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第1部 星霊隊結成
第5話(2)操り人形の糸を切れ
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鋭い氷柱のようなものが3つ、一行が乗っているバスに向けて飛んできていた。
「日菜子ぉっ!!」
晴夏が思わず叫ぶ。日菜子はそれに答えることもなく、バスのハンドルを右に切る。
氷柱はバスの角を掠め、バスは氷柱とすれ違った。
「よし!」
日菜子は思わず口角を上げる。しかし、直後後ろの席にいた結依が声を上げた。
「ダメです、まだ追ってきてます!」
「えぇっ!?」
日菜子は車の外に取り付けられたバックミラーを見る。確かに避けたはずの氷柱が、真っ直ぐこちらに向かってきていた。
日菜子が思わず息を呑む中、四葉が声を張った。
「辰馬さん!撃ち落とせますか!?」
「よーし、まっかせて!」
四葉に言われると、弥生は霊力で武器であるライフル銃を発現させつつ、バスの後部座席に駆けていく。事前に後部座席にいた結依は、弥生が来るなり射撃のために後部座席の窓を開ける。
瞬間、結依と弥生の体にとてつもない暴風雪が吹きつけた。雪といってもひと粒ひと粒が1センチほどの大きさの雹である。
「あいたた!さむううう!!!」
「こごえちゃうよぉ!!さっさと終わらせよ!」
悲鳴をあげる結依と弥生だったが、弥生はすぐさま自分たちの乗るバスに迫って来る氷柱にライフル銃の狙いを定め、引き金を3度引く。
銃弾は飛んできた3つの氷柱のうち2つを撃ち落としたが、最後のひとつは銃弾を避け、バスに迫ってきた。
「嘘でしょ!?」
弥生が思わず声を上げていると、すぐさま結依も自分の武器であるクロスボウガンを発現させ、一気に3本の矢を装填し、氷柱に向けた。
「『キャロルズ・ミラー』!」
結依が声を張ると、3本の矢が、正三角形の頂点になるように飛んでいく。氷柱がその正三角形の中心にきたかと思うと、次の瞬間、赤色で正三角形のバリアが展開され、氷柱を跳ね返し、地面へと激突させた。
「わ!すごい!」
「閉めましょう、窓!」
弥生の褒め言葉をよそに、結依はそう言って後部座席の窓を閉め、雹が入ってこないようにする。弥生と結依は、息も絶え絶えになりながら、彼女たちが膝を載せていた長座席に腰を下ろした。
「ナイスだぜ、2人とも!」
晴夏は結依と弥生を褒め称える。褒められた2人は、疲れ果てた様子で親指を立てた。
その間に、四葉は明宵の方に向き直った。
「冥綺さん、この事態が起きている原因、知ってるんですか?」
四葉が尋ねると、明宵は頷いてから話し始めた。
「…えぇ…先ほどの吹雪で確信に変わりました…今起きている原因は、2人の人間です」
「人間?悪魔じゃないの?」
明宵の言葉に、日菜子が疑問をぶつける。明宵は頷いた。
「…おそらく悪魔も関係していると思います…悪魔がその2人を利用しているのです」
「どういうこと?悪魔に協力してる人間ってことか?」
「協力『させられている』のでしょう…」
晴夏の質問にも、明宵は短く答える。明宵はそのまま話を続けた。
「2人の人間とは、霜山《しもやま》雪奈《せつな》と風音《かざね》咲来《さき》。それぞれ氷の霊力と風の霊力を操る、人並み外れて強力な霊力使用者です。私の研究にも協力してくれました」
「そんな強い人たちがなんで人間を攻撃するんだ?なんで悪魔に協力させられてるんだ?」
晴夏が尋ねると、その質問に答えたのは、幸紀だった。
「彼女たち2人は、悪魔と人間のハーフだ…」
幸紀はまだ震えていたが、ロングコートの襟を立てながらゆっくり椅子に座る。幸紀の発した言葉に、明宵以外の4人は驚きを隠せなかった。
「どういうこと?なんで幸紀くんはそんなこと知ってるのー?」
「…言っただろう…人を集めていると…強者の情報はひと通り集めてる…そしてさっきから感じるこの魔力…おそらく悪魔軍の傀儡電波《かいらいでんぱ》だろう…おおかたその2人は悪魔軍に捕まり、操られている、といったところか」
「かいらいでんぱ…?」
「悪魔軍の兵器だ…悪魔の血が入っている者を電波によって操る兵器…普通は霊力で跳ね返せるが、専用の装置を相手に取り付ければ強引に操れる…かつてこれを利用した事件があった」
幸紀が女性陣に推測を述べる。運転しながら聞いていた日菜子は、それを聞くと幸紀に尋ねた。
「じゃあ、その装置を外せば、2人は正気に戻るんですか?」
「そのはずだ」
「だったら、2人を助け出しましょう!そして星霊隊に入ってもらいましょうよ!」
日菜子が幸紀や他のメンバーたちに言う。すぐに晴夏と弥生は賛同したが、結依が不安そうに尋ねた。
「でも、この吹雪の中、2人を探すんですか?見つける前に私たちがこごえちゃいますよぉ…」
「…いえ、2人を見つける手はあります」
結依の言葉に対し、明宵が小さく言う。全員が明宵の方に振り向くと、明宵は自分の霊力で本を発現させ、それを開いた。
「さきほども言った通り、あの2人の霊力は並外れて強力…そのためその発生源を探知するのは容易です…このように」
明宵がそう言うと、灰色の光が本の上に集まり、矢印のようなものが浮かび上がる。矢印は、バスの進行方向を指していた。
「この矢印は近い方に反応します…つまり、少なくとも2人のうちどちらかは、この矢印の方角にいます」
「その矢印の示す方向に行けばいいんだね!幸紀さん!いいですよね!?」
明宵の解説を聞いた日菜子は、幸紀に尋ねる。幸紀は頷いた。
「…いいだろう。星霊隊は、これより霜山雪奈と風音咲来の救出を開始する」
幸紀が言うと、日菜子たちは威勢よく返事をする。それを聞き、幸紀は寒さに震えながら立ち上がった。
「その2人の救出はお前たちに任せる…俺は別行動だ」
「え?どこに行くんですか!?」
幸紀の言葉に四葉が驚くと、幸紀は霊力を左手に集中させ、日本刀を発現させた。
「言っただろう、悪魔軍の傀儡電波が飛んでいると…その射程を考えれば、この街の中に悪魔軍がいる…俺はそいつらを倒し、電波を止める」
「お願いします!私たちは絶対に雪奈ちゃんと咲来ちゃんを助けますから!」
幸紀の言葉を聞くと、日菜子はすぐにそう言って頭を下げる。同時に、明宵が声を発した。
「…このビルの屋上です…!」
「わかった!」
明宵の指示を聞き、日菜子はすぐ近くにあった建物の前の道路にバスを停める。雹がバスのルーフを叩く音が響く中、日菜子は他のメンバーたちに声をかけた。
「いい、皆!これから一気にビルに入って、女の子を助け出す!何が起きるかわからないから、皆気をつけて行こう!」
「了解!」
日菜子がリーダーらしくメンバーたちに言うと、他のメンバーたちは自分の武器を発現させながら答える。日菜子は幸紀の方に向いた。
「幸紀さん!幸紀さんも、気をつけて!」
「あぁ。さっさと行って助け出してこい」
「はい!皆、行くよ!」
日菜子はそう言ってバスのドアを開ける。すぐに吹雪の中に晴夏が飛び込んだのを皮切りに、次々とメンバーたちが降りてビルを目指して駆け出す。
最後の日菜子がバスを降りたのを確認すると、幸紀は思わずその場に膝を折る。
そして日菜子たち全員がビルの中に入り、姿が見えなくなったのを確認すると震え始めた。
「う…っ…!」
それと同時に、幸紀の姿が変わっていく。普通の人間だった肌は、徐々に漆黒の色に変化し、黒かった髪は白く変化し、黒い肌に輝く水色の線が走る、明らかに人間ではない姿に成り変わった。
「はぁぁっ…はぁぁっ…」
幸紀の体から震えがなくなる。幸紀は自分の体が完全に変化したことを認識すると、大きく息を吸って立ち上がった。
(…これほど強力な霊力を長時間浴びるとは思わなかった…まさか変装を保つだけでもここまで消耗するとは…)
幸紀はそう思いながら、雹の降りしきる街に降り立つ。バスのバックミラーに映る自分の姿は、やはり人間の姿ではなく、本来の自分の姿だった。
(…あの女たちにこの姿を見られる前にケリをつけるぞ)
幸紀はひとりそう決意すると、そこら中が氷漬けになっている街の中を歩いていくのだった。
「日菜子ぉっ!!」
晴夏が思わず叫ぶ。日菜子はそれに答えることもなく、バスのハンドルを右に切る。
氷柱はバスの角を掠め、バスは氷柱とすれ違った。
「よし!」
日菜子は思わず口角を上げる。しかし、直後後ろの席にいた結依が声を上げた。
「ダメです、まだ追ってきてます!」
「えぇっ!?」
日菜子は車の外に取り付けられたバックミラーを見る。確かに避けたはずの氷柱が、真っ直ぐこちらに向かってきていた。
日菜子が思わず息を呑む中、四葉が声を張った。
「辰馬さん!撃ち落とせますか!?」
「よーし、まっかせて!」
四葉に言われると、弥生は霊力で武器であるライフル銃を発現させつつ、バスの後部座席に駆けていく。事前に後部座席にいた結依は、弥生が来るなり射撃のために後部座席の窓を開ける。
瞬間、結依と弥生の体にとてつもない暴風雪が吹きつけた。雪といってもひと粒ひと粒が1センチほどの大きさの雹である。
「あいたた!さむううう!!!」
「こごえちゃうよぉ!!さっさと終わらせよ!」
悲鳴をあげる結依と弥生だったが、弥生はすぐさま自分たちの乗るバスに迫って来る氷柱にライフル銃の狙いを定め、引き金を3度引く。
銃弾は飛んできた3つの氷柱のうち2つを撃ち落としたが、最後のひとつは銃弾を避け、バスに迫ってきた。
「嘘でしょ!?」
弥生が思わず声を上げていると、すぐさま結依も自分の武器であるクロスボウガンを発現させ、一気に3本の矢を装填し、氷柱に向けた。
「『キャロルズ・ミラー』!」
結依が声を張ると、3本の矢が、正三角形の頂点になるように飛んでいく。氷柱がその正三角形の中心にきたかと思うと、次の瞬間、赤色で正三角形のバリアが展開され、氷柱を跳ね返し、地面へと激突させた。
「わ!すごい!」
「閉めましょう、窓!」
弥生の褒め言葉をよそに、結依はそう言って後部座席の窓を閉め、雹が入ってこないようにする。弥生と結依は、息も絶え絶えになりながら、彼女たちが膝を載せていた長座席に腰を下ろした。
「ナイスだぜ、2人とも!」
晴夏は結依と弥生を褒め称える。褒められた2人は、疲れ果てた様子で親指を立てた。
その間に、四葉は明宵の方に向き直った。
「冥綺さん、この事態が起きている原因、知ってるんですか?」
四葉が尋ねると、明宵は頷いてから話し始めた。
「…えぇ…先ほどの吹雪で確信に変わりました…今起きている原因は、2人の人間です」
「人間?悪魔じゃないの?」
明宵の言葉に、日菜子が疑問をぶつける。明宵は頷いた。
「…おそらく悪魔も関係していると思います…悪魔がその2人を利用しているのです」
「どういうこと?悪魔に協力してる人間ってことか?」
「協力『させられている』のでしょう…」
晴夏の質問にも、明宵は短く答える。明宵はそのまま話を続けた。
「2人の人間とは、霜山《しもやま》雪奈《せつな》と風音《かざね》咲来《さき》。それぞれ氷の霊力と風の霊力を操る、人並み外れて強力な霊力使用者です。私の研究にも協力してくれました」
「そんな強い人たちがなんで人間を攻撃するんだ?なんで悪魔に協力させられてるんだ?」
晴夏が尋ねると、その質問に答えたのは、幸紀だった。
「彼女たち2人は、悪魔と人間のハーフだ…」
幸紀はまだ震えていたが、ロングコートの襟を立てながらゆっくり椅子に座る。幸紀の発した言葉に、明宵以外の4人は驚きを隠せなかった。
「どういうこと?なんで幸紀くんはそんなこと知ってるのー?」
「…言っただろう…人を集めていると…強者の情報はひと通り集めてる…そしてさっきから感じるこの魔力…おそらく悪魔軍の傀儡電波《かいらいでんぱ》だろう…おおかたその2人は悪魔軍に捕まり、操られている、といったところか」
「かいらいでんぱ…?」
「悪魔軍の兵器だ…悪魔の血が入っている者を電波によって操る兵器…普通は霊力で跳ね返せるが、専用の装置を相手に取り付ければ強引に操れる…かつてこれを利用した事件があった」
幸紀が女性陣に推測を述べる。運転しながら聞いていた日菜子は、それを聞くと幸紀に尋ねた。
「じゃあ、その装置を外せば、2人は正気に戻るんですか?」
「そのはずだ」
「だったら、2人を助け出しましょう!そして星霊隊に入ってもらいましょうよ!」
日菜子が幸紀や他のメンバーたちに言う。すぐに晴夏と弥生は賛同したが、結依が不安そうに尋ねた。
「でも、この吹雪の中、2人を探すんですか?見つける前に私たちがこごえちゃいますよぉ…」
「…いえ、2人を見つける手はあります」
結依の言葉に対し、明宵が小さく言う。全員が明宵の方に振り向くと、明宵は自分の霊力で本を発現させ、それを開いた。
「さきほども言った通り、あの2人の霊力は並外れて強力…そのためその発生源を探知するのは容易です…このように」
明宵がそう言うと、灰色の光が本の上に集まり、矢印のようなものが浮かび上がる。矢印は、バスの進行方向を指していた。
「この矢印は近い方に反応します…つまり、少なくとも2人のうちどちらかは、この矢印の方角にいます」
「その矢印の示す方向に行けばいいんだね!幸紀さん!いいですよね!?」
明宵の解説を聞いた日菜子は、幸紀に尋ねる。幸紀は頷いた。
「…いいだろう。星霊隊は、これより霜山雪奈と風音咲来の救出を開始する」
幸紀が言うと、日菜子たちは威勢よく返事をする。それを聞き、幸紀は寒さに震えながら立ち上がった。
「その2人の救出はお前たちに任せる…俺は別行動だ」
「え?どこに行くんですか!?」
幸紀の言葉に四葉が驚くと、幸紀は霊力を左手に集中させ、日本刀を発現させた。
「言っただろう、悪魔軍の傀儡電波が飛んでいると…その射程を考えれば、この街の中に悪魔軍がいる…俺はそいつらを倒し、電波を止める」
「お願いします!私たちは絶対に雪奈ちゃんと咲来ちゃんを助けますから!」
幸紀の言葉を聞くと、日菜子はすぐにそう言って頭を下げる。同時に、明宵が声を発した。
「…このビルの屋上です…!」
「わかった!」
明宵の指示を聞き、日菜子はすぐ近くにあった建物の前の道路にバスを停める。雹がバスのルーフを叩く音が響く中、日菜子は他のメンバーたちに声をかけた。
「いい、皆!これから一気にビルに入って、女の子を助け出す!何が起きるかわからないから、皆気をつけて行こう!」
「了解!」
日菜子がリーダーらしくメンバーたちに言うと、他のメンバーたちは自分の武器を発現させながら答える。日菜子は幸紀の方に向いた。
「幸紀さん!幸紀さんも、気をつけて!」
「あぁ。さっさと行って助け出してこい」
「はい!皆、行くよ!」
日菜子はそう言ってバスのドアを開ける。すぐに吹雪の中に晴夏が飛び込んだのを皮切りに、次々とメンバーたちが降りてビルを目指して駆け出す。
最後の日菜子がバスを降りたのを確認すると、幸紀は思わずその場に膝を折る。
そして日菜子たち全員がビルの中に入り、姿が見えなくなったのを確認すると震え始めた。
「う…っ…!」
それと同時に、幸紀の姿が変わっていく。普通の人間だった肌は、徐々に漆黒の色に変化し、黒かった髪は白く変化し、黒い肌に輝く水色の線が走る、明らかに人間ではない姿に成り変わった。
「はぁぁっ…はぁぁっ…」
幸紀の体から震えがなくなる。幸紀は自分の体が完全に変化したことを認識すると、大きく息を吸って立ち上がった。
(…これほど強力な霊力を長時間浴びるとは思わなかった…まさか変装を保つだけでもここまで消耗するとは…)
幸紀はそう思いながら、雹の降りしきる街に降り立つ。バスのバックミラーに映る自分の姿は、やはり人間の姿ではなく、本来の自分の姿だった。
(…あの女たちにこの姿を見られる前にケリをつけるぞ)
幸紀はひとりそう決意すると、そこら中が氷漬けになっている街の中を歩いていくのだった。
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