単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
98 / 167
番外編

第19話 朝風呂を独り占め?

しおりを挟む
 朝の5時半……
 俺はその時間に再び目を覚ます。此処の宿泊施設では朝の5時から温泉に入れる様だ。
 この地域の日の出時刻は間もなくの様だ。位置の関係でご来光は拝めないが、この時間帯なら温泉を独り占め出来るはずだ。
 俺はみんなを起こさない様に、ゆっくり起き上がる同時に隣の布団も“もぞもぞ”と動き出す!

「お父さん、おはよう~」

 咲子も一緒に起きると同時に、小声で挨拶をする。

「あぁ、おはよう」

 もちろん、俺も小声で挨拶をする。

「お父さん! 温泉に行くんでしょ!!」
「私も行く!!」

(朝風呂は入ると、昨夜言っていたな…)

 他のみんなを起こさない様に、俺と咲子は静かに部屋から出る。
 宮子位は起きるかと思っていたが、起きては来なかった……
 この時間帯の館内は静まりかえっており、俺達が歩く音以外は聞こえて来ない。

「まだ、みんな寝てるんだね!」

 朝から咲子は、陽気な声で話し掛けてくる。

「まだ、朝の5時半を過ぎた時間だからな…」

「これからも、こうやってドンドン遊びに行けると良いね!」

「そうだな……俺が昇進して、現場管理の役職に就ければ、事務仕事が中心に成るからな!」

「そうなの?」
「じゃあ、早くそうしてよ!!」
「土曜日も毎週お休みに成れば、近場でも出掛けられるし!」

 咲子は嬉しそうに言ってくれる。
 普通の年頃の子なら、父親と共に行動するのを一番嫌がる年だが!?

「あはは、そうだな!」
「仕事、頑張らないとな!!」

 咲子と横並びに歩いて大浴場(温泉)に向かう。
 大浴場に着いて、咲子はきちんと女性湯の方に入って行った。

(良かった…)
(一緒に来たら、対応に困る所だったよ…)

 当然、ここは混浴では無い!
 偶に混浴で入れる温泉も有るが、水着着用は必須で有る。
 脱衣所にも人気ひとけは無く、俺以外居なかった。きっと女性湯の方も、似た様な者だろう?
 体を軽く流してから早速、早朝の露天風呂を楽しむ!!

「う~ん!」
「今日も天気が良くて、気持ちいい~~」
「何年ぶりの、早朝露天風呂だろう!!」

 俺は露天風呂に浸かりながら、1人喋りをする。
 ホテルでも大浴場は有るが、体を洗うのが目的で有って、お風呂を楽しむ場所とは言いにくい……
 それに対し、露天風呂は景色も楽しめるし、木々の香りも楽しめるので、リラックスも出来るし良い事づくしで有る。

「俺が大金持ちだったら毎日、自然景観の見られる露天風呂に入れるのにな~~」

 誰も居ないのを幸いに1人喋りをしていると、向かいの衝立ついたてから話し掛けられる。

「お客さん! 願望よりも現実を見て下さいね!!」

 俺は注意を受けたかと一瞬思うが、声の主は直ぐに咲子と判る。

「ちゃんと見てますよ! 家族が一番大事です!!」
「咲子も、露天風呂に来たのか?」

「そうだよ! お父さん!!」
「気持ち良いね!!」

 男女の露天風呂の境界は衝立だけだから、普通の声で会話が出来る。

「咲子の方も1人か?」

「そうだよ!」

「お父さんの方も?」

「うん。俺だけ!」

「私達、露天風呂を1人占めしているんだね!」

 陽気な声で言う咲子。

「そうだな、咲子!」
「でも……時間的に、そろそろ人が来るはずだ…」

 俺と咲子は、男女別の露天風呂に浸かりながら、親子の会話をしている。

「これが、混浴だったら、お父さんを悩殺出来たのにね!」

 咲子は突然言い出す!
 やっぱり、まだ完全には諦めてなかったのか?
 しかし、俺だって人の親だ。“さらり”とかわしてやる!

「あはは!」
「咲子の体では、俺は動じないぞ!」

「おっ、言ったね。お父さん!」

「俺は母さんが一番好きだからな!」

「はい。はい。のろけ話は良いですよ~~」

 人の目が有る場所では流石の咲子も、何も出来るはずが無い。
 それに咲子が、俺を本当に悩殺する気が有るなら、俺の元に来ていた時にしている筈だ!?

 しばらく、親子で会話をしていたが、他の人が入って来たので、露天風呂での親子会話はここまでにする。

「咲子! 俺は内湯に行くから!」

「は~い!」

 咲子に声を掛けてから露天風呂を出て、内湯を少し楽しんでから温泉から出る。
 咲子が女性湯から出て来るの待つため、大浴場の入口で待っていると母さん達がやって来た。

「お父さん、おはよう~♪」

「あぁ、母さん、宮子、真央。おはよう!」

「おはよう…」

「お父さん! おはよう!!」

「お父さんと咲子は早いね!」
「私(母さん)が起きた時にはもう居なかったから、びっくりだったよ!」

「俺が目を覚ました時に、咲子も目を覚ましてな……」
「一足先に、朝風呂を楽しんだ!」

「じゃあ、私達も朝風呂を楽しんでくるから!」
「はい! これ上げる!!」

 部屋の鍵を俺に渡す母さん。

「じゃあね~~♪」

 母さんも陽気な声で言って、真央は手を振りながら、宮子は軽く会釈をして、女性湯の方に入って行った。

(母さんも、いつも通りの元気さだ!!)
(しかし……また、咲子と2人の時間か)
(2人きりに成っても、朝から馬鹿な事は幾ら何でもしないだろう?)

 母さん達が入っていくと、直ぐに咲子が出て来る。

「お母さん達とすれ違ったよ!」

「母さんも今から、朝風呂だそうだ」

「咲子。先に部屋に戻ろうか?」

「そうだね!」
「ここ居ても、暇だしね!!」

 俺と咲子は朝風呂を楽しんで、部屋に戻った……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

処理中です...