追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-

晴本吉陽

文字の大きさ
75 / 98
第1部 星霊隊結成

第13話(5)罠

しおりを挟む
チーム分け

A:日菜子、晴夏、麗奈、菜々子、結依、弥生、咲来、江美、華燐、→囚われた清峰の救出に向かう

B:璃子、千鶴、水咲、雪奈、焔、真理子、キララ、珠緒→屋敷で待機

C:四葉、すみれ、望、心愛→屋敷で一般人を避難誘導
 
D:明宵、朋夜、紫黄里→屋敷で結界を展開
 

その頃 星割山山頂
 夜の闇に紛れながら、日菜子率いる部隊が清峰の囚われている山頂を目指して草むらをかきわけて進んでいた。

「そろそろ山頂だよ!」

 山に詳しく、メンバーの先頭を進む弥生が、他の女性たちに報告する。それを聞きながら、ふと華燐がつぶやいた。

「いやぁ、ここまで悪魔もいなくてよかった」

「ね。ラクできてサイコー」

 華燐の言葉に、菜々子も歩きながら賛同する。そんな彼女たちの頭上から、風に乗っていた咲来が着地した。

「上から偵察してきました!悪魔はいません!侯爵も山頂にいます!」

「よし!このまま行こう!」

 咲来の報告を受け、日菜子は先に進む指示を出す。それに従い、星霊隊のメンバーたちは坂道をのぼり続ける。
 そうしているうちに、日菜子たちは獣道のような森の中を抜け、山頂の近くまでたどり着く。そこには、荒れ果てた簡易テントと、倒れている清峰の姿が見えた。

「お、侯爵だ!」

「麗奈、江美さんと一緒に侯爵のところへ!他のみんなは周囲を警戒しながら山を登って!」

 日菜子がハキハキと指示をすると、麗奈と江美が清峰のもとに歩いていく。同時に、それ以外のメンバーたちが周囲を見回して警戒した。
 麗奈と江美が清峰に近づこうとすると、直後、椅子に縛られている清峰がゆっくりとまぶたを開き、星霊隊の姿に気づくと声を上げた。

「来るな…!罠が仕掛けられている…!」

「えっ!?皆、一旦止まって!」

 清峰の言葉に、日菜子は戸惑いながら指示を出す。日菜子の指示に従って星霊隊の女性たちが足を止めると、清峰が話し始めた。

「爆弾だ…!私の近くに時限爆弾が仕掛けられている…!早く私を置いて逃げろ!」

「そんな!」

「いいから早くこの場を去るんだ!」

 躊躇う日菜子に対して、清峰は声を大きくして叫ぶ。日菜子が歯噛みをしていると、日菜子たちの背後から足音が聞こえてくる。彼女たちが振り向くと、無数の悪魔たちが日菜子たちに近づきつつあった。

「う、嘘でしょ…!?さっき悪魔を作る機械は壊したはず、どこにこんな数の悪魔が…!?」

 結依が思わず怯んで後ずさる。逃げ道を塞がれ、囲まれた日菜子たちは、逆に清峰のいる方向へとじりじり追いやられていく。

「くっ…カザンめ、ここまで読んでいたか…!すまない…みんな!」

 清峰は日菜子たちに謝る。日菜子たちが清峰のそばまで下がってくるなか、日菜子は首を横に振った。

「侯爵、謝らないでください!今、侯爵も助け出して、ここも抜け出します!」

「しかし…!」

「麗奈!爆弾を解除して!江美さんは侯爵の縄を!残りのみんなは、それまでここを守って!」

「了解!!」

 日菜子は一切怯まず、声を張って指示を出す。最後まで諦めようとしない日菜子の姿勢に、星霊隊の女性たちは威勢よく返事をし、それぞれの武器を発現させて、自分たちを取り囲む悪魔たちと戦おうとする。結依や弥生といった飛び道具が武器であるメンバーは、すでに悪魔に対する攻撃を始めていた。

「みんな…すまない…」

「謝ることはないですよ~。さ、さっさと逃げる準備をしましょ~」

 清峰の言葉に対し、江美が軽い空気で答えながら、清峰を縛る縄をほどき始めようとする。しかし、江美が縄に触れようとしたその瞬間、赤黒い電流が彼女の指先に走り、江美は咄嗟にその場を離れた。

「魔力による呪い…これは巫女のお祓いでないと解けない…か」

 江美は静かに、淡々と状況を分析する。その間に、麗奈も爆弾を解除し始めると、麗奈も冷静に状況を報告し始めた。

「爆弾のタイマーを発見。残り時間は2分57秒」

「解除間に合う!?」

「解除に必要な時間は最低でも5分です」

「そんな…!」

 麗奈と江美の報告を受け、日菜子は言葉を失う。すぐに清峰は諦めたように下を向いた。

「みんな…ここまでしてくれてありがとう…早く、できるだけ遠くに逃げてくれ…死ぬのは私だけでいい、早く…!!」

「お姉ちゃん、悲しいけど、ここは逃げないと、みんな死んじゃう..!今なら、一点集中すれば逃げ切れる、だから…!」

 清峰の言葉を聞き、菜々子が日菜子に言う。日菜子は、目の前に来ていた悪魔を殴り倒すと、俯き、顔を上げてから清峰に声を上げた。

「…侯爵…ごめんなさい…!!みんな!屋敷に向かって逃げ…」

 日菜子が言おうとした瞬間だった。

 あたりに一陣の風が吹き抜ける。星霊隊のメンバーたちがよろめいたその直後、日菜子たちを取り囲んでいた悪魔たちの首が次々に消し飛ぶ。

「え…?」

 日菜子たちが戸惑っているなか、直後、触れることもできないはずの清峰を縛る縄が、謎の力によって両断され、清峰の拘束が解かれた。

「!?」

「あ、こ、侯爵の縄が!」

 その様子に気がついた晴夏と華燐が、すぐさま清峰の肩を担ぐ。一連の状況を見た日菜子は、すぐさま指示を出した。

「よし、逃げよう!!急いで!!」

 不思議な状況を理解しきれない中、日菜子はただひたすら指示を出し、星霊隊のメンバーたちと共に山を降り、走って逃げていくのだった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

処理中です...