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しおりを挟む寝起きは悪くはないが低血圧なので目が覚めてもベッドからまで時間がかかる。それもこれもベッドやお布団があったかくて幸せな空間のせいだからだ。
でも今はベッド以外のあたたかさもある。昨日も誰かとヤったっけ?…いや、目覚めて隣がかわいい男の子だったら昨日の一連のアレは夢ではないのだ。
「えっ…誰…えーーーっ!?なにこれーっ!?!?」
低血圧ではなくなったかもしれない。寝起きの自分がこんなに悲鳴に近い大声を出せるとは思ってもみなかった。
目が覚めて隣にいたのはかわいいノアールではなくすっごいイケメンのお兄さんだったからだ。え?ノアは?存在自体が夢だった?え?え?え?
「ミズキ、何が!?」
寝室の扉が開いたと思ったらジョエルが来てくれた。髪の毛整ってないから多分走ってきてくれたんだと思うけど
「ノアが、ノアがいなくてこのお兄さんが横に。あたし婚約初日から不貞働いた?昨日はちゃんとノアだったんだよ!?ジョエルー、どーしよー」
ジョエルは微笑んでいた。え?何が面白いの?夫婦になった初日に不倫してたかもしれなくて、その上責任とらなきゃいけないなら夫また増えるよ?どうすんの?笑い事じゃなくない?
「大丈夫ですよ。ノアール、起きなさいノアール」
「え?この人もノアール?」
「この人も、じゃなくこれが本来の姿ですよ」
「んぅ~…ミズキ…え?ジョエル様!?おはようございます」
飛び起きたノアールは全裸だけどすごい勢いでベッドから飛び降りた。前!前隠して!
「ほら、羽織りなさい」
「す、すみません」
「ノアール、ミズキに説明しなかったんですか?昨日の姿のこと」
「すみません…舞い上がってしまっていて…言い忘れていたのだと思います…」
「では私から説明しますよ。あなたはそろそろ詰所へ顔を出さねばならないのでしょう?」
「そうだっ!ミズキ、またあとで」
消えた。目の前から恐らくノアールな青年が消えた。頭の中パニック状態の私はどうしたらいいんだろうか。ジョエルの目の前で全裸なことも忘れ去っていた。
「ミズキ、私から説明しますよ。その前に」
ベッドの下に落ちていたガウンを着せてくれる。そしてベッドサイドに二人で座る。
「アレは正真正銘ノアールです。寧ろ先程の姿が本来のノアールです。彼は膨大な魔力量を持っていますが使いすぎるとあのように少年の姿になってしまうんです。本来であれば戻るまで2.3日かかっていたのですが、昨夜ミズキとの情事で魔力の回復がいつもより早まったのでしょう。一晩で元に戻りましたよ」
「え?かわいいノアは幻だったと?」
「まぁ、言い方は…先程のが本来のノアールですから…あれでは不満ですか?」
「ううん、ただびっくりしただけ。ノアなんか嫌な思いとかしてないかな?」
「それは大丈夫でしょう。とりあえず慌てていただけですから」
それならよかった。安心したらお腹空いたしベタヘタするからシャワーも浴びたい。下着は…また替えるか。洗濯も聞かなくちゃ。
「ジョエル、シャワー浴びたい」
「一緒に入ります?」
「いいよ。時間は?大丈夫?」
「私はしばらくミズキとずっと一緒ですから大丈夫ですよ」
「そっか。って、一緒にシャワー浴びるの!?」
「昨日はノアールと入ったのでしょう?なら私も夫なのですから当然の権利かと」
「うーん。そういわれちゃえばそうかも。それよりお洗濯したいんだよね。浄化?の魔術?だとちゃんとキレイになったかわかんなくない?」
「それでしたら私達の物と一緒に下働きの者のところへ出しますか?洗うのは男性になりますが」
「えー、それはイヤだなー。洗濯機は?なければもういっそ板、板!洗濯板みたいなのあればそれでいい。下着だけだから」
「探しておきますよ。では浴室へ行きましょう」
手を繋がれて昨日も行った浴室へ行く。やばい、メイク道具スーツケースに入れっぱなしだ。基礎化粧品は昨日置いたままのを使って、それ以外は昨日のサロンなる巨大リビングで化粧すればいいか
「なにこれー?オーバーヘッドシャワーなのに髪の毛濡れない!」
「これくらいの魔術ならいくらでも。また洗って乾かすだと時間がかかりますからね」
「髪だけ濡れないで顔とか肩はちゃんとシャワー当たってるのほんと謎すぎるんだけど。魔術マジすごいね」
万能過ぎる魔術。あたしも使えるのか聞いたらまだなにもかもわからないとのことだ。教えを乞いたいけれど、もしとんでも魔力の持ち主で暴走してしまったらこの城消し飛ぶかもしれないらしいから試せないらしい。なにもわからないからすべてらしいとしか言えないらしい。
「ジョエルって…思ったより男性らしい体つきなのね」
ジョエルの体を手のひらでなぞる。意外だったのだ。書類仕事に追われているらしいジョエルがこんなに逞しいとは。
「ただ書類を片付けているだけではありませんからね。少しでも鍛練をしなければ侮られてしまいますから」
「へぇー。ジョエルのお仕事も大変なんだね」
「簡単な仕事をする人なんて少ないですよ。皆何かしら大変な思いをされてると」
「たしかにそうかも。ジョエルってすごいねしかも優しい」
ジョエルに笑みを向けた途端唇が塞がれた。どこに急にキスしたくなる要素があったんだろうか?おっぱいもすごい揉まれてるし、なんだろう?
「ミズキのほうが優しいですよ」
ちゅっと音をたてて唇が離された。え?もう収まった?すごいな
「そろそろ上がりましょうか。今日の服も選びましょう」
「やばっ下着替えたかったから下だ。キャリーケースの中」
「とりあえずは先程のガウンでいいんじゃないですか?私とミズキしかこの部屋にはいませんし」
部屋というのもあたしの知ってる部屋とちがう意味を指しているのはなんとなくわかった。昨日サロンなどを含めてだろう。部屋じゃないと言ってやりたい気持ちを押さえて美容液まで完了させる。ジョエルは隣で髪のセットまで完了させてた。その服どっからでてきたの?と聞こうとおもったけど、魔術と言われるから聞かないことにした。
着替えはサロンかと思ったら下着とメイク道具を取りに来ただけで、とんでもない広さの衣装部屋に通された。ウォークインクローゼットなんてもんじゃない。部屋だ部屋。服はまだそこまで掛かっていないが。日本人なあたしが住んでいた部屋より広い
「まだ既製品しかないんですよ。今日の午後はメゾンから人が来ます。これからは全てオートクチュールになりますから採寸など」
「え?いちいち作るの?既製品でいいんだけど」
「ミズキはそれでいいのかもしれないですが、否が応にも注目の的となりますから各メゾンやブティック、新進気鋭のデザイナー達はミズキをモデルにしたがるでしょう。夫としても妻が御婦人方の流行を作り出す人間どあれば鼻が高いというものですよ」
「うーん…まぁジョエルがそれでいいならいいか!似合う服作ってくれるといいなー」
このときはまだ軽く考えていたあたしを誰か止めてくれたらよかったのに。この後大変な目にあったのだから。それをまだあたしは知らなかった。
「今日はこちらにしましょうか」
ジョエルが選んだのは淡いグリーン地に小花柄のロングスカートのウォーキングドレスだった。
「えー?似合うかなー?」
「似合いますよ。ミズキは細いですし、その下着で胸は補正、いりませんね。コルセットはやめておきましょう。」
「後ろめっちゃボタンじゃん。自分で留められないよ」
プリーツの入った白ブラウス部分は前面にボタンはない。後ろにスカートと共布のくるみボタンが大量についていた。かわいい、かわいいが一人では絶対に着れない。
「私が留めますよ。安心してください」
上から被るとウエストのところでおっぱいが引っ掛かるらしいので広げられた上半身部分から穿いた。ウエスト部分おしり大丈夫か不安だったけどボタンをとってがっつり広げていたので大丈夫だった。ボタンも一つ一つジョエルが留めてくれた。何個ついてるんだろう?
「えー!かわいい!意外と似合うじゃんびっくり」
衣装部屋にあった大きな姿見で確認したけどすごくかわいかった。いいとこのお嬢様みたいだ。
「靴は…すみません、足のサイズがわからなかったのでミズキの履いていたものを今日も」
「履き慣れてるから全然いいよ。えーかわいい」
くるくる回りながら何度も自分の姿をチェックする
「髪の毛!どうしよう」
「簡単にアップでいいですよ。ポニーテールで」
「ポニーテールね。かわいいかも。前髪は?」
「前髪があるのは幼く見られますので、できれば全てあげてしまったほうが」
「オッケーオッケーりょーかい。じゃあメイクしてからね」
衣装部屋に別れを告げてメイク道具片手にすぐ隣の小部屋に行く。ドレッサーだ!メイクルーム!
ドレッサー前に座ってベースメイクから始める。ジョエルはずーっと見てる。楽しいのかな?
そもそもつけまつげがそこまでストックがない。なくなったらどうしよう。
一通り終わって口紅を選んでいたらジョエルが選んでくれた。スタンダードなピンクベージュ。珍しそうにまじまじと見たあとキスをしてから塗ってくれた。口紅の使い方はわかっていたみたいだ、よかった。ブラウンリップがよかったなど言えなかった。
髪は前髪もアップにしたポニーテールにする。ワックスを手のひらに馴染ませて前髪からがっつりオールバックにしてヘアゴムで留めたら、一房とってゴム隠ししてピンで留める。
本当は毛先だけでも巻きたかったけどコンセントなんて無さそうだから最初からコテはキャリーケースから出さなかった。
「地味じゃない?」
「派手にするのはまた次の機会にしましょう。朝食は…しばらくしたらもう昼食の時間ですから軽くにいたしましょう。フルーツをサロンに用意させていますよ」
「やったー!食べる。食べたら昨日言ってたところに行くんだよね?」
「えぇ。王宮内を少し歩きますが、私がエスコートしますので」
フルーツも日本と一緒かな?とか軽く考えてたらお洒落にカットされたフルーツ盛り合わせが置いてあった。いや、普通にぶどうとかみかんとかりんごでいいんだけど
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