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番外編

第85話 その夜見た夢 その4

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 鴉が飛んでいった後、俺の側にさっきの猫と蛙が追い付いていた。

「にゃ~、にゃ~」

「ケロ、ケロ」

 猫と蛙が俺に話し掛けているが、理解出来る訳が無い。

「これは……奇妙な世界に足を踏み入れてしまったな…」
「付近に、タ○リさんが居るのでは無いか!?」

 もはや、世にも○妙な物語状態で有った。
 俺は無事に森から抜け出せるのだろうか!?

(猫は最悪、駐車場まで来てしまったら、公園の管理者に連絡して引き渡そう)
(これだけ、人に懐くという事は飼い猫だった証しだ)

(蛙は最後、川に逃がそう。変わった蛙で動画に上げても面白いが、会社とかに知られると色々と不味いし…)

 俺は再度、鴉に攻撃をされる可能性が有ると判断したので、今はとにかく公園駐車場に戻る事を優先するべきだと感じた。
 あの鴉が俺を攻撃した理由は不明だが、俺は鴉に悪戯もしていないし、初めて来た場所で鴉に襲われる理由なんて、無い筈なのに……

 俺は公園駐車場に向けて、早足で歩き出した。
 言うまでも無く、猫と蛙も付いて来た。

 ……

 山道から小川沿いの道を歩いて、後少しで公園まで来られた所で……道向こう曲がり角からさっきの鴉と……人間では無い、大きそうな物体が見えた!!

「クソ!」
「やっぱり、諦めなかったか!!」

 鴉は俺を視認して、その近くに居る者に鳴いている。
 その者と会話をしている様だ。

『ジョリ、ジョリ、―――』

「……嘘だろ」

 その物体がはっきりと確認出来た時……それは大蛇だいじゃで有った!?
 大蛇は人間で言う、半立ち状態で動きながら近付いて来た!!

「最後は大蛇か!!」
「とんでもない物を連れて来たな。あの鴉……」

 この河川公園…。『ヘビに気を付けましょう』の立て看板は有ったが、“大蛇”とは書いてなかった。
 大蛇が居たら、もう其処は公園でも国定公園だ。自然豊かすぎる!?

 大蛇だけ有って、太さも有り長さも有る。成人男性でも食べられそうな図体で有った。
 大蛇は俺を視認したが目の前までは来ず、少し距離を開けて立ち止まる。

「……」

 大蛇が笑う訳は無いと思うが、無言の笑顔で俺を見ていた。
 時々舌を出して、笑顔で見ている。見ている分では大人しそうな大蛇で有るが……
 けど、蛇に表情なんて有ったっけ?

(……この蛇は味方か!?)
(の訳無いわな…。あの鴉が連れて来たのだから、敵に近い立場だろう)

「カァ、カァ、―――」

 鴉は大蛇に話し掛けていて、大蛇は鴉の言葉に対して頷いている様に見える?

「……」

 大蛇は……俺を品定めする様に見ている。
 これは、俺を食べる気か!!

「にゃ~~!」

 突然、俺の後ろに居た猫が、大蛇の方に向けて走り出した。大蛇に攻撃を仕掛ける気か!?
 蛙は何時の間にか猫から降りており、跳ねながら俺の側で立ち止まる?
 蛙は攻撃に参加しない様だ。

「ふにゃ~~!」

 猫は大蛇の目の前で立ち止まり、威嚇を始めた。

「ウ~~、フ~~!」
「ふにゅ~~!」

「……」

 猫が威嚇しているのに、大蛇は表情を変えずに猫を見ている。
 猫の様子からして、この大蛇とは敵対関係が有ると見た!

 大蛇と猫の戦い……猫の方が俊敏性は有るが、相手は大蛇だ!
 俺は手元に武器が無いので、大蛇に戦い挑んでも絶対に勝てない。
 猫が勝てる見込みは低いだろうが、俺は猫に頼るしか無かった……
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