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第10話 日曜日 その1
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咲子が家に来てから、2日目の朝を迎えた。
今日は日曜日。俺は昨日とほぼ同じ時間に起きて朝食を作る。
今朝のメニューは久しぶりにパン食にする。パンと言っても菓子パンでは無くて食パンである。
しかし、今の家にはトースターなんて洒落た物は無いし、オーブントースターも無い。
そこで活躍するのが、ガスレンジのグリル機能である。
毎回使ったら綺麗に掃除しているので、たぶん大丈夫だろう?
おかずはゆで卵にキャベツとトマトのサラダ。卵を茹でながら、他の作業も進行させていく。
台所の物音で目が覚めたんだろう。咲子が起きてくる。
「おはよう……お父さん」
「ああ、おはよう。もうすぐご飯出来るからな」
「うん、ありがと……」
咲子はそのまま、洗面所に向かう。
(さて、パンを焼くか……)
ガスレンジのグリルに火を付けグリルを暖める。
適当に温まったら、食パンを入れてパンを焼いていく。
(まあ、2~3分位焼いたら、パンをひっくり返せば良いだろう)
ある程度焼けてきたらパンをひっくり返し、先ほどと同じように焼く。
パンが焼ける匂いと言うか、焦げる香ばしい匂いが台所中に広がり始める……
「うぁ~、良い匂いね!」
顔を洗い終えた咲子が戻ってくる。
「もう、出来るからな」
「じゃあ、コップとか出しておくね!」
「うん、お願い」
☆
「ごちそうさまでした!」
元気な声で言う咲子。
「今日も、美味しかったよ!」
「あはは、これ位の料理、誰が作っても同じだよ!」
「そうかな?」
「でも、パンですら真っ黒にする人だって居るんだよ!」
「まあ、目を離した空きに……は良くあるパターンだが」
さり気なく聞き流したが、パンを真っ黒にするのは誰だかは分からない。
母さんがそんな失敗するのを見た事無いし、あり得ると言えば、宮子か真央位か?
「それで、今日はどうするの?」
今日の予定を聞いてくる咲子。
「ああ、実はそのこと何だか…」
「?」
「何か、起きたの?」
少し心配そうな顔をする咲子。
「あぁ、明日から仕事なんだ」
「うん、それで?」
「まあ、だから……今日は、ゆっくりしたいなと思って…」
「成る程! う~ん」
急に腕組みをして、真剣に考え出す咲子。
何か、決めていた事でも有ったのだろうか?
「まあ、今日も外暑そうだしね……仕方ないか」
「うん、わかった。じゃあ、家で遊ぼう!!」
「うん、ありがとう!」
「…えっ!!」
「家で遊ぶの? 当然だけど、何も無いよ!」
咲子が家で遊ぶと聞いて、俺は思わず声を上げてしまう。
「大丈夫。大丈夫! 秘密の箱があるから!!」
咲子はそう言って、寝室に成っている部屋に行って……何やらガサゴソと音がする。
(秘密の箱? ああ、例の段ボールか…)
宅配業者から咲子の荷物を受け取ったのが、それは旅行バックでは無くて、引っ越しとかに使う大きな段ボールだった。
『そうだよ! 服とか、私が普段使っている物が入っているの』と言っていたから、恐らく色々詰め込んで来たのだろう。
ガサゴソ音が無くなり、咲子が何かを抱えて戻ってきた。
「お父さん! じゃーん!!」
「んっ、それは『ブレーカー』じゃないか!」
家庭用ゲーム機器メーカー満点堂。
俺が子どもの頃から知っている老舗メーカーだ。当初はカードゲームを作っていたが、家庭用ゲーム機器に参入して、一気にメジャーに成る。
大手電機メーカーやパソコンソフト会社がゲーム業界に新規参入して、凄まじい戦いを繰り広げた時期も有ったが、満点堂は方向路線を変えて今に至る。
咲子が持って来たのは、満点堂の最新機器『ブレーカー』で有る。
「良く、お姉ちゃん達が許したな……」
「えっ! だって、これ、元々私の物だし…」
「そうだっけ?」
「そうだよ!」
「私の貯金(お小遣い)で買ったんだから!」
そう言われてみれば、そんな気がする。咲子が自慢していた時期が合った気がする……。
いかんな、最近記憶力が低下している。娘は滅多に散財しない。遣り繰り上手何だろう。
「それに、お姉ちゃんは殆どゲームしないし、真央も最近は、スマホばかり触っているからね」
真央はまだ、小学6年生だが、それでもその年齢の割にスマホ所持者が多く、友達付き合いのために、仕方無く今年持たした。
「今日はこれ(ブレーカー)で遊ぼ!」
ニコニコ笑顔で言ってくる咲子。
「分かった……。でも、取りあえず雑用済ませてからな…」
「は~い!」
「じゃあ、その雑用手伝うよ!!」
「まあ、雑用と言っても掃除がメインだ」
「うん。それで私は、どこを掃除すれば良いの?」
「そうだな…なら、部屋を掃除機で掃除してくれ。俺はトイレと洗面台、風呂を掃除するから」
1人暮らしでも、毎日使う所はどうしても汚れが溜まっていく。夏のこの時期だから更に水垢も付きやすい。
「うん、わかった~~」
咲子そう言い、早速、寝室の部屋の隅に置いて有る掃除機を取りに行き掃除を始める。まだ、朝の9時過ぎだが……
(まだ、時間的に少し早い気もするが……まあ、何か言われたら謝っておこう)
一軒家ならまだ良いが、どうしてもアパートだから、周りには気を遣わなければ為らない。
常識外の音量や過度の物音は、壁ドンや嫌がらせ、イタズラ等の対立の要因にもなる。
(周りも洗濯物とか干しているし大丈夫か)
せっかく、娘が自発的にやってくれているのだ。出来れば水を差したくない。
(さて、俺も掃除を始めよう!)
テレビゲームを咲子とするために、先に雑用(清掃)を始める。
空を見ると、今日も空は青く輝いている。本当に今日も暑くなりそうだ。
今日は日曜日。俺は昨日とほぼ同じ時間に起きて朝食を作る。
今朝のメニューは久しぶりにパン食にする。パンと言っても菓子パンでは無くて食パンである。
しかし、今の家にはトースターなんて洒落た物は無いし、オーブントースターも無い。
そこで活躍するのが、ガスレンジのグリル機能である。
毎回使ったら綺麗に掃除しているので、たぶん大丈夫だろう?
おかずはゆで卵にキャベツとトマトのサラダ。卵を茹でながら、他の作業も進行させていく。
台所の物音で目が覚めたんだろう。咲子が起きてくる。
「おはよう……お父さん」
「ああ、おはよう。もうすぐご飯出来るからな」
「うん、ありがと……」
咲子はそのまま、洗面所に向かう。
(さて、パンを焼くか……)
ガスレンジのグリルに火を付けグリルを暖める。
適当に温まったら、食パンを入れてパンを焼いていく。
(まあ、2~3分位焼いたら、パンをひっくり返せば良いだろう)
ある程度焼けてきたらパンをひっくり返し、先ほどと同じように焼く。
パンが焼ける匂いと言うか、焦げる香ばしい匂いが台所中に広がり始める……
「うぁ~、良い匂いね!」
顔を洗い終えた咲子が戻ってくる。
「もう、出来るからな」
「じゃあ、コップとか出しておくね!」
「うん、お願い」
☆
「ごちそうさまでした!」
元気な声で言う咲子。
「今日も、美味しかったよ!」
「あはは、これ位の料理、誰が作っても同じだよ!」
「そうかな?」
「でも、パンですら真っ黒にする人だって居るんだよ!」
「まあ、目を離した空きに……は良くあるパターンだが」
さり気なく聞き流したが、パンを真っ黒にするのは誰だかは分からない。
母さんがそんな失敗するのを見た事無いし、あり得ると言えば、宮子か真央位か?
「それで、今日はどうするの?」
今日の予定を聞いてくる咲子。
「ああ、実はそのこと何だか…」
「?」
「何か、起きたの?」
少し心配そうな顔をする咲子。
「あぁ、明日から仕事なんだ」
「うん、それで?」
「まあ、だから……今日は、ゆっくりしたいなと思って…」
「成る程! う~ん」
急に腕組みをして、真剣に考え出す咲子。
何か、決めていた事でも有ったのだろうか?
「まあ、今日も外暑そうだしね……仕方ないか」
「うん、わかった。じゃあ、家で遊ぼう!!」
「うん、ありがとう!」
「…えっ!!」
「家で遊ぶの? 当然だけど、何も無いよ!」
咲子が家で遊ぶと聞いて、俺は思わず声を上げてしまう。
「大丈夫。大丈夫! 秘密の箱があるから!!」
咲子はそう言って、寝室に成っている部屋に行って……何やらガサゴソと音がする。
(秘密の箱? ああ、例の段ボールか…)
宅配業者から咲子の荷物を受け取ったのが、それは旅行バックでは無くて、引っ越しとかに使う大きな段ボールだった。
『そうだよ! 服とか、私が普段使っている物が入っているの』と言っていたから、恐らく色々詰め込んで来たのだろう。
ガサゴソ音が無くなり、咲子が何かを抱えて戻ってきた。
「お父さん! じゃーん!!」
「んっ、それは『ブレーカー』じゃないか!」
家庭用ゲーム機器メーカー満点堂。
俺が子どもの頃から知っている老舗メーカーだ。当初はカードゲームを作っていたが、家庭用ゲーム機器に参入して、一気にメジャーに成る。
大手電機メーカーやパソコンソフト会社がゲーム業界に新規参入して、凄まじい戦いを繰り広げた時期も有ったが、満点堂は方向路線を変えて今に至る。
咲子が持って来たのは、満点堂の最新機器『ブレーカー』で有る。
「良く、お姉ちゃん達が許したな……」
「えっ! だって、これ、元々私の物だし…」
「そうだっけ?」
「そうだよ!」
「私の貯金(お小遣い)で買ったんだから!」
そう言われてみれば、そんな気がする。咲子が自慢していた時期が合った気がする……。
いかんな、最近記憶力が低下している。娘は滅多に散財しない。遣り繰り上手何だろう。
「それに、お姉ちゃんは殆どゲームしないし、真央も最近は、スマホばかり触っているからね」
真央はまだ、小学6年生だが、それでもその年齢の割にスマホ所持者が多く、友達付き合いのために、仕方無く今年持たした。
「今日はこれ(ブレーカー)で遊ぼ!」
ニコニコ笑顔で言ってくる咲子。
「分かった……。でも、取りあえず雑用済ませてからな…」
「は~い!」
「じゃあ、その雑用手伝うよ!!」
「まあ、雑用と言っても掃除がメインだ」
「うん。それで私は、どこを掃除すれば良いの?」
「そうだな…なら、部屋を掃除機で掃除してくれ。俺はトイレと洗面台、風呂を掃除するから」
1人暮らしでも、毎日使う所はどうしても汚れが溜まっていく。夏のこの時期だから更に水垢も付きやすい。
「うん、わかった~~」
咲子そう言い、早速、寝室の部屋の隅に置いて有る掃除機を取りに行き掃除を始める。まだ、朝の9時過ぎだが……
(まだ、時間的に少し早い気もするが……まあ、何か言われたら謝っておこう)
一軒家ならまだ良いが、どうしてもアパートだから、周りには気を遣わなければ為らない。
常識外の音量や過度の物音は、壁ドンや嫌がらせ、イタズラ等の対立の要因にもなる。
(周りも洗濯物とか干しているし大丈夫か)
せっかく、娘が自発的にやってくれているのだ。出来れば水を差したくない。
(さて、俺も掃除を始めよう!)
テレビゲームを咲子とするために、先に雑用(清掃)を始める。
空を見ると、今日も空は青く輝いている。本当に今日も暑くなりそうだ。
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