけどな」
星霊隊について好意的な反応を見せる弥生を、日菜子は勧誘する。幸紀はすぐに頷いた弥生を、横目で見ていた。
「うんうん!私も混ぜて混ぜて!みんなで楽しくやってこ!」
「やった!いいですよね、幸紀さん!?」
日菜子は弥生の反応を見てから幸紀に尋ねる。幸紀は少し口角を上げて頷いた。
「あぁ。実力者なら大歓迎だ」
「じゃあもっとニコニコしてよー、幸紀くんー」
短く答えるだけの幸紀に、弥生は不満そうに頬を膨らませる。そんな弥生を、晴夏が軽く宥めた。
「弥生、勘弁してやってくれよ。この人無口でわかりにくいだけなんだ。本音はめっちゃ喜んでるよ」
「そーなの?んー、じゃあいっか!」
「切り替えはっや」
弥生の態度を見て晴夏が言うと、幸紀以外の女性たちは笑い始める。その間に幸紀はもうすぐ開けたところに出ることに気がついた。
「頂上か」
「うん!こっちこっち!」
弥生は足を速め、先に頂上に辿り着くと全員を誘導する。幸紀たちはそれに従って山を登り切ると、頂上に辿り着いた。
四葉と結依が肩で息をしている横で、弥生は明るく話し始めた。
「はい、お疲れ様!龍明山の山小屋兼、私のおうちに到着でーす!」
「いやぁ、いい汗流したね!」
「はぁはぁ…も、もうダメです…足が…」
爽やかに笑顔を見せる日菜子に対し、四葉は座り込む。弥生はそんな様子を見ると、笑顔のまま話し始めた。
「大丈夫!みんなが休めるように、お風呂を用意してあるよ!みんながお風呂入っている間に、私が夕飯作っておくから、お風呂入っちゃって!」
「やった!って待てよ、幸紀さんも一緒に入るの?」
弥生の指示に、晴夏が尋ねる。弥生は幸紀に気がつくと、思い出したように頭を抱えた。
「あー…」
「俺は後でいい。お前たちが先に入れ」
「いいんですか?」
「あぁ。俺は先客と話がしたい」
幸紀が女性陣に言うと、女性たちは遠慮がちに会釈をする。弥生はそんな様子を見ると、両手を合わせて打ち鳴らした。
「じゃ、決まりだね!幸紀くん、あそこの建物の104号室に明宵ちゃんいるから、お話ししてて!他のみんなは私についてきて!」
弥生はそう言うと、女性たちを引き連れて歩いていく。ひとり残された幸紀は、弥生に言われたログハウスを眺めていた。
(冥綺財閥の娘…これだけの強者、必ず味方にしてやる)
幸紀はそう心に誓うと、ログハウスに歩き始めた。
日菜子はその女性に尋ねる。女性はワイヤーを回収しながら、明るい声で日菜子に答えた。
「うん!最近悪魔も増えてきてるって話だから、悪魔対策で作ったんだ!まさか人間がひっかかるとは思ってなかったけどね」
「それにしても少しやりすぎでは…?」
「こっち側の道って険しいから人が来ないんだ。それこそ来るのなんて悪魔くらいだよ!」
結依の問いに、女性は明るく笑顔で答える。女性はワイヤーを回収して斜めがけにしていたバッグの中にしまうと、軽い足取りで幸紀たち一行の前に歩いてくると、笑顔を見せた。
「びっくりさせちゃってごめんね!私は辰馬《たつま》弥生《やよい》!この山で暮らしてて、普段はハイキングに来た人の案内とかをしてるよ!お兄さんたちは…見ない顔だけど、どこの人?」
幸紀たちの前に立つ、色白の肌に、緑白色の長髪と緑色の帽子を被った、弥生と名乗る女性は、幸紀たちを見回して尋ねる。幸紀はメンバーを代表して話し始めた。
「俺は東雲幸紀。清峰侯爵の部下で、霊橋区にある彼女の屋敷を目指してる。この女性たちは、清峰侯爵が結成した悪魔に対抗する部隊、『星霊隊』のメンバーたちだ」
「幸紀くん、だね!まぁ、ちょっと難しいことは全然よくわからないんだけど、とりあえず、この山を越えたいってことで合ってる?」
「そうだ」
「わかった!でも、この時間でこの位置だと、下山するときには夜になっちゃうよ!頂上に山小屋があるから、そこでひと晩休んだら?」
弥生は明るく提案する。しかし、弥生の提案に四葉が尋ねた。
「一応急いでいるので、なんとか素早く山を越えられませんか?夜に下山することになっても構いませんから」
「山を甘く見ちゃいけないよ!山ってとっても危ないんだよ?みんなの装備じゃ頂上に行くのだって時間かかるし、疲れるし、疲れ切った体で夜になってから下山するのなんて、危ないなんてものじゃないよ!やめたほうがいいってば!」
弥生が大きく目を見開きながら言う。持ち前の明るさの中に必死さが混ざっているのが、幸紀たちにもよくわかった。弥生のそんな様子から危険度を察した日菜子は、幸紀に提案した。
「幸紀さん、弥生ちゃんの提案に従ってみていいんじゃないでしょうか。山には詳しいみたいだし、悪い人でもなさそうですよ」
「…いいだろう。弥生、俺たちを案内してくれるか」
日菜子の提案を採用した幸紀は、弥生に頼み込む。弥生は満面の無邪気な笑みを浮かべると、のびのびと手を上げ、一行の前を歩き始めた。
「いいよー!さ、ついてきて!」
弥生は軽い身のこなしで、先ほどまで結依や四葉が苦戦していた石段を登っていく。幸紀、日菜子、晴夏の3人は、そのすぐ後ろに続いたが、四葉と結依は列の最後尾をゆっくりと歩き始め、日菜子と晴夏が二人を手伝いながら登っていくのだった。
6人は歩いていくうち、2列になって進み始める。その列の先頭を行くのは、幸紀と弥生で、弥生は自分の隣を息も切らさずに歩く幸紀を見ると、思い出したように話し始めた。
「あ、そうだ。今、うちの山小屋にもうひとりお客さんが来てるんだけど、いいよね?」
「客?何者だ?」
「私のお友達!ちょうどみんなくらいの歳の女の子で、冥綺《くらき》明宵《あけよ》ちゃんって言うんだ!」
「冥綺…だと…!」
弥生の何気ない言葉に、幸紀は大きく反応する。弥生は短く頷いて話を流したが、結依の心の中にいる悪魔、サリーは、幸紀の心の反応に気がつき、魔力で幸紀の脳内に話しかけてきた。
(ちょっとコーキぃ、なに私以外の女にそう反応してんのさ。どこのどいつよ、その女)
(この国の有名財閥のひとつ、冥綺財閥のひとり娘だ)
(金持ちの娘?コーキぃ、そんな世間知らずのガキより、私の方が何倍もコーキを楽しませてあげられるよ?)
(そんなことはどうでもいい。その娘は、この国における霊力研究の第一人者なんだ。同時に、人間としては規格外の霊力を有する存在としても有名だ)
(そんなすごいの?) (あぁ。俺がなんの問題もなく悪魔軍のままだったら、真っ先にこの女は斬りに行っただろう。それほどまでに強力な女だ。絶対に味方につけ、悪魔を滅ぼす戦力にするぞ)
幸紀はサリーに魔力でそう言い切ると、わずかに口角を上げて微笑む。横で自己紹介をしあう弥生や日菜子たちの雑談を聞き流し、幸紀はひとり脳内で明宵との会話のシミュレーションを繰り広げるのだった。
17:00
1時間半の間、山を登りながら、一行は雑談を交わしつつ弥生に自己紹介をしていく。頂上が近づいてきたころ、日菜子が星霊隊について説明をしていると、弥生は興味深そうに頷いた。
「みんなのことはわかったよ!それにしても、星霊隊って、面白そうだね!明宵ちゃんが聞いたらきっと入りたがると思うよ!明宵ちゃんも霊力すっごく強いし!」
「弥生も、よかったら一緒にどう?弥生も霊力が使えるみたいだし、いてくれたら頼もしいんだけどな」
星霊隊について好意的な反応を見せる弥生を、日菜子は勧誘する。幸紀はすぐに頷いた弥生を、横目で見ていた。
「うんうん!私も混ぜて混ぜて!みんなで楽しくやってこ!」
「やった!いいですよね、幸紀さん!?」
日菜子は弥生の反応を見てから幸紀に尋ねる。幸紀は少し口角を上げて頷いた。
「あぁ。実力者なら大歓迎だ」
「じゃあもっとニコニコしてよー、幸紀くんー」
短く答えるだけの幸紀に、弥生は不満そうに頬を膨らませる。そんな弥生を、晴夏が軽く宥めた。
「弥生、勘弁してやってくれよ。この人無口でわかりにくいだけなんだ。本音はめっちゃ喜んでるよ」
「そーなの?んー、じゃあいっか!」
「切り替えはっや」
弥生の態度を見て晴夏が言うと、幸紀以外の女性たちは笑い始める。その間に幸紀はもうすぐ開けたところに出ることに気がついた。
「頂上か」
「うん!こっちこっち!」
弥生は足を速め、先に頂上に辿り着くと全員を誘導する。幸紀たちはそれに従って山を登り切ると、頂上に辿り着いた。
四葉と結依が肩で息をしている横で、弥生は明るく話し始めた。
「はい、お疲れ様!龍明山の山小屋兼、私のおうちに到着でーす!」
「いやぁ、いい汗流したね!」
「はぁはぁ…も、もうダメです…足が…」
爽やかに笑顔を見せる日菜子に対し、四葉は座り込む。弥生はそんな様子を見ると、笑顔のまま話し始めた。
「大丈夫!みんなが休めるように、お風呂を用意してあるよ!みんながお風呂入っている間に、私が夕飯作っておくから、お風呂入っちゃって!」
「やった!って待てよ、幸紀さんも一緒に入るの?」
弥生の指示に、晴夏が尋ねる。弥生は幸紀に気がつくと、思い出したように頭を抱えた。
「あー…」
「俺は後でいい。お前たちが先に入れ」
「いいんですか?」
「あぁ。俺は先客と話がしたい」
幸紀が女性陣に言うと、女性たちは遠慮がちに会釈をする。弥生はそんな様子を見ると、両手を合わせて打ち鳴らした。
「じゃ、決まりだね!幸紀くん、あそこの建物の104号室に明宵ちゃんいるから、お話ししてて!他のみんなは私についてきて!」
弥生はそう言うと、女性たちを引き連れて歩いていく。ひとり残された幸紀は、弥生に言われたログハウスを眺めていた。
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