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第1部 星霊隊結成
第12話(5)紡いできた軌跡
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同じ頃 清峰屋敷
屋敷の2階、医療室で待機していた清峰たちにも、外の状況は見えていた。
「両方の煙が止まった…それに押し寄せていた悪魔の大群も…もう気配すらもない…」
清峰は、幸紀や星霊隊のメンバーたちの活躍を目の当たりにし、思わず言葉を漏らす。そんな清峰のもとに、心愛と望がやってきた。
「清峰さーん!『星霊隊』のもう1台のバスが来ましたよ!」
「それと、南の方角からも複数台のバスが来ています。一時的にバリケードを解除して、中に入れますね」
「南の方角…珠緒が呼んでくれた救援か…!!」
心愛と望の報告を聞くと、思わず清峰も表情をほころばせる。近くで休んでいた焔、真理子、キララも、同じように安堵の表情を見せていた。
「よかった…珠緒、うまくやってくれたのね…」
「さすがメイド長、人選に狂いなし、だね!」
胸を押さえて微笑む焔に対し、真理子が笑顔で背中に手を置く。2人は互いの顔をみあうと、小さく微笑みあった。
「ああちょっと、侯爵、なにをしてるんです」
そんななか、同じく医療室にいた璃子が清峰に声をかける。清峰はスーツのジャケットを着直すと、立ち上がって医療室を出ようとしていた。
「屋敷の主として、来客は出迎えねばならない。ましてや命の恩人たちともなれば、なおさらだ」
「しかし」
「戦闘をするわけではない。指示を出して礼を言うだけだ」
「…それだけなら。私も一緒に行きます」
清峰に説得されると、璃子も言う。それを見た焔も立ち上がると、璃子に頼み始めた。
「先生、私たちも侯爵の護衛をさせてもらいます」
「えっ?ちょっと待ってください、あなたたちこそ安静に…」
動き始めた焔、真理子、キララに対し、璃子は慌てて止めようとする。しかし、逆に心愛と望がそれを止めた。
「大丈夫だよ!心愛がバッチリ癒したから!」
「私たちも一緒に行って見張りますから、大丈夫ですよ。行きましょう?」
「…いいわ」
璃子はふたりの説得にも折れると、清峰やそのメイドたちと共に下の階へと降りていくのだった。
数分後
屋敷の1階まで降りてきた清峰は、一緒にきたメイドたちと共に屋敷の扉を開ける。
つい先程まで悪魔で溢れかえっていたはずの屋敷の前には、10台を超えるバスに加え、『星霊隊』のメンバーである女性たちの姿と、華燐に肩を担がれている珠緒の姿があった。
「侯爵…!!メイド長…!!」
「珠緒!よく戻った!」
珠緒は足を引きずりながら清峰と焔のもとに駆け寄る。すぐに焔が珠緒を抱きしめるように受け止めた。
「生き延びてくれて本当によかった…!」
「メイド長…!!」
焔の感極まった言葉に、珠緒の瞳から涙が溢れる。真理子とキララも焔と珠緒を抱き寄せる横で、清峰は朋夜と明宵の方へ向き直った。
「月暈朋夜さんに、冥綺明宵さんで間違いないでしょうか」
「はい、清峰侯爵。月暈神社の名代として、『星霊隊』に協力させていただいています」
「…冥綺財閥も『星霊隊』に協力します。こちらのバスは、我々の気持ちです…どうぞ避難に使ってください」
「心から感謝します」
朋夜や明宵の言葉を聞き、清峰は深々と頭を下げる。朋夜と明宵も礼を返すと、華燐が横を向き、何かに気がついた。
「あ、日菜子さんたち!」
華燐の言葉の通り、山から降りてきた日菜子たちが姿を現し、メンバーたちの中に加わる。早速日菜子たちは、その場にいる女性たちに気がつくと、声をかけた。
「そっちのバスのみんな、久しぶりだね!」
「朋夜たちも無事みてぇだな!よかったぜ!」
「みなさん元気でしたか!?」
星霊隊の女性たちは、お互いに再会を喜び合い、顔を突き合わせて笑い合う。メイドの4人や、望、心愛、璃子たちもその輪に加わる中、清峰は一歩引いてその様子を見ていた。
(…全員合わせて、24人、か。これだけ多くの人々が、悪魔と戦うためにやってきてくれた…これも、幸紀が旅の途上、必死に戦ってくれたおかげだろう…彼のおかげで私たちは救われ、悪魔に一矢報いることができる…幸紀がいてくれて、本当によかった…)
清峰は掛けていたメガネを外し、両手で目元を覆う。そして大きく息を吐いてから、メガネを掛け直した。
そのままふと、清峰は横に目をやる。
黒いロングコートを羽織り、右手に日本刀を握りしめた剣士が、下を向いてフラフラと清峰たちの方へと歩いてきていた。
「幸紀…!」
清峰はその彼のもとに走る。清峰の声に気がついた星霊隊の他の女性たちも、清峰と彼の方へと振り向いた。
「大丈夫か!幸紀!」
清峰はその男に声をかける。男が清峰の方に倒れ込むと、清峰は咄嗟にしゃがみこんでその男を支えた。
「幸紀…!しっかりしろ、幸紀…!死ぬな!」
「…侯…爵…」
「ああそうだ、私だ!私の声を聞け、幸紀!お前のおかげで私たちは救われた!お前が旅の道中、大勢の人を救ってくれたから、『星霊隊』ができあがり、今私たちは生きているんだ!全てお前のおかげだ、だから幸紀!死ぬな、しっかりしてくれ!」
清峰はその男の耳に訴えかける。
清峰に支えられながら、その男は小さく微笑んだ。
「俺の…おかげ…?」
「ああそうだ、お前のおかげだ!」
「…キヘヘヘ!!!」
「!?」
清峰の腕に支えられているその男が、突如として不気味な笑い声を上げる。清峰は瞬間的にその男を突き放そうとするが、男はそれよりも早く清峰を抱きかかえると、清峰の首を締め上げた。
「ぐっ…!!」
「侯爵!!」
異変に気がついた焔がすぐさま清峰のもとに駆けつけようとする。しかし、その男は清峰を盾にするように拘束すると、右手に握っていた刀を清峰の首筋に突きつける。その光景を見た焔や他の女性たちは、動きを止めた。
「何をしている焔…!こんな悪魔、私ごと…!!」
「しゃべるんじゃねぇ、クソアマ!」
首を絞められながら攻撃を指示する清峰に対し、清峰を拘束するその悪魔はより力を強める。日菜子や焔たちが攻撃を躊躇しているうちに、悪魔が羽織っていた黒いロングコートだった部分は徐々に崩れて煙に変わっていき、赤褐色の肌が露わになると、額には一本の大きな角が伸びた。
「女ども、そこを動くなよ!妙なことをすりゃあこの女をぶっ殺す!」
「あなた何者なんです!何が望みなんです!侯爵を離してください!」
四葉がその悪魔に対して質問を投げかける。悪魔はそれを鼻で笑い飛ばした。
「へっ!俺の名前はカザン!要求はまた後で伝える!」
「逃がすものか!」
カザンが言うと、カザンの背後からすみれが斧を振り下ろす。カザンは刀ですみれの斧を受け止め、すみれごと吹き飛ばすように弾き返す。
すぐさま弥生がカザンのこめかみを目掛けてライフルの引き金を引く。カザンは飛んでくる銃弾を直視しながら、刀を地面に突き立てた。
「あばよ!!」
カザンがそう言うと、カザンが刀を突き立てたところから、白と黒が入り混じった色の円が広がる。そして、銃弾が直撃しようとしたその寸前、カザンと清峰は、その円のなかに吸い込まれるように姿を消した。
「消えた…!?」
「早苗さま!!早苗さま!!」
菜々子が驚きを隠せないでいる一方、真理子が必死に清峰の名前を呼ぶ。他の女性たちも清峰を呼ぶが、清峰の返事は一切なかった。
「侯爵が…消えた…」
日菜子は目の前の事実を口にする。現実を思い知らされた星霊隊のメンバーたちはその場に立ち尽くすのだった。
屋敷の2階、医療室で待機していた清峰たちにも、外の状況は見えていた。
「両方の煙が止まった…それに押し寄せていた悪魔の大群も…もう気配すらもない…」
清峰は、幸紀や星霊隊のメンバーたちの活躍を目の当たりにし、思わず言葉を漏らす。そんな清峰のもとに、心愛と望がやってきた。
「清峰さーん!『星霊隊』のもう1台のバスが来ましたよ!」
「それと、南の方角からも複数台のバスが来ています。一時的にバリケードを解除して、中に入れますね」
「南の方角…珠緒が呼んでくれた救援か…!!」
心愛と望の報告を聞くと、思わず清峰も表情をほころばせる。近くで休んでいた焔、真理子、キララも、同じように安堵の表情を見せていた。
「よかった…珠緒、うまくやってくれたのね…」
「さすがメイド長、人選に狂いなし、だね!」
胸を押さえて微笑む焔に対し、真理子が笑顔で背中に手を置く。2人は互いの顔をみあうと、小さく微笑みあった。
「ああちょっと、侯爵、なにをしてるんです」
そんななか、同じく医療室にいた璃子が清峰に声をかける。清峰はスーツのジャケットを着直すと、立ち上がって医療室を出ようとしていた。
「屋敷の主として、来客は出迎えねばならない。ましてや命の恩人たちともなれば、なおさらだ」
「しかし」
「戦闘をするわけではない。指示を出して礼を言うだけだ」
「…それだけなら。私も一緒に行きます」
清峰に説得されると、璃子も言う。それを見た焔も立ち上がると、璃子に頼み始めた。
「先生、私たちも侯爵の護衛をさせてもらいます」
「えっ?ちょっと待ってください、あなたたちこそ安静に…」
動き始めた焔、真理子、キララに対し、璃子は慌てて止めようとする。しかし、逆に心愛と望がそれを止めた。
「大丈夫だよ!心愛がバッチリ癒したから!」
「私たちも一緒に行って見張りますから、大丈夫ですよ。行きましょう?」
「…いいわ」
璃子はふたりの説得にも折れると、清峰やそのメイドたちと共に下の階へと降りていくのだった。
数分後
屋敷の1階まで降りてきた清峰は、一緒にきたメイドたちと共に屋敷の扉を開ける。
つい先程まで悪魔で溢れかえっていたはずの屋敷の前には、10台を超えるバスに加え、『星霊隊』のメンバーである女性たちの姿と、華燐に肩を担がれている珠緒の姿があった。
「侯爵…!!メイド長…!!」
「珠緒!よく戻った!」
珠緒は足を引きずりながら清峰と焔のもとに駆け寄る。すぐに焔が珠緒を抱きしめるように受け止めた。
「生き延びてくれて本当によかった…!」
「メイド長…!!」
焔の感極まった言葉に、珠緒の瞳から涙が溢れる。真理子とキララも焔と珠緒を抱き寄せる横で、清峰は朋夜と明宵の方へ向き直った。
「月暈朋夜さんに、冥綺明宵さんで間違いないでしょうか」
「はい、清峰侯爵。月暈神社の名代として、『星霊隊』に協力させていただいています」
「…冥綺財閥も『星霊隊』に協力します。こちらのバスは、我々の気持ちです…どうぞ避難に使ってください」
「心から感謝します」
朋夜や明宵の言葉を聞き、清峰は深々と頭を下げる。朋夜と明宵も礼を返すと、華燐が横を向き、何かに気がついた。
「あ、日菜子さんたち!」
華燐の言葉の通り、山から降りてきた日菜子たちが姿を現し、メンバーたちの中に加わる。早速日菜子たちは、その場にいる女性たちに気がつくと、声をかけた。
「そっちのバスのみんな、久しぶりだね!」
「朋夜たちも無事みてぇだな!よかったぜ!」
「みなさん元気でしたか!?」
星霊隊の女性たちは、お互いに再会を喜び合い、顔を突き合わせて笑い合う。メイドの4人や、望、心愛、璃子たちもその輪に加わる中、清峰は一歩引いてその様子を見ていた。
(…全員合わせて、24人、か。これだけ多くの人々が、悪魔と戦うためにやってきてくれた…これも、幸紀が旅の途上、必死に戦ってくれたおかげだろう…彼のおかげで私たちは救われ、悪魔に一矢報いることができる…幸紀がいてくれて、本当によかった…)
清峰は掛けていたメガネを外し、両手で目元を覆う。そして大きく息を吐いてから、メガネを掛け直した。
そのままふと、清峰は横に目をやる。
黒いロングコートを羽織り、右手に日本刀を握りしめた剣士が、下を向いてフラフラと清峰たちの方へと歩いてきていた。
「幸紀…!」
清峰はその彼のもとに走る。清峰の声に気がついた星霊隊の他の女性たちも、清峰と彼の方へと振り向いた。
「大丈夫か!幸紀!」
清峰はその男に声をかける。男が清峰の方に倒れ込むと、清峰は咄嗟にしゃがみこんでその男を支えた。
「幸紀…!しっかりしろ、幸紀…!死ぬな!」
「…侯…爵…」
「ああそうだ、私だ!私の声を聞け、幸紀!お前のおかげで私たちは救われた!お前が旅の道中、大勢の人を救ってくれたから、『星霊隊』ができあがり、今私たちは生きているんだ!全てお前のおかげだ、だから幸紀!死ぬな、しっかりしてくれ!」
清峰はその男の耳に訴えかける。
清峰に支えられながら、その男は小さく微笑んだ。
「俺の…おかげ…?」
「ああそうだ、お前のおかげだ!」
「…キヘヘヘ!!!」
「!?」
清峰の腕に支えられているその男が、突如として不気味な笑い声を上げる。清峰は瞬間的にその男を突き放そうとするが、男はそれよりも早く清峰を抱きかかえると、清峰の首を締め上げた。
「ぐっ…!!」
「侯爵!!」
異変に気がついた焔がすぐさま清峰のもとに駆けつけようとする。しかし、その男は清峰を盾にするように拘束すると、右手に握っていた刀を清峰の首筋に突きつける。その光景を見た焔や他の女性たちは、動きを止めた。
「何をしている焔…!こんな悪魔、私ごと…!!」
「しゃべるんじゃねぇ、クソアマ!」
首を絞められながら攻撃を指示する清峰に対し、清峰を拘束するその悪魔はより力を強める。日菜子や焔たちが攻撃を躊躇しているうちに、悪魔が羽織っていた黒いロングコートだった部分は徐々に崩れて煙に変わっていき、赤褐色の肌が露わになると、額には一本の大きな角が伸びた。
「女ども、そこを動くなよ!妙なことをすりゃあこの女をぶっ殺す!」
「あなた何者なんです!何が望みなんです!侯爵を離してください!」
四葉がその悪魔に対して質問を投げかける。悪魔はそれを鼻で笑い飛ばした。
「へっ!俺の名前はカザン!要求はまた後で伝える!」
「逃がすものか!」
カザンが言うと、カザンの背後からすみれが斧を振り下ろす。カザンは刀ですみれの斧を受け止め、すみれごと吹き飛ばすように弾き返す。
すぐさま弥生がカザンのこめかみを目掛けてライフルの引き金を引く。カザンは飛んでくる銃弾を直視しながら、刀を地面に突き立てた。
「あばよ!!」
カザンがそう言うと、カザンが刀を突き立てたところから、白と黒が入り混じった色の円が広がる。そして、銃弾が直撃しようとしたその寸前、カザンと清峰は、その円のなかに吸い込まれるように姿を消した。
「消えた…!?」
「早苗さま!!早苗さま!!」
菜々子が驚きを隠せないでいる一方、真理子が必死に清峰の名前を呼ぶ。他の女性たちも清峰を呼ぶが、清峰の返事は一切なかった。
「侯爵が…消えた…」
日菜子は目の前の事実を口にする。現実を思い知らされた星霊隊のメンバーたちはその場に立ち尽くすのだった。
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