単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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番外編

第10話 家族旅行 その4

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「たしかに、外観は喫茶店の感じだな…」

 カーブの向こう側に確かに店が有った。ログハウス風の店で有る。

「どんな食べ物が有るんだろうね♪」

 母さんは“のんき”に言う。
 峠の茶屋と言うべきか…、こんな場所で期待はしない方が良いだろう?
 しかし、その予想は見事に裏切った!?

 店内はほぼ満席の状態で有った。
 言われてみれば、展望台の駐車場には結構な車が止まっていた割には景観を楽しんでいる人が少なかった。
 このお店は、少し小高い場所に有るので駐車場もそんなに大きくは無い。
 もしかしたら、美味しいお店なのか?

 流石に家族5人なので、席は空いていなくて空席待ちと成る。
 10分位すると、1グループが店から出て行ったので、しばらくすると俺たち家族が案内される。

 メニューもてっきり喫茶店メニューかなと思ったら、魚を中心にしたメニューだった。
 刺身定食から始まり、イカ焼き定食、たこ飯定食、ぶりの照り焼き定食、白身フライ定食等、魚好きにはたまらないメニュー内容だった。この付近は漁港も沢山有るのでその関係かも知れない。

 俺と母さんは刺身定食。宮子と咲子はイカ焼き定食、真央は白身フライ定食だった。
 何時もの咲子なら、これだけで足りるはずが無いがお菓子の影響だろうか。ご飯を大盛りにするだけで有った。母さんもご飯を大盛りにするだけで有った。
 車内でもお菓子を食べていればそうなるわな……

 ☆

 刺身は新鮮で、凄く美味しくて大満足で有った。母さん達も満足顔で食べていた。
 旅先での昼食は大満足で終わった。
 お腹が膨れた事で午後のドライブの開始で有るが、今の場所から今日の宿泊先までの事を考えると、どういう流れに成るのだろうか?

「宮子…?」
「この先の予定は?」

「……ちょっと時間が押し気味」
「半島先端の灯台に行って……後は宿泊先まで直行かな?」
「この辺は、似た様な景色ばかりだし…」

「……地元の人が聞いたら怒るぞ」

「私(宮子)も色々調べているけど、似た様な所ばかりなのだね」
「メインはドライブだから仕方無いけど…」

「ドライブ旅行だからな」
「それを、思いっきり楽しんでいるは真央だけか…」

 母さんや咲子も景色を楽しんでいるが、真央みたいにずっと見続けている訳では無い。
 先ほどの昼食で流石にお腹がいっぱいに成ったのか、今でこそ景色を中心に見ているが、それまでは食べる方が優先されていた。

 宮子はやはり主催者と言うべきか、先ほどまでは見所を探していた。
 時間的にこれ以上の寄り道は難しいと感じたのか、今は景色を見ている様だ。
 朝の時と比べて、宮子との会話は大分出来る様に成ってきた。
 やはりと言うか、一緒にいる時間が長ければ長いほど、話しやすく成るのかも知れない。

 真央は景色に意識が集中しているのか、お菓子は殆ど食べずに偶に飴を舐めるぐらいで、それ以外は前や横に顔を色々向けて、本当にドライブ旅行を楽しんでいた。

 車を20分位走らせると、能降半島先端に有る灯台の手前まで来る。
 灯台来客用、広めの駐車場に車を止める。
 灯台に行くには、ここからは徒歩で歩かなければ成らないみたいだ。
 
 駐車場内に有る、自動販売機で全員分のお茶を買って灯台を目指す。徒歩で20分前後掛るみたいだ。
 遊歩道に成っているので、歩きやすいと言えば歩きやすいが、結構急な坂のため段々と俺は疲れがたまって行くが、咲子や真央は軽い足取りで先を行っている。

「わぁ~。綺麗な海景色~~」

「咲子お姉ちゃん! 綺麗だね!!」

「だね! 真央!!」

 遊歩道の途中で景色が開けている場所が有るみたいで、咲子と真央は其所で立ち止まって景色を見ている。

「お父さんやお母さんも早くおいでよ!」
「海がキラキラしていて凄く綺麗~~」

 咲子は俺と母さんに声を掛ける。
 俺達大人組は、咲子達みたいに軽やかには歩けない。

「…確かに綺麗だわ」

 咲子達には遅れた宮子だが、たどり着いて同じように景色を見て呟いている。

「あは……私達は運動不足かもね///」

 母さんは俺の方に顔向けて話す。

「この年に成ってくると山道は疲れるな…」

「あら…、私(母さん)はまだ若いわよ!」
「私は運動不足かも知れないけど、お父さんは年の影響♪」

 40前半の癖によく言うと思ったが、それを言うと突き落とされそうなので黙っておく。

「うん♪」
「綺麗だね♪」

 小休止も兼ねて、全員で開けている場所からの景色を見ている。
 漁港・防潮堤・空の青色・真っ青な海が加わった海景色。
 同じ海景色でも、見る位置で全く変わってくる。不思議な物だ……

「そろそろ、行こうよ!」

 流石。年齢的に一番体力が有る咲子。

「一本道の筈だから、先に行っていて良いよ!」

 俺と母さんは、咲子と真央には当然付いて行けないから、先に行くように促す。

「分かった~~」
「灯台で待っているからね~~」

 そう言うと咲子は軽やかな足取りで先に登っていく。

「あっ、待って~~。咲子お姉ちゃん!!」

 それに着いて行くように真央も咲子の後を追った。
 迷子に成るような年では無いから大丈夫だろう。
 宮子も先に行くかと思ったら、俺と母さんの側に居た。

「……宮子も、先行っても大丈夫だぞ」

「…うん」

 宮子は頷くが動こうとはしなかった。

「宮子は私とお父さんと一緒に行きたいのだよね♪」

「……」

 母さんがそう宮子に声を掛けると、宮子は黙ってしまった。

(少し、距離が近付いたかと思ったが、そう簡単には行かないな…)

 体力も回復してきたので、母さんに声を掛けて再び登り出す。
 すると、宮子もそれに付いてきた。
 もしかしたら、宮子は俺と母さんに何か話が有るのかも知れない……
 俺は何かの期待をしながら、母さん・宮子の3人で遊歩道を歩きながら灯台に向かった。
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