単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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番外編

第1話 大型連休 その1

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 明後日からは大型連休が始まる。
 月曜日と火曜日が祝日に成るので、この大型連休は土日を含めて4日間の連休だ。
 しかし、俺の現場は土曜日・祝日は交代勤務で対応している。

 俺は今、本来とは違う事業所で応援派遣をしている。ここの事業所も土曜日・祝日は同じように交代勤務で有る。
 今度の大型連休で里帰りをする事を俺は決めており、その様に大型連休中はフルに休暇が取れるように交代勤務日を調整した。
 更に有休も1日取って、計5日間の休暇だが、火曜日は移動日に当てなければ成らないので、家族達と居られる4日間で有る。

 木曜日の勤務終了後……。職場に備わっている風呂で汗を流した後は、一度アパートに戻り、荷物を積み込んで、本来の家に戻るために俺は車を走らせる。
 今の時刻が19時を少し過ぎた所……。近くのICから高速道路を使っても、家に着くのは順調で2時間位は掛かるだろう…
 早く戻りたい気持ちも当然有るが、制限速度を遵守じゅんしゅして本来の家に戻った……

 ☆

 本来の家に戻ったのは23時前だった…。
 もう少し早くは着けたが、途中で食事を取ったのとお土産を買っていたので、その時間に成ってしまった……。我が家は2階建ての一軒家で有る。
 ガレージに車を入れて、久しぶりの玄関の扉を開く。先月は、俺の単身赴任先に家族が集まってくれたので里帰りはしていない。

「ただいま~」

 俺はそう言いながら玄関を開けるが、俺の家は出迎える方式では無い。玄関から廊下を歩きリビングに入る。
 リビングに入ると母さん(妻)と咲子がテレビを見ており、宮子はダイニングの方で食事を取っていた。真央の姿が見えないが時間的にもう自室居るのだろうか?

「ただいま!」

「お帰り。お疲れ様。お父さん♪」

「お帰りなさい~。お父さん!」

「お帰り…」

 それぞれが挨拶をしてくれる。
 俺は高速道路のSAで買った、菓子類のお土産を近くに居た咲子に手渡す。

「わぁ~~、ありがとう!」
「ねぇ、お父さん…。今から食べても良い?」

「程々にな…」

 咲子は早速、菓子の包装紙を豪快に破いて、お菓子の封を切って食べ始める。
 相変わらずの食欲だ……

「お父さん♪」
「ビールが冷えているから、着替えてきたら?」
「準備しておくよ♪」

 母さんはそう言って、ソファーから立ち上がりキッチンに向かう。
 俺と母さんの寝室にしている部屋は1階に有るが、構造上ダイニングを通らないと行けないため、ダイニングを抜ける前に宮子に声を掛けてみる。

「元気にしているか…」

「見ての通り…」
「今日もご飯が美味しいよ…」

 今日の晩ご飯は豚の生姜焼きだが、宮子は普通に食べている感じだった。
 この時間に食べていると言う事は、今日はアルバイトが有った日なのだろうか?

 宮子の口調はトゲが有るわけでは無いが、会話が続けにくい話し方で有る。
 これでも、大分ましに成った方で有る。

「そうか。なら良かった…」

 俺がそう言うと、宮子は食事を再開した。
 宮子もきっと咲子と同じような性格の筈だと思うのだが、どうしても堅苦しい雰囲気に成ってしまう。
 まぁ、この前の1回の話し合いで、激変の改善を望む方が無理だと言うもんだ……

 俺は寝室に向かって、部屋着に着替えてリビングに戻る。
 リビングに戻るとソファー側のテーブルに、おつまみに豚の生姜焼きと厚揚げの煮たのが置いて有った。

「お父さん! ビール持って来てあげるね!!」

 俺の顔を見た咲子が立ち上がって、台所に向かい缶ビールを持って来てくれる。

「はい!」
「お父さん!!」

「あぁ、ありがと咲子…」

 俺は咲子から缶ビールを受け取って1人で飲酒を始める。
 俺が着替えている間に宮子は食事を済ませて、ダイニングから姿が消えていた。
 母さんと咲子が見ているテレビを見ながら飲酒をしていると、母さんが声を掛けて来る。

「お父さん♪」
「家族グループ(SNS)で知っているとは思うけど、明後日は旅行だからね♪」

 母さんは笑顔でそう言う。

「しかし、良くこの時期に旅館が取れたね!」

「まぁ…、旅行に関しては宮子に任せてしまったけど、宿も無事に取れて良かったよ!」
「旅行代金も半分は、宮子が出してくれるし♪」
「私(母さん)も楽しみ♪」

 嬉しそうに言う母さん。
 旅行の段取りについては宮子が全部行ったそうだ。更に代金の半分も出すと言う、今までの宮子では考えられない行動で有る。

「でも、母さん……。宮子から旅行代金を出して貰うのは嬉しいが、その辺は家計で何とか出来なかったのか?」

「私(母さん)は、何とかするつもりだったよ…」
「でも、宮子が『今までの罪滅ぼしに、私のバイト代を使って!』と言われてしまったら、流石の私も断れなかったよ…」

 口調は申し訳ない感じで話しているが、母さんの顔は“にこにこ”で有った。

「まぁ、でも……旅行は1泊2日らしいけど、詳細は一切教えてくれないのよね!」
「温泉宿らしいけど……」

「えっ!?」
「母さん的にはそれで良いの?!」

「良くは無いけど……、総額の旅行代金だけは聞いて、私の納得出来る金額だったから許した…」

「母さんがそれで良いのなら、それで良いけど……」

 今まで、家族との行動を拒んでいた宮子が、急に旅行の段取りをして、更に代金も半分を出すと言う急転直下の状態に成った。
 宮子も大学生だし、親友らと旅行にも行っていると母さんから聞いている。

 値段も母さんが納得しているのだから、高級ホテルや高級旅館のたぐいでは無い事は確実だが、家族でビジネスホテルとかだと……悪くは無いが俺が出張の気分に成ってしまう。
 明日の夜までには、幾ら何でも分かるだろうと思いながら、俺はビールを飲んだ……
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