大人しくて控えめの彼女なのに全然違った!!

小春かぜね

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天秤

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 地上に着いた観覧車は係員の手によって駕籠かごの扉が開かれる。

「お疲れさまです!」
「段差に気を付けて下さい!」

 係員が明るい声を掛けて来て乗降をうながす。

 俺は日生に『着いたよ』と声を掛ける前に、日生は目を開けて立ち上がり、駕籠の出口に向かう。どうやら狸寝たぬきね入りだったようだ・・・
 俺と日生は、ほぼ無言の状態で観覧車の駕籠から降りる。

 スマートフォンで時間を確認すると、もう園内を出る時間だ・・・。俺が日生に声を掛ける前に、日生は園内の出口に向かって歩き出してしまう。
 日生のことだから、真央にお土産の一つでも買っていく物だと思っていたが、お土産コーナーには目にもくれずに、出口に向かって歩いて行く・・・
 そのまま遊園地を出てしまって、駅に向かうバス停に到着してしまう。

 観覧車に乗って、隣に座った事が、何が気に入らなかったかは解らないが、俺はあまり日生とは話したく無かったし、日生からも何も話そうとはしなかった・・・

(初デートか終わるけど、全然ロマンチックなムードに成らなかったな・・・)
(やっぱり、いきなり遊園地デートは厳しかったか!?)
(元彼と来た事有るなら一言、言ってくれれば良いのに・・・。でも、日生が遊園地を希望したし・・・)
(ここは無難に、水族館デートを提案すれば良かった!?)

 俺は心の中で、今日の反省をする。しばらくすると、駅に向かうバスが到着する。
 日生はバスに乗ると、俺に声を掛けずに直ぐに目を瞑る。そして、バスを降りる時には目を覚ます・・・。彼女は怒っているのだろうか、それとも何が原因なんだろう?
 俺と日生は、ほぼ無言でバスを降りて、電車に乗り換えて、学校の最寄り駅に電車は到着してしまう。俺と日生は電車から降りる。
 駅に到着したのは16時40分位で有り、時間的にまだ余裕が有りそうだったので、せめて少しでも良いから、駅のホーム上で、日生と談笑をしようと、俺は考えて声を掛けようとしたが・・・

「両親が駅まで迎えに来てるの」

「あっ、そうなんだ・・・」

「さようなら・・・」

 日生はそう言って、駅の改札口に向かう方向に体の向きを変えて、ゆっくり歩いて行き、やがて姿が見えなくなる。
 ドラマの別れのシーンをリアルで見ている気分だ。
 俺は本当にまさかと考えてしまう・・・。日生の最後の言葉が気になった。
 日生の何時もの最後の挨拶は『バイバイ』や『じゃあね!』なのに『さようなら』と言った。

(もしかして、本当に別れの挨拶!?)

 俺の脳裏に一瞬不安がよぎるが、日生は急いで居たんだろうと思うことにした。

 ・・・・・・

 俺は自宅に戻り、何時も通りの生活をして、時間的にそろそろ日生にSNSで連絡を取ってみるかと思った時に、日生では無く真央からのSNSの連絡が来る。

『良輔、今晩は☆』
『日生とのデート楽しかった?』

「こちらも今晩は!」
「楽しかったけど、日生は絶叫系が好きなんだね」
「意外だったよ・・・」

『あっ、良輔には言ってなかったね(^_^;)』
『ごめん、ごめん』
『そうなんだよ!!』

「最後に大観覧車に乗ったのだけど、日生高い所苦手なのか、そこで何故か日生が拗ねちゃって、微妙な初デートに成ってしまった(T-T)」

『えっ! そうなの(゚Д゚)』
『日生、観覧車好きだよ!?』

「うそ・・・」
「観覧車乗るのも凄く嫌がっていたし、日生の隣に座ったら、急に狸寝入りされた(T-T)」
「観覧車内でロマンチックに成りたかったのに(^_^;)」

『そうなんだ・・・』

「真央、何が行けなかったのだろう?」

 ここまでは、真央とのSNSのやり取りがスムーズに行われていたが、俺が先ほどのメッセージを送ると真央から返信が止まる。
 真央は返信に困っているのかなと思い、俺はそれを気にせずに日生にSNSで連絡を取る。

「日生。今晩は☆」
「最後の方は、ちょっと気まずかったけど、日生とのデート楽しかったよ!」
「また、遊園地に行こうね!!」

 と日生宛にメッセージを送るが、返信どころか、メッセージの既読マークすら付かない・・・

(まだ、両親と食事を楽しんでいるのかな?)

 俺はあまり深く考えないで、他事をすることにする。
 しばらくすると、スマートフォンの着信音が鳴り、俺はスマートフォンを操作する。

『どんまい・・・』
『きっと、日生は恥ずかしかったんだよ』
『今度のデートで成功すれば良いんだよ!!』
『頑張れ!p(^^)q』

 と真央が返信してきた。真央の元気さが伝わるメッセージだ。
 俺は好きに成る人を間違えたのかも知れない・・・
 俺はその後、真央に、今後の日生の付き合い方をメッセージでやり取りするが、その間にも、日生に送ったメッセージに、既読マークが付く事は無かった・・・
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