単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
82 / 167
番外編

第3話 大型連休 その3

しおりを挟む
 翌日……

 朝8時を過ぎた位の時間に俺は目覚める。
 寝室を出て顔を洗いダイニングに向かうが、リビングとダイニングには誰も居なかった。俺はダイニングテーブルに置いて有る朝食の用意とメモ用紙に気付く。

『お父さん。おはよう♪』
『私は午前中仕事だから、出掛けるなら戸締まりはよろしくね♪』
『朝食は、お鍋に味噌汁が入っているから温め直して食べてね!』

(そうだった……。母さんは午前中仕事だ!)
(これだったら、無理して昨日帰らずに、今日帰れば良かったな…)

 ダイニングテーブルには俺の朝食しか残っておらず、俺以外はみんな朝食を終えて家を出ているのだろう?
 子ども達の部屋は2階に有るが物音が聞こえて来ないので、みんな学校に行っているのだろう。
 ダイニングテーブルには、鮭の塩焼きが乗ったお皿と、ほうれん草の和え物の小鉢が置かれていた。

 母さんの作ってくれた朝食を取って、家事の手伝いでもしようと思ったが、特に汚れている場所も無く、洗濯でもするかと思っていたが、母さんが既に洗濯を終えていて、洗濯機の上に設置して在る乾燥機が『グルン、グルン』と音を立てて回っていた……

(あちゃ~、物の見事にやる事が無いな…)
(下手な事をしたら母さんに怒られそうだし、大人しく過ごすか…)

 俺はリビングのテーブルに置いて有る新聞を読んで、新聞を読み終わった後はテレビを付けて見てみるが、普段この時間はテレビを見ていないので直ぐに消してしまう。

(何か、落ち着かないな…)
(本来の家なのに、他人の家のような気がする!)
(咲子もこんな気分だったのかな…?)

 俺は母さんが帰ってくるまで、スマートフォンを眺めたり、二度寝をして時間を潰した……

 ☆

 母さんが家に帰ってきたのは、お昼を過ぎた13時を超えた時間だった。

「ただいま~♪」

 咲子見たいな陽気な声で、母さんがリビングに入ってくる。
 買物をしてきたのだろう。手には買い物袋を持っていた。

「お帰り、母さん。そして、お疲れ!」

「はい! お疲れ様でした!!」
「…お父さん。お昼食べた?」

「いや、まだだよ…」
「どうせなら、母さんと一緒に昼食を取りたいなと思って…」

「良かった!」
「そう思って、たこ焼きを買ってきたよ♪」
「一緒に食べよう!!」

 母さんは笑顔でそう言いながら、レジ袋に入ったたこ焼きを見せてくれる。
 母さんが普段着に着替えている間に、俺は飲み物を用意して、母さんと一緒にたこ焼きで昼食を取る。
 母さんと昼食を取った後は、俺は何か出来る事が無いか母さんに聞く……

 母さんは洗濯物を畳んで、俺は庭の手入れ(草抜き)をする事に成った。
 庭自体はそんなの大きくは無いので、30分もしない内に庭の手入れは終わってしまう。

 もうすぐ子ども達が帰ってくる時間なので、母さんとやましい事は出来ない……。お互いがリビングでのんびりと過ごす。
 時間が16時を少し過ぎた所、最初に帰って来たのは真央だった。

「ただいま~~」

 真央も元気な声でリビングに入って来る。
 子ども達の部屋は、リビングを経由しなくても子ども部屋に行けるが『挨拶は必ずするように!』と母さんからしつけられているため、みんな一度はリビングに顔を出す事に成っている。母さんは普段リビングに居る事が殆どだ。

「あっ!」
「お父さんが居る…お帰りなさい!」

 真央は俺に気付いて挨拶をする。本当は昨夜に帰って来ているのだが……

「ただいま、真央。そして、お帰り!」

 俺は真央に挨拶をするが、真央はそれ以上俺に話し掛けずに、母さんに話し掛ける。

「お母さん!」
「今日のおやつは何?」

「何時も通りのお菓子だよ♪」

 母さんの言う、何時も通りのお菓子。
 それは……、袋菓子の何種類かをお皿に乗せて、おやつとして出しているので有る。
 クッキーや煎餅、パイやチョコレート菓子等、母さんの気分でお菓子の内容が変わる。時にはドーナツや菓子パンの日も有るらしい。

 真央はその話を聞くと、ランドセルをソファーに置いて、洗面台に向かって手を洗って、うがいをして、それで戻って来ると、自分で冷蔵庫から麦茶を出して、飲み物を用意して食べ始めた。

「お父さんもおやつ食べる?」
「子ども達と同じのに成るけど?」

「……俺は良いや」

「さて、真央も食べ始めたし、私もおやつ食べよ♪」

 台所には母さんの手拭きタオルが有るので、母さんはシンクで手を洗って、真央と一緒におやつを食べ始める。
 真央は母さんに話し掛けながら、楽しくおやつを食べていた。
 俺はその楽しそうな声を聞きながら、スマートフォンの画面を眺めていた。

 ☆

 お菓子を食べ終えた真央は宿題をするために自室に戻り、再び2人でリビングで過ごして居ると宮子が帰って来た。

「ただいま」

 宮子の口調は穏やかで有る。母さんと宮子の普段の会話もそんな感じだ。俺に対してはこれに“トゲ”が追加されるけど……

「お帰り、宮子」

 俺と母さんは、ほぼ同時に宮子に返事をする。
 流石に宮子位の年齢に成るとおやつの用意はしない。

「今日は早いのね!」

 母さんが、宮子にその様に話し掛ける。

「今日は講義だけだし、アルバイトも入れて無いからね」

「じゃあ、今日はみんなが揃っての晩ご飯だね♪」

 母さんは嬉しそうに言う。
 今まで、俺が里帰りしてきた時は、焼き肉屋に行く日を除いて、宮子は晩ご飯時には居なかった……。理由は言うまでも無いが、その宮子が一緒に晩ご飯を取るのだから、大きな変化だった。

「私は、少しやりたい事が有るから部屋に居るね…」

 宮子はそう言ってリビングから出る。
 宮子の足音が遠ざかっていくのを確認しながら、母さんは嬉しそうに言う。

「うん、うん」
「やっぱり、宮子をお父さんの所に行かせて正解だわ♪」
「宮子の口からは何も言わないけど、お父さんの事を大分見直してくれた見たいだね♪」

「……」

 俺はそれを黙って聞いていた。
 実質的に宮子と日本酒を飲んで、咲子の話をした位なんだが、それ位の事で簡単に心を開く者なのか!?
 宮子も……、咲子の俺に対する行動を警戒していたようだし、それの要因の1つなんだろうか?

 その後は直ぐに咲子も帰って来た。
 咲子も真央と同じようにおやつを食べていた。普通これ位の年齢成ると、家で母親の用意したおやつなんて食べないと思うが……。まぁ、みんな無事に家に帰ってきてくれた。
 この当たり前が、当たり前で有る事を感謝したい……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...