単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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番外編

第71話 我が家を離れる時

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 時刻は14時手前……
 俺はあの後、少し眠る事が出来て、今は単身赴任先に戻る準備をしている。
 寝室で旅行カバンに荷物を仕舞い込み、普段着から外出用の服に着替える。

(何時も思うが……我が家を離れる時は寂しいな)

 1~2ヶ月位の応援派遣の予定が、今月末で約5ヶ月に成る。
 応援派遣先の事業所長の話では『どんなに長引いても、年末までにはどうにかさせる…』と言っていたが、本当だろうか? 眉唾では無いだろうか!?

(けど、人が来なければ俺は…、元の事業所に戻る事は出来ない)

 軽いため息を付きながら、俺は家を出る準備を進める。

 ……

「お父さん!」
「来月末、直ぐに会えるのだから元気出して♪」

 出発間際。
 母さんはリビングで待っていて、そう言って俺を励ます。
 母さんは寂しそうな表情を見せる素振りは無く、普段通りで有った。

「まだ、休暇の届けは出してないから、その様に成るとは限らないが……」

「でも、無理矢理でも帰って来るのでしょ♪」

「まぁな…。里帰りは権利だし」

「けど、お父さんが勤めている所が、グループ企業でも大手で良かったわ!」
「これが中小企業だったら、こんな簡単に里帰りは出来てないかも知れないよ!!」

「……間違っては無いかもな」
「コンプライアンス何て真剣に遵守するのは、大手企業や大手に近い企業だけだし……」

「子ども達が小さい時に単身赴任が起きてしまったら、私ももっと文句を言うけど、頼りに成る宮子が側に居るし、咲子や真央も子どもでは無いから、頑張ってお仕事に専念してね。お父さん!!」

 母さんはそう言って、俺の肩をポンと押す。

「じゃあ、母さん…。そろそろ時間だし、行って来るよ」

「はい!」
「お父さん! 行ってらっしゃい!!」

 俺は母さん共にリビングから出ると、待っていたかの様に宮子、咲子、真央が其処に居た!

「……咲子が、リビングに入りたがっていたけど、私が止めて置いた」

 俺の顔を見た宮子は、開口一番で言う。

(あぁ……そう言う事か)
(俺が帰るのに母さん以外、誰も来ないから変だと思っていた)
(宮子が、俺と母さんに気を遣ってくれたのか)

「あなたが一番好きなのは、お母さんの筈だからね!」
「そうでしょ……」

 少し真面目な顔をして言う宮子。

(咲子にフェイントを掛けているな。宮子の奴…)

「うん…。宮子の言う通りだ!」
「俺が一番愛しているのは母さんだ!!」

「……そんな事、改めて言わなくも良いよ。知っているから…」

 咲子は、少しむくれながら言う。
 当然、咲子には聞きたく無い言葉だろう。

「宮子、咲子、真央……」
「お父さんは今から単身赴任先に戻るけど、母さんの手助けとサポートをして、姉妹喧嘩は成るべく無い様にな…!」

「私はもう、喧嘩をする年では無いよ…」
「体に気を付けてね…。数日間だけど、お父さんを知る事が出来たよ!」

 すまし顔で言う宮子だが、最後の方は微笑みながら言う。
 宮子と俺の間に有った障壁は、完全に無くなっている。

「ありがとう…。宮子」

 俺が宮子にお礼を言った直後に、咲子が話し始める。

「お父さん!」
「向こうでも成るべくお料理をして、後お酒は控えるんだよ!」
「お父さんの仕事は、体が資本なんだから!!」
「お野菜も沢山取るんだよ♪」

 母さんが言う様な言葉を言う咲子。
 本当に、俺をまだ諦めてないのか……

「料理は残業が無い時に、頑張ってみるよ。酒は……上手に飲むよ」

「そう言って結局、今までと同じ生活をしていそう……」

 咲子はジト目に成って言う。
 自炊は少し考えて居るが……酒を減らすのは厳しいだろう。
 監視役かあさんが居ないから、好きなだけ飲めてしまうからだ。

「お父さん! 行ってらっしゃい!!」
「元気でね~~!!」

 これは何時もの事だが、……真央の接し方を一度見直した方が良いかも知れない。
 親子なのに、友達感覚で言う言葉で送り出されるのは少し寂しい。
 俺はみんなに見送られながら、車に荷物を積み込んで、我が家のガレージから車を出す。

「じゃあ、母さん…。留守の間は頼む!」

「はい! 任せておいて!!」
「多少の事は宮子が居るから、問題ないから♪」
「お父さん! 気を付けてね!!」

「行ってらっしゃい! お父さん!!」

『行ってらっしゃい~~』

 母さんの言葉の後、娘達も言葉を言う。
 俺は車内から『行ってきます…』と大声で言い、我が家から離れて行った……
 数日間の我が家の滞在も、今此処で終わりを迎えた……
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