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四章 地下迷宮

五話 秘める気持ち❀ side:六華

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  御姉様とはぐれ、結界に囚われた私たちは魔物に囲まれてしまいました。
「しつこいですね……!」
  斬っても斬っても、次々と魔物が沸いてくる。本来、魔物は御姉様の意向により倒すことが出来ないのですが、今回のような異常事態は許されれるでしょう。
「あっ!」
「御兄様!」
  多方向から足払いを仕掛けられた御兄様はすべてを躱しきることが出来ず、転倒してしまいました。運悪く足を挫かれてしまったようで、また転倒してしまわれました。
「六華……」
「大丈夫です!御兄様は防御に専念してください!」
  私も御兄様も攻撃超特化型なので防御はどうしても甘くなってしまう。
「っ!御兄様、下です!」
「えっ」
  地面がガパリと開き、踊り出てきた食人植物が御兄様を食らう。
「……このっ!御兄様を返せぇ!!」
  ──《熾閃》
  刀身に純白の焔を纏わせ、一閃。御兄様に攻撃しないよう最大限の注意を払う。また一閃、二閃と繰り返すうちに周囲が熱気に当てられ、魔物ごと焼け野原にしてしまいましたが、そんなものは後回しです。今はそんなことよりも御兄様です。
「植物なのに燃えない……?」
  何度やっても焔が効かない。耐性でもあるのでしょうか。
「こんなの、見たことも聞いたこともありません……!」
  何か、対処法は……!早くしないと御兄様が!そうだ、御兄様には少し危害を加えてしまいますが、食べられて死ぬよりはマシでしょう。
「待ちなさい!」
  裂けた地面から地中に逃げた植物を追うと、開けた場所に出た。
  洞窟、でしょうか?いえ、余所見している場合ではありませんね。一度御兄様と思考回路を繋ぎましょう、でないと御兄様により痛い思いをさせてしまいます。
  ──《思念伝達》
『御兄様、生きていますか』
  遅かったかと不安になりましたが、少しして反応がありました。
『なんとか……どうなったの?ぬるぬるする……。見えないけど、服が溶けてるような……』
『なっ!?……コノヤロウ……んん"、これから此奴の頭を蹴りつけます!歯を食いしばって下さい!』
『今なんて?』
  おっと、下品な言葉を聴かれてしまいました。
『気にしないでください。いきますよ!』
  しっかりと宣言してから逃げ回る植物の頭を蹴りつけた。
  ──のは良いものの。
  やり過ぎてしまったようです。御兄様が彼奴の口から吐き出され(吐き出させたともいう)、洞窟の壁を貫通してしまった。
『す、すみません!』
『痛い……』
『すみません~!』
  その場でペコペコ腰を折ってしまう。いないけれど。
『六華……』
『はい!』
『お姉ちゃん、いた』
『本当ですか!?』
  それは良かったです。本当に、本当に良かったです!御姉様に出会えたということは、結界から抜け出せたんですかね?
『いたんだけど、大変なことになってる』
『え?』
  大変なこととは一体……。
『……え?わぁ!?』
  何事ですか!?そちらで何が起こっているのですか!?
『……や、んん!あ、やめ……ひゃあ!』
  !!?
  あ、喘ぎ声?本当に何が……。まさか、こんな場所で御姉様に襲われて?いえ、御姉様が大変なことになっていると仰っていましたし、さすがにそれは。はっ!もしや御姉様、おなかが空き過ぎて自我をなくして御兄様を襲っているのでは!?以前にも似たようなことがあったと聞きましたし。
『りっ、たす』
  もし、お楽しみ中であれば邪魔はしたくないのですが。違うのですか?未だに逃走している植物を追いかけ走っていると、不意に足元が光った。これは召喚陣?万が一に備え、思考を加速させる。転移したその先で見たのは──……。
  ツタ植物に吊るされ絡みつかれ、衣服を破られた、あられもない姿の御姉様と、同じくツタに絡みつかれ、食人植物によって衣服の大半を溶かされ、ほぼ全裸の妖艶な御兄様。
  よくも、私の大切な人たちに、手を出したな……。
  天井にぶら下がっている核を容赦なく柄で砕き、ツタを斬った。
「御兄様、御姉様、ご無事ですか!?どこかお怪我は!?」
  明らかに無事でないのは分かりますが、一応。
「これが無事に見えるなら、大したものよ……」
「すみません、もっと酷い目にあっているのかと……。少しお待ちを、今解きますから」
「やん!」
「ごめんなさい、我慢してください」
  なるべく優しく解いていたつもりだったのですが、それがかえって御姉様を刺激してしまった。
「あ……はぁん、や、ぅん、ぁん、んん……!」
「可愛い反応をしないでください(腰が痛いです)……」
  初めてみる御姉様の痴態に興奮して、ズキズキと腰が痛む。すぐに解いてあげたいのはやまやまなのですけど、乱暴に解けば痛みを与えそうで。
「ねぇ六華……」
「はい?」
  解く手はそのままに、返事をする。
「いれて……」
「はい?何を……」
  今なんと?聞き間違いでしょうか。作業している手が止まる。気の所為でなければ私のものを強請られた気がします。これはさすがに聞き間違いで……!?
「あの、御姉様!?」
  私の手を掴み、柔らかな太股の間へと誘われる。ツタによってもう既にそこはとろとろに潤んでいた。お誘いは嬉しいのですがっ、こういったことはちゃんとした人としてくださいっ!
  手を引こうとすれば更に密着させられ、蜜が私の指に絡みつく。……っ!興奮で意図せず欲が膨らむ。
  御姉様は私の指で陰核を弄り、上下に動かしている。柔らかな肉と、ぬるついた愛液が私の煩悩を刺激する。
  はっ!?危ない、理性を飛ばしかけた。
「いけません!こういったことは御兄様と」
「あんな状態のあの子に頼めるわけないでしょう?」
「で、ですが!」
  横目で御兄様をチラと見ると、全身を震わせ気絶していた。確かにあれでは御兄様は頼れない。ですが、御姉様は私で良いんですか……?
「御姉様……」
「中途半端なままなのが、一番辛いの……ねぇ、お願いよ」
  しかし、やはり……。
「ルゥだって怒りはしないわ。それに、淫植物の対処法は知っているでしょう?精を受けねば、快楽から逃れられないと、知っているでしょう?」
「それ、は、はい……」
  自然に関すること、とりわけ植物関連は幅広く学んでいましたから。身を守るために魔物植物など危険な類いのものも知識にはあります。ですが、それとこれとは、また別……。
「貴方の大好きなルゥを抱いていいから」
「……っ!」
  つらつらと思考に逃げているとそんなことを言われた。
  御姉様、出来れば御兄様の名は出さないでいてほしかったです。御兄様のことは勿論好きです。でもそれは、恋情ではなく……。
  御兄様を差し出せば、貴方を抱くと思っているのでしたら、不快です。そんな理由で貴方を抱きたくはない。けれど、せっかくの機会なのです、じっくりと味合わせていただくことにしますね。
「んっ……ふ、ん……!」
「ふ……は、んぅ……」
  御姉様を膝に乗せ、唇を貪る。御姉様、どうか今だけでも私を見てください。私に、溺れてください。私のものにはならなくていい、だから。
「はぁ、ん……甘い、ですね」
  御姉様の唾液は桜のような、林檎のような、そんな味がします。強すぎなくて癖になる。御兄様のも美味しかったですけど、これは別格です。
「六華……」
  なんですか?今なら、なんでもして差しあげます。
「いい?」
「仕方ないですね、今回だけですよ」
  ネクタイに指を掛けられ、解かれる。御兄様で慣れているのでしょうか、非常に慣れた手つきで素早くボタンを外され、上半身の服を脱がされた。
「綺麗な肌……」
  つ、と指先で脇腹を撫でられ、息が詰まる。
「……っ!」
「ふふ、可愛い……んっ」
「はっ、あぁ、あっ!ふ……んん!」
  乳首を優しく撫でられ、軽く引っ張られる。首筋に吐息がかかって少しくすぐったくて、顔を背けて逃げると耳に喰らいつかれた。
「あ、耳は……!はぁ!ぁん、や、だめぇ!」
  快楽の涙が頬を流れ落ちる。
  御兄様が羨ましい。私といえば、こんな状況でもなければ御姉様に抱かれないし、抱かせてくれないというのに。
「んん、はぁ……はぁ、ん……あ!あん、あっ、あっ、あぁ!」
  片方は舐められ、反対側の耳も指で弄られて気が狂いそうになる。
「もう、ダメです……!おかしくなる!」
  狂ってもいいなら、喜んで狂いますが。その代わり、御兄様から守ってくださいね?殺されそうなので。
「好きにして?」
  両腕を広げ誘われる。その瞬間、私の理性の紐は切れた。
「……!はっ、あぁ!や、あぅ、はぁん!」
  背後に周り膝に載せ直す。胸を荒々しく掴み、揉んで、項に口付け、空いた手で下の唇を弄る。しとどに濡れたそこは、私の指をあっさりと受け入れた。
「あん!あ、はげし、あぁん、いい!……もっと、もっと、激しくして……」
「仰せのままに」
  限界まで指の擦る速さをあげる。擦る度に愛液が溢れ出てきてズボンを濡らしていく。ガクガクと震える身体を抱え直し、耳にしゃぶりつく。
「あん!はっ、はっ……やぅん!はぁ……」
  噛んで、吸って、舐めて。飽きることなく愛撫を繰り返していると、背中が反り始めた。
「限界ですか?」
「まだ、もっと!」
  今以上に速度をあげると、潮を吹いた。
「あぁぁぁ!!いい、いいの、いい!あぁあ!もっと、もっと!」
  望まれるままに応える。止まらぬ潮が水溜まりを作る。
「はぁ、あぁ!あん!あぁ、あ、あぁあ!あっ、あっ、あっ、あぁぁぁぁあ!!!」
  最後の最後に今までよりすごい勢いで潮を噴射した。御兄様がびしょ濡れだ。そう……対面にいたのです。御姉様がごめんなさい。
「はっ、はっ、はぁ……はっ、ちょう、だい」
「……!喜んでっ」
  ズボンを寛げ、欲を取り出──食べられた。
「っ御……姉、様!?」
「らぁふぃ?」
  そこで喋らないでください!吐息がもろに……!
「ふっ……」
「んっ、また大きくなった」
  なりますよ……そういうものです……。それよりも、舐めさせたくないのですが。
「らめ?」
  だから!そこで!喋らない!腰にクる……!分かった、分かりましたよ!好きにしてください……。白旗をあげた。
「んふふ」
  許可が下りて嬉しいのか、笑って欲を舐められる。だから……。いえ、もう何も言いません。
  小さな口いっぱいに私のものを含み、懸命にしゃぶっている。気の所為かは分かりませんが、愛おしいものを見る目で私のものを見ている。
  考えたくはありませんが、ここで一つの仮説が思い浮かびました。御姉様は私を御兄様に重ねていらっしゃるのでは、と。先日知りましたが、御兄様は男性器ではないのです。精霊族特有の下半身のみの性転換。事前に知っていれば、あの時に御兄様を選ぶことは無かったでしょう。手伝っては貰ったかも知れませんが。
  話が逸れましたね。要するに、御兄様が完全な男性体だったら、私は見向きもされなかったかもしれない、と言うことです。私は御兄様の代わりではありません。御姉様にとって、私は御兄様の付属物でしかないのでしょうか?
「六華?」
「あぁ、すみません」
  ちゃんと感じていますよ?心配しないでください。私は並列思考が常時なのです。貴女を感じながら思考することなど朝食前ですよ。
  頭を撫でて宥める。
「気持ちいいですよ。続けてください」
「…………」
  気になることは後回しにしたのか、すぐに欲への愛撫を再開する。反応が薄いことに若干腹を立てたのか、キツく吸われる。
「んっ!」
「んふふふ」
  れろれろと舌が縦横無尽に動く。膣とは違う初めての感触にうっかり暴発しそうになった。危ない。……ふぅ。
「んしょっと……ん?あれ、六華、手伝って」
  あ、はい。
  壁に凭れかかるようにして身体を倒した私に、御姉様が馬乗りに覆いかぶさり、私のものをナカに容れようとして出来なくて、助力を求めてきた。
  容れやすいように自分の欲を持って支える。その上に御姉様が腰を下ろす。
「は、ぁ……」
「ぅん、はぁん!おっきぃ……」
「聞いてもいいですか?」
  ぱちぱちと瞬いて頷かれた。
「男性器を受け入れるのは、初めてですか?」
「あの子には言わない?」
  あるんですか……!?御兄様一筋ではなかったのですか?
「……はい」
「絶対言わないでね?」
  起きていたら分かりませんが。何を聞かされるのでしょうか。
「意識がある時は初めてよ」
「……!?」
  それは、つまり、え!?え!?
「言っとくけど、ナカには出されてないから!」
  あ、それは良かったです。ホッとしました。
「私ってね、あまり顔を知られていなくて。ほとんど城から出ないし」
  あぁ、確かにそうですね。お使いとかもしょっちゅう頼まれますしね。
「でも、たまにお出掛けすることがあるの。その時に拐われることがよくあって」
「次からは必ず、私か、御兄様を連れて行ってくださいね?」
「えぇ~。……うっ、分かったわよ」
  少し凄めば了承してくださいました。決して脅したわけではないですよ?
「で、気が付いたら、ことが終わってたの」
「無事で、良かったです……」
  今日で何度目だろう、こう思うのは。
「私たちを置いていったらお仕置ですからね?」
「えっ!?きゃん!え!?あん、あ、あっ!やぅ、ひゃん!」
  御姉様から目を離してはいけないと教えてもらったので、これからは御兄様とも相談してお出掛けの日を決めますね?危険ですから。
「あっ、あん、はぁっ、あぅん!あ、あ、あっ!」
「はぁ、御姉様のナカ、気持ちいいです……。うねって、物欲しそうに、私のものを締めつけて……っ」
  感想を伝えると、言わなくていいと叱られてしまいました。ごめんなさい、つい。気持ちよくて。
「ズルい……」
  御兄様?起きてしまいましたか?小さな小さな声でぼそりと呟かれました。
「お姉ちゃんだけ気持ちよくなるなんて、ズルい……」
  …………とりあえず、お叱りは無いようで安心しました。
『待っていてください』
  繋がりっぱなしだった思念伝達で順番だと伝える。
「あぁ!六華、六華!」
  不意に名を呼ばれ、見上げたら口付けられた。唾液を送り込まれ、慌てて飲み込む。……やっぱり甘い。
「あ、あぁ、あぁあ、あん!あっ!」
  そろそろですかね。
  御姉様を押し倒し、思い切り腰を振る。
「あぁぁ!あぁ、あっ、あっ、あぁ!あ、あん!あぁ……!!」
「はぁ、はっ、気持ち、いい!あっ!あぁ、はっ……!」
  気持ち良すぎてどうにかなりそうです……!もっと、もっと、貴女がほしい。首筋に口付け、軽く痕を残す。
「あぁだめ!イくイくイくイく……!!」
「イッて、ください!」
「うぅ、あぁぁぁぁ!!!」
「っはぁ……!!あっ!はっ、はっ、はっ……」
  気絶した御姉様を身綺麗にする。致し方ないとはいえ、御姉様の中の初めてを貰って良かったのでしょうか。私的には光栄なのですが……御兄様がなんと言うか。
  さて、次は御兄様ですね。対面を見ると御兄様と目が合いました。まさか、ずっと凝視いたのですか。だとしたら、かなり恥ずかしいです……。
  御兄様の相手をする前に休憩しましょう。もう少し待ってくださいね、私も疲れたので。少ししたら起こすように言って微睡みに身を委ねました。
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