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プロローグ

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 この物語はフィクションです。
 設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。

 ☆

 学生達で言う夏休み。娘が急に遊びに来ることになった。
 娘の名前は咲子さきこ
 俺が言うのは何だが、活発で明るい可愛い娘だ。

 我が家では咲子を含めて、3人の子どもが居るが全員女の子で有る。
 次女で有る咲子は、年齢的にも学生生活が一番楽しい年頃だ。それなのに何故、単身赴任をしている俺の所に遊びに来るのだろうか?

 俺(父)は今、とある事業所の応援派遣で単身赴任をしている。
 単身赴任先の事業所は、元々人手不足で有ったらしいが、病欠で欠員が更に出てしまい、俺に白羽の矢が当たってしまったのだ。
 5月の黄金週間開け頃に、急にその話しが出て来て最初の内は『家族が居るから厳しいです……』と断って来たのだが、結局、班長と事業所長に丸め込まれて仕舞い今に至る。
 決定してから10日も経たない内に俺は現地へ派遣されて、そこでの単身赴任生活が始まってしまった。

 妻の小春こはるは『お仕事だから仕方ないよ! 頑張ってきてね♪』と言うだけだった……
 班長の当初の話しでは『1月~2月位だから!』と言われて派遣されたが、2ヶ月目を超えた現在、元の職場に戻れる話しは一向に出てこない……

 会社の既定で1ヶ月に1回は、里帰りの旅費が支給されるので家族とは気軽に会えるが、週末の2日若しくは、有給を1日使っての3日間の里帰りが限度だ。
 先月(7月)里帰りした時に、その話を娘(咲子)から急に聞く。

「お父さん!」
「夏休み、お父さんの所に遊びに行くからね!!」

 咲子が俺の所に遊びに来るという!?

「家族みんなでか?」
「でも、単身赴任で住んで居るあの家で、家族全員は厳しいぞ!」

 俺は咲子のその様に言うが……

「ううん。私だけだよ!」

「えっ、咲子だけ!?」

「お父さん…ダメ?」

 何故か、少し悲しそうな顔をする咲子。

「いや、そんなことは無いが……」

「じゃあ、良いよね!」

「あぁ……」

「やった!!」

 ……

 咲子とは仲が良いと言えば良い方だが、それだけで有った。
 後で母さん(妻)に詳細を聞くと『宮子みやこ(長女)は興味が無いと言うし、真央まお(三女)もクラブ活動が有るから難しいし、わざわざ家族全員で押し掛ける必要もないかな~』と母さんは言った。
 ちなみに母さんは『毎月、会っているから別に良いでしょ!』と素っ気なかった。

 結婚する前は『何時も一緒が良いよね!』と言ってくれたのに……。やっぱり、子どもが出来ると色々変わるんだなとつくづく感じた。
 こうして、咲子だけが遊びに来ることに成った。

 今、単身赴任で住んでいる部屋は、会社が用意してくれた賃貸アパートで有るが、1人で暮らすには十分すぎる広さが有るので問題は無いのだが、年頃の子と一緒となると不安になる。

(まあ、取り敢えず、咲子の布団だけは買って置かないと)

 短い期間だけど、娘との2人暮らし。
 期待と不安が混じる中、ゆっくりとその日が近づくのであった。

 プロローグ おわり
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