単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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番外編

第63話 帰る直前に…… その1

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 翌朝……

 今朝も、母さんと咲子が作ってくれた朝食を家族全員で取っていると……

「お父さんは今日、何時頃に帰る予定なの?」

 咲子が俺の予定を聞いてきた。

「夕方前には単身赴任先に戻りたいから、お昼前には帰るつもり」

「え~~、そんなに早く帰るの!!」
「せめて、お昼まで居れば良いじゃん!!」

 咲子はそう言う。
 俺だって、本当はそうするべきだが、本来の住処から単身赴任先の町まで、高速道路を使っても2時間以上は掛る。

 それに今日は、連休の最終日だ。
 各地でUターンラッシュもピークを迎えるはずだ。
 俺だって、大渋滞に巻き込まれる前に赴任先の町に戻りたい。

「まぁ、まぁ、咲子…」
「お父さんだって、お父さんの予定が有るのだから、邪魔しちゃダメだよ///」

 母さんが咲子を注意してくれる!
 これで、咲子も諦める筈だろう。

「う~~」
「……なら、せめて、お昼だけは作ってから帰ってよ」
「また、しばらく、お父さんの料理が食べられなく成るから…」

 咲子は不満げに言う。
 俺に好意を持ってくれるのは嬉しいが、自分が食べられない料理を何故作らないと行けない!?
 咲子の中では『昼食を食ってから帰れ!』と言いたいのだろうか。

「咲子…。俺の料理は昨日の昼食に食べただろう…」

 俺はそう言うが、咲子は反論する。

「あんなの、誰だって作れるよ!」
「インスタント麺に野菜やソーセージを入れただけのラーメン!!」
「私が食べたいのは、カレーとかのアレンジの利く、手作りの意味で言っているの!!」

「あっ! お父さん!!」
「カレーだけ作ってくれれば、何時でも帰って良いよ♪」

 怒り気味の表情から、急にねだる表情に変わる咲子。

「カレー!?」
「そんなの急に言われても……材料が無いだろう!」

「お父さん! 大丈夫だよ!!」
「スーパーは9時から開いているよ♪」

「朝一にスーパーに行って、カレーの材料を買って、直ぐにカレーを作ればお昼前には完成するよ!」
「私も、お料理手伝うから、カレーを作ってから帰ってよ♪」
「お父さんのカレーが食べたい!♪」

 笑顔でそう言う咲子……
 咲子の気持ちも判るが……俺は帰るまで“のんびり”したいし、母さんも都合等も有る筈だ。

「母さん…。咲子が『あぁ』言って居るが、母さんも色々と都合が有るよな?」

 咲子を説得させるのを大変だと感じた俺は、母さんを再度味方に付けようと思うが……

「うゆ。お父さん。お昼にカレー作るの?」
「どうせ作るなら、晩ご飯もカレーにしちゃうから、沢山作ってね♪」

「私(母さん)も最近、お父さんのカレーを食べてないし、最終日にもお父さんが出来そうだね♪」
「今日は、昼食と夕食も楽出来そうだ♪♪」

 母さんは味方に付くどころか、完全に咲子側に付いてしまった!
 初めの頃は……俺の味方だったのに咲子に寝返った!!
 我が家の戦場は、関ヶ原状態で有った……

「……昼食は、今日もあなたが作るの?」
「咲子には本当に甘いね!」

「でも……あなたのカレーを、真剣に味わった覚えは無いわ…」

 宮子は俺を見ながら言う。全然、甘やかしてなんか居ないぞ!
 母さんが俺を裏切っただけだ!!
 しかし、宮子の最後の言葉が引っ掛かる……

『でも……あなたのカレーを、真剣に味わった覚えは無いわ…』

 俺がカレーを作る時は、晩ご飯で作る。
 宮子が俺を拒絶していた時でも、宮子は俺のカレーを食べていた。
 口では拒否を当然するが、それを母さんが許さないからだ。

 昼食時の様に『親友を理由』で逃げる事も出来ないし、他の食べ物を食べる事を母さんは絶対に許さなかった。
 言われて見れば、あの時の宮子は、掻き込む様に食べていた記憶が有る……

(宮子の事も思えば、作るしか無いか……)

「お昼にカレーなんて、給食みたい!」
「楽しみ!! サラダも有れば最高だ!!」

 真央の頭の中も、昼食は『カレーモード』が出来てしまった様だ。
 大好きな家族のためだから、腕を振るいたいが、せめて昨日言ってくれ。

 でも……ここで拒否をしたら、みんなが残念がるのは解りきっているので、カレーを作るしか道は無さそうだ。

「……じゃあ、カレーを作ってから帰るけど、作る以上、昼食を食べてから帰るよ」
「父さんもカレーは好きだし…」

「いやった~~」

 俺がそう言うと、嬉しそうに言う咲子。
 宮子の言う通り、俺は咲子には甘いのだろう……
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