乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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フルーツをつまみ終わってメイクをもう一回チェックしたあと、ジョエルにエスコートされて王宮内を歩いている。ジョエルの右手の肘に手を入れ腕に添えて半歩後ろを歩く。エスコートなんて初めて!すごーい!とか喜んでる空気ではないのだ。

先程部屋と王宮の廊下を繋ぐ扉をジョエルが開けたら人がいた。

「異世界の花嫁様、わたくし達は陛下から御許しを頂いて貴女様にお仕えさせていただきます」
「廊下だけですよ。なにがお仕えですか。しかもそちらから話し掛けないという約束すら守れていないじゃありませんか」
「挨拶すらしてはいけないとは言われていませんから」

ジョエルは一瞬にして機嫌悪くなったし、扉の前にいた人は張り付けたような笑顔のままだし一気に温度が下がったような気がして鳥肌がたった。一触即発ってかんじ。

「ジョエル、まぁそんな怒んなくてもいいんじゃない?」
「怒っているわけではありませんよ。新婚の私達を邪魔するのはいかがなものかと」
「そんなこと言ってなくね?ジョエル難しすぎ」
「ミズキには本音でしか話しませんから安心してください」

顎に手を添えられて上を向かされた。顎クイ!目を閉じればジョエルに口付けられた。人前だけど。
舌は否応なく咥内へ入ってくるし胸も服の上からでも大胆に揉まれる。ジョエルには人前とか関係ないんだろう。
誰かが息を呑む音が聞こえた気がする。ジョエルはわざとらしくチュッと音を立てて唇を離してくれた。

「口紅が少し、とれてしまいましたね。持ってきていますから塗り直してさしあげますよ」

ジョエルの着ているジャケットの内側からあたしの口紅が出てきて塗り直してくれる。いつ持ってきたの?グロスまで持ってきてた。

「唇をつきだして…もう一度口付けですか?」
「ちがうー、中央だけ重ねづけしてほしかったの。もうおしまい」
「残念ですね。では行きましょうか」

恐らくここに手を入れろってことなのだろう。腕に添えたら満足そうにしていた。
しかし、ここにいる人達のことは無視することに決めたらしい。下手にあたしがなにかを言ってまたピリピリしてもイヤだから何も言わないことにする。

ジョエルとあたしの前を近衛兵の制服を着た人が、あたしより後ろにはザ・執事!みたいな人がついてきている。たぶんこの執事的な人がジョエルとは合わない人なのだろう。
近衛兵さんが曲がったところをジョエルは曲がらない

「ジョエル…」
「いいですよ。彼はをするように言われているのでしょう?私達は遠回りをする必要はありませんから」
「あの人困ってるけど…」
「いいんじゃないですか?私は彼の上司に物申せる立場ですし。彼は彼で上司の言い付けを守ったらよいかと。」
「でも…」
「ミズキは優しいですね。彼は昨日いた3人に貴女を会わせようとわざと第3王子の執務室の前を通る道を通ろうとしていますよ。ミズキはそれでも?」
「え、めんどくさい」
「でしょう?では私とまっすぐ向かいましょう」

後ろから舌打ちが聞こえたけど気にしないことにする。

それにしても全く女性がいない。すれ違う人すれ違う人みんな男性だ。みんなコソコソと「あの女は誰だ」「みたことない女だ」「夫にしてもらおう」やら「執務棟で女を連れて回るなどベルティエ卿も落ちたものだ」など言われ放題である。中には飛び掛かってくる勢いの男性もいたが、先頭を歩く近衛兵に防がれていた。

「昨日の格好のミズキなら今頃ここは大変なことになっていましたよ」
「アレでしょ、娼婦より露出してる女」
「私はそんなこと思っていませんよ。魅力的なミズキに似合いの格好でしたよ」
「ほんとー?」
「胸も腰も脚も全て出ていて、まるで寝台の上にいるのかと」
「そんなだったのね…普通だと思ってたけどこの世界で着るのは控える」
「夫の前ではありのままのミズキでいてほしいですから、あの格好もまたしてくださいね」

この服歩きにくいからそれは助かる。そういえばバニー服着てあげるってノアに言ったの忘れてた

 「ほら、ミズキ着きましたよ。ここが研究棟の古代文字研究所です」

研究所というくらいだから試験管とかかと思いきやとんでもないデカイ本棚が壁一面に、紙、紙、紙の世界だった。脚立ながっ
それよりもなぜ着てるかわからない白衣におじいさんが多い空間だ

「ベルティエのお坊っちゃんが今日はなんのご用で?」
「彼女…私の妻が昨日召喚の間の織物の古代文字を解読したのでその報告に。連絡しておいたはずですが」
「妻!?あんたが!?あんなに女には興味ないと言わんばかりの態度を取り続けてきたあんたが!?」

おじいちゃんびっくりしすぎて机叩いたけど紙めっちゃ落ちて周りの人が慌ててる。あのタペストリーよりジョエルに妻のほうが大事件みたいだ。

「いやーめでたいめでたい!よし葡萄酒あけるか!」
「いえ、早めに終わらせて帰りたいので」
「冷たい男だなー。それで?そちらの御令嬢が?妻?…見たことのない御令嬢だが」

下から上まで値踏みされてるのかと思う視線だ。

「妻は昨日魔術師ノアールが異世界より召喚しました花嫁です」
「筆頭魔術師の彼が?いくら嫁がこないとは言え禁術に手を出すようなヤツではないだろう?」
「えぇ。エスコフィエ公爵にと」
「あの顔だけ王子か。それでなぜ卿の妻に?」
「私とノアールの妻になりたいと彼女が申してくれたのですよ」

おじいちゃんと話してるのに腰を抱き寄せて頭にキスされる。

「がははははっ!彼女から求婚と言いながら卿のほうがよっぽとではないか!」
「私は一目見た瞬間から恋をしてしまいましたから。一目惚れというやつですね」
「この国にお前が会ったことがない年頃の女性は貴族も平民もいないからな。どんな好条件にも首を縦にふらなかった男が一目惚れとは、長生きしていると愉快なことが起こるな」

ジョエルに一目惚れだと言われて嬉しかったのに愉快扱いされて一瞬で落とされた。ひどくない?宇宙人とかじゃないのに、ってこの世界の人間じゃないし宇宙人みたいなもの??

「まぁとにかく座れ。応接間は書類の山だから通せぬ。ここでいいだろう。それで奥方の名は?」
「彼女はミズキ」
「ではマドモアゼル…ちがうか、マダム」

マダム。ヤバイ。これ日本で言われてたら草生えるとか言いたくなるやつ。あたしにマダム!

「ミズキと呼んで、ください」

笑いをこらえるのに必死である。おじいちゃんもジョエルも何事かとみてくるが、生粋の日本人であるあたしがマダムと呼ばれてもどうしたらいいのかわからないので名前で呼んでほしい。

「ではミズキ殿、本題に入ろうか。あれが読めたとは?」
「うーん、読めたというか普通にわかった?というか…女児を授かりたければ酢を多く摂れとか、肉をよく食べろとかカフェイン控えろ。クランベリーを食べろ。男は逆に野菜を摂れとか。極めつけは女性が満足する前に射精しろだったかな?」

また周りがざわざわしている。なんだろうこの遠巻きにみられながらも確実にあたしのこと言ってますってわかるやつ。気分はあまり良いものではない

「そのようなことが…初耳だな。卿は?」
「私もですよ。そのような言い伝えすら聞いたことがありません」
「ミズキ殿、それがあの織物に記されていた、と?」
「そうだけど…でもこれってあたしのいた国でも言われてたけど全然確実じゃないよ。そもそも子どもって授かり物でしょ?コントロールできるものでもないんじゃない?」

我ながら正論だと思う。こんなの全部科学的根拠ないし迷信だろう。日本でも聞いたことあるけど、そんなことで産み分けどうこうなんてなってたら恐ろしい

「まぁミズキ殿の仰る通りだ。こんなものを発表して女児ではなかったと文句を言われても、タペストリーに織り込んだ職人達もそれを指示した者も誰ももう生きてはおらぬから責任をとらせられない」
「発表する価値はありますが、あくまで古代文字として記されていて科学的根拠は一切ないと併記しなくてはなりませんね」
「それよりもこれで今まで解読できなかった文字が少しでも判明したということだ。そちらのほうが喜ばしいなこちらとしては」

おじいちゃんはまだまだ研究するつもりらしい。あたしなんでも読めそうな気がするから研究いる?

「しかしミズキは読めてしまいましたから…」
「ミズキ殿はこちらへ所属してくれるのか?」
「所属?ジョエル?どうなの?」
「所属とまではいかずたまに手伝いとして通わせようとは思っていましたが…所属になれば給金がでますよ」
「手に職じゃん!やるやる!」
「ミズキ殿はやる気だな。こちらとしても大歓迎だ」

ジョエルは微妙な顔をしている。考えてるようななんというか思ってたのとちがうというか

「国のためには古代文字を解読することも大切だとわかっていますが、この国では女性が働くのは一般的ではありません。ましてや研究職など…」
「お給金?でるんでしょ?あたしもジョエルとノアに養われてるだけよりちょっとは仕事したいよ。バイト?パート?どっちになるかわかんないけど」
「正式に所属するとなれば色々手続きがあるのであまりお勧めはしません…たまに通う手伝いであってもミズキの功績として褒賞金がでますから。それでは不満ですか?」
「まぁまぁ、ベルティエのお坊っちゃんは一目惚れした奥方をあまり人目に晒したくないということだよ。ミズキ殿が仕事をしたいという気持ちも、国のためになることもわかってはいるけれど、卿も男なんだ。二人でよく話し合いなさい」
「おじいちゃん…」

女性が働かない世界だというのは歩いてるときになんとなく察した。一人もいなかったから。寧ろこの世界に来てから自分以外の女は一人も見ていない。あたしがわかる女性も異端児ヒナだけど彼女も国にはいない。

「ミズキになにか解読済みの古代文字をみせていただけますか?あれがたまたまだったのか本当に読めるのか確かめたかったのが本題ですから」
「卿の切り替えの早さには舌を巻くが、奥方の気持ちも理解してやることだな。それだから今まで結婚できなかったと卿の方に問題があるように思えて仕方がない。まぁ持ってくるよ」

あたしが黙ってしまっていたからか。ただ考え事をしていただけなのに。多分遠回しに女の気持ちがわからないから結婚できてなかったんだよと言われてるんだろうけど。

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