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第2部 人類の反撃
第15話(2)悪夢-四葉とすみれ-
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同じ頃 豪邸正門前
偵察任務を受けた星霊隊の隊員、紫黄里は、支度を終えて建物を出ると、目的地に向けて出発しようとしていた。
扉を開けて周囲を見回す彼女の目に入ったのは、豪邸の屋根の下、壁に寄りかかっているすみれの姿だった。
「お!すみれではないか!」
「!…あぁ、紫黄里か…」
紫黄里に声をかけられたすみれは、驚きながら振り向くと、安堵したようにもう一度壁に背中を預ける。紫黄里はどことなく憔悴しているように見えるすみれの様子に、わずかに戸惑った。
「えっと、大丈夫?すみれ?」
「…うん。それで、どうしたの?」
「あ、あぁ!我はこれより偵察に行くのだ!次の戦場のな!」
「そうか。どこから敵が来るかわからない、気をつけて」
「うむ!この『永遠(エタニティ)の黒(ダーク)き翼(エンジェル)』に死角はない!吉報を待つが良いぞ!」
すみれの励ましを受けると、紫黄里は堂々として答え、偵察地点へと歩いていくのだった。
すみれはそんな紫黄里の背中を見送ると、ひとり建物の中に入ろうとする。
しかし、すみれはすぐに背後から人の気配を感じると、素早く振り向く。そこには誰もいない。
(さっきから…何かがおかしい…疲れているのかな…)
すみれは頭を軽く振る。すみれは気にせず、建物の中に入ろうとした。
「…許さない…」
「誰...!?」
はっきりと聞こえた、知らない女性の声。すみれは周囲を見回すが、やはり誰もいない。
(いない…?そんなはずない...ハッキリ聞こえた!)
荒れた息をしながらすみれは扉から離れ、霊力を右手に集中させると、大斧(ハルバート)を発現させて構える。
「悪魔か...!隠れていないで出てこい!私は正々堂々と相手になる!」
すみれは堂々と声を張る。改めて彼女は両手に力を込め、正面を見回したが、誰もそこにはいない。
警戒を続けたすみれだが、もう誰もいないものだと思い、振り向いた。
そこだった。
すみれの死角になっていたその場所に、頭から血まみれになっていた女性の姿が、そこにあった。
「!!!」
驚いたすみれはすぐさまその女性に斧を振り下ろす。しかし、斧はその女性の体をすり抜けた。
「そんな...!?くっ...この悪魔め...!」
「悪魔?それはお前だ」
女性は顔を上げてすみれに言い放つ。血に汚れた顔の中に見える、憎悪に満ちた鋭い瞳に、すみれは思わず斧を落とす。すみれは気がつくと、目の前の女性から逃げようと後ずさっていた。
「な、何を言っているの…?」
「私を忘れたとは言わせない...いや、『私たち』を忘れさせはしない!!」
「だから、何を言っているの…!?」
鬼気迫る相手の言葉に、すみれは怯えるように、後退りながら尋ねる。そんなすみれの背中に、何かがぶつかる。
すみれが振り向いた先には、先ほどまですみれに言葉を投げかけていた女性と同じように、血に汚れた姿の無数の人間たちが立ち並んでいた。
すみれはその人間たちの中に、自分と同じ制服を着ている人間がいることに気がつくと、その正体に気がついた。
「ま、まさか…あの学校で殺されてしまった人たち…?」
「そうだよ!!お前に見捨てられたんだ!!」
「ち、違う…!私は…私は最善を…!!」
「私たちの目を見て言ってみろ!!」
「この人殺し!!悪魔!!」
「やめて…お願いだから…!」
すみれは血まみれの人間たちに迫られ、取り囲まれ、罵られる。逃げ場を失った彼女は、ただ耳を塞ぎ、頭を抱えるようにして群衆の中を突っ切ってどこかへと走り始めた。
偵察任務を受けた星霊隊の隊員、紫黄里は、支度を終えて建物を出ると、目的地に向けて出発しようとしていた。
扉を開けて周囲を見回す彼女の目に入ったのは、豪邸の屋根の下、壁に寄りかかっているすみれの姿だった。
「お!すみれではないか!」
「!…あぁ、紫黄里か…」
紫黄里に声をかけられたすみれは、驚きながら振り向くと、安堵したようにもう一度壁に背中を預ける。紫黄里はどことなく憔悴しているように見えるすみれの様子に、わずかに戸惑った。
「えっと、大丈夫?すみれ?」
「…うん。それで、どうしたの?」
「あ、あぁ!我はこれより偵察に行くのだ!次の戦場のな!」
「そうか。どこから敵が来るかわからない、気をつけて」
「うむ!この『永遠(エタニティ)の黒(ダーク)き翼(エンジェル)』に死角はない!吉報を待つが良いぞ!」
すみれの励ましを受けると、紫黄里は堂々として答え、偵察地点へと歩いていくのだった。
すみれはそんな紫黄里の背中を見送ると、ひとり建物の中に入ろうとする。
しかし、すみれはすぐに背後から人の気配を感じると、素早く振り向く。そこには誰もいない。
(さっきから…何かがおかしい…疲れているのかな…)
すみれは頭を軽く振る。すみれは気にせず、建物の中に入ろうとした。
「…許さない…」
「誰...!?」
はっきりと聞こえた、知らない女性の声。すみれは周囲を見回すが、やはり誰もいない。
(いない…?そんなはずない...ハッキリ聞こえた!)
荒れた息をしながらすみれは扉から離れ、霊力を右手に集中させると、大斧(ハルバート)を発現させて構える。
「悪魔か...!隠れていないで出てこい!私は正々堂々と相手になる!」
すみれは堂々と声を張る。改めて彼女は両手に力を込め、正面を見回したが、誰もそこにはいない。
警戒を続けたすみれだが、もう誰もいないものだと思い、振り向いた。
そこだった。
すみれの死角になっていたその場所に、頭から血まみれになっていた女性の姿が、そこにあった。
「!!!」
驚いたすみれはすぐさまその女性に斧を振り下ろす。しかし、斧はその女性の体をすり抜けた。
「そんな...!?くっ...この悪魔め...!」
「悪魔?それはお前だ」
女性は顔を上げてすみれに言い放つ。血に汚れた顔の中に見える、憎悪に満ちた鋭い瞳に、すみれは思わず斧を落とす。すみれは気がつくと、目の前の女性から逃げようと後ずさっていた。
「な、何を言っているの…?」
「私を忘れたとは言わせない...いや、『私たち』を忘れさせはしない!!」
「だから、何を言っているの…!?」
鬼気迫る相手の言葉に、すみれは怯えるように、後退りながら尋ねる。そんなすみれの背中に、何かがぶつかる。
すみれが振り向いた先には、先ほどまですみれに言葉を投げかけていた女性と同じように、血に汚れた姿の無数の人間たちが立ち並んでいた。
すみれはその人間たちの中に、自分と同じ制服を着ている人間がいることに気がつくと、その正体に気がついた。
「ま、まさか…あの学校で殺されてしまった人たち…?」
「そうだよ!!お前に見捨てられたんだ!!」
「ち、違う…!私は…私は最善を…!!」
「私たちの目を見て言ってみろ!!」
「この人殺し!!悪魔!!」
「やめて…お願いだから…!」
すみれは血まみれの人間たちに迫られ、取り囲まれ、罵られる。逃げ場を失った彼女は、ただ耳を塞ぎ、頭を抱えるようにして群衆の中を突っ切ってどこかへと走り始めた。
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