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番外編

第59話 結婚直前の旅行 その5 

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 遊覧船の時間が押しているため、途中の寄り道は無しで岬に向かう。
 先ほどと同じ様に、高速道路を使えるだけ使うが、岬に行くにはどうしても一般道区間が必然と多く成る。
 俺は時間を気にしながら、ハンドルを握った……

 15時45分……
 俺達の車は、無事に岬に到着して、無料駐車場に停めるが、駐車場内には車が殆ど停まって無かった……
 有料駐車場は更に車が少なかったし、無料の駐車場ですら車が少ないのは、流石におかしい??

(天気が悪いから、人が少ないのかな?)

 俺は直ぐに車から降りずに、周囲を覗っているが、情報は何も得られなかった。

「あれ? 今日は、お休みの日??」
「年末年始以外は、運航日と書いて有ったけど……」
「変だな~~??」

 小春も車の数と人の少なさに、疑問を感じているようだ。

「取り敢えず、行ってみようか。小春!」
「まずは、遊覧船乗り場に!!」

「そうだね……。もうすぐ最終便の時刻だし、出来れば乗りたいね!」
「天気は“いまいち”だけど……」

 俺と小春は車から降りて、遊覧船乗り場を探しながら向かうが、その間にすれ違う人が殆ど居なかった。
 必然と会話も少なく成って、俺と小春は変だと感じつつも、遊覧船乗り場の案内看板を見つけて、運行の詳細を確認すると……

『本日の運行状況』
『強風のため、全便運休とします。 岬遊覧船』

「……」

「……」

 その様に、案内看板内に有る、運行状況が表示されていた。
 俺と小春はその案内を見て、お互いが無言に成ってしまった。

 これがもし、俺が意見を曲げずに岬に強行突破していたら、その場で小春と大喧嘩に成って居たに違いない……
 そして……最悪は、婚約破棄に発展したかも!?

「……残念ね。小春」

「うっ、うん……」
「強風で運休とか、そんなに風が強そうには見えないけど……」

 風は確かに有るが……強風と言う程の風は、今の時間帯には吹いては無かった。
 午前中……、この地域は嵐でも起きていたのか!?

「小春……遊覧船の代わりに、岬タワーにでも登る?」
「予定外だけど!」

 俺は遊覧船の代わりに、岬タワーを提案する。
 岬タワーの方は、営業しているからだ。

「岬タワーね…」
「雨は降ってないけど、この微妙な天気で高いお金払って、景観を見る必要は有るかしら!?」

 小春はそれを賛同はせずに、愚痴をこぼすように言う!?
 岬周辺の天気は、所々に雲の切れ間が有るが、展望タワーからの一望に適して居るとは言いにくかった……

「時間も時間だし、岬先端だけの観光にしましょう!」

「小春がそれで良ければ、そうするが……」

 小春の中で、岬タワーの観光は不要と感じたらしい。
 これが晴天なら俺ももっと強く押すが、この天気だから、それ以上は言わない事にする。

 岬周辺、観光案内の看板が近くに有るので、場所を確認してから岬の先端に向かう。
 賢い事に、商店街(お土産通り)を通らないと、岬の先端には行けないように成っている。賢い者だ!

 商店街を小春二人で歩くが、遊覧船が運休に成った影響か、お店の大体が閉店か休店日と成っており、人通りも少ない。
 また、開いている店も時間が時間なので、閉店準備を始めている店も多かった。

「閑散としているわね!」
「あららの気分……」

 小春はそう呟く。

「遊覧船が運休の影響かな?」

「旅行だから賑やかな方が良いけど、少し寂しいね。筑摩さん…」

 小春も元気が無い、発言をする。

(このまま、岬の先端に行っても、良い雰囲気は生まれにくいな)

 俺はそう感じながら小春と歩いていると、道の先から美味しそうな匂いが漂ってきた!

(この匂い……魚介類を焼いている匂いだな!)
(何処かに…、海鮮焼きのお店が有るのだな!!)

 時刻は16時を過ぎた所だが、昼食に天ぷらざる蕎麦を食べて以来、二人共固形物は口にはしていなかった。
 晩ご飯を食べる店は決めて無かったので、地元の魚介類を、おやつ代わりに食べて見るのも良いかも知れない。

「あっ! 筑摩さん!!」
「美味しそうな匂いがするよ~~♪」

 小春も匂いで気付いたか、俺に声を掛けて来る。 
 匂いが漂って来るお店に近づくと、お店の入り口ではイカを焼いていた。
 見るからに、美味しそうなイカ焼きで有る。

「小春!」
「おやつ代わりに、イカ焼きでも食べていかない?」

 この時間帯でもまだ、イカを焼いていると言う事は、今からでも注文は出来るはずだ。

「良いね! 筑摩さん!!」
「ここで、おやつにしましょう!!」

 俺と小春が店の前で話していると、イカを焼いていたスタッフの人が、声を掛けてきた。

「お二人さん。いらっしゃい!」
「中へどうぞ!!」

 スタッフは、入店を促してくれる。
 まだ、本当に大丈夫の様だ!!

「小春。中に入ろう。まだ、良いみたい!!」

「えぇ! 入りましょう♪」

 少し遅い、おやつの時間が始まろうとしていた……
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