部活男子に恋をしてしまった

そいみるくてぃー

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高校受験のときに一目惚れした。雷私に直撃した?人よりも高い位置の傘を閉じた彼に恋に落ちてしまった。
制服みてその学校の子に誰か聞いて名前は知った。部活やりたくて受験してるって。彼女いるとかいたとかどこ住んでるとか聞いて本人とは話したこともないのに好きがどんどん大きくなっていく。

入学式でまた彼を見つけたときは運命かと思った。同級生達より頭一つ飛び出た長身、すぐ彼だってわかった。クラスは残念ながら隣、体育は一緒がいいな。

「好きですっ!付き合ってくださいっ!!」

思い立ったら即行動な私は入学して一週間も経たず、気付いたら告白してた。アホ、マジでアホ。全教科の先生すらまだわかんないのに

「えっと…」
「隣のクラスの結奈!奥田結奈」
「知ってる、奥田さん。えーっと」
「白井くん!大翔くんっ!」
「大翔でいいよ。奥田さん」

あーもう、声聞くの出席確認でだけだったから喋ってるの初かも。声も好き。

「俺あんまり奥田さんのこと知らなくて」
「生年月日!?血液型!?なんでも答えるよ」
「いや、そうじゃなくって」

うっわー、マジでイタイやつだと思われたかもしれない。ナチュラルに見えるように顔盛ったけど失恋確定?高校入ったばっかりで?そりゃないってマジで。やばいわ

「部活忙しくてあんま構ってあげられないかもだけどいい?」
「えっ!?」
「付き合おう、やっぱイヤだ?」

イヤなわけないじゃん!もう土下座してお願いしようかと思ってたくらいたから天にも昇る。昇天ってやつだよマジ。

「お願いしますっ!」

勢いあまって抱き付いちゃったけどいいかな?うわっ意外と体厚い。あとやっぱ背高い。めちゃくちゃ上向かないと





*****




部活の休みは月曜日だけ、土日の午後とか空くときはあるけど、遠征に自主練や家の用事、部活仲間と喋ったりなんかで潰れる。連絡は絶対にするようにしている彼女も『二人で出掛けてみたいな』と言ってくる始末だ。そこに関しては正直嬉しい。

「はぁ?お前もう彼女出来たの!?」

中学から一緒の部活仲間に聞かれたから正直に答えたら驚かれた。

「で?誰?知ってるやつ?」
「いや、お前が知ってるかはわかんないけど隣のクラスの子」
「はぁ?隣ってB組?あの1軍の寄せ集めみたいな陽キャだらけのB組の女と付き合ってるの!?え?誰?誰?」

すごい剣幕で聞かれたからビビるけど、結奈に付き合ってること言っていいか聞いてなかったから聞くことにした。

「ちょっと連絡するわ。言っていいか聞く」
「まぁそうだよな、お前みたいな身長だけの男と付き合ってるの隠したいかもしれないしな」

失礼なやつだ。おまえだってそうじゃんって言ってやりたい。

『放課後の忙しい時間にごめん』
『(スタンプ)』

いちいちかわいいスタンプで返信をくれるところも彼女のいいところだ。素っ気ない返しをしてしまうから今度好きなスタンプ選んでもらおう。

『部活仲間に彼女誰かって聞かれたんだけど結奈だって言ってもいい?』
『(着信)』

「ごめん、なんか通話きたわ、ちょっと出る」
「おーおー、出ろ出ろ。誰の名前出てきてもびびんねーわ」

『大翔部活まだ?』
「そうだけど…やっぱ内緒系?」
『ちがうっ!体育館向かってんだよね?今行くから待ってて!』

通話繋いだまま結奈の『彼氏んとこ行ってくるわ!待ってて!』って声が聞こえて走ってる音がする。

「どーしたん?」
「なんか来るって」
「マジかよアグレッシブな彼女だな」

そう思う。思えば告白されたときも抱きつかれたあとぐるぐる回ってた。嬉しかったらしいけど、こっちも高校入ってすぐあんな可愛い彼女が出来るなんて夢にも思わなかったからテンションおかしくなっていた。

「『ひーろーとー!!』」

通話口と後ろから掛けられた声は一緒。

「結奈、走ると危ない」
「だって、大翔が友達に紹介してくれるなんて嬉しいんだもん!部活はあたし入っていけないから」
「え?大翔お前の彼女って…」

そうか、結奈は可愛いから目立つよな。

「バレー部の人でしょ?大翔はもうあたしのだから狙ってくる子いてもちゃんと彼女いるって教えてあげてね」
「は、はぁ…え?マジで奥田さんが彼女なの?」
「だからそうだって。結奈がそう言うんだから」
「そ、だから大翔もう隠さないでね、あたしも隠さないから。今度から休み時間にちょっとだけ大翔に会いに行ってもいい?朝も昼休みも放課後も部活だからそこだけはいいでしょ?ね?」

今日もいい匂いはするし相変わらず可愛い。スカートが短すぎるのは気になるけど、可愛いを優先させてると言われれば仕方ない、何も言えなくなった。

「じゃあ大翔、部活頑張ってね。バイバーイ」




「おい、嵐が来て去ってったぞ」
「なんだよ、お前が知りたいって言ったから来たんだって」
「まさかカースト上位も上位の奥田が来るなんて思いもしねーよ、チャラい男と付き合ってるとばっかり思ってたけどお前かよっ!」

 普通にかわいい子だと思っていた自分の彼女は人気者らしい。






*****





「なんでー?結奈ってば先輩にもめっちゃコクられてじゃん」
「だって彼氏がいいもん」
「A組の白井だっけ?あの背高いバレー部」
「そう!」
「どこまでヤったの?」
「まだ。キス止まり」

それな、それそれ。全然一緒にいられない。放課後一緒に帰りたいから待ってるって言ったら怒られたし(あたしのこと心配だからだって!愛されてる!)、部活見に行きたいって体育館行ったら普通に顧問とかに体育館ダメ言われた。練習試合とか見に行きたいのに、スケジュール教えてくれないしデートなんてほぼ出来ない。

「GWは?デートした?」
「半日だけね」
「はぁ?何連休あったと思ってんの?」
「部活全然休みなかったんだって。なんか結構強いみたいようちのバレー部。知らなかった」
「だからうちらとつるんでたのか」

部活忙しいってのは聞いてた。休みの日も午前中で部活終わってもそのまま自主練とか。早くレギュラーになりたいって言ってたから仕方ないんだけど。それでも毎日ラインはくれるし夜はちょっとだけでも通話してくれる。それなのに成績も悪くないってのが神。

「あたしの彼氏神じゃね?」
「はぁ~?今の話の流れでなんでそうなんの?」

隣のクラス覗きに行こう。
なんて意気揚々とクラスを出たあと絶望した。大翔の隣に女いるんだけど、誰あの女。もう一人の男はこの前会ったバレー部のやつ。

「ねぇちょっと聞いていい?」

ドア近くの席で喋ってる女子に声をかける

「うわっ!奥田結奈!」
「あっあたしのこと知ってる?話早いや、ねぇ、大翔のとなりにいる女誰?」
「ひろとってあれ?白井?」
「そう!」

女はバレー部の女子マネージャーらしい。しかも大翔と同じ中学。ちなみにあたしが話しかけた子達もそう。

「あたしのなんだけど」
「え?奥田結奈って白井と付き合ってるの!?え、意外。もっと派手なギャル男とかと付き合ってるものかと…」
「そう?意外と普通だよ。つーかちょっと色々教えてよ、グループ作るからライン教えて」
「えぇーっ!?奥田結奈と繋がれるの!?うわっ、明日死ぬわ。ジーザス」

その場にいた3人とライン交換した。全員アニメアイコンで聞けばオタクらしい。あれだ、男同士が好きな子?でも推しはひろゆな?に変更らしい。よくわかんないけどありがとう。とりあえずフルネームで呼ぶのはやめてもらった。ゆなたそって呼ばれてる。爆笑


 





*****





「ひーろーと♡英語の教科書忘れちゃったから貸して」

部活の連中と話していたら教室に彼女がきた。最近は2日に1回は忘れ物をしてる。

「いいよ、ロッカーにあるから取りいこう」
「うんっ」

体育会系ではない、香水が香る今時の女子高生な俺の彼女。香水じゃないヘアコロンって言われたけど。身長差は30センチはあるから髪の匂いを嗅ぐのも彼女の髪を掬い上げるしかない。

「なに?髪なんかついてた?」
「いいや、いい匂いするなって」
「大翔が好きって言ってくれたから最近ずっとコレなんだ」

枝毛あったらどーしよーって言いながらも嬉しそうな結奈を見ているだけで眠気と疲れなんて吹き飛ぶ。

「結奈忘れ物わざとしてるだろ?」
「わかっちゃった?だってそうでもしないとあんまり会えないんだもん」
「忘れ物しなくても話すよ。そろそろ謎の牽制もなくなってきたし」

結奈と付き合ってると広まり始めた頃から同級生先輩関係なくよく絡まれた。でも大体横に立って身長差にビビってなんか捨て台詞を吐いていなくなった。それも一巡したのだろう、最近は温かい目で見守られている。
見下げればいつも生徒指導に怒られているスカートは見えない。近すぎるし結奈の胸で下が見えないからだ。

「なぁに?」

見上げてくる顔もすごくかわいい。化粧で作ってるよと本人は言うけど土台が良くなきゃここまで可愛くはないと思う。

「いいや、ほら教科書。落書きすんなよ」
「はぁい、大翔またね」

手をギュっと握ってバイバイして隣のクラスに帰っていった。脚やっとみれた。やっぱりスカート短すぎて心配になる。あとルーズソックスはかわいい。細い脚だから違和感ありすぎてかわいい。紺ソ派だったけど結奈ならルーズでもスニーカーソックスでもなんでもいい。足小さいからって理由でキッズ用のりんご3個分の猫の上履き履いてるのも可愛い。あー、やばい好きだ。

返ってきた英語の教科書のLOVEのところデコられてたのももうダメだ。好きだ。




*****





「次の部活休みの日さ、一緒にいたい」

珍しく放課後部活前の大翔がこっちの教室に来てお願いされた。天にものぼる気持ちってこれ、絶対これ。またあれだよ昇天。

「え!?ほんと!?いつもみたいに部活仲間とどっか行くとかじゃなくて?」
「結奈と。ダメ?」

ダメかって?ダメなわけないじゃん!今生理真っ只中だし来週の大翔の部活休みのときはもう生理も終わってる。ママはパートだけどパート終わりに映画でも見てもらおうかな。そしたら帰ってくるの遅くなるよね?どーしよー!新しい下着買いに行く? 土日どっちか行こう。

「結奈?」
「いいよ!絶対いいよ!結奈の家誰もいないから!学校から歩いていけるし!マンションの駐輪場に大翔のチャリも置いとける!」

パパ絶対残業してマジ!あっママとデートしてくれればいいんじゃん。1秒でも大翔と2人でいたいし、あー、でもパパとママに紹介ってのもアリ?えーどーしよー!!

「家?うん、結奈がいいなら行きたい」

ハッピーじゃん!もう勝った、全てに勝った。ビクトリー!


マジで週末下着買いに行った。


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