単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第63話 我が家の長女 その5

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 スーパーに到着した私は野菜コーナーを素通りして、お肉売り場に向かう。もし、すき焼き用のお肉が無ければ、すき焼きが出来ないからだ。

(えっと、お肉売り場には到着したが肉は有るか?)

 お肉売り場は、牛肉・豚肉・鶏肉・ミンチ類の順に陳列されている。
 私は牛肉売り場に近づいて、すき焼き用の肉を探し始める。
 
(ん~と、牛肉は有るけど、牛冷しゃぶ用のパックが多いな。この時期だから、すき焼き肉は隅の方に追いやられているか?)

 私は牛肉売り場をくまなく探していると。

(あっ、有った!)

 牛ステーキ売り場の横の方に、すき焼き用らしき肉の入ったパックを発見する。

(これかな……?)
(むむっ!!)

 私は1つのパックを手に取るが、ラベルにはすき焼き用とは表示されておらず、国産牛・牛もも薄切り肉と表示されている。

(あれ?)
(すき焼き用と書いて無いぞ!)
(すき焼きの用の肉は無いのか!?)

 牛もも薄切り肉の表示ラベルを良く見ると『鉄板焼きにもどうぞ!』と印刷されているのを見つける。

(鉄板焼き?)
(焼肉用なのか?)
(でも、ここの列で牛肉コーナーは終わりだし、この薄切り肉をすき焼きに使うしか無いのか!?)

 鉄板焼き用とは表示されているが見た感じ、切り方が少し雑な気がするが、すき焼きに使っても問題無さそうだ……

(お姉ちゃんが、霜降り和牛を想像していたら、がっかりするだろうけど、このお肉しか無さそうだもんね……)

 時間帯が悪いのか、時期が悪いのかが分からないが、牛モモ薄切り肉はそう陳列されておらず、少しでも質の良さそうな肉を見つけるのは困難だった。

(もも肉だから、当たり前だが脂肪分が少ないな…)
(お父さん位なら丁度良いかもしれないが、まぁ急な事だから今回はこれで勘弁して貰おう)

 私はそう考えを纏めて、牛もも薄切り肉のパック、2パックを買い物カゴに入れる。

(たしか、お母さんがすき焼きを作る時、肉は1kgを目安に買っていたから、600gも有れば足りるよね)

 肉が無事に買える事に安心して、野菜コーナーに戻る前に水物コーナーに寄って、焼き豆腐としらたきもカゴに入れる。
 野菜コーナーでは、白菜、えのき等をカゴに入れていくが……

(やっぱり、春菊は無いな……。長ネギも1束258円もするし、これは困ったぞ!)

 春菊も長ネギも今が旬では無い。

(どうしよう……。長ネギは買っても良いけど、春菊が無いのは寂しいな…)

 春菊の無いすき焼きは仕方が無いが、1つの野菜が減ると全体のバランスが崩れてしまう。

(何か、他の野菜でも入れてみるか!)

 春菊の代わりに成りそうな野菜を探す。

(あっ、ピーマンが特売で安く成っている!)
(ピーマンを甘辛く煮たのも美味しいし、これを代わりに入れてみるか!)
(溶き卵に付けて食べれば、美味しいよね。きっと…)

 私はそう考えて、ピーマンの袋をカゴの中に入れる。
 サラダ代わりにトマトとキュウリを切って、後は1品に、惣菜品を付け加えれば良いかなと思い、トマトとキュウリを買おうとすると……

(今日はナスも安いのか?)
(ナスも甘辛く煮たの美味しいよな……。すき焼きに入れてみたら面白いかも!!)

 私は頭の中で何かがひらめいて、ナスをすき焼きに入れることにした。
 短冊状に切れば、食べやすいし火も通りやすい。初めてだけど試してみる価値が有った。

(今日のすき焼きは普段と違うけど、お母さんも居ないし大丈夫でしょう!)

 お母さんは料理で冒険は殆どしない。
 基本はレシピ通り作って、無い物や代用が利かない物は省略する時が多い。そのため、アレンジを加える事はまず無い!
 一応料理サイトを参考に作ってはいるが、調味料は一般的な物しか揃えてない。
『無い物は諦める!』それがお母さんの流儀らしい……

(後はこれをレジに持って行って、時間的に家に戻ったらご飯作りだね!)

 私は買い物カゴをレジに持って行って、お会計をしてアパートに戻る。
 空を見上げると綺麗な夕方空だった。
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