単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第58話 平日の休暇 その3

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 もう咲子にはお馴染みに成った、近所のスーパーに買い物に出掛ける。
 もちろん、健康のために徒歩で向かう。
 天気はほぼ1日曇り空だったが、まぁ洗濯物を乾いたし、雨も降りそうでは無いから良かった。
 スーパーに着いて、早速店内で晩ご飯の相談をする。

「さて、咲子。……今日は何を食べたい?」
「あまり面倒くさいのは駄目だぞ」

「今日ねぇ~~」
「ちょっと、こってり料理ばかりが続いているから、少しあっさり系が良いかな?」

「あっさり系?」
「あっさり系と言われてもな…」

 俺の中で、あっさり系と言われれば、冷や奴とか刺身位しか思いつかない。
 焼き魚とか煮魚もあっさり系に入ると思われるが、この時期の旬の魚は殆ど知らない。
 刺身も旬の魚が有るはずだが、ここのスーパーは、ほぼ年中同じ刺身を売っている。

「父さんの中ではあっさり系が出てこない。咲子は何か思いつく?」

「私に振ってきたか……そうだね。まぁ、煮物かな?」
「今晩は煮物作って、トマト切って、後焼きナスでも作るか…」

 咲子の口からスラスラとメニューが出てくる。大した者だ。

「悪くない取り合わせだね!」
「それで咲子。煮物はどんな材料を使うのだ?」

「そうね……。この時期だからナスの煮物も良いけど、ナスは焼きナスに使うから、南瓜かぼちゃ、インゲン、人参、厚揚げと、流石に肉は欲しいから鶏肉を入れようかな?」

「よう、そんな簡単に思いつくな。そこまで簡単に出て来ないよ…」

「そりゃあ、お母さんの料理作り手伝っているからね♪」

「そう言う事か…」
「しかし、南瓜か。たしかに夏らしくて良いけど、でも2人で南瓜1個を買うと、食べるのが大変だぞ? 甘いし!」

「おや、おや、お父さん!」
「今の時代は便利なのですぞ!!」

 咲子はそう言いながら、野菜コーナーの南瓜が売っている場所に向かう。

「ほら、お父さん見て!」

 咲子の指さす方向を俺は見る。
 南瓜が売っている場所には、丸々1個の南瓜ももちろん売っているが、半分にカットされた南瓜や、焼肉向けにスライスされた南瓜、更にはブロックサイズにカットされた南瓜も売っていた。

「私達2人なら、このブロックカット南瓜を買えば十分!」
「他にも具材は入れるから!!」

「おお~~」
「最近は色々なカット野菜を良く見掛けるが、南瓜までカットされていたのか!?」

「そうなんだよ! 便利だね!!」
「お父さん。さっき言ったので、今日のメニューにしても良い?」

「ああ、今日はそれで行こうか!」
「から揚げ、焼肉、外食とこってり料理が続いていたからな!」

「それにしても一昔前は、カット野菜なんて、千切りキャベツ等のサラダシリーズしか無かったのに」

「お父さん」
「今は、それだけ忙しい時代なんだよ。きっと…」

「そうかも、知れんな…」

 咲子はブロックカット南瓜のトレーを、俺が持っている買い物カゴに入れる。
 これで今日のメニューは決まった。

 後は料理に必要な野菜や肉類、お菓子や特売品、即席味噌汁、納豆やめかぶ等の朝食用材料等を買っていく。
 咲子が朝食も作ろうかと提案してくれたが、朝の6時前に起きて貰うのは申し訳ないし、あまり早く起きても、やる事が無いだろうと思って丁重ていちょうに断った。

 スーパーで買い物を終えた、俺と咲子はアパートに戻り晩ご飯作りを始める。
 カットされた南瓜は綺麗だと思うが、軽く水で流してから使う。

 煮物担当は咲子で、俺は焼きナス担当に決まったので、ガスレンジのグリル機能を使って焼きナスを作り始める。
 今日の焼きナスは、冷やし焼きナスにするので今から作っても問題は無い。

 ガスレンジのグリル機能でナスを焼いて、焼けてきたなと思ったら、グリルから取り出して、熱い内にナスの皮を剥いてから粗熱を取る。
 粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして、食べる時に生姜醤油をベースにしたタレを掛ければ完成だ。

 あまり広くない台所だから、分担作業で行なえば、スムーズにお互いが調理出来る。
 ナスを焼き上がったタイミングで、咲子が煮物を作り始める。

 鍋に張った和風出汁をベースにしたつゆに、鶏肉を入れてから煮物を作り始める。
 その後、煮えにくい野菜から入れて、途中味を調ととのえて、最後に厚揚げを入れて煮物を作っていく。
 有る程度火が通ってきたら、弱火でコトコト煮ればこちらも完成だ。
 俺と咲子は分担しながら料理を作っていく。こうして今日の晩ご飯は完成した。

 今日は平日だが、俺は休暇を取って休日なので冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
 咲子はいつも通りジュースで有る。

「じゃあ、咲子」
「改めて、今週はよろしくね!」

「こちらこそ!!」

 ビールが入ったグラスとジュースの入ったグラスを『カチン』と鳴らして乾杯する。
 初めて食べる具材の取り合わせの煮物だったが、意外に美味しかった。やっぱりと言うべきか、煮物に鶏肉が入ると、どんな煮物でも合いそうな気がする。

「どう?」
「お父さん、煮物の味付けは?」

「うん。美味しいよ!」
「少し薄味なのが我が家の味だね!」

「私ももう少し、濃い方が良いけど『塩分の取り過ぎは将来苦労するよ!』と何時もお母さんが言うからね!」

「まぁ、薄味に慣れておけば、入院した時でも美味しくご飯が食べられるから、良いではないか!」

「そう言った問題じゃ無いのだけどね……」

 咲子はそう呟いた。
 焼きナスも、母さんが作ったのをベースに作っているから我が家の味がした。
 母さんも今頃、宮子や真央達と晩ご飯を食べているのだろうか?

 咲子はいつも通りの食欲だった。
 ご飯をお代わりして、食事を進めていく。何時見ても咲子は美味しそうに食べている。
 今日も普通に晩ご飯の時間が過ぎていった……
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