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番外編
第28話 水族館周辺散策 その1
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少しの食休みの後は、周辺を家族全員で散策をする。
今日は風が適度に有るので、昨日ほど暑くない。
水族館以外に海釣りを出来る場所も有り、天気も良い事も加わって、多くの人が釣りをしている。
「お父さん…。釣りって楽しいの?」
その光景を見た咲子が、俺に聞いてくる。
「俺が子どもの時に、父親の釣りに付いて行った事は有るが、余り良い思い出は無いな…」
俺の中では釣りの経験は数える程しか無い。
釣りはしたが、釣り堀以外で魚を釣り上げた事が無いからだ。
単身赴任前の会社の先輩に、釣りを誘われた事も有ったが、俺の場合は釣り道具を揃える事から始まるし、母さんも釣りには興味が無いため、俺が正式な釣りデビューをする事は無かった。(母さんが釣り竿を買ってくれなかった…)
「会社の先輩が言うには楽しいらしい」
「自分で釣った魚を捌いて、食べるのは美味しいそうだ!!」
俺がそう言うと、咲子は目を輝かす。
「釣ったお魚を食べるのは少し可哀想だけど、絶対新鮮で美味しいよね!」
「お母さん! 私釣りをやりたい!!」
咲子は早速、お母さんにおねだりをするが……
「ダメ♪」
柔らかい口調で言う母さんだが、言葉は残酷で有る。
「え~~、どうして!!」
「釣り道具も買わないと行けないし、家には魚を捌く包丁も無い!」
「それに釣りが出来る人が家には居ないから、教える人も居ない!!」
「それが理由だよ。咲子♪」
「エサ付けて、海に投げれば良いのでは無いの?」
(咲子……。そんなで簡単に魚が釣れたら、みんなが釣りをするぞ…)
「咲子のお小遣いで道具を買って、釣りをするのは良いけど、お母さんは魚を絶対に捌かないよ♪」
「それに咲子が釣りをし出したら、最低5匹以上は釣って、それを持ち帰って来て料理もして貰うよ!」
「大きいお魚なら、そうでも無いけど♪」
(母さんも、えげつないな…)
(そんな条件を付けたら、この家で釣りをやりたがる子は居ないよ……)
「何か……大変そうだから良いや…」
やはりと言うか、咲子は興味を急激に失う……
しかし、ここで思いに依らぬ言葉を言う人が居た!?
「……なら、私が釣りをやってみるか!」
「えっ!? お姉ちゃんが!!」
その言葉発したのは、まさかの宮子だった!?
「どうして……、お姉ちゃんが…?」
「…私の親友に釣りをやっている子が居るのよ」
「今まで……乗り気では無かったけど、魚を捌く練習も出来るし、我が家の食卓に新鮮な食材を並べても…、私の中では良いように成ったから……」
宮子はそう言うが、俺の中で有る言葉が引っかかる……
『我が家の食卓に新鮮な食材を並べても…、私の中では良いように成ったから……』
この言葉は……俺に対する、当て付けだった筈だ。
以前の関係なら、宮子は俺との食事を一緒に取りたがって無かったし、宮子の手土産が俺の所に回ってくる事は無かった。それは、俺を敵視していたからだ。
今では、それがほぼ薄れており、咲子程の関係では無いが、有る程度の部分は俺を家族の一員として見てくれてる。
言葉の感じからして、宮子は釣りには興味を感じていたが、俺に旨い物を食べさせたくない気持ちが強かったのだろう……
「お姉ちゃんが釣りを覚えれば、私を教えてくれる人に成るから、是非やってよ。お姉ちゃん!!」
咲子がそう言うと、今まで興味なく聞いて居た真央も話しに加わり出す。
「咲子お姉ちゃんがやるなら、私も釣りやる!!」
「ちょ、ちょっと、2人共落ち着きなさい…」
「私はそう感じただけで、まだ釣りをするとは決めてないよ!!」
宮子はそう、咲子と真央に言うが、宮子の表情は釣りデビューをする気、満々の顔で有った。
「うゆゆ~~」
「『美人姉妹3人が鯛を釣る!』とかで有名に成ったら、お母さんは嬉しいわ~~♪」
咲子には釣りを諦めさせる事は言った割には、もう手の平をひっくり返している。
現金な母さんだ……
宮子が何時、釣りデビューをするのかは判らないが、釣りで命を落とす人も少なく無い……。釣りをするにも整備された安全な場所(海釣り公園など)で、釣りをして欲しいと俺は思った……
海釣り公園を見た後は、広場に成っているゾーンに向かう。
遊具も少し有って、それを見つけると否や、咲子とそして真央は、遊具に遊び行く。その光景を見た俺は、冗談を宮子に言う。
「宮子は行かないのか?」
「あなたが行くなら行くわよ…」
(そう、返してきたか…)
「勝負する…?」
「えっ、いきなりどうした!?」
「あの遊具まで競争!」
「絶対に、父さんが負けるから…」
「……意気地無し」
宮子は俺に吐き捨てる様に言うと、咲子達が遊んでいる遊具に向かい出す!
まさか……本当に遊ぶのか!?
俺と母さんは顔見合わせて、宮子の後を追う。
「お父さん…。言って言い冗談と悪い冗談が有るよ…」
「ごめん…。母さん!」
「つい……軽い気持ちで言ってしまった…」
「宮子の事だから、大して気にはしてない筈だけど……、お父さんを完全にお父さんとまだ認めてないのだから…」
何時もは陽気な口調で喋る母さんだが、今の母さんは窘める口調で有る。
俺は宮子に失言をした事を後悔しながら、娘達の居る遊具に向かった……
今日は風が適度に有るので、昨日ほど暑くない。
水族館以外に海釣りを出来る場所も有り、天気も良い事も加わって、多くの人が釣りをしている。
「お父さん…。釣りって楽しいの?」
その光景を見た咲子が、俺に聞いてくる。
「俺が子どもの時に、父親の釣りに付いて行った事は有るが、余り良い思い出は無いな…」
俺の中では釣りの経験は数える程しか無い。
釣りはしたが、釣り堀以外で魚を釣り上げた事が無いからだ。
単身赴任前の会社の先輩に、釣りを誘われた事も有ったが、俺の場合は釣り道具を揃える事から始まるし、母さんも釣りには興味が無いため、俺が正式な釣りデビューをする事は無かった。(母さんが釣り竿を買ってくれなかった…)
「会社の先輩が言うには楽しいらしい」
「自分で釣った魚を捌いて、食べるのは美味しいそうだ!!」
俺がそう言うと、咲子は目を輝かす。
「釣ったお魚を食べるのは少し可哀想だけど、絶対新鮮で美味しいよね!」
「お母さん! 私釣りをやりたい!!」
咲子は早速、お母さんにおねだりをするが……
「ダメ♪」
柔らかい口調で言う母さんだが、言葉は残酷で有る。
「え~~、どうして!!」
「釣り道具も買わないと行けないし、家には魚を捌く包丁も無い!」
「それに釣りが出来る人が家には居ないから、教える人も居ない!!」
「それが理由だよ。咲子♪」
「エサ付けて、海に投げれば良いのでは無いの?」
(咲子……。そんなで簡単に魚が釣れたら、みんなが釣りをするぞ…)
「咲子のお小遣いで道具を買って、釣りをするのは良いけど、お母さんは魚を絶対に捌かないよ♪」
「それに咲子が釣りをし出したら、最低5匹以上は釣って、それを持ち帰って来て料理もして貰うよ!」
「大きいお魚なら、そうでも無いけど♪」
(母さんも、えげつないな…)
(そんな条件を付けたら、この家で釣りをやりたがる子は居ないよ……)
「何か……大変そうだから良いや…」
やはりと言うか、咲子は興味を急激に失う……
しかし、ここで思いに依らぬ言葉を言う人が居た!?
「……なら、私が釣りをやってみるか!」
「えっ!? お姉ちゃんが!!」
その言葉発したのは、まさかの宮子だった!?
「どうして……、お姉ちゃんが…?」
「…私の親友に釣りをやっている子が居るのよ」
「今まで……乗り気では無かったけど、魚を捌く練習も出来るし、我が家の食卓に新鮮な食材を並べても…、私の中では良いように成ったから……」
宮子はそう言うが、俺の中で有る言葉が引っかかる……
『我が家の食卓に新鮮な食材を並べても…、私の中では良いように成ったから……』
この言葉は……俺に対する、当て付けだった筈だ。
以前の関係なら、宮子は俺との食事を一緒に取りたがって無かったし、宮子の手土産が俺の所に回ってくる事は無かった。それは、俺を敵視していたからだ。
今では、それがほぼ薄れており、咲子程の関係では無いが、有る程度の部分は俺を家族の一員として見てくれてる。
言葉の感じからして、宮子は釣りには興味を感じていたが、俺に旨い物を食べさせたくない気持ちが強かったのだろう……
「お姉ちゃんが釣りを覚えれば、私を教えてくれる人に成るから、是非やってよ。お姉ちゃん!!」
咲子がそう言うと、今まで興味なく聞いて居た真央も話しに加わり出す。
「咲子お姉ちゃんがやるなら、私も釣りやる!!」
「ちょ、ちょっと、2人共落ち着きなさい…」
「私はそう感じただけで、まだ釣りをするとは決めてないよ!!」
宮子はそう、咲子と真央に言うが、宮子の表情は釣りデビューをする気、満々の顔で有った。
「うゆゆ~~」
「『美人姉妹3人が鯛を釣る!』とかで有名に成ったら、お母さんは嬉しいわ~~♪」
咲子には釣りを諦めさせる事は言った割には、もう手の平をひっくり返している。
現金な母さんだ……
宮子が何時、釣りデビューをするのかは判らないが、釣りで命を落とす人も少なく無い……。釣りをするにも整備された安全な場所(海釣り公園など)で、釣りをして欲しいと俺は思った……
海釣り公園を見た後は、広場に成っているゾーンに向かう。
遊具も少し有って、それを見つけると否や、咲子とそして真央は、遊具に遊び行く。その光景を見た俺は、冗談を宮子に言う。
「宮子は行かないのか?」
「あなたが行くなら行くわよ…」
(そう、返してきたか…)
「勝負する…?」
「えっ、いきなりどうした!?」
「あの遊具まで競争!」
「絶対に、父さんが負けるから…」
「……意気地無し」
宮子は俺に吐き捨てる様に言うと、咲子達が遊んでいる遊具に向かい出す!
まさか……本当に遊ぶのか!?
俺と母さんは顔見合わせて、宮子の後を追う。
「お父さん…。言って言い冗談と悪い冗談が有るよ…」
「ごめん…。母さん!」
「つい……軽い気持ちで言ってしまった…」
「宮子の事だから、大して気にはしてない筈だけど……、お父さんを完全にお父さんとまだ認めてないのだから…」
何時もは陽気な口調で喋る母さんだが、今の母さんは窘める口調で有る。
俺は宮子に失言をした事を後悔しながら、娘達の居る遊具に向かった……
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