チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―自炊スキルを生かし、俺は異世界で養護施設を切り盛りしながら魔王も討伐する―

小春かぜね

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異世界で子ども食堂を開きたい!

第12話 教会の厨房を見る

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 翌日……

 俺はリンと一緒にメルメーサ王国城がある、パプテトロンに行き、城内で俺は王国発行の身分証を受け取る。
 王国発行の身分証は、日本国の運転免許証と良く似ておるが、写真がまだ開発されていない時代なので、写真欄に相当する場所には、俺の人差し指の指紋を押された。

 指紋を身分証に押す事に依って、身分証の偽造を防ぐためだろう。
 身分証の偽造は出来ても、他人の指紋偽造は基本出来ないからな?

 なので万が一。身分証を紛失しても、指紋照合が出来れば身分証の再発行が可能のようだ。
 だが、18歳以下の場合は未成年なので、子どもの指紋代わりに親の指紋を押すそうだ。←メルメーサ王国は18歳が成人らしい

 指紋の関係上。この身分証は数年おきに書き換えが必要らしい。
 有効期限も『マルコ535年10月24日まで有効』と、ちゃんと書かれている!

 ちなみに、リンの年齢は17歳で有り、来年成人と成るが、メルメーサ王国は誕生日で成人では無く、城内で開かれる成人式に依って未成年から成人と成る。
 俺は身分証を貰った後。リンと一緒に今度は教会に向う。

 ……

 俺とリンは王国城から教会に着くが、教会内は神父では無く、シスターが俺とリンの対応をする。
 神父は町中に急病人が出たため、その対応のために不在で有る。

 神父は神父以外に、医者も兼任しているそうだ。
 病気は魔法では治せないが、薬で治す事は出来る。

「細かい話の前に……まずは、スズヤには教会の厨房を見て貰おうかね?」
「その方が話がしやすいし…!」

 シスターは穏やかな表情で俺に話す。
 現在の厨房担当はシスターで有る。

 教会の厨房は教会内では無く、別の建屋に有るらしいので、俺たちは一旦教会から出る。
 教会の後ろ左に、レンガで作られた立派な建屋が有る。

 其処が教会の厨房らしい。
 そして、教会正面奥には木造平屋建ての大きな建物が有る。

(この木造平屋建てが、戦争孤児たちが住んでいる家なのかな?)

 俺はそう思いながら、シスターが案内するレンガで作られた建屋に入る。

「私。初めて、教会の厨房に入りましたけど、案外狭いのですね…」

「……」

 教会の厨房を見たリンは、少し戸惑った表情で一人しゃべりをする。
 元々、この教会は大規模な炊き出しを意識した、作りには成っていなかった。

 一般の家庭向けよりかは広い厨房で有るが、かまども2つしか無く、オーブンも1つしか無い。
 俺は少し、茫然とした表情で教会の厨房内を見ていると、シスターが困った笑みを含ませながら俺に話し始める。

「びっくりしたでしょ……スズヤ」
人手ひとでが居ないのも事実だけど、厨房も大きさがこれだから、出来る料理や量も限られてくるのよ(汗)」

(この厨房で、50人や100人の料理を作る事は不可能だ)
(だが、子ども食堂も元々。個人飲食店の居抜きや、個人飲食店が形態替えをしているから、出来ない事も無いか……)

 此処で『あっ、俺にはやっぱり無理です///』、『ごめんなさい///』と言っても、シスターは多分俺を責めないだろう?
 しかし、狭い厨房でも作り置きをすれば、大人数でも対応は出来る!

 俺は困った表情をしながらも、シスターに話し始める。

「シスター。前世界の子ども食堂もこんな感じでした!」
「却って、手狭の方が動きやすいと俺は感じます…」

 でも、俺は子ども食堂の利用経験は無いし、子ども食堂で働いた事も無い。
 だが、厨房の規模や雰囲気は、前世界のTVやネットニュースで把握はしている。

「……そうですか。スズヤは出来そうですか!」

 シスターは少しの間が有ったが、目を見開きながら俺に話す。
 シスターの中では『現実を見せれば、やっぱり諦めるだろうと……』と、心では感じていたのだろう?

 シスターは真面目な表情に変わって、俺に話し始める。

「スズヤ!」
「スズヤが子どもたちに料理を作っても、食べてくれたり、完食して貰わなければ意味が有りません」

「そして、私や神父も、スズヤの腕をまだ知りません」
「今回は食材指定を敢えてしませんから、明後日の夕食を、スズヤが担当してください!」

「子どもたちや、神父たちを含めた食事を作ってください!」
「其処で、私や神父の判断も有りますが、子どもたちがスズヤの料理を受け入れれば、スズヤにこの厨房をお任せます!!」

「でも、もし……駄目でしたら、私の補助に成りますけど、給料の減額は覚悟しておいてください」

「……」

(シスターは課題を出してきたか…)
(でも、それが当たり前だな)

 俺は、腕試しをされる事と成った。
 俺の自慢料理か得意料理作って、子どもたちから評価を求めろと……

 俺は真面目な表情でシスターに話し始める。

「分かりました。シスター!」
「明後日の夕食は、俺が作ります!!」

「……そう。なら、期待しているわ!」
「スズヤ」

 シスターは穏やかな表情で俺に話す。
 シスターの言葉の後。俺はシスターに尋ねる表情で質問を始める。

「……ところでシスター!」
「現在は何を、朝食と夕食で出しているのですか?」

「参考程度に聞きたいのですか?」

「スズヤ。朝食は現在。外から仕入れるしはんひんライ麦パン2切れと、チーズなどの乳製品です!」
「夕食は、先ほどの朝食+基本はスープを出していますね」

「スープは、大量調理に向いて栄養も期待出来ますからね!」
「……参考に成ったかしら。スズヤ」

 シスターは澄ました表情で、俺からの質問に答える。
 成る程…。これが現在の、戦争孤児たちが食べている食事か……
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