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おかしい

1週間経ってもお義父様からのお呼び出しもなければ、義母の新しい旦那様選びもない。食事のときに顔を合わせることはあってもそのような話はお二方からは出てこない。まさかユベール様は何も言っていないの?おかしいわ

「ミリエット、今日の予定は?」
「は、はい。1度商会へ向かいます。殿下が新しい原石を仕入れたとのことでそれを見に」
「あら素敵」
「お義母様に似合いそうなものでしたら加工してお持ちしますわ」
「本当!?嬉しいわ」

おかしい、いつも通りの朝食だ。離縁の話は?

「モルガンは?今日はまだ寝ているのかしら?」
「彼はミリエットがデザインしたブローチの加工がとてつもなく複雑だと言って朝早く職場へ向かったそうだよ。庭師が言っていた」
「あら、それはきっとお義父様のですわ。今度殿下と御一緒の会議に参加されるとお義母様が仰っていたので、それ用に。家紋と装飾を」
「嬉しいよミリエット。モルガンにも感謝しなくてはな」
「いいえ、私もお義父様とお義母様がお喜びになってくれることが嬉しいですわ」

おほほほほ、はははははと笑っている








*****





「お父様、例のものは?」
「あぁ、これか。珍しいものだ」

原石で渡されたものは確かに見ないものだった。

「あら綺麗」
「だろ?殿下が是非にと」
「贈られる女性でも?」
「いいや、いないから自分のものでも頼むと。まだ物は決まっていないみたいだが」
「そうなのね。殿下がお使いになるのなら…時計への装飾?釦?」
「量が採れるようであれば王妃様用のティアラにしたいそうだ。」

あら、私にその仕事がまわってくることを祈るばかりだわ


「ところでうまくやっているのか?」
「子爵家でですか?旦那様と奥様とはうまくやれていますが」
「夫とは?まぁ…聞かなくても…」
「モルガンはうまくやっていますよ。子爵夫妻からも息子からも、使用人の皆様ともうまくやれていますから。」
「あいつのそういったところは本当にすごいな」
「えぇ。あのユベール様とも酒を酌み交わすほど仲がよろしいみたいで」
「お前というよりモルガンが嫁にいったようだ」
「モルガンが嫁なら今頃子宝にも恵まれていたでしょうに」

これは本音だ。本来なら自分が次代の子爵をもうけなければならないのだが、彼にその気がないのであればなにもうまれることはない

「早く離縁でも言い渡してくれたらいいのに」
「まぁそんなことを言うな。子爵ご夫妻はお前のことを気に入っているのだし、時が経てば彼になにかの変化もあるかもしれないし、お前がモルガンとの子をもうけようと子爵家もなにも言われなくなる」
「そうね…」

時間が解決してくれるとでも言いたいのだろう。この数ヵ月よりももっと長い時間が必要とされるのだろうか。
私はあの家で一番邪魔なのではないだろうか






*****




子爵邸へ帰る気が起きなかったので実家に泊まることにした。なにも考えたくなくて机で新しいデザインと向き合う。
あぁもう帰りたくない。ずっと実家にいたい。最悪モルガンは子爵家にあげるから実家にいたい。
結婚ってこんなにツラいものなの?夫に見向きもされないなんてありえる?貴族の嫁にいかず、ただの商家の娘でいたほうが幸せだったんじゃない?自問自答したところでなにも答えはでないのもまたツラい。
とりあえず義母に贈るジュエリーのデザインでも考えるか。指輪は義父の意見を聞かねばならないし、普段使いしやすい一粒石のネックレスかしら?台座に細かい装飾を施せばシンプルでも地味なデザインにはならない。

『お嬢様、旦那様が参られております』

ドアがノックされ用件を伝えられた。父が直接私のところに来るなんて珍しい。普段なら呼びつけるのに。

「どうぞ、入って」

ドアを見ることもなく言えば開いた音がする

「お茶を用意してまいります」
「あぁ、頼んだ」

今お手伝いの彼に頼んだと言ったのは誰?父の声ではない。
ドアの方を向けばなぜか私の旦那様、ユベール様が立っていた

「ユベール様…?」
「あぁ」

やはりそうだわ。私に対してだけこの口数の少なさ。本物だ

「なぜこちらに?」
「父と母に尋ねたら貴女は今日は急な仕事が入って帰らないと聞いた」
「そうですか」

え?私どうしたらいいの?そもそもなぜ私の実家にまで訪ねてきたの?まさか!離縁の申し入れ?それならば

「なにか大事なお話ですか?」
「まぁ」
「では応接室を借りて」
「いや、この部屋でいい」
「そうですか…」

厄介な話はさっさと終わらせたいということね。お茶もきたことだし早く話を終わらせてほしい。

「離縁のお話ですか?どちらにサインをしたらよろしくて?」
「離縁だと?」
「え?」
「私がいつ貴女と離縁すると言った?」
「いえ、ユベール様からお話といえばそれくらいしか思い付きませんので」
「…」

いや、だからわかんないって。離縁じゃない大事な話ってなんなの?新しい夫候補でも選んだ?でもそれわざわざ私の実家に来てまで話すこと?

「貴女は子が欲しいのか?」
「それはまぁ。嫁に行った者の義務ですから」
「義務、か。」

なにそのちょっとショックみたいな顔。自分は親に言われても見合いの場(もはやサイン強要の場)に顔も出さなかったくせに。数ヵ月経つがまだ苛立つ。あと結婚式もだ。誓いのキスを夢見ていた私は司祭様に『旦那様の御希望により宣誓のみとなります』と言われたときは倒れるかと思った。あとでモルガンにはしてもらったけど正直本当に理解ができない。しかも初夜には結婚式のあと外に出たっきり戻りも連絡もなかった。そこまで嫌な女なんだから義務でしょ義務。

「子が出来なければ離縁とは?誰かに言われたのか?」
「いいえ、普通に考えてです。私に離縁されるとモルガンがいなくなるとお考えでしたらモルガンはどうぞそのまま子爵家へ置いてあげてください。彼はうまくやっていますから」
「モルガンを置いて?貴女は泣くほどモルガンを愛しているのに置いていけるのか?」

泣くほど愛してる?あぁ、あのときの。なぜ彼が知っているの?まぁ義父か義母に言われたのか。

「モルガンのことは愛していますが、当主の一人息子に愛されない嫁など不要ではありません?私とは離縁して、ユベール様がお選びになった方と早く再婚されては?」
「いつ貴女を愛していないと言った?結婚式でも生涯愛し抜くと誓ったではないか」
「あれは定型文ではありませんか!あれで愛されているとわかれと?そんなことわかりませんわ!そもそもお会いするのも数度目、先週初めて会話らしい会話をしたばかりなのに」

愛していたと初めて聞いたわ。好きすら聞いたことがないしなにより結婚式での誓いを持ち出す?信じられない。

「俺は…貴女のことを知ったつもりでいた」

一人称も崩れてきている。本当は俺と言うのね。それすら初耳だわ

「モルガンと話すのはいつも貴女のことばかりだ。ミリエットが昔やらかした失敗話やミリエットの好きな食べ物や場所、モルガンの上司にまで無理難題を押し付け困らせたことなど。幼少期の話や最近の話まで」
「初耳ですわ…」
「父上には伝えていた気がしていたから…まさか母上が貴女の新しい夫を探しているとは知らずついカッとなってしまい…まさかその理由が俺が貴女を蔑ろにしているからだとは思いもしなかった」

思いもしないのは貴方だけではないだろうか。屋敷の人間は皆ユベール様は私に微塵も興味がない、むしろ嫌悪感さえ抱いていると思っていただろう。あんなにも顔を合わせなかったのだから。

「俺はミリエットが泣くほどモルガンを愛おしく思っているのなら、モルガンとの子が無事生まれてきてからミリエットを愛して、その先に子宝に恵まれればいいと思っていた」
「…それならそうと申してくれれば」
「仕事が忙しかったんだ。上官は異常なほど書類仕事が嫌いな人間ですべて溜め込む。最近騎士爵を賜ったのにその執務すらすべて一人娘と家令にやらせているような男だ。全てのツケが副官である俺にまわってきているんだ、家に帰る暇もとれないくらい。なるべく帰るようにすればミリエットは実家に泊まり込んでいないことが思っていたよりあるし、きちんと家に帰ってくるモルガンとだけ仲が深まるのは仕方ない」

仕事を溜めるだけ溜めて自分でやらず副官にやらせる上司ってなによ!しかも爵位を賜ったのに娘と家令にだけやらせるってよっぽどやばい人ね。体を動かすしか脳がない人だわきっと。

「モルガンはモルガンで『確かにミリエットのことは愛しているけどユベールが先だろ?俺はキス止まりだよ』とキスだけでミリエットを満足させることが出来るとまで言う始末だ」

ちがう、ユベール様を尊重してくれているだけだ。それがどう曲解すればモルガンがキスだけで女を満足させられる男になっているのか

「まぁ年頃ではあるしとっくに一線は越えていると思っていれば先日母と貴女との話で貴女がその、清いままだと…」
「そうです。まだ私は」
「俺が、貴女と…その…」
「性行為をすると?当たり前じゃありませんか。私の旦那様なのですから」
「そうか…ミリエットは俺を…」
「俺を?なんですか?」
「いや…」

だからわかんないから聞いてるんだってば。

「そのとかいやとかでは伝わるものも伝わりませんわ。騎士の方とは口下手な方が多いとは聞きますがユベール様は相当ですわね」
「そうか?」
「えぇ。せめてもう少しでいいので言葉を続けて頂けると私もわかりますわ。現に言葉が足らずに私とユベール様はすれ違っていましたから」
「そうだな…努力する」

努力をしなければできないことなのだろうか?子爵ご夫妻は結構お話になる方々だと思うが、そこは遺伝しなかったのだろうか?顔だけ?

「俺は騎士として真っ直ぐ突き進むことしかできない。家業を継ぐことになるだろうが正直うまくやれる気がしない」
「お義母様はそこも考えてらしたと思いますわ。勧められた夫候補の方々はご貴族の方でしたが商会をやられている家系の方だったり、学園の経営学や経済学を専攻された方だったりとユベール様が直接お仕事を担わなくてもお困りになられない方をお選びになられていましたよ」
「そうだったのか…」
「私も同じです。商会の娘として子爵家のお仕事に有利になると目をかけていただいたのです。モルガンもあぁ見えて仕事のできる男ですからユベール様の代になっても私たちでユベール様を支えていきますので、騎士の仕事はお好きなだけお続けになってください。街のために働く旦那様なんて素敵じゃありませんか」
「ミリエット」

いきなり椅子から立ち上がるからなにかと思えば強く抱き締められた。え?こんなことが出来る人だったの?

「家と私の未来まで考えていてくれただなんて…本当にミリエット、貴女って人は」
「いや!ちょっと待ってくださいっ!」
「いや…?嫌なのか!?」
「違います!ユベール様のことではなく場所が」
「寝台に行くつもりだが」
「それもちがいますっ!私の部屋ではなく、子爵家の寝室がいいのです」
「…我慢しろと?」

我慢もなにもやめてくれと言ったですこちらは。せめて子爵家に帰ってからとお願いしているのに。そもそも初夜のときはすごく磨かれたのでそのレベルで磨いてもらわないと、このとんでも美形の前に一般人の私は太刀打ちできない。萎えられたりしたら洒落にならない。

「明日は仕事は?」
「いえ、特にありませんが」
「わかった」
「え?え?え!?」

仕事がないと確認された瞬間、見覚えのあるようなないような部屋に飛ばされた。柱や扉の雰囲気的に

「子爵邸?」
「あぁ。家に転移した。夫婦の寝室だ。ミリエットの部屋と私の部屋とつづきになっているんだが、ミリエットはその扉の前に作業台か棚を置いているだろう」

あの壁紙は扉だったのか。気が付かなかった。凝った壁紙だからアクセントだと思ってたからまさか扉だとは。

「アクセントクロスかと思っておりましたので…」
「一度内側から開けようと思ったら開かなかったからモルガンに聞いた」

開けようとは思ったのか、意外だ。初夜もほっぽりだすような人なのに。ただ単に溜まってたからとか?男性の性欲って誰で発散しても同じと言うくらいだし。
そもそも夫婦の寝室があるということに驚いた。てっきり全部別だと思っていたから、きちんと手入れされた状態のこの部屋には驚くばかりだ。この家の侍従がちゃんと手入れしていたということにもびっくりだし、使われていない夫婦の寝室の手入れをしていたこの家で働く者たちのことを考えるとなんとも言えない気持ちになる。

「気に入らなかったか?」
「え?いえ、そんなことありませんわ」

むしろ調度品などよくまぁ私の好みのものを用意したなと関心してしまう。花モチーフのものが好きなことを知っていたのね。

「ベッドサイドのランプはモルガンが作ってくれたんだ。花も君が好きなものをくり抜いたと言っていた」
「えぇ、そうでしょうね」

彼にしか言ったことがなかった花がメインのモチーフになっているから。『お前は商会の広告となるのだから派手なものを好み、身に付けなさい』と父に言われた私が本当に好きなものを言えるのはモルガンしかいなかったのだ。それを覚えてくれていたのか。なんかちょっと泣きそう。

「俺はミリエットになにができるだろうか…モルガンはこうやって貴女を喜ばせることができるのに」
「私はユベール様を見ているだけで幸せですわ。あの美貌の第3王子より私はユベール様のほうが美しいと思っておりますから」
「そ、そうか?殿下よりというのは些か不敬だと思うが」
 「そのようなことはありません。私は…自分の旦那様があなたでよかったと…心から思っております。あとはもう少し顔をあわせる機会とお話が出来れば嬉しいです」

視界がかわったと思ったらベッドに押し倒された。これが押し倒されるということね。初めての経験だわと感心する前に唇が重なって舌がねじ込まれた。これがいわゆる大人のキスだろう。モルガンに「まだだめ」と言われた大人のキス。とにかく息の仕方がわからない

「鼻で息をするか、少しずつ息継ぎしたほうがいい」
「は、はぃ…」

一息つく間もなくまた唇が重なり舌で口腔内をまさぐられている。鼻で息をするか口が離れた時にしているが少し声がでてしまう

「はぁ…やっとミリエットを」

私をなに!?と聞くこともできずユベール様の唇や舌が首筋やフェイスライン、鎖骨に這わされるのをただただ感じることしかできない。

「感じるたびに体が跳ねるんだな」

鎖骨の上あたりをぢゅっと強めに吸われたあと寝間着の釦を外される。こんなことになるなんて思ってなかったから普通の前釦のネグリジェだ。もっとレースがあったり透けてるかわいいもので初夜を迎えたかった。前釦の綿ワンピースなんて色気もなにもあったんじゃない。

「下着はつけて寝るのか。脱がせる楽しみがあっていい」

夜は下着をつけない御婦人も多いと聞くが胸が垂れると聞いてから絶対につけるようにしている。ささやかな胸であっても、垂れるなどたえられない。胸の形を保っていた下着が取り払われ、仰向けの私の胸は乳首以外まっ平らになっている気がする

「掌にすべて収まるな。かわいらしい」

ユベール様の手が大きいのではなく乳がないからだと言いたいが揉まれ続けているから抗議もできない。口からは声にならない声しか出てこない。

「揉まれるのも随分とよさそうだが、先端が触ってほしそうに掌に主張してくるぞ。このまま転がしていてもいいけれど…ミリエット、どうしてほしい?」
「わかんな、いっ…」
「では何が気持ちいいか確かめるか。まずは、舐めるのと吸うのではどちらが?」

ユベール様ってこんなにもお話をされる方だったの?信じられない。黙ってしてくれと思いもするが、沈黙の中自分の声だけするのも嫌なのでこれはこれでいいのかもしれない。

「どちらがよかったか聞こうと思ったが、どちらもよさそうだ。反対の胸は指で可愛がろうか。摘ままれるのと弾かれるのと。ミリエットは敏感だからどちらも感じるんだろうな」

微笑んだ顔も初めて見た。普通にしていても美形なのに微笑んだときの破壊力といったらとてつもない。兵器だ兵器。街の1つも破壊できそうな程の。そんな場合ではないのに見蕩れてしまう。

「…っはぁ…ミリエット、本当に愛らしい。ゆっくり進めたかったがこれ以上…」

これ以上ってなに!?聞こうとしたけどなぜか言葉が出てこない。そして臍より下のボタンがブチブチと弾けとんだ。本当に文字通り飛んだ。ユベール様が引きちぎったようなものだ。下着は取り払われているしもう私を守るものは何もない。手だけ手。

「手を退けてくれないか?」
「い、いやですっ!恥ずかしい!」
「しかしならさなくては挿入るものも挿入らない」
「…ですが」
「ではミリエットの指を使ってならそうか?」
「やめてください!」
「ほら、早く手を退けないと本当にしてしまうよ」

手を退けたら最後、ユベール様が人差し指で撫でてくる

「この狭い場所に…はぁ…」

ご自分の指を舐められてからゆっくり指がいれられる。生まれて初めての感覚になんともいえない気持ちになる

「痛くないか?」
「わかり、ませ、ん…」
「最初は違和感だと思う。すまない」

ユベール様の指が出し入れされてるという感覚はなんとなくわかるが正直違和感しかない。え?これが気持ちよくなるの?

「指、増やすぞ」

違和感に加えて圧迫感まである。世の中の女性はこれが気持ちいいと言うけれどまだわからない感覚だ。
時折キスをされたり胸をいじられたりしながら下半身への愛撫は終わらなさそうだ。徐々に息も上がってくるし自分の下半身から音がするような気もする


「ミリエット」
「んぅ?」
「大丈夫か?」
「う、ん…なんか…うん」
「気持ちよくなってたか?」
「わかんな、ぃ…でも最初より平気」

それは本音だ。それに叫ぶほど痛いと聞いていた初体験よりは、違和感と圧迫感で終わるほうがよっぽどいい。

「じゃあ、いれるよ」

いれる?なにを?と聞く間もなく指とは全くちがうモノが充てられたことに気付いた

「えっ?まさか」
「まさかもなにも、これを挿入しなくちゃ」
「そうですけど…」
「大丈夫。初めてだからすぐに終わらせる。すまない」

すまないではすまないような質量のモノが挿入ってきたことだけはわかる。それがユベール様のモノだというのも。とりあえず息ができない。

「ミリエット、目を開けてこっちを見るんだ」

そんな余裕はない。ぎゅっと目を瞑って痛みと違和感と圧迫感に耐える。これが本当に気持ちよくなるの?ツラすぎる。

「力抜いて」

緊張がほぐれるように頬や耳、首筋にキスを落としてくれるユベール様の期待に応えなくちゃいけないと目だけは開けてみる。睫毛も長くて大きくて綺麗な瞳を見つめる。吸い込まれそうな瞳。本当に綺麗。
フェイスラインから滴り落ちる汗、少し荒い呼吸、かきあげた前髪、すべてに色気を感じる。こんなに素敵な方が旦那様だなんて正直信じられない。出来れば街中で職務にあたっているところを見たい。狼藉者を倒すところも様になっていることだろう。
目が合って微笑まれたと思ったら唇がユベール様の唇と重ねられた。むしろ唇が重なっていたのは一瞬、舌で舌を弄ばれている。

「ミリエットも、もっと舌絡めて」
「むり、おかしくなる」
「大丈夫。次からはもっとよくなるよ」

次?次があるの!?いや、でも子爵家の跡継ぎの問題もあるし子作りに励まなければならないのか。1回で絶対にできるものではないだろうし…こんな恥ずかしいことを子ができるまで何度も!?しかも旦那様はユベール様だけではない、モルガンもいる。しかも新しい夫を迎える用意も…あぁもう気が遠くなる。
そんなことを考えてはいたがユベール様のモノが抜き差しされている感覚がある。私も声が抑えられないし、ユベール様も息が荒くなってきている。私で感じてくれているのかと思うだけで幸せな気持ちになれる

「すまない、もう…」

抜き差しされていると思っていたけれど、ユベール様も限界が近いのか打ち付けられてるに変わった。痛いと違和感だけだった行為に違うものを感じつつあるけど余裕がない。ユベール様にも余裕がないのか噛みつくようなキスをされたと同時になにかが自分の中に出されたことはなんとなくわかった。あぁきっとこれが噂の。
しばらくキスをしていたらユベール様のが出ていくのがわかった。すごい違和感

「はぁ…」
「決して普段は早いわけではない。わかってくれ」
「え?」
「心から愛した女性との行為ははじめてだったんだ。早すぎだと呆れているのではないか?」
「いえ、そもそも早いと申されても普通がわかりませんし…私はユベール様が満足されたのであればそれだけで幸せですわ」
「本当によくできた人だな貴女は」

むしろ浄化してくれているユベール様もよく出来た方だと思う。私はとりあえずなにがなんだかわからないからベッドから起き上がることもできない。




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