単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第61話 我が家の長女 その3

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 夕方の駅。
 まだ、夏休みだから学生服姿の子は少なくて、私達と同世代の人も私服姿の方が圧倒的に多い。
 お父さんと一緒にお母さんと真央を迎えに来たように、私も改札付近でお姉ちゃんを待つ。

 16時を過ぎて、しばらく経った頃。改札から人がゾロゾロ出てきた。電車が駅に到着したのだろう。
 私はお姉ちゃんが居るかなと思いながら、改札の方を見つめているが、この電車では無かった見たいだ。

(お姉ちゃん。16時位としか言わなかったからな)
(まぁ、でも、待ちますか……)

 お姉ちゃんも方向音痴では無いから、地図アプリで調べれば、1人でも来られず筈で有る。
 しかし、お姉ちゃんはお迎えを希望したし、お父さんも迎えに行って来て上げて言う。
 良く判らん!!

 結局、お姉ちゃんが駅に着いたのは16時半過ぎだった……

「待たせてごめんね! 咲子」
「ちょっと、アルバイトが上手に抜けられなかったから!!」

「アルバイトなら仕方が無いよ!」
「じゃあ、お父さんの家に案内するね!!」

 ちなみにお姉ちゃんのアルバイト先は雑貨屋さんで働いている。そんな話は関係ないか!
 お姉ちゃんと一緒に歩きながら、お父さんの家に向かう。

「でも…お姉ちゃん。良く来る気に成ったね!」

「仕方ないよ……。咲子」
「お母さんが『今までの生活や学費の殆どは、お父さんのお金から出ているんだよ!!』って言うからさ…」
「お父さんが死んじゃった時のお金は、全部お父さんの実家に取られたらしいの!?」

「えっ、そうなの!?」
「初めて聞いたよ!!」

「お姉ちゃんも始めてさ!!」
「金額は判らないけど、お金の話は何となく覚えていて、あの時のお母さんが戸惑っていたのは覚えていたから」

「でも、全部取られていたとは知らなかったし。でも、良く考えたら、何処かで聞いた覚えが有る様な気がする」

「私(咲子)はその辺が全然判らないけど、そうなんだにしておくよ」

「まぁ、過ぎてしまった事を言っても仕方ないしね」
「咲子。家まではどれ位有るの?」

「お父さんの家?」
「ん~~、ここから約30分かな?」

「え~~、そんなに歩くの!!」
「なら何故、あいつは車で迎えに来ない!!」

 お姉ちゃんは少し怒りながら言う。夕方の時間だけど季節は夏だ。
 今日はまだ風が有るけどこの時期は、長時間歩きたく無いのも分かる。

「お父さんは仕事で来られないって!」
「私やお母さんで、大分休暇を取ったらしいから」

「むぅ~~」
「免許は有っても車が無いからな。車が有れば車で来られたのに!」

「お姉ちゃん。お母さんは、車貸してくれなかったの?」

「駄目って言われた」
「真央のクラブと買い物が有るとの理由で」

「なら、仕方ないね…」
「真央は元気している?」

「あ~~、もう、元気。元気」
「咲子があいつの家に行ってから、真央は私の元に直ぐ来るからね!」
「毎日、毎日、飽きずに私(宮子)の元に来るよ!!」

「それは……大変だね」

「本当、もう大変!!」
「一昨日なんか『宮子お姉ちゃん! 一緒に寝よ!!』まで言って来たからね」
「他人なのに、良く懐くよ!!」

「言われてみれば、真央は他人だもんね」
「普段は妹だと思ってしまうけど、実は違うもんね!!」

「まぁ、でも、いずれは知るんじゃない!」
「私達が本当の姉妹で無い事を……」
「知ったらあの子、どんな顔をするのだろうね!?」

「どんな顔するんだろう?」
「お姉ちゃん気になるね! 真央にも話しちゃおうか?」

「それを言ったら『家を叩き出す!』とお母さんは言った!」
「『咲子は妹だから仕方ないけど、真央にそんな事教えてどうするの!?』」
「『その辺の事は、お母さんとお父さんが時期を見計らって言うから言わないで!!』と強く言われた」

「あの年で事実を知ったら、たしかに困りそうだね…」
「真央は、お母さんとお父さんの子どもだけど、私とお姉ちゃんは義理のお姉ちゃんに変わってしまうからね」

「あの子の性格からして、そんな事無いような気もするけど…」

「でも、人は判んないよ。お姉ちゃん」
「最近の真央は、反発する事を覚え始めたから……」

「そうなの? 咲子」

「そうだよ。お姉ちゃん!」
「ネコと言いオセロと言い、―――」

 私はお姉ちゃんに、ネコの件やオセロゲームの件を話す。

「ふ~ん。つい最近までは、引っ込み思案の真央がね!」

「だから、お姉ちゃんも気を付けた方が良いよ!」

「気を付けるの何も、私(宮子)は咲子見たいに、自ら関わりには行かないからね」

「あっ、そっか」
「お姉ちゃん自ら、真央には声掛けないもんね」

「そう言う事!」
「咲子も、妹みたいに真央と関わるのも良いけど、程々しないと有る日、急に裏切られるよ!!」

「真央がそんな事するかな?」

「さぁ?」
「真央の親権は、お母さんとあいつだけど、私と咲子の親権はお母さんだけだからね!」
「何か有った時に、真央が急に化けるかも知れないよ!!」

「……無いと思うがな」

 私は真央の事を思い出す。
 引っ込み思案で、少しきつい言葉を言えば、直ぐにベソをかく真央が、そんな事をするはずが無い!! と思いたいが……

「それより、咲子」
「今日の夜はどうするつもりなの?」
「何処か食べに行くの? それとも咲子が作るの?」

「あぁ、それを聞かなければ無かった!!」
「お父さんも、晩ご飯の事は悩んでいて、お姉ちゃんの希望をフルに叶えるって言っていた」

「フルに希望ね…」

 お姉ちゃんは『食べ物で釣ろうとしても無駄だ!』の顔をしながら言う。
 お姉ちゃんも焼肉は好きだから、焼肉屋に連れて行けば良いのだが、私達が先週焼肉屋に行ってしまったからな……

「何しようか~~。ステーキハウスでも連れって貰うか!」
「カウンター寿司でも良いけど、この町に有るのか!?」

 お姉ちゃんは、食べ物の独り言を言いながら歩いている。
 私はそれを眺めつつ、お姉ちゃんと一緒にお父さんの家に向かった。 
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