乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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「ネイル?それは城の侍従達…いや、あれ、ほら、アレ、ベルトルッチの人間がいいんじゃない?そこらへんのサロンよりよっぽと上手いわ。メイクもネイルもヘアセットも。プロレベルよあの一族は」

コルセットを引き締めながらルネさんはそう答えてくれた

「これってこんなに締めるんですか?苦しっ」
「貴女細いからまだマシなほうよ。自己管理できていない女を細くするのなんて象にでも引っ張ってもらいたいくらい大変なんだから」
「いや、骨折れる絶対。」
「折れない、わよっ!ほら、出来た。折れてないじゃない」

当日使うコルセットじゃないと仮縫いの調整ができないからとギチギチに締め上げられた。
いまだにこの世界の女性には会ったことがないけれど、こんな苦労をしているのか、恐ろしい。
鉄?みたいな骨組みのクリノリンというかペチコートを履かせられたあと縫い代が表に出ている仮縫い状態のドレスを着せられる。

「スカート部分もチュールはまだよ。仮縫いだから土台の調整なの。ウエストもバストも問題なし。いや、もうちょっと絞れるわね。いい、あと3日、絶対太らないでよ」

問題なしと言いながらも着せたまま縫い代を摘まみ、腕につけたピンクッションからシルクピンをとっては刺すを繰り返しているルネさん。この前会ったときよりファンデーションが濃いめというかコンシーラーが濃いのか…恐らく徹夜しているのだろう申し訳ない

「ドレスって重い…」
「なにをおっしゃっているの?当日はもっと重いわよ。それであの大階段を降りてダンスをするんですもの、かなりの重労働よ」
「これより重いの!?」
「当たり前じゃない。チュールやオーガンジー重ねるだけじゃないの。その上にこれでもかと宝石を散りばめるんですもの。重くなるに決まっているわよ」

十二単は約20㎏あるらしいからそれよりはましだろうけど、これより重くなるドレスとか恐ろしい。5㎏はあるんじゃなかろうか

「メイクはミズキ様ご自分で?」
「うん。結構こだわりあるから」
「当日はもっと派手にしたらいいわ。できる?」
「うん。めっちゃ気合いいれるつもり」
「ヘアはベルトルッチの人間にやってもらいなさい。執事長が無理でも王太子付きの長男か第3王子付きの次男、どちらかがいいわ。上手ですもの。三男以降でもいいけれどあの三人は別格。私から申し上げておきます?」
「ジョエルに聞かないと」
「あー…。帰るときに彼の執務室に寄って伝えておくわ。よし、こんなもんでいいわね。私の今までの作品で一番のモノになるわ楽しみにしてらして。ではまた明後日」

すごい勢いで脱がせてドレスを持ってルネさんと仲間達は去っていった。パンツ(今日はTバックじゃない)だけで放置されたからブラジャーをつけて、ルネさんが選んだワンピース、いや、これはドレス、を着る。一人で着れるものもあるんじゃない。この前のジョエルの選んだバックボタンだらけの服は珍しいものだってさっき言われた。

「ノアー?おまたせ」
「待ってないよ。それにしてもミズキ大丈夫だった?ルネ様たちすごい形相で去っていったけど…」
「うん…とりあえずすごい勢いで色んなことされた…疲れた」
「でもこれからマナー講師が来るよ。まぁカーテシーはジョエル様に教えてもらっただろうから歩き方くらいじゃないかな?あとミズキの場合はお酒の飲み方?」

あたしはいつでもお酒を欲している人間だと思われているようだ。たしかに大好きではあるが少しくらい我慢だってできる。あまり飲み過ぎてもいけないということでジョエルかノアが渡したグラス以外に口をつけてはいけないと言われた。わかってます。わかりました。




*****




「ピンヒールであんなに華麗に階段降りる男の人初めて見た…」
「実際は重いドレス着てすごくゆっくり降りるんだよ」
「手すりありなら余裕」
「手すりはダメだよ。エスコート」
「ノアかジョエルでしょ?」
「うん。多分そう」

マナーの先生だから遂に女性かと思ったら、また女性の格好をした男性だった。いつ同性に会えるのだろう?
階段を降りて王様に挨拶してノアのジョエルとダンスを踊るのが当日やることらしい。とりあえずそれだけ出来ればなんとかなるらしい。あと夫以外から差し出された物には絶対口をつけてはならない、お酒は一気飲みしない、夫から離れてはいけないと念を押された。
マナーは1どころではなく0からお教えしなければなりませんねと笑っていたけれど、目は一切笑っていなかった。

「ダンス、やろうか」

一瞬で飛ぶのは結構なのだが、せめて一言飛ぶとか言ってからにしてもらえないだろうかビビる。
とんできた先はピアノのある部屋。ノア弾くの?ダンスは?って思ってたらピアノが勝手に鳴った。こわっ七不思議じゃん

「ミズキ、ダンスは?」
「体育の授業とキャンプファイヤーだけ。それよりピアノ勝手に鳴ってる…」
「魔術って便利なんだよ」

要はノアが流してくれてるらしい。手はこことか教えてくれるけど見下げるか同じ目線だったノアが見上げる位置にいることが慣れない。かわいいは残ってるけどずいぶん男前。でもやっぱり童顔。

「顔なんかついてる?」
「ううん。いい男だなって見てたの」
「もーっ!恥ずかしいから見ないで…足、動かすからついてくるかんじで」

 思ってたより動かないけど足が縺れる。上半身もぶれるし恐るべしダンス。ハイヒールに慣れてるのにグラグラするし、体幹?軸?ないとヤバイやつだ


「まって、ノア…休憩…」
「え?まだ全然出来てないよ?」
「いい、から…思ったよりヤバイ、疲れる…」

運動なんてセックス以外していなかったあたしにダンスは正直厳しかった。ついてくればいい?ついていけない。合わせることすら難しい。やばくない?ピンチ

「ごほうび」
「ん?」
「ごほうびちょーだい。がんばるから」

目を瞑って唇を突き出してキスをせがめば応えてくれるノアが可愛くて仕方ない。ホールドされていた手も解かれて腰と後頭部にまわる。角度をかえるために一瞬口を離した隙に舌が捩じ込まれる。あたしも空いた手はノアの腰に回してキスを楽しんでいた。

「ノアール」

人の声がして慌てて唇を離して声のした方向を向けば王子様の護衛がデカイなにかを持って立っていた。股間のモノだけでなく持ち物までデカイとは

「ロラン様!」
「ノックをしても聞こえていないのか返事がなかったので勝手に入らせてもらった。ここの出入り口は魔術をかけなかったのか?」
「いえ、かけてますけど、ロラン様がいらっしゃるのはわかっていたので」
「お前にしては不用心だと思ったがちがうのならいい」

どうやらノアが呼んだらしい。まさかピアノ担当じゃ!?

「ファヴォリのルネ様よりお預かりしてまいりました」

あたしに差し出されたものはとんでもなく大きい

「スカート?」
「ペチコートというかこれはもはやクリノリン…?」
「本番と似たようなもので練習しなければ意味がないと渡された」

スカートというか下着だそうだがもはや枠だ。これをどうしろと?今着てるスカートの下に履いたらスカート広がらなくて大変なことになる気がするんだけど

「上からでいいそうだ。慣れておけと」
「これつけて踊るの!?普通でも踊れないのに!?」
「異世界の花嫁は…そうか、踊れないんですね」

なにかを思い出すように笑う彼をみて、そうかこの人もヒナのお手付きだと思い出した。10代半ばの頃から巨根だったのだろうか、それを日本の当時なら中学生か、それが受け入れるのは大変だっただろうな…尊敬するわ

「ねぇ、せっかく来てもらったんだしロラン様にも教えてもらったら?僕じゃそこまで慣れてないからあんまり練習にならないし」
「ノアールっ!異世界の花嫁様に教えるなど」
「ミズキ、ロラン様は侯爵家の人だからダンスも上手だよ。僕普段夜会は警備だから」

横目でみればなんか嫌がられてる気もするけど背に腹はかえられぬ。ダンスが出来なければ色んな人の前で恥をかくことになる。そんなことだけは避けたい。

「ロランさん…迷惑じゃなければ教えてください」
「迷惑など…こちらこそ迷惑でなければ」

ノアがとんでもスカートを装着してくれる。なにこれマヌケ。それより重い。服の重量じゃない。しかもこれはまだ序の口、本番はコルセットで締め付けられた上に重たいドレスまで着る。それで踊るの?マジ無理。

「お手を」

差し出された手をとるしかない。踊れなくては恥をかくのは自分だけではない、ノアとジョエルも恥ずかしいはず。いや、ジョエルは楽しみそうな気がしなかもないから絶対に踊れるようになってやる。

「ワルツは色々なステップの組み合わせだから男性のリードに任せればいい。基本は三拍子、1、2、3で足をだせばいい。カウントしながらやってみよう」

これ!!!!!これこそレッスン!!!ノアのついてくるかんじとかいう意味わかんない漠然とした教え方じゃ全くわからなかった。123?ワンツースリー?アンドゥトロワ?なんか聞いたことあるかもしれない。

「足元はドレスで見えないから下を向かないでパートナーのことを見つめていればいい」

ノアは感心しながら見てるけど最初からこうやって教えてくれればよかったのに。ターンはもはや強引だけど先生がいいとこんなにも変わるか!?ロランさん?様?は騎士?なだけあって体格もいいから支えられてるというのもあるかもしれない。そして見つめればいいと言いながら自分は顔をそらしているのはなんでなんだろうか?


そしてダンス順調である。最初のレッスン、いや、あれはもうレッスンとは言わない。あれはなんだったんだろうか?あたしやれば出来るじゃん。ターン下手くそだけど。ロラン(様もさんもつけないでくれと言われた)が強引にターンさせてくれる。

「ミズキ、疲れないか?」
「まだ平気。ロランは?」
「平気だがそろそろ疲れたんじゃないか?思っているより足に負担がかかっているはずだ」
「ちょっ、きゃっ!」

徐々に止まればいいものを、いきなり止まるから足がもつれて転ぶ。やばい後ろに。しかも体はがっつりホールドされたまま、やばい!
咄嗟に支えてくれようとしたのかホールドを外したのはいいが、あたしが無意識に引っ張ってしまったからなんてこった、大変なことに

「ミズキ!!!!大丈夫!?」
「いててて…おしりいたい」
「本番じゃなくてよかったよ…大丈夫じゃないというかロラン様!!」

なぜかロランの服にレースが引っ掛かって破けたドレス。そのせいであらわになった胸の谷間にすっぽり顔がはまっている男がいた。
レースが強すぎるの?ドレスの生地がもろいの?縫製が甘かったの?とりあえずなんでこんなことになるかわかんない。



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