単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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番外編

第3話 大型連休 その3

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 翌日……

 朝8時を過ぎた位の時間に俺は目覚める。
 寝室を出て顔を洗いダイニングに向かうが、リビングとダイニングには誰も居なかった。俺はダイニングテーブルに置いて有る朝食の用意とメモ用紙に気付く。

『お父さん。おはよう♪』
『私は午前中仕事だから、出掛けるなら戸締まりはよろしくね♪』
『朝食は、お鍋に味噌汁が入っているから温め直して食べてね!』

(そうだった……。母さんは午前中仕事だ!)
(これだったら、無理して昨日帰らずに、今日帰れば良かったな…)

 ダイニングテーブルには俺の朝食しか残っておらず、俺以外はみんな朝食を終えて家を出ているのだろう?
 子ども達の部屋は2階に有るが物音が聞こえて来ないので、みんな学校に行っているのだろう。
 ダイニングテーブルには、鮭の塩焼きが乗ったお皿と、ほうれん草の和え物の小鉢が置かれていた。

 母さんの作ってくれた朝食を取って、家事の手伝いでもしようと思ったが、特に汚れている場所も無く、洗濯でもするかと思っていたが、母さんが既に洗濯を終えていて、洗濯機の上に設置して在る乾燥機が『グルン、グルン』と音を立てて回っていた……

(あちゃ~、物の見事にやる事が無いな…)
(下手な事をしたら母さんに怒られそうだし、大人しく過ごすか…)

 俺はリビングのテーブルに置いて有る新聞を読んで、新聞を読み終わった後はテレビを付けて見てみるが、普段この時間はテレビを見ていないので直ぐに消してしまう。

(何か、落ち着かないな…)
(本来の家なのに、他人の家のような気がする!)
(咲子もこんな気分だったのかな…?)

 俺は母さんが帰ってくるまで、スマートフォンを眺めたり、二度寝をして時間を潰した……

 ☆

 母さんが家に帰ってきたのは、お昼を過ぎた13時を超えた時間だった。

「ただいま~♪」

 咲子見たいな陽気な声で、母さんがリビングに入ってくる。
 買物をしてきたのだろう。手には買い物袋を持っていた。

「お帰り、母さん。そして、お疲れ!」

「はい! お疲れ様でした!!」
「…お父さん。お昼食べた?」

「いや、まだだよ…」
「どうせなら、母さんと一緒に昼食を取りたいなと思って…」

「良かった!」
「そう思って、たこ焼きを買ってきたよ♪」
「一緒に食べよう!!」

 母さんは笑顔でそう言いながら、レジ袋に入ったたこ焼きを見せてくれる。
 母さんが普段着に着替えている間に、俺は飲み物を用意して、母さんと一緒にたこ焼きで昼食を取る。
 母さんと昼食を取った後は、俺は何か出来る事が無いか母さんに聞く……

 母さんは洗濯物を畳んで、俺は庭の手入れ(草抜き)をする事に成った。
 庭自体はそんなの大きくは無いので、30分もしない内に庭の手入れは終わってしまう。

 もうすぐ子ども達が帰ってくる時間なので、母さんとやましい事は出来ない……。お互いがリビングでのんびりと過ごす。
 時間が16時を少し過ぎた所、最初に帰って来たのは真央だった。

「ただいま~~」

 真央も元気な声でリビングに入って来る。
 子ども達の部屋は、リビングを経由しなくても子ども部屋に行けるが『挨拶は必ずするように!』と母さんからしつけられているため、みんな一度はリビングに顔を出す事に成っている。母さんは普段リビングに居る事が殆どだ。

「あっ!」
「お父さんが居る…お帰りなさい!」

 真央は俺に気付いて挨拶をする。本当は昨夜に帰って来ているのだが……

「ただいま、真央。そして、お帰り!」

 俺は真央に挨拶をするが、真央はそれ以上俺に話し掛けずに、母さんに話し掛ける。

「お母さん!」
「今日のおやつは何?」

「何時も通りのお菓子だよ♪」

 母さんの言う、何時も通りのお菓子。
 それは……、袋菓子の何種類かをお皿に乗せて、おやつとして出しているので有る。
 クッキーや煎餅、パイやチョコレート菓子等、母さんの気分でお菓子の内容が変わる。時にはドーナツや菓子パンの日も有るらしい。

 真央はその話を聞くと、ランドセルをソファーに置いて、洗面台に向かって手を洗って、うがいをして、それで戻って来ると、自分で冷蔵庫から麦茶を出して、飲み物を用意して食べ始めた。

「お父さんもおやつ食べる?」
「子ども達と同じのに成るけど?」

「……俺は良いや」

「さて、真央も食べ始めたし、私もおやつ食べよ♪」

 台所には母さんの手拭きタオルが有るので、母さんはシンクで手を洗って、真央と一緒におやつを食べ始める。
 真央は母さんに話し掛けながら、楽しくおやつを食べていた。
 俺はその楽しそうな声を聞きながら、スマートフォンの画面を眺めていた。

 ☆

 お菓子を食べ終えた真央は宿題をするために自室に戻り、再び2人でリビングで過ごして居ると宮子が帰って来た。

「ただいま」

 宮子の口調は穏やかで有る。母さんと宮子の普段の会話もそんな感じだ。俺に対してはこれに“トゲ”が追加されるけど……

「お帰り、宮子」

 俺と母さんは、ほぼ同時に宮子に返事をする。
 流石に宮子位の年齢に成るとおやつの用意はしない。

「今日は早いのね!」

 母さんが、宮子にその様に話し掛ける。

「今日は講義だけだし、アルバイトも入れて無いからね」

「じゃあ、今日はみんなが揃っての晩ご飯だね♪」

 母さんは嬉しそうに言う。
 今まで、俺が里帰りしてきた時は、焼き肉屋に行く日を除いて、宮子は晩ご飯時には居なかった……。理由は言うまでも無いが、その宮子が一緒に晩ご飯を取るのだから、大きな変化だった。

「私は、少しやりたい事が有るから部屋に居るね…」

 宮子はそう言ってリビングから出る。
 宮子の足音が遠ざかっていくのを確認しながら、母さんは嬉しそうに言う。

「うん、うん」
「やっぱり、宮子をお父さんの所に行かせて正解だわ♪」
「宮子の口からは何も言わないけど、お父さんの事を大分見直してくれた見たいだね♪」

「……」

 俺はそれを黙って聞いていた。
 実質的に宮子と日本酒を飲んで、咲子の話をした位なんだが、それ位の事で簡単に心を開く者なのか!?
 宮子も……、咲子の俺に対する行動を警戒していたようだし、それの要因の1つなんだろうか?

 その後は直ぐに咲子も帰って来た。
 咲子も真央と同じようにおやつを食べていた。普通これ位の年齢成ると、家で母親の用意したおやつなんて食べないと思うが……。まぁ、みんな無事に家に帰ってきてくれた。
 この当たり前が、当たり前で有る事を感謝したい……
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