37 / 167
第36話 妻の作る朝食
しおりを挟む
……
「お父さん、起きて。お父さん!!」
誰かが声を掛けながら、ゆらゆら俺を揺らす。
まだ、寝たい気分だが、俺は仕方無く目を開ける。
ゆらゆら動かしていたのは咲子だった。
「咲子。父さん、今日はまだ寝たいのだが…」
しかし、咲子はそれを遮る様に喋る。
「朝ご飯出来たって!」
「お母さんが『起こしてきて!』って言ったから、起こしにきた!」
それを聞いて、俺は枕元近くの目覚まし時計を見る。
時計の時刻を見ると、午前9時を過ぎていた。
「ありゃ、今日は大分寝過ごしてしまったな……」
母さん達が来ている事も有って、気が緩んだだろうか?
俺は布団から起き上がる。
「もう準備は出来ているから、早く来てね!」
咲子はそう言って寝室にしている部屋から出て行く。
隣の布団を見るが、真央も起きているようだ。
(久しぶりに誰かに起こされたな…)
(これが仕事の日だったら大遅刻だな)
そう考えながら俺はトイレに行ってから、洗面台に向かい顔を洗う。俺の場合は、寝間着と部屋着は兼用だ。
顔を洗って居間に入ると、座卓の上には朝食の用意が出来ている。
「お父さん来たね♪」
母さんはその様に言う。
「みんな、おはよう」
それぞれが挨拶をする。
俺は朝食を見ながらクッションに腰を下ろす。朝食の準備は全て終わっており、本当に俺待ちだった。
「ご飯と味噌汁と漬物か!」
「シンプルだけど良いね!!」
俺がそう言うと母さんが答える。
「もうちょっと気合い入れたの作ろうかなと思ったけど、みんな、そんなにお腹空いてないかな~と思って♪」
夜中に家族4人で、インスタントラーメンを食べているのだから、そう考えるのは当たり前だろう。
「今日はこれくらい軽い方が却って良いよ」
「朝ご飯と昨夜の片付けをしてくれて、ありがとう、母さん!」
「いえ、いえ」
「じゃあ、お父さん、食べましょうか♪」
「そうだな、母さん、食べようか!」
みんなで『いただきます』をして朝食が始まる。
俺は改めて、今朝の朝食のメニューを見る。
(ご飯(白米)。漬物は市販のキュウリの醤油漬け)
(味噌汁は豆腐とゴボウか……。母さんが作ったから、しっかり合わせ味噌だな。)
(今日はシンプルの具材が丁度良いな)
味噌汁の表面に見える具材を見て、そう考えながら俺は味噌汁に口を付ける。
(あれ!)
(豆腐とゴボウの味噌汁の割には、やけにコクと言うか、うま味が有るな?)
(ゴボウのうま味に加えて、良く見ると味噌汁に油が浮いているし……そして、この強いうま味は!?)
俺は味噌汁の予想外の味に驚いて、思わずお椀の中を箸で探ってしまう。探ると言っても、豆腐を避けると直ぐにそれの正体は分かる。
お椀の中から、細かく切られた豚肉を見つける。それもバラ肉で有る。
「あっ、お父さん。冷凍庫の豚肉使わせて貰ったよ♪」
朝からほぼ豚汁見たいのを、母さん達は美味しそうに食べている。
(昨夜の晩ご飯に唐揚げ食べて、お菓子も食べて、ラーメンも食べているのに、何故、朝からこれを普通に食べられているのだ!?)
俺の方は正直言って胃は重い。何時もの朝なら豚汁も良いが、今日みたいな深酒の翌日に、この朝食には少々厳しい……。俺の箸が止まっているのに母さんが気付く。
「食欲無いの?」
「いや…そうでは無いけど、豚肉が入っているから驚いた」
「豚肉は体に良いんだよ♪」
「あれ? もしかして、冷凍の豚肉使ったらダメだった?」
「いや、使って貰って大丈夫だけど。みんな凄いね…」
俺は周りを見ながら言う。
母さんはさておき、咲子もパクパク食べている。おかわりしそうな勢いだ。真央の方を見ると、真央も澄ました顔で食べている。
俺が唖然と見ていると、咲子が話し掛けてくる。
「お父さん! 朝食はとっても大事なんだよ!!」
「少し食欲が無くても食べないと、体に悪いよ!」
「それに、豚肉入りの味噌汁も美味しいしね……お母さん。ご飯とお味噌汁お代わり!!」
「食欲は有るから大丈夫だよ……咲子は何ともないのか?」
「……?」
「何が?」
母さんから、お代わりを貰ったご飯を受け取りながら咲子は言う。
「昨日から大分食べているようだが…」
「平気だよ!」
「今日は朝ご飯の時間がゆっくりだから、何時もよりお腹空いているみたい!!」
咲子は言い終わると、再びご飯を食べ始めた。
(育ち盛りの頃だから、こんなもんなのかな?)
俺も再び朝食を取るが、母さんや咲子、真央ほど勢いは無く、逆に何時もよりゆっくりペースで進めていく。
(やはり、昨日の酒と締めのラーメンが効いているな。少し前なら平気だったのに…)
母さん達が楽しく朝食を取っている反対に、俺は体の衰えを感じながらの朝食となった。
ちなみに味噌汁は無事無くなり、炊飯器のご飯も殆ど売れたそうだ。
朝食の後は単身赴任の時だったら、洗濯とかの雑用が待っているが、今日は母さん達がしてくれている。
今日も天気は良いが、ベランダの物干し竿は1本しか無いため、それを埋め尽くすような感じで洗濯物が干されている。4人分の洗濯を1回で干す場所とハンガーが無いので2回に分けるそうだ。
「だから、洗濯2回目干すまでは、お家だね♪」
母さんはその様に言う。
「母さん、咲子達済まんな。家事までして貰って…」
「家族なんだから当然だよ♪」
「ねっ、咲子、真央」
「そうだよ!」
「うん!!」
そう返事をする咲子、真央。
次の洗濯物が干せるまで、みんなでのお出かけは待機と成る。
この時間をどう過ごそうか、みんなで考えた……
「お父さん、起きて。お父さん!!」
誰かが声を掛けながら、ゆらゆら俺を揺らす。
まだ、寝たい気分だが、俺は仕方無く目を開ける。
ゆらゆら動かしていたのは咲子だった。
「咲子。父さん、今日はまだ寝たいのだが…」
しかし、咲子はそれを遮る様に喋る。
「朝ご飯出来たって!」
「お母さんが『起こしてきて!』って言ったから、起こしにきた!」
それを聞いて、俺は枕元近くの目覚まし時計を見る。
時計の時刻を見ると、午前9時を過ぎていた。
「ありゃ、今日は大分寝過ごしてしまったな……」
母さん達が来ている事も有って、気が緩んだだろうか?
俺は布団から起き上がる。
「もう準備は出来ているから、早く来てね!」
咲子はそう言って寝室にしている部屋から出て行く。
隣の布団を見るが、真央も起きているようだ。
(久しぶりに誰かに起こされたな…)
(これが仕事の日だったら大遅刻だな)
そう考えながら俺はトイレに行ってから、洗面台に向かい顔を洗う。俺の場合は、寝間着と部屋着は兼用だ。
顔を洗って居間に入ると、座卓の上には朝食の用意が出来ている。
「お父さん来たね♪」
母さんはその様に言う。
「みんな、おはよう」
それぞれが挨拶をする。
俺は朝食を見ながらクッションに腰を下ろす。朝食の準備は全て終わっており、本当に俺待ちだった。
「ご飯と味噌汁と漬物か!」
「シンプルだけど良いね!!」
俺がそう言うと母さんが答える。
「もうちょっと気合い入れたの作ろうかなと思ったけど、みんな、そんなにお腹空いてないかな~と思って♪」
夜中に家族4人で、インスタントラーメンを食べているのだから、そう考えるのは当たり前だろう。
「今日はこれくらい軽い方が却って良いよ」
「朝ご飯と昨夜の片付けをしてくれて、ありがとう、母さん!」
「いえ、いえ」
「じゃあ、お父さん、食べましょうか♪」
「そうだな、母さん、食べようか!」
みんなで『いただきます』をして朝食が始まる。
俺は改めて、今朝の朝食のメニューを見る。
(ご飯(白米)。漬物は市販のキュウリの醤油漬け)
(味噌汁は豆腐とゴボウか……。母さんが作ったから、しっかり合わせ味噌だな。)
(今日はシンプルの具材が丁度良いな)
味噌汁の表面に見える具材を見て、そう考えながら俺は味噌汁に口を付ける。
(あれ!)
(豆腐とゴボウの味噌汁の割には、やけにコクと言うか、うま味が有るな?)
(ゴボウのうま味に加えて、良く見ると味噌汁に油が浮いているし……そして、この強いうま味は!?)
俺は味噌汁の予想外の味に驚いて、思わずお椀の中を箸で探ってしまう。探ると言っても、豆腐を避けると直ぐにそれの正体は分かる。
お椀の中から、細かく切られた豚肉を見つける。それもバラ肉で有る。
「あっ、お父さん。冷凍庫の豚肉使わせて貰ったよ♪」
朝からほぼ豚汁見たいのを、母さん達は美味しそうに食べている。
(昨夜の晩ご飯に唐揚げ食べて、お菓子も食べて、ラーメンも食べているのに、何故、朝からこれを普通に食べられているのだ!?)
俺の方は正直言って胃は重い。何時もの朝なら豚汁も良いが、今日みたいな深酒の翌日に、この朝食には少々厳しい……。俺の箸が止まっているのに母さんが気付く。
「食欲無いの?」
「いや…そうでは無いけど、豚肉が入っているから驚いた」
「豚肉は体に良いんだよ♪」
「あれ? もしかして、冷凍の豚肉使ったらダメだった?」
「いや、使って貰って大丈夫だけど。みんな凄いね…」
俺は周りを見ながら言う。
母さんはさておき、咲子もパクパク食べている。おかわりしそうな勢いだ。真央の方を見ると、真央も澄ました顔で食べている。
俺が唖然と見ていると、咲子が話し掛けてくる。
「お父さん! 朝食はとっても大事なんだよ!!」
「少し食欲が無くても食べないと、体に悪いよ!」
「それに、豚肉入りの味噌汁も美味しいしね……お母さん。ご飯とお味噌汁お代わり!!」
「食欲は有るから大丈夫だよ……咲子は何ともないのか?」
「……?」
「何が?」
母さんから、お代わりを貰ったご飯を受け取りながら咲子は言う。
「昨日から大分食べているようだが…」
「平気だよ!」
「今日は朝ご飯の時間がゆっくりだから、何時もよりお腹空いているみたい!!」
咲子は言い終わると、再びご飯を食べ始めた。
(育ち盛りの頃だから、こんなもんなのかな?)
俺も再び朝食を取るが、母さんや咲子、真央ほど勢いは無く、逆に何時もよりゆっくりペースで進めていく。
(やはり、昨日の酒と締めのラーメンが効いているな。少し前なら平気だったのに…)
母さん達が楽しく朝食を取っている反対に、俺は体の衰えを感じながらの朝食となった。
ちなみに味噌汁は無事無くなり、炊飯器のご飯も殆ど売れたそうだ。
朝食の後は単身赴任の時だったら、洗濯とかの雑用が待っているが、今日は母さん達がしてくれている。
今日も天気は良いが、ベランダの物干し竿は1本しか無いため、それを埋め尽くすような感じで洗濯物が干されている。4人分の洗濯を1回で干す場所とハンガーが無いので2回に分けるそうだ。
「だから、洗濯2回目干すまでは、お家だね♪」
母さんはその様に言う。
「母さん、咲子達済まんな。家事までして貰って…」
「家族なんだから当然だよ♪」
「ねっ、咲子、真央」
「そうだよ!」
「うん!!」
そう返事をする咲子、真央。
次の洗濯物が干せるまで、みんなでのお出かけは待機と成る。
この時間をどう過ごそうか、みんなで考えた……
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる