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エイプリルフール①
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本編のエイプリルフールのときだけ公開してたやつを移動です。
ミズキとジョエルが兄妹、異世界から来てない設定。
リュカ×ミズキのエイプリルフールネタ。
ミズキはほぼ別人。夢オチ。
***
「リュカ、次こっち!」
こちらを振り返りながら前を走る侯爵家の令嬢、ミズキとは久し振りに会えた。彼女の父や兄が彼女と王族との接触を最小限に抑えているからだ。
年齢も同じ、高位貴族の娘となれば妻候補に一番に上がってくるはずなのに生まれてすぐ侯爵家から断固拒否との申し入れがあったそうだ。その彼女に会えたのは10歳になってから。自分の婚約者もとっくに決まっていたが一目惚れだった。
「殿下はじめまして」
カーテシーを披露した彼女に見惚れてしまった。同じ場にいた側近のロランとロランの父は即彼女に婿として迎え入れてほしいと申し出たそうだが微笑まれただけなので実質門前払いだ。
その後彼女は花嫁修行という謎の勉学のため、彼女は彼女の父や兄と登城する機会が増えた。彼女の父兄は宰相やその補佐のため彼女に付きっきりとはいかない、その隙をみて彼女との交流を持った。
「珍しい名だな」
「そう。異国の名前なんだって。お父様に言われた」
他貴族との交流も最小限、世間知らずの彼女は王子相手に敬語がないこともなんとも思わず話をする。そんな関係の人間もいないので、彼女との時間はかけがえのないものだった。
何度も何度も彼女も勉学の場を抜け出し共に過ごした。
それから数年、城で会うたび二人でよく教師達から抜け出した。
「リュカ、今度はどこに連れてってくれるの?」
自分を殿下や第3王子ではなく名前で呼んでくれる数少ない人間。珍しい黒髪に大きな目、淡い色の唇に整った顔立ち。気安い性格と人懐っこさに心惹かれないはずがなかった。一目惚れではあったけれど、どんどんミズキを好きになる一方だった。
「四阿にしよう。新しく建てたところがあるんだ。まだ公表していないから誰も知らない」
「ほんと?」
「ミズキに一番に見せたかったんだ」
「嬉しいっ!」
好きな子に腕に抱きつかれて嫌な人間なんて一人もいない。側近や近衛、彼女に付いている侯爵家の兵にも何も告げずに彼女を連れ出してしまった。
「きれい。お城の裏にあるのは知っていたけれどこんなにキラキラしているのね」
「この離宮は将来貰い受けることになっているんだ」
「じゃあリュカのお城になるんだ」
「…まぁな」
ここでお前と生涯共に過ごしたいと言う、今日こそ言うんだ。
いつのまにか腕にだきつくのをやめていた彼女の肩に腕を回してこちらに引き寄せる。抵抗がないから受け入れてくれるつもりなのだろう。
「ミズキ」
「殿下、妹から手を離してください」
どうしてこの場がわかったのか?目の前に現れたのは彼女の兄でありこの世で一番苦手な男、ジョエルだ。兄の幼馴染みだから昔から会う機会は多々あったが苦手なものは苦手だ。大好きな彼女の兄だから仲良くするしかないと思ったこともあるが、無理だった。
「ジョエルお兄様!どうしてここに?」
「かわいいミズキがよからぬ輩に連れ去られたと聞いてね。まぁ本当によからぬことが起きそうになっていたけれど。こっちへおいでミズキ」
肩を抱いてはいたが彼女は腕からすり抜けて兄の元へ行ってしまった。
「あぁ殿下、お伝え忘れていましたが御婚約者様がいらっしゃってますよ。早く行ってあげたらどうです?あなたの側近達も血眼になって探しておられましたよ」
ミズキの前でわざわざ言わなくてもいいだろう
「リュカ、婚約者がいたの…?」
もうだめだ終わった。
「…今度説明する。正式に誘うから待っていてくれ」
その後彼女に宛てた手紙に返事がくることはなかった。どう考えても宰相達に握りつぶされているのはわかっていたが、父や母、兄もどうさることもできないと助けてくれなかった。
いつしか学園へ行き城にいることも少なくなり彼女と会わなくなって3年が経っていた。今は16。
婚約者はいたが、その婚約者が貴族の男と平民の男と駆け落ちしたと聞き婚約はいつのまにか白紙になっていた。学園にいる間のことだったので全く知らなかった。
心に空いた穴を埋めることはできなかった。ミズキに会いたい、婚約は元より断るつもりだったと、遅いと言われようが真実を彼女に伝えて自分の気持ちも伝えたい。10歳で初めて会って仲良く過ごした約3年、かけがえのない時間だった。これから先もずっと一緒にいてほしいと。
「殿下」
無意味に長い廊下で声を掛けてきたのは彼女の兄、ジョエルだった。
「なんだ?」
「話があります。少しでいいので時間をください」
正直話をしたくないので断ることにした。顔もみたくないのが本音だ。
「いや今は急いでいる」
「数秒で終わります」
周りに魔術が展開されたのがわかる、防音の魔術だ。
「ミズキがどうしても殿下に会いたいと。父も私も反対ですが妹があそこまで言うから仕方なく機会を設けます。今日の夜、殿下とミズキの最後の思い出の場所で」
「なっ!ジョエル!」
「では私も急いでいますので。殿下より忙しいですからね」
嫌味を言うのも忘れないあたりが彼らしい
最後の思い出の場所、それはあの四阿だ。結局作ったと発表もできず使われることもなくなった四阿でまた彼女と
「夜分にお呼び立てして申し訳ありません」
3年振りに会う彼女はとても綺麗になっていた。かわいらしいカーテシーではなく、優雅にドレスを広げ頭を下げる。3年前とは違う、女性を思わせる香りを纏った彼女が目の前にいる。
「あぁ。頭をあげてくれ」
3年振りに目が合った。あぁやはり好きだ。好きではない、もはや愛しているんだ。3年も会えなくても気持ちは消えることがなく燃える一方だった。
「殿下」
「その呼び方はよしてくれ。以前のように名で呼んでほしい」
少し躊躇ったが彼女は前のように名前を呼んでくれた
「…リュカ」
もう抑えることができない。目の前の彼女を抱き締めていた。
「好きだ。3年前この場所で伝えたかったことと全く同じだ。ミズキのことを愛しているんだ」
「どうして?だってリュカは…」
「あのときジョエルが言ったことか?」
「…うん。お父様もお兄様も殿下には生まれながらに決まった相手がいるのだからもう会ってはいけないと言われて…手紙も来ないから本当に最後だったんだって…」
あの親子は本当に性格がねじまがっているとしか思えない。実の娘にまで嘘をついて家に留めておこうとするなんて
「あぁ、続けて」
「あたしどうしたらいいかわからなくて。会いたいと思っても学園へ行っている男性にはなかなか会えないのわかってたし、お兄様もお父様も殿下にはもう会えないって言われていたから…諦めるしかないのかもってずっと思ってて。そうしたらリュカの婚約がなくなったって新聞でみて…」
報道されたのは本当につい最近、それを彼女はみて自分をわざわざ呼び出したということは期待してもいいのだろうか?
彼女を抱き締める力がどんどん強くなってしまっていることに気付いて少し緩めたら、回されている腕に力が入ったのがわかった。
「お母様に相談したの。お母様は知らなくて…お父様とお兄様が妨害してたって知って…お兄様と結婚して家を継ぐってお父様に言われたときにお母様がキレて…爆発で家が半分なくなったの」
後半は意味がわからなかったがジョエルと結婚?なんでそんなことになっていたんだ?いや、最初からだ。きっと最初からジョエルはミズキを手に入れるつもりだったんだ。娘を離したくないという父親の気持ちにもつけこんでミズキを一生手放さないつもりだったのだろう。兄妹婚なんてと思ったが、カモフラージュ用の婿が何人かいれば世間にバレることもない、ミズキをずっと閉じ込めて自分だけのものにするつもりだったんだあの男は。
「お母様に自分に正直に生きろって言われて、どうしてもリュカに会いたかったの。リュカの婚約がなくなったのもリュカの紙面インタビューも見た。思ってる人がいるって自惚れてもいいのかなって思ったりもしたけど、やっぱりどうしても会って伝えたくて」
上を向いた彼女と目が合った。
「さっき言ったことほんと?」
「あぁ。初めて会った時からずっとミズキが好きだ。会えなかった3年もずっとミズキのことだけを思って」
「あたしは一目惚れじゃないけど、リュカが好き。王室に入るのは大変だってわかっているけどリュカのためならがんばれる」
「ミズキ」
「リュカ、愛してる」
目を閉じた彼女の頬に手を添えて唇を重ねる。あぁ幸せだ。
「知ってた…夢だって」
目が覚めたら先程までのがすべて夢だと気付いた。
すぐにミシェルが部屋にきて身嗜みを整えたら早速執務だ。
「でねー、ノアが目の前に来た人魔術でぶっ飛ばしてー」
「さすがノアですね」
「ジョエルだって余裕でしょ?もー、こんなになよっちくみえるのにほんとはちゃんと筋肉もあるんだもん、好き」
天気もいいし城内を歩いて執務室まで向かえば、目の前から歩いてきたジョエルとミズキと遭遇した。
「お前ら兄妹で」
「「え?」」
「あっ、いや、ちがう、すまない」
先程までのは夢だ。今は現実。この二人は兄妹でもなんでもない、血の繋がりもない正式な夫婦だ。
「おはようございます殿下。私とミズキは夫婦ですので兄妹ではありませんが」
「えー、にてる?あたしもこんなイケメン?」
「ミズキ、殿下は何か悪い夢でもみたのでしょう、いえ、悪い夢ではなく都合のいい良い夢だったのかもしれませんよ」
何も言っていないのになんでわかるんだ…夢でも現実でもこの男に悩まされているじゃないか
「やばいよ、夢と現実はちがうよ。あたしもこれ夢かと思ったけど結構時間経つけど戻らないから現実だって最近知ったもん」
「あとでミシェルに目の覚めるお茶でも淹れてもらったほうがいいですよ」
「…心配されなくてもそのつもりだ」
「ならいいんですが。ミズキ、行きますよ」
「うん。おーじさま、お大事に」
歩きだした彼女達を振り替えれば廊下のど真ん中でキスをしていた。
夢の中ならジョエルの位置が自分だったのにと思いながら執務室へ向かう。
「殿下、用意するのはとびきり苦いお茶か酸っぱいお茶、いっそ白湯、どうされます?」
「…普通で」
「じゃあ普通に苦くてすっぱいものを足した白湯にしますね」
「紅茶かハーブティーにしてくれ」
ミズキとリュカが結ばれるまであと○日!
いや、その日は本当にくるのか!?
ミズキとジョエルが兄妹、異世界から来てない設定。
リュカ×ミズキのエイプリルフールネタ。
ミズキはほぼ別人。夢オチ。
***
「リュカ、次こっち!」
こちらを振り返りながら前を走る侯爵家の令嬢、ミズキとは久し振りに会えた。彼女の父や兄が彼女と王族との接触を最小限に抑えているからだ。
年齢も同じ、高位貴族の娘となれば妻候補に一番に上がってくるはずなのに生まれてすぐ侯爵家から断固拒否との申し入れがあったそうだ。その彼女に会えたのは10歳になってから。自分の婚約者もとっくに決まっていたが一目惚れだった。
「殿下はじめまして」
カーテシーを披露した彼女に見惚れてしまった。同じ場にいた側近のロランとロランの父は即彼女に婿として迎え入れてほしいと申し出たそうだが微笑まれただけなので実質門前払いだ。
その後彼女は花嫁修行という謎の勉学のため、彼女は彼女の父や兄と登城する機会が増えた。彼女の父兄は宰相やその補佐のため彼女に付きっきりとはいかない、その隙をみて彼女との交流を持った。
「珍しい名だな」
「そう。異国の名前なんだって。お父様に言われた」
他貴族との交流も最小限、世間知らずの彼女は王子相手に敬語がないこともなんとも思わず話をする。そんな関係の人間もいないので、彼女との時間はかけがえのないものだった。
何度も何度も彼女も勉学の場を抜け出し共に過ごした。
それから数年、城で会うたび二人でよく教師達から抜け出した。
「リュカ、今度はどこに連れてってくれるの?」
自分を殿下や第3王子ではなく名前で呼んでくれる数少ない人間。珍しい黒髪に大きな目、淡い色の唇に整った顔立ち。気安い性格と人懐っこさに心惹かれないはずがなかった。一目惚れではあったけれど、どんどんミズキを好きになる一方だった。
「四阿にしよう。新しく建てたところがあるんだ。まだ公表していないから誰も知らない」
「ほんと?」
「ミズキに一番に見せたかったんだ」
「嬉しいっ!」
好きな子に腕に抱きつかれて嫌な人間なんて一人もいない。側近や近衛、彼女に付いている侯爵家の兵にも何も告げずに彼女を連れ出してしまった。
「きれい。お城の裏にあるのは知っていたけれどこんなにキラキラしているのね」
「この離宮は将来貰い受けることになっているんだ」
「じゃあリュカのお城になるんだ」
「…まぁな」
ここでお前と生涯共に過ごしたいと言う、今日こそ言うんだ。
いつのまにか腕にだきつくのをやめていた彼女の肩に腕を回してこちらに引き寄せる。抵抗がないから受け入れてくれるつもりなのだろう。
「ミズキ」
「殿下、妹から手を離してください」
どうしてこの場がわかったのか?目の前に現れたのは彼女の兄でありこの世で一番苦手な男、ジョエルだ。兄の幼馴染みだから昔から会う機会は多々あったが苦手なものは苦手だ。大好きな彼女の兄だから仲良くするしかないと思ったこともあるが、無理だった。
「ジョエルお兄様!どうしてここに?」
「かわいいミズキがよからぬ輩に連れ去られたと聞いてね。まぁ本当によからぬことが起きそうになっていたけれど。こっちへおいでミズキ」
肩を抱いてはいたが彼女は腕からすり抜けて兄の元へ行ってしまった。
「あぁ殿下、お伝え忘れていましたが御婚約者様がいらっしゃってますよ。早く行ってあげたらどうです?あなたの側近達も血眼になって探しておられましたよ」
ミズキの前でわざわざ言わなくてもいいだろう
「リュカ、婚約者がいたの…?」
もうだめだ終わった。
「…今度説明する。正式に誘うから待っていてくれ」
その後彼女に宛てた手紙に返事がくることはなかった。どう考えても宰相達に握りつぶされているのはわかっていたが、父や母、兄もどうさることもできないと助けてくれなかった。
いつしか学園へ行き城にいることも少なくなり彼女と会わなくなって3年が経っていた。今は16。
婚約者はいたが、その婚約者が貴族の男と平民の男と駆け落ちしたと聞き婚約はいつのまにか白紙になっていた。学園にいる間のことだったので全く知らなかった。
心に空いた穴を埋めることはできなかった。ミズキに会いたい、婚約は元より断るつもりだったと、遅いと言われようが真実を彼女に伝えて自分の気持ちも伝えたい。10歳で初めて会って仲良く過ごした約3年、かけがえのない時間だった。これから先もずっと一緒にいてほしいと。
「殿下」
無意味に長い廊下で声を掛けてきたのは彼女の兄、ジョエルだった。
「なんだ?」
「話があります。少しでいいので時間をください」
正直話をしたくないので断ることにした。顔もみたくないのが本音だ。
「いや今は急いでいる」
「数秒で終わります」
周りに魔術が展開されたのがわかる、防音の魔術だ。
「ミズキがどうしても殿下に会いたいと。父も私も反対ですが妹があそこまで言うから仕方なく機会を設けます。今日の夜、殿下とミズキの最後の思い出の場所で」
「なっ!ジョエル!」
「では私も急いでいますので。殿下より忙しいですからね」
嫌味を言うのも忘れないあたりが彼らしい
最後の思い出の場所、それはあの四阿だ。結局作ったと発表もできず使われることもなくなった四阿でまた彼女と
「夜分にお呼び立てして申し訳ありません」
3年振りに会う彼女はとても綺麗になっていた。かわいらしいカーテシーではなく、優雅にドレスを広げ頭を下げる。3年前とは違う、女性を思わせる香りを纏った彼女が目の前にいる。
「あぁ。頭をあげてくれ」
3年振りに目が合った。あぁやはり好きだ。好きではない、もはや愛しているんだ。3年も会えなくても気持ちは消えることがなく燃える一方だった。
「殿下」
「その呼び方はよしてくれ。以前のように名で呼んでほしい」
少し躊躇ったが彼女は前のように名前を呼んでくれた
「…リュカ」
もう抑えることができない。目の前の彼女を抱き締めていた。
「好きだ。3年前この場所で伝えたかったことと全く同じだ。ミズキのことを愛しているんだ」
「どうして?だってリュカは…」
「あのときジョエルが言ったことか?」
「…うん。お父様もお兄様も殿下には生まれながらに決まった相手がいるのだからもう会ってはいけないと言われて…手紙も来ないから本当に最後だったんだって…」
あの親子は本当に性格がねじまがっているとしか思えない。実の娘にまで嘘をついて家に留めておこうとするなんて
「あぁ、続けて」
「あたしどうしたらいいかわからなくて。会いたいと思っても学園へ行っている男性にはなかなか会えないのわかってたし、お兄様もお父様も殿下にはもう会えないって言われていたから…諦めるしかないのかもってずっと思ってて。そうしたらリュカの婚約がなくなったって新聞でみて…」
報道されたのは本当につい最近、それを彼女はみて自分をわざわざ呼び出したということは期待してもいいのだろうか?
彼女を抱き締める力がどんどん強くなってしまっていることに気付いて少し緩めたら、回されている腕に力が入ったのがわかった。
「お母様に相談したの。お母様は知らなくて…お父様とお兄様が妨害してたって知って…お兄様と結婚して家を継ぐってお父様に言われたときにお母様がキレて…爆発で家が半分なくなったの」
後半は意味がわからなかったがジョエルと結婚?なんでそんなことになっていたんだ?いや、最初からだ。きっと最初からジョエルはミズキを手に入れるつもりだったんだ。娘を離したくないという父親の気持ちにもつけこんでミズキを一生手放さないつもりだったのだろう。兄妹婚なんてと思ったが、カモフラージュ用の婿が何人かいれば世間にバレることもない、ミズキをずっと閉じ込めて自分だけのものにするつもりだったんだあの男は。
「お母様に自分に正直に生きろって言われて、どうしてもリュカに会いたかったの。リュカの婚約がなくなったのもリュカの紙面インタビューも見た。思ってる人がいるって自惚れてもいいのかなって思ったりもしたけど、やっぱりどうしても会って伝えたくて」
上を向いた彼女と目が合った。
「さっき言ったことほんと?」
「あぁ。初めて会った時からずっとミズキが好きだ。会えなかった3年もずっとミズキのことだけを思って」
「あたしは一目惚れじゃないけど、リュカが好き。王室に入るのは大変だってわかっているけどリュカのためならがんばれる」
「ミズキ」
「リュカ、愛してる」
目を閉じた彼女の頬に手を添えて唇を重ねる。あぁ幸せだ。
「知ってた…夢だって」
目が覚めたら先程までのがすべて夢だと気付いた。
すぐにミシェルが部屋にきて身嗜みを整えたら早速執務だ。
「でねー、ノアが目の前に来た人魔術でぶっ飛ばしてー」
「さすがノアですね」
「ジョエルだって余裕でしょ?もー、こんなになよっちくみえるのにほんとはちゃんと筋肉もあるんだもん、好き」
天気もいいし城内を歩いて執務室まで向かえば、目の前から歩いてきたジョエルとミズキと遭遇した。
「お前ら兄妹で」
「「え?」」
「あっ、いや、ちがう、すまない」
先程までのは夢だ。今は現実。この二人は兄妹でもなんでもない、血の繋がりもない正式な夫婦だ。
「おはようございます殿下。私とミズキは夫婦ですので兄妹ではありませんが」
「えー、にてる?あたしもこんなイケメン?」
「ミズキ、殿下は何か悪い夢でもみたのでしょう、いえ、悪い夢ではなく都合のいい良い夢だったのかもしれませんよ」
何も言っていないのになんでわかるんだ…夢でも現実でもこの男に悩まされているじゃないか
「やばいよ、夢と現実はちがうよ。あたしもこれ夢かと思ったけど結構時間経つけど戻らないから現実だって最近知ったもん」
「あとでミシェルに目の覚めるお茶でも淹れてもらったほうがいいですよ」
「…心配されなくてもそのつもりだ」
「ならいいんですが。ミズキ、行きますよ」
「うん。おーじさま、お大事に」
歩きだした彼女達を振り替えれば廊下のど真ん中でキスをしていた。
夢の中ならジョエルの位置が自分だったのにと思いながら執務室へ向かう。
「殿下、用意するのはとびきり苦いお茶か酸っぱいお茶、いっそ白湯、どうされます?」
「…普通で」
「じゃあ普通に苦くてすっぱいものを足した白湯にしますね」
「紅茶かハーブティーにしてくれ」
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いや、その日は本当にくるのか!?
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