単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
49 / 167

第48話 母さんとの出会い その5

しおりを挟む
「でね…、夫の労働災害で貰ったお金の殆どを、数年間に掛けて義理両親に渡して仕舞ったのだけど、それでも私にお金を求めてきたの……」

「私も流石に我慢の限界が来ていて、義理両親から無心の電話が来た時に、私はやっと『もう、払えません』と言ったの!」

「そうしたら、義理両親が訴えてやるとか訳分からない事を、電話向こうで言いだして、それを両親に相談したら、流石に私の両親も重い腰を上げたの…」
「私と両親は直ぐに弁護士に相談して、この件は解決出来たけど、結局、私が今まで払ったお金は戻ってこない上、最後は義理両親一家、夜逃げしたらしいの……」

「私はかなりの金額を、義理両親に事有るごとに払っていたのに、それでも借金の方が多かったみたい…」
「夫が言うには『僕には凄く厳しい両親だけど、兄には甘々なんだ…』と何時も言っていたの。

「だから、夫も両親とは関わりを持ちたがらなかったし、義理両親も私達の子どもを好いて無かったから、その分、夫は私と子ども達を凄く可愛がってくれた。なのに……」

 小春はバッグからハンカチを取り出して涙をぬぐう。
 横に居た咲子も異変に気付き『おかあさん、ないているの?』と声を掛けており、宮子の方も、今まで何処まで聞かされていたかは判らないが、複雑な顔をしていた……

(そう言った経緯か…)
(それにしても、非道い義理両親だな!)
(俺の一家だったら、地の果てまで探しに行くぞ!!)

「ごめん小春。辛い過去を話させてしまって……」

「大丈夫だよ。筑摩さんと一緒に成る時は、何時かは話さなくては成らない事だし」

「……」

 今俺の中では、1つの決意をした。
 俺が小春と結婚をする時に、もちろん俺の両親にも了解を求めるわけだが、大きな子どもが居る上に、元夫が死別で、更に極悪親戚が居る事を知ってしまったら、どんな人でも反対するに決まっている。そんな面倒くさい事に誰が好んで関わる!?
 だから、小春は俺に対して、当たり障りの無い付き合いをしてきたのか……

 冷静に考えれば小春とデートをしても、学生恋愛位の事しかしていない事に気付く。ショッピング、映画やカラオケ、近場の公園でのんびりしたり、繁華街での食べ歩きしかしていない……。泊まりがけの旅行も提案したが、やんわりと小春に拒否された。

 キスはもちろんしたが、舌を絡ますようなキスはしていない。
 相手が少女なら別だが、小春は元人妻だ。そんな人が、体の関係を一切求めず、更に金品も求めない。何故そこに俺は気付けなかったか?

 それは小春が、まだ前夫を完全に忘れてないのと、子どもの事を考えて居るのだろう……
 俺がどれだけ、前夫の様に振る舞えるかは未知数だが、俺はこの家族と関わりを本当に持ちたいと感じていた。

「小春…」
「俺は、この話を聞いても気持ちは変わらないし、例え大きな子ども達が俺に懐かなくても、俺は小春とその子ども達を愛するよ…」

「くっさ…」

 宮子が呟くが気にせず話を続ける。

「だから、小春……俺達ちゃんと付合おう」
「もちろん、宮子と咲子を含めてだ!」
「だから、新しい家族を作ろう!!」

「筑摩さん…」

 ここがファミレスだと言うのを忘れて、俺は熱い愛の告白をしている。
 周りの席からは『おぉ!』や『ねぇ見て、あそこの席。凄い事言っているよ!』とか『凄いよあの人。自ら地雷原に突っ込んでいるよw』 とかが聞こえてくるが、気にはしてられない。

「筑摩さんがそう言うのなら、新しいお父さんにしようかな♪」

 小春は涙をにじませながら、笑顔で答えてくれる。
 宮子は『これが新しいお父さんか……使えるのかな』と言ったり、咲子は『おかあさん、また、ないている。……新しいおとうさん?』と言っていた。

 こうして……その後は、俺は小春家族と交際を続けて、俺の一家が中心だが周りの反対を押しのけて、小春の家族に俺が加わった。

 元夫義理両親その後は音信不通で、俺達家族に危害・影響は全く無い。
 只、元夫のお墓の場所は知りようが無いが、小春自身が少量の遺灰を持っていたため、手元供養を行っている。俺も元夫の命日の日には、小春と一緒に故人をしのぶ……

 ……

(良く、あんな思い切った決断が出来たもんだ)
(俺に対して、積極的な関わりを持たなかった宮子だが、全然、非行の道には走らなかったし、咲子は恐ろしい位懐いているし、運が良いのだろうか?)

 俺が母さんとの出会いを思い出し終えると、タイミングが良いのか戸が『ガラッ』と開く。

「まだ、起きてたの……」

 俺を見た母さんは、不機嫌そうに言ってくる。

「母さん……。俺は母さんの事が好きだよ!」

「ちょっ、ちょっと……」
「さっきまでは、咲子達が居る手前と言っておきながら、咲子達が寝た瞬間にこれですか!?」

 母さんは呆れ返りながら喋る。

「いや、俺は咲子に翻弄ほんろうされていたのかも知れない」
「母さんが一番好きなのに、咲子に気が移ってしまっていた…」

「まあ、私はどっちでも良いけど…」
「流石に、これ以上愛を求められても、経済的余裕は無いし……、お父さんの好きにしたら!」

「じゃあ、母さんに求めても良いの!」

「ここじゃ、嫌よ…。私はそんな気分じゃ無いし」
「それに、少し頭が痛いから、それ所では無いわ…」

「そっかぁ」
「まぁ、お互い、大分飲んだしね」

「だから、夫婦の愛の時間は、今度家に帰るまではお預けです!」
「さっきの時に甘えれば良かったのに……。残念だったね、お父さん♪」

「さぁ、お父さん。普通に寝るよ!」
「このまま、起きていてもお酒は抜けないし」

 と言って母さんは寝室に向かってしまう。しかし、最後の方の口調は、不機嫌さが少し消えていたような気がした。
 俺もそれから直ぐに寝室に向かって眠りに就く。

 こうして、俺と母さん達と過ごした今日一日は無事? に終わりを告げた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

処理中です...