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番外編

第21話 咲子は賢い!? その2

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「ねぇ! どうして!!」

 真央は真相が知りたいので再び聞いてくる。

「そっ、それはな……」

 俺が言葉選びに迷っていると、咲子が話し出す。

「演劇の練習だよ!」
「今度、学校で演劇祭が有って、抱き合うシーンが有るのだよ!」
「お父さんと練習をしていた!」

 頭が柔らかい世代の咲子。もっともな理由を言う。
 これなら真央も納得する筈だ!

「咲子お姉ちゃん。劇に出るの!!」
「私も見たい!!」

 真央は当然、そう言うよな……

「真央には残念だけど……真央の学校が有る日に行われるの」
「残念だけど……」

「え~~。私も咲子お姉ちゃんの劇見たい!!」
「その日は、学校休む~~」

 咲子が、演劇練習の嘘を付いたまでは良かったが、逆に真央が本気にしてしまった。
 これは裏目に出たぞ!!

「学校を休んじゃダメ! 真央!!」

「やだ!! 咲子お姉ちゃんの劇見たい!!」

「でも、駄目!!」

「絶対、見る!!」

 咲子と真央が声を出しながら口論を始める!
 朝の時間から言い合いを始めたら、他の宿泊客の迷惑にも成る。
 その時……

「うゆ!」
「咲子の学校で……演劇祭なんて有ったかな♪」
「お母さんは初めて聞いたぞ♪」

 何時の間にか、母さんが温泉から戻って来ていた!
 何処から聞いて居たのだ!?

「母さん!」

「お母さん!!」

 当然びっくりする、俺と咲子……

「宮子1人で、ゆっくり入らせようと思って早めに出て来たら、2人で楽しい事していたのだね♪」
「お母さん、びっくりだよ!!」

 母さんの顔は笑っているが、目は笑っていない。
 これは離婚を突き付けられるか!?

「咲子お姉ちゃん…。嘘を付いていたの?」
「どうして!?」

「うっ…」

 言葉に詰まる咲子。

「お父さん! 説明してくれるかな♪」
「どうせ、咲子がお願いしてきたのでしょ!」

 母さんは和やかな顔で言うが、母さんから怒りのオーラを感じる。
 下手な嘘は付かずに正直に言おう。

「……咲子がハグを求めてきたから、それで…」

「ハグをしたと…♪」

「あぁ…」

「……」

 母さんの表情が、怒った笑顔から急に真面目に成る。
 しかし、直ぐに呆れ顔に成る。

「ハグだけなのね…?」
「キスとかは、してないのだね…?」

「母さん! 誓って言うよ!!」
「ハグだけ! それ以外は何もしていない!!」

「そう……。ハグだけなら許してやるか!」

 母さんは、少し笑いながら言う。

「お父さんは、相変わらず咲子には弱いからね♪」

「それと咲子! お父さんを困らせないと、前言ったでしょ!!」

 母さんは咲子を窘めるが……

「私は悪くない~~♪」
「私は悪くない~~♪」
「私の誘惑に乗った~、お父さんが悪いのだ~~♪」

 歌を歌い出す様に言う咲子。
 これに対しては、俺や母さんも呆れるしか無かった。

 俺と咲子に対して母さんは、それ以上言わなかったが『真央に嘘を付いた事だけは謝りなさい!』と言ったので、咲子は真央に謝っていたが真央は『お姫様と王様見たいだった!』と言われる……
 真央の中でも、俺と咲子の関係は、年が離れた関係だったのだ。

 一件落着だと思ったが…、俺は母さんに呼ばれて、母さんと共に廊下に出る。
 少し歩いて、人目に付かない場所に来ると……

「お父さんは私と咲子。どっちが好き?」
「正直に答えてね♪」

 母さんが突然聞いてくる。
 母さんが、こんな質問してくるとは珍しい。

「もちろん! 母さんだよ!!」

 俺がそう答えると母さんは、俺の耳を急に引っ張って来た!?
 それもかなり強めで!!

「私の事が好きなら……もう少し、自制しましょうね~~♪」
「お父さん!?」

 母さんの顔は笑っているが、完全に怒っている!!

「ハグだけだから今回は許すけど、咲子や娘達の生殖器を見たり、触れたりしたら覚悟してね~~♪」

 母さんはそう言いながら、更に強く耳を引っ張る。千切れます、お母さん(小春)。千切れます!!

「ごめん母さん! 誘惑に乗ってしまった!!」
「今度から気を付けるから!!」

「本当だよ~~♪」
「お母さんを怒らすと本当に恐いよ~~。色んな意味でだよ~~♪」

 母さんは、“にこにこ”笑いながら俺の耳を引っ張る!
 母さんはサイコパスか!?
 それだけ、母さんが怒っている証拠か!?

「じゃあ、許して上げる!!」

 母さんは、俺の耳を引っ張るのを止めてくれる。

「でも、本当に気を付けるんだよ!」

 少し眉間にしわを寄せながら、母さんは言う。

「気を付けるよ!!」
「てっきり、俺の事は諦めたと思っていたから油断していた」

「この家での男性が、お父さんだけだからね」
「宮子も大分打ち解けて来ているし、それだけ今回の旅行が、咲子にとっては嬉しいのかもね♪」

「母さんがそう納得してくれれば…」

「でも、お父さん♪」
「ハグでも、次目撃したら覚悟はしてね!」
「家族がバラバラに成っちゃうかもね♪」

 母さんは笑顔で脅してくる。
 これが、母さんを本当に怒らせた時か!?
 俺は母さんの事が好きだし、素直に言う事を聞こうとした……
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