乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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次の日に見せてもらった大衆紙は一面があたしとジョエルだった。バルのテラス席で食事してるところ。『結婚式前のお忍びデート』って見出しで。百貨店からなにから細かくデート内容がでてるよウケる。全然忍んでないし。

「ねぇノア、みたこれ?」
「うん…楽しかったみたいだね…写真どれもいい笑顔してる」

そのノアは疲れた顔をしている。体は元に戻ってた。なんでも魔力量との関係を調べられたらしいんだけれど、あたしとのセックス後はいつもより元に戻るのが早いらしく、そこに関しても夜通し質問攻めやらで参ってしまったらしい。
ジョエルは笑いながら、庶民へのアピールも完了したからうまくやれる的なこと言ってて恐ろしかった。デートも政治らしい。

まぁともかく3人揃うのは久しぶりなのですごく嬉しい。午後になったらジョエルは仕事らしいけど。朝食は済んだから早めのお昼とお茶は3人でってことでお城の庭のガゼボなるところでアフタヌーンティーだ。あれ?午前中だからアフタヌーンティーじゃない?
珍しく夫だけじゃなく、ちゃんとした執事さんが来た。絶対名前セバスチャン。ジョエルに違うって言われたけど。執事さんと侍従さん数名。いや、すみません座っててって言ったら「異世界の花嫁様に給仕はさせられませんよ」って言われた。
あっという間にセッティング済んだよびっくり。執事さんすげー。ちなみに執事さんはミシェルの叔父さんらしい。あー似てるかも。美形だわ美形。目の保養って見てたらお茶を淹れる時に耳元で「甥の恋人、延いては妻の件お忘れなきよう」とジョエルとノアに聞こえないように囁かれた。あっ血筋。ミシェルパパそっくり。
それでもこんなに穏やかなのは久しぶりかもしれない。3人揃ってめちゃくちゃ幸せ。

「ほら、ミズキの好きなサンドイッチ」
「パストラミのやつ?やったー」

アミューズとスープを食べ終わったらケーキスタンドのサンドイッチ。ノアがナイフとフォークで取ってくれた。手掴みするところだった。危ない。先生に習いませんでしたか?ってジョエルに言われたけど、まだアフタヌーンティーは習ってない。

「覚えること多くない?マジ頭パンクすんだけど」
「まぁミズキは淑女教育を受けてきたわけではありませんからね…でも舐められないためですよ。いやでしょ?」

よくおわかりで。知らない世界で知らない女に馬鹿にされるのとか本当にイヤ。何人か馬鹿にしてくる女いたけど、あたしが出る間もなく近衛騎士さん達に連行されてった。まぁ不快な気持ちは残るから一緒にいたノアかジョエルには文句言ってたけど。
へぇー、アフタヌーンティーってケーキスタンドの下から食べるのね、初めて知った。写真撮りたかった。ときどきお茶のおかわりをどうぞってミシェル叔父が来るのこわすぎ。もう脅迫だよ脅迫。なんでそんなに甥に彼女を作りたがるんだ?あの顔なら選びたい放題だろうに。




ケーキにさしかかる前にジョエルは仕事に行ってしまった。結婚式まであと数日。ドレスももうほぼ出来ているし、髪型の打合せもも終わっている。ネイルは明日夕方からミシェルと約束してるから大丈夫。めんどくさいお願いも聞いてあげなきゃだけど。ドレスのレースと同じような3Dフラワーいれてもらおう。試着のときにもミシェルいたし、わかるだろう。

「ケーキ食べ終わったらどうしよっか?」
「部屋戻る?」
「ノアに任せる。仕事は?」
「…今日は休みもらった」

昨日のせいだ。かわいそう。外デートか部屋デートだなこれは。今日はパーティーもなければ予定もない。ドレスの呼び出しさえなければ。明日はロランのラッキースケベの呪いのことをルネさんの奥さんに聞きに行くの。魔女なんだって。楽しみ。絶対黒い布被ってるよ。

「僕もミズキと街でデートしたいけど…たぶん嫌な思いさせちゃうかもだから部屋かな」

やっぱりノアへの当たりはなかなかに厳しいものがあった。普段はノアに好意的な人と過ごすことが多いから忘れるけど、結構ひどい。ジョエルいわく「いてもいなくてもなにもかわらない貴族ですよ」と呼ばれる人達だけじゃなくて、結構上の貴族のやつら(ノアを悪く言うなんて人とは思わない)とか、街の人すらひどい。あたしも魔術使えるのなら、一人ずつ虫歯と尿管結石にしてやりたいくらいムカつく。


そう、この前行った3人で行った観劇なんてそれはもう…思い出すのもため息が出る。

「ジョエルの機嫌が悪いのか良いのかよくわからなかったやつね」
「そう、それ。でもジョエルもノアのこと悪く言われて怒ってくれるくらいノアのことも大事にしてくれてるんだよ」
「うん、それはよくわかってる」







*****







「馬車さー、酔うんだよねー」
「魔術つかう?」
「ううん。誰か早く車開発してほしい」
「あるにはありますけど、まともに運転できる人間がいないんですよ」
「あたしも免許ないしなー。死にたくないからお馬さんに頑張ってもらうしかないね」

あたしの知ってるセダンとかミニバン、軽自動車なんてなかった。全部クラシックカーだった。しかもマニュアル。クラッチとかギアとわからなすぎて無理無理。無免だし無理。馬にポニーとロバって名前をつけたやつはあたし嫌いじゃない。あたしが馬なら怒るけど

着いた劇場は思ったよりちゃんとしてた。ライヴハウスとは違う。案内されたのもいわゆるボックス席。舞台正面。きっといい席なんだろうというのがわかる。王室用の席を譲ってもらったらしい。ジョエルほんとなにしてるんだろう。
シャンパンも持ってきてもらえたし、観劇って思ったよりいいかもしれない。
身を乗り出して横とか見ようかと思ったけど、危ないしお行儀が悪いからやめなさいって言われた。いや、隣とか気になるじゃん。
席はソファじゃなくてちゃんと独立してた。確かにソファだったらこの二人がなにもしてこないわけがないので、独立でよかったかも。ドレスだと脚が触れないってノアは残念がってたけど、裾から手入れてさわってくる男はノアとは反対側にいた。平和だ。

「お手洗い行ってくる」

公演時間がどれくらいかわからないから事前に行っておく。幕間があったとしても混みそうだし。座席の裏の扉から出る。入り口まではジョエルがついてきてくれるって、ノアじゃないの珍しい。貴族の女性からやっかみを受ける可能性があるからだそうだ。いや、そんなんいつものことじゃん。って笑ってたけどやっぱりその通りだった。

「なぜあなたのような方がジョエル様と御一緒なんですの?」

なんかえらそうな女に絡まれてるんだけど。ここ最近もう何人目?外出てちょっと隙があれば絡んでくる女多くない?暇なの?

「どちら様か知らないけどジョエルのこと名前で呼んでいいの?この前知らない人が名前で呼んでて怒られてたけど」
「私になんて口のききかたをしているのかしら。ほんと、別の世界からいらした方というのは言葉遣いという当たり前の教養もないんですの?」

おほほほほって高笑いしてんだけど。ウケる。あとくっそ縦巻きロールなのウケる。何時代だよ。ドリルドリル。漫画みたい。でも全く崩れてないからスタイリング剤は教えてほしい。

「ちょっと、あなた!聞いていますの?」

聞いてるも何も大きい声で言わなくても聞こえる。あと多分だけどジョエルにこの女の言ってること筒抜けなんだけど、いいのかな?なんかまだわーわー言ってるけどもうちょっと砕けた言葉遣いじゃないとあんま理解できない。遠回しすぎて言いたいことがわからない。

「聞いてますけど、なんかよくわかんなくない?遠回しすぎてなにも伝わってこないんだけど」
「ですから!あーっもう!端的に申しますわ。あなたにはあの下賤な者、人外魔術師がお似合いなの、ジョエル様を早く解放してさしあげて!あなたなんかの婚約者でいい方ではありませんわっ」

外から変な音がした。ジョエル壁蹴ったんじゃない?ジョエルみたいなイケメンが化粧室前であたしのこと待ってるだけで異様な光景だとおもうのに絶対キレてる。あーあもう知らない。化粧室爆発とかしない?トイレのところじゃなくても鏡あるからこわいんだけど。
そんなこと思ってたら化粧室なのに騎士の人入ってきて、目の前の女の人連れていかれた。「なにをするんですのっ?私が誰かわかっているの!?」って叫んでたけど連れていかれた。こわっ。絶対ジョエルじゃん。とりあえず持たされたちーっちゃいバッグに入った口紅でリップメイクを直して化粧室から出る。もう知らん。

腕を組んで化粧室の扉の横の壁に寄り掛かってたジョエルはお世辞にも機嫌が良くは見えなかった。一定の距離をとって周りの人たちが見ている。わかる。マジ近寄れない。

「ミズキ、なにもなかったですか?」
「え?う、うん。なんにもないよ」
「よかった。私はあまり気分がよくないので少しだけ慰めてくださいますか?」

手を引かれて座席のある個室に戻ったらノアが立って待ってた。座ってればいいのに。

「ノアール、頼みましたよ」
「はい」

今度はノアが出ていっちゃった。なんでもさっきの人がちゃんと連行されてくか見届ける当番らしい。ジョエルが見送ってしまったら斜め上の解釈をしそうなヤバめ女だからノアが行くらしい。ノアのこと悪く言ったからマジムカつくんだけど、ジョエルが勘違いされるのは厄介そう。

「ミズキ、ん」

先に座ったジョエルは自分の膝の上に座れと言っているようだった。以外と周りの座席から見えるみたいだから遠慮しといた。自分の座席についたら若干面白くなさそうな顔してたからキュンだ。完璧なとこより、こーゆーとこのほうが好き。

「ジョエル、好き」
「私のほうが好きですよ」

キスくらいなら全然って思ったら右手をとられた。場所が場所だからなんとなく想像もできる

「ちょっと変に興奮したんですかね。下半身は他の座席からはみえませんから、ちょっとだけ」

抜けってことだ。なんて男だろう。怒りが下半身にいったの?マジやべぇやつだよ。ノア戻ってくるのにって言ったら、彼は気がつかえますからってファスナーから息子取り出してくれちゃったよ。仕方ない、言うこと聞いてやろう。

「キス、してくれます?」
「ジョエルが甘えるなんて珍しい」
「早くイきたいですから」

それかよ。
端から見ればイチャついてるだけかもしれないけど、こんな目立つ席でやってることは手コキだから。信じらんない。しかもどこに出すのかと思ってたら耳元で「口に出したい」って。ジョエルの性癖ってどうなってんだろう。とりあえずいつもより早めにイっていただけたのでよかった。

「入ってもいい、ですか?」

ドアの向こうからノアの声がする。ジョエルが許可を出せばノアがまたシャンパンのボトルとオレンジジュース持ってきてくれてた。

「もう…気付かれても知りませんよ。ほらミズキ、口ゆすぎに行く暇はないだろうから味濃いやつで紛らわせて」

今あたしにはノアが神様に見える。いや、待って、なんでっ!

「気付いたの!?」
「ノアールには気付かれるに決まってるじゃないですか。ほら、幕があがりますよ」
「もーーっ!ジョエルほんといい性格してるよねっ」





*****




「観劇の思い出ってろくでもないんだけど」
「あのあと隣のボックスにいたって次期侯爵御夫妻達が微笑んでたよね。ヴァリアン先輩がいたから多分何してるかわかってたと思うよ」

二人同時にため息がでる。当事者は仕事に行った。



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